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インタビュー2022

11月21日号 広島特集 この人に聞く

株式会社楠清  常務 藤井緑生氏

広島大会で交流活性化
ニッチ市場でリピーター獲得
 総勢約180名が集った第40回全漬連青年部会全国大会の広島大会。その実行委員長を務めた藤井緑生氏は、広島菜漬や辛子漬を主力とする株式会社楠清(楠原幹生社長、広島市西区中広町)で常務を務め、営業部門を統括している。藤井常務は、広島菜漬や辛子漬というニッチ市場では万人受けを狙うよりも少数のリピーターを獲得することが大切と考えを語り、独自性ある商品提案で成果を上げてきた。
(大阪支社・小林悟空)
◇   ◇
 ――広島大会を終えて。
 「青年大会にはこれまで何度も参加していて、その度に新しい出会いがあり、全国の漬物業者様とのコミュニケーションが円滑になった。漬物業界の活性化には必要不可欠なものと理解している。コロナ禍もまだ収まり切らない中だったが対策を講じて開催し、多くの方に来場頂き感謝している。広島にはたくさんの漬物メーカーがあること、『広島菜漬』という特産品があることを改めて認識してもらえた。知名度向上の余地はまだまだあると実感した大会だった」
 ――広島菜漬の状況は。
 「今年は暖かい日が続き豊作傾向。残念ながら県内メーカー数は以前より減少してきているが、広島菜漬をはじめ地域性を生かした商品へのニーズは高く、当社へのご依頼も多く頂くようになってきている。今年は量販店、業務筋とも新規のお取引先が増えそうだ。生産キャパシティの問題もあり一気に拡大することはできないが、製造の効率化を図って対応を進めている」
 ――広島菜の商品展開は。
 「じっくり塩漬し乳酸発酵させることで酸味と甘味の増した広島菜を、醤油をベースとした特製の調味液で漬け込んだ『本漬広島菜』や、同じく乳酸発酵した広島菜を国産胡瓜や紫蘇の葉とともに漬け込んだ『安芸しば漬』が主力。特に『安芸しば漬』は胡瓜の心地よい歯切れと、広島菜と紫蘇の葉による香りと旨味が他にない味わいで、当社売上の上位に君臨している。業務用でも人気だ」
 ――広島菜漬以外では。
 「辛子漬が国内シェア上位に位置している。当社の辛子漬は国産辛子のツンとくる辛さと酒粕の香りが特徴。涙が出るほどの刺激でバイヤーさんの中には『こんなもの食べる人いるの』と顔をしかめる方もいるのだが、辛子漬はカテゴリ自体がニッチ市場。万人受けを狙って価格を無理に抑えたり味がぶれるよりも、辛子漬好きの期待に応えてリピーターを獲得する方が重要だと考えている。初めての商談では辛子漬の一点突破で、ファンが付くことを実感して頂いてから他の商品を提案することもあるくらい自信のある商品だ」
 ――独自性を追求している。
 「漬物製造には人手と原料と場所が必要で、どれも無限に増やすことはできない。漬物は辛子漬にかぎらず全般的にニッチ市場と言えるので、大量生産・大量販売よりも、手間暇がかかっても味にこだわろうと会社全体で取り組んできた。昨今は物価上昇で価格改定もせざるを得ない状況にあるが、唯一無二の特長を持った商品が揃っていることは当社にとって大きな強みとなっている。また円安によって国産原料は相対的にメリットが出てきている。価格より質の姿勢を崩さず、当社ならではの提案をしていきたい」
【2022(令和4)年11月11日第5112号6面】


11月21日号 埼玉特集 トップに聞く

マルツ食品株式会社 代表取締役 鶴田健次氏

埼玉特産品を県外へ
「漬物=SDGs」で魅力発信
 マルツ食品株式会社(深谷市岡部)では近年、埼玉県産農産物を使用した漬物製造に力を入れている。首都圏から近いことで、今までスポットライトが当たりづらかった埼玉県の特産品だが、地産地消、地産外商の流れが強まる中、その存在感を強めている。鶴田健次社長は各地の風土を生かした漬物づくりの重要性や、SDGsや発酵食品といったキーワードと共に、若い世代に漬物の魅力を発信していく必要性を語った。(藤井大碁)
◇    ◇
――県産農産物の加工に力を入れている。
 「5年程前に県の6次産業化プランナーを務めたことを機に、県から様々な生産者を紹介してもらう流れができた。秩父きゅうり、東松山の梨、春日部のいちごなど様々な農産物を漬物に加工している。先日もある企業から、青果として販売ができなくなった大根を漬物に加工できないか、との依頼があり、弊社でべったら漬に加工し、その企業が買い取って販売を行った。漬物技術を用いることで、農産物に付加価値を付け販売していくことや、食品ロス削減に貢献できる」
――埼玉の特産品。
 「地域産品を販売する店舗で、全国のご飯のお供企画を実施する際に、商品を見つけにくい県が、埼玉と神奈川だということを聞いたことがある。東京で販売するため、距離的に近すぎることがマイナスになり、埼玉の特産品はこれまで苦戦してきた。だが地域性への関心が高まる中、新たな流れも出てきている。前述した秩父きゅうりを加工した『秩父きゅうりぴくるす』は、秩父エリアを中心に人気を集めており、県内外から問合せが増えている。今後は県外への販売にも力を入れていく予定だ」
――漬物づくりで大切なこと。
 「漬物屋の基本的なスタイルは、自分の畑でとれたものを、地場の味噌や醤油で漬け込むことだと考えている。弊社では、このポリシーに沿って、漬け材に埼玉県産の醤油や味噌を使用している。日本酒も地元のものがやはり一番身体に合う。使用している水が同じ水系であることが大切で、その土地の風土が大きな影響を及ぼしている。各地域、各メーカーが作る漬物も、それぞれにクセがあるからこそ魅力がある。クセがなくなり、味付けが全国同一になれば漬物の魅力は失われてしまう。風土を生かした漬物づくりを貫いていきたい」
――様々な販路を開拓している。
 「他のメーカーに迷惑をかけたくないので、競合しない新たな売場を見つけることを心掛けている。一般的な市場を海に例えるならば、私は自分の池だけで泳げれば良い、という考えだ。現在はスポーツ関連企業とコラボし、アスリート向けの漬物販売を計画している」
――漬物技術を駆使した地域課題解決にも取り組む。
 「東京都青梅市の筍を使用した加工品を作りたい、という依頼があり、その筍を奈良漬に加工している。筍を掘らなければ、竹が増えすぎ、結果的に竹害で山がダメになってしまう。奈良漬に加工し、その地域で販売することで、地域課題を解決するだけでなく、地域活性化に貢献することができる」
――〝漬物=SDGs〟の考え方。
 「SDGsのために何をやっていますか、という質問を受けることがあるが、漬物はもともと野菜を無駄にしないための保存食であり、〝漬物自体がSDGsです”と答えている。そのため、その技術を用いて食品ロス削減や地域活性化に貢献できるのは当然のことで、漬物という素晴らしい食文化の価値に改めて光が当たっている。〝SDGs”や〝発酵食品”といった今を時めくキーワードと共に、若い世代に漬物の魅力を伝えていくことが大切ではないか」
【2022(令和4)年11月21日第5112号9面】

株式会社飛騨山味屋 代表取締役社長  長岡俊輔氏

赤かぶら漬は飛騨の誇り
若宮食品と強みを補完
 株式会社飛騨山昧屋(長岡俊輔社長、岐阜県高山市)は大正8年創業。「赤かぶら漬」や「栗よせ」など飛騨高山の味を伝える商品作りを得意分野とし、観光土産品を主力としてきた。昨年3月には同市内でスーパー向け商品に強みを持つ若宮食品株式会社を承継。2社の手綱を引く長岡社長は、飛騨の食文化を守ることへの熱い思いを語った。
(大阪支社・小林悟空)
◇  ◇
‐観光が回復してきた。
 「国内旅行だけでなくインバウンド客も入ってきており、11月頭時点ではコロナ前に近い水準まで回復してきた。山味屋は土産が主体のため、これからが正念場。反対に若宮食品はスーパー向けが主体で、巣ごもり消費の恩恵を受けることができた。全く毛色の違う2社を経営することになり、改めて各社の強みや、販路ごとの特性などを感じている」
‐若宮食品の承継は。
 「若宮食品のブランドや商品は全て残していく。それが事業承継の条件だったし、若宮食品には赤かぶらと大根を一緒に漬けた『にっこりグーちゃん』などユニークでファンの多い商品が揃っている。飛騨の漬物文化を守るためには残さねばならない存在だと考えている。昨年3月に引き継いでから現在までは業務の把握、引き継ぎに充ててきた。コロナの感染拡大期には、従業員や原料を山味屋から若宮食品へ充当するなど柔軟な対応ができた。3年目からは改善や新商品開発などに取り組んでいく予定だ」
‐山味屋では漬物と菓子の2本柱となっている。
 「漬物は赤かぶら漬、菓子は『くるみよせ』など、飛騨に伝わる家庭の味をそのまま再現するように製造している。地元の方からすれば『特徴がない』と感じられるくらい家庭的な味が当社の目指す味だ。菓子を作っていて痛感するのが、漬物作りの難しさ。菓子の原料は粉末状が主なため均質で加工しやすく、機械化も容易。対して漬物の原料は形も大きさも品質もバラバラ。ある程度のマニュアル整備はできても最終的には職人の経験で調整するしかない。その原料も、異常気象で生産量が不安定のため、生産農家も減っている。あらゆる面で、漬物は難しい」
‐赤かぶら漬を守るには。
 「地元の誇りとして絶対に守り抜くという責任感を持って取り組んでいる。赤かぶら漬は山深い飛騨で、冬の保存食として食されてきたもの。塩で漬けて乳酸発酵させることで旨味と酸味が増すと同時に、アントシアニンが酸に反応して美しい赤色を発色するという知恵が詰まっている。飛騨の里山の雰囲気とも合い、観光に来られた方は必ず購入してくださる。また県外での販売に関しても、塩だけで漬ける昔ながらの形で流通できている数少ない漬物と言える。この独自性を武器に、地味でもしっかりと根付くことで、赤かぶら漬を未来へ繋いでいきたい」
【2022(令和4)年11月11日第5111号9面】


11月11日号 かぶら漬特集 トップに聞く

堺共同漬物株式会社 代表取締役社長 林野雅史氏

クラシックな漬物提案
独自性強め競争脱却目指す
 大阪府漬物事業協同組合理事長を務める、堺共同漬物株式会社(大阪府堺市)の林野雅史社長にインタビュー。林野社長は『大阪の宝』と呼ぶ泉州水なす漬に続く、なにわの伝統野菜育成の重要性や、価格改定へ積極的に取り組む姿勢を語った。
(大阪支社・小林悟空)
◇  ◇
ー今年の泉州水なす漬シーズンの振り返りを。
 「5月まで泉州水なす原料が不足していた分はマイナスとなったが、その後は順調だった。既存顧客に限って見ても前年並みを維持、新規顧客が増えた分プラスになった。関西ではほぼ定着し、他地域への出荷が年々増えている。『泉州水なすは大阪の宝』と常々言っているが、この厳しい環境下においてもその強みを発揮してくれている」
ー秋冬の商品戦略は。
 「泉州水なす漬に続く大阪だけ、当社だけの商品を見つけていく必要がある。具体的にはなにわの伝統野菜を使った漬物や、かぶらの姿漬のような『クラシックスタイル』な漬物を強化している。こうした昔ながらの漬物が最近では少なくなってきていたため、コアなファンを獲得できている。数年かけて実績を重ねてきたことで、今年も導入が増えている」
ー簡便化、少量化のトレンドと逆をいく商品だ。
 「簡便化、少量化は大手企業が得意とするところ。また現在、消費行動はコロナ前に戻りつつあるが、物価上昇による実質収入の低下や人口減少は進んでおり、より厳しい状態での再スタートとなる。市場縮小の影響は皆に一律に及ぶのでなく、2社で分け合っていた仕事を1社でこなせるようになる、という風に二極化となって現れると考えている。他と競合しない独自性を追求しなければ、必ず限界が来る」
ーコスト上昇への対応は。
 「当社は多くの品目で6~12%ほどの価格改定、量目調整を実施した。世界中で物価上昇が起こっており、漬物業界もしっかりコスト上昇分を転嫁できる雰囲気を作っていかなければいけない。漬物メーカーが利益を上げていくことは野菜原料を適正価格で購入できるようになることや、働き手の所得向上にもつながる。独自性のある商品は価格でなく価値を評価していただける。厳しい状況だが、変化のチャンスと捉え、付加価値商品の充実に努めていきたい」
【2022(令和4)年11月11日第5111号9面】


株式会社飛騨山味屋 代表取締役社長  長岡俊輔氏

赤かぶら漬は飛騨の誇り
若宮食品と強みを補完
 株式会社飛騨山昧屋(長岡俊輔社長、岐阜県高山市)は大正8年創業。「赤かぶら漬」や「栗よせ」など飛騨高山の味を伝える商品作りを得意分野とし、観光土産品を主力としてきた。昨年3月には同市内でスーパー向け商品に強みを持つ若宮食品株式会社を承継。2社の手綱を引く長岡社長は、飛騨の食文化を守ることへの熱い思いを語った。
(大阪支社・小林悟空)
◇  ◇
‐観光が回復してきた。
 「国内旅行だけでなくインバウンド客も入ってきており、11月頭時点ではコロナ前に近い水準まで回復してきた。山味屋は土産が主体のため、これからが正念場。反対に若宮食品はスーパー向けが主体で、巣ごもり消費の恩恵を受けることができた。全く毛色の違う2社を経営することになり、改めて各社の強みや、販路ごとの特性などを感じている」
‐若宮食品の承継は。
 「若宮食品のブランドや商品は全て残していく。それが事業承継の条件だったし、若宮食品には赤かぶらと大根を一緒に漬けた『にっこりグーちゃん』などユニークでファンの多い商品が揃っている。飛騨の漬物文化を守るためには残さねばならない存在だと考えている。昨年3月に引き継いでから現在までは業務の把握、引き継ぎに充ててきた。コロナの感染拡大期には、従業員や原料を山味屋から若宮食品へ充当するなど柔軟な対応ができた。3年目からは改善や新商品開発などに取り組んでいく予定だ」
‐山味屋では漬物と菓子の2本柱となっている。
 「漬物は赤かぶら漬、菓子は『くるみよせ』など、飛騨に伝わる家庭の味をそのまま再現するように製造している。地元の方からすれば『特徴がない』と感じられるくらい家庭的な味が当社の目指す味だ。菓子を作っていて痛感するのが、漬物作りの難しさ。菓子の原料は粉末状が主なため均質で加工しやすく、機械化も容易。対して漬物の原料は形も大きさも品質もバラバラ。ある程度のマニュアル整備はできても最終的には職人の経験で調整するしかない。その原料も、異常気象で生産量が不安定のため、生産農家も減っている。あらゆる面で、漬物は難しい」
‐赤かぶら漬を守るには。
 「地元の誇りとして絶対に守り抜くという責任感を持って取り組んでいる。赤かぶら漬は山深い飛騨で、冬の保存食として食されてきたもの。塩で漬けて乳酸発酵させることで旨味と酸味が増すと同時に、アントシアニンが酸に反応して美しい赤色を発色するという知恵が詰まっている。飛騨の里山の雰囲気とも合い、観光に来られた方は必ず購入してくださる。また県外での販売に関しても、塩だけで漬ける昔ながらの形で流通できている数少ない漬物と言える。この独自性を武器に、地味でもしっかりと根付くことで、赤かぶら漬を未来へ繋いでいきたい」
【2022(令和4)年11月11日第5111号9面】


11月11日号 沢庵ワイド特集 トップに聞く

株式会社太陽漬物 代表取締役社長 寺田知弘氏

付加価値ある〝本物〟を提供
コメ回帰のチャンス捉える
 株式会社太陽漬物(鹿児島県曽於市末吉町)は、九州特産の沢庵(干し・生漬)のトップメーカー。また、ここ数年では高菜漬の製造にも注力しており、九州を代表する総合メーカーとして業界をリードしている。同社代表取締役社長の寺田知弘氏に、今季の沢庵原料動向、今後の商品展開や将来ビジョンなどについて話を聞いた。
(菰田隆行)
◇    ◇
 ‐今季の原料動向は。
 「生沢庵(塩押し)用の理想系大根が、9月に上陸した台風14号の前に約19%播種していたが、それが播き直しとなった。そのため遅れは出ているが、作付面積は計画通り。芽立ちもよく台風後は天候も良好なので生育は順調だが、逆に雨がやや少ないのが気がかりだ。この3年間は、天候の具合で9月20日過ぎに播種する遅播きになっている。遅播きになると形はどうしても小さめになるので、今年もその傾向になるのではないか」
 ‐干し沢庵の現状は。
 「干し大根は、収穫・干し作業があって12月20日過ぎから漬け込みを行い、年明け2月まで続く。この間の天候に大きく左右されるので、現時点ではまだ何とも言えない。干し沢庵はし好性が強く、希少性の高い商品となっており、現在の原料状況は適正。その中で当社の『九州つぼ漬』は本物志向の消費者に認知され、日経新聞のPOSセレクションにも選出された。また、九州の大根産地とがっちり組んでいるので、スライス物などがトレンドとなっている沢庵製品の中では『しそ味L』を筆頭に、まだまだ一本物の人気も根強い。首都圏でも当社の『ぬか沢庵』の一本物はよく売れている。これからも高付加価値化商品をじっくりと販売していきたい」
 ‐SDGsの取組は。
 「刻み製品の比率を上げることで原料のロスを少なくし、これまで端材となっていた物を使用すれば、残渣を減らすことができる。原料、資材、人件費などあらゆる経費が高騰している現状で、効率化を図っていくことがSDGsの取組に合致してくると思う」
 ‐今後のビジョンは。
 「干し大根の〝干し作業〟は高齢者には大変な負担で、そうした農家には高菜の栽培に回ってもらった。高菜漬の比率は年々増え、干し沢庵、生沢庵に続く第3の柱に成長している。これからも大局的な見地を持ち、農家との対話を続けながら的確な判断をしていきたい。また、輸入小麦の価格が高騰しており、パンや麺類の価格が上昇している。この要因でコメへの回帰が進めば、漬物には絶対にチャンスが巡ってくる。奇をてらった商品ではなく、昔からの製法や味を守った商品に原点回帰しながら、これからも〝本物〟を提供していきたい」
【2022(令和4)年11月11日第5111号5面】

太陽漬物 HP

11月11日号 沢庵ワイド特集 新社長に聞く

水溜食品株式会社 常務取締役 水溜光一氏

漬物を〝リノベーション〟
自分のカラーで楽しい会社へ
 水溜食品株式会社(水溜政典社長、鹿児島県南さつま市)は、鹿児島産寒干し大根の銘品「島津梅」や、〝姿物高菜漬〟の製造で信頼度が高いメーカーとして知られている。それら伝統食品の他にも、割干し大根の個包装「ぽり×2」や、ごぼう酢漬の個包装「ごぼう酢てぃっくす」など、オンリーワン商品の開発力にも定評がある。新製品の開発や社内カイゼンの先頭に立っている常務取締役の水溜光一氏が、このほど11月18日付けで代表取締役社長に就任する。水溜新社長に同社の現況と取組、将来のビジョンなどについて話を聞いた。
(菰田隆行)
◇    ◇
 ‐新社長へ就任される現在の心境は。
 「会社の後を継ぐ、という前提で修業先の新進さんから戻ってきましたので、それは常に意識していました。課題は山積していますが、会長になる現社長と私、それに留任となる専務(水溜泰氏)が、考え方と心をひとつにして経営に取り組んでいくことが大切だと考えています。企業としては、商品開発の面にしてもまだまだ未熟さの残る会社だと思っています。これまでは、どちらかというと〝苦肉の策〟というか、いろいろな局面があって、それには〝こうするしかない〟といった対処の仕方をしてきていたと思います。しかし、もっと大局的な視点から物事を見て、ひとつひとつのことをしっかりと追及していくことが、イコール企業の成長ではないかと思います。特にこれからは業界がシュリンクしていく状況にあるので、当たり前のことを当たり前にやっているだけでは企業の成長はない。これまでのやり方に固執せず、時代に合わせて変えていく必要があります。自分が代表になることで動きやすくなり、挑戦しやすくなるのではないかと思っています」
 ‐原料農家との良好な関係が貴社の強み。
 「そうですね。土壌の管理、播種後の施肥など、どうしたらうまく行くか、収量が上がるか。それを話し合い、上手くいった事例を共有し、しっかりと取り組んでくれている生産者は結果が出ています。そして、メーカーである我々がその原料を使って、どんな製品を作っているのかをフィードバックしていく。原料を生産している農家さんと、末端で製品を販売している小売店さんの中間にいるのが我々メーカーなので、原料に合わせ、消費者に喜んでもらえる製品作りを行う体制を目指していきたいと思います」
 ‐人手不足が深刻な現状だが、外国人は採用していない。
 「例えば畜産農家などの労働環境に比べれば、クリーンルームで食品製造に携われる当社の労働環境は、働きやすいと言えます。しかし、それでも社員の満足度は簡単には数値化できない。なので、まずは働きやすい環境づくりへのカイゼンを進めながら、楽しみのある職場にしていくこと。現社長も楽しいことが大好きな性格ですが、私は私のカラーを出して楽しい会社にしていきたい。お陰様でまだ近隣には当社で働きたいと思ってくれる方々がいます。同じ文化や言葉を共有できる日本人との関係には、まだまだ伸び代があると思いますので、自分のやれるところから取り組んでいきたいと思います」
 ‐将来的ビジョンは。
 「当社の経営方針に、『漬けるを守り、リノベーションする』を掲げています。リノベーションとは建築用語で、ただ改修するだけのリフォームとは違い、プラスαで新たな機能や価値を向上させることを言います。漬物のポテンシャルはまだまだ高く、野菜をどう美味しく食べてもらえるか、プラスαを見つけていくことが、漬物を生業とする当社の使命です。〝漬ける〟ことにより野菜が発酵するには、ある程度の時間が必要です。じわりと口コミで広がっていくような、そんな商品作りに取り組んでいきたいと思います」
【水溜光一(みずたまり・こういち)氏】
 1986(昭和61)年5月10日生まれ。長崎県立大学経済学部流通経営学科卒、上海交通大学留学。株式会社新進(籠島正雄社長、群馬県前橋市)で2年間勤務した後、2014(平成26)年7月に水溜食品入社。群馬住まいの折に温泉好きとなり、趣味が高じて自宅の庭にサウナを建築、地元テレビ局の取材も受けた。
【2022(令和4)年11月11日第5111号6面】

電子版 九州うまかモン 水溜食品

11月11日号 沢庵ワイド特集 この人に聞く

生沢庵原料は2割減
大根以外の漬物を視野に
 九州農産株式会社(宮崎県東諸県郡国富町)は、東海漬物グループの沢庵メーカーとして、全国に名品を供給している。昨年11月の社長就任から間もなく1年を迎える梅元寿敏社長に、今季大根原料の状況と販売動向、将来的なビジョンなどについて話を伺った。
(菰田隆行)
◇   ◇
 ‐今季の沢庵原料動向は。
 「9月9日~11日にかけて播種した生沢庵(塩押し)用の大根が、9月17~18日にかけて九州に上陸した台風14号の大雨で全滅し、播き直しとなりました。9月21日から播種が再スタートしましたが、例年より3週間遅れとなり、生育が見込めないため、一部は播き直しできなかった。作付面積は計画の1割減の見通しです。播き直し分の大根の生育は順調で、11月25日以降の収穫・漬け込みとなり、年末までの約1カ月間で全体のほぼ85%の漬込みを行ないます。これは例年の1・5倍の作業量ですが、従業員一同気持ちを引き締め、対処していきます。2022年度産沢庵原料は、台風11号・12号で北海道や青森県・秋田県の青首大根に被害が出て、14号で南九州に被害が出ましたので原料不足の年になりそうです。さらに12月中旬以降は霜が降り、気温が低くなるとの予報もあるため、トータルすると約2割の収量減と予想します」
 ‐販売動向の予想は。
 「原料の2割減予想は製品にすると約2カ月半の原料が不足することになりますが、2021年度産の在庫もいくらか残っており、不足する分は産地の元漬業者さんから二押原料の仕入れを増やすことで充足できる見込みです。また、近年力を入れているスライストレー商品に注力する事と、干し沢庵をしっかり売っていくことで販売バランスを取っていきたい。台風被害とは別件ですが、タネ代、肥料代、農業施設代、燃料等農業生産にかかわる諸経費が値上がりしており、農家さんの生産継続のため生大根価格の仕入れ価格を上げさせていただきました。沢庵の販売価格につきましても、現在製品値上げのお願いをしている状況です。年明け3月までには値上げを実施いたしたいと考えております。値上げを行えば、その影響で売上が落ちることも予想されますが、弊社として、販売計画に沿って柔軟に対応していく所存です。また、12月8日に告示される宮崎県知事選に、前知事の東国原英夫氏が立候補を表明しています。知事時代には特産品にシールを貼るなどPRに努めてくれたので、その再来があるとすれば、宮崎ブランドの活性化につながると期待しています」
 ‐台風14号で工場が被害に遭った。
 「停電が3日間続き、工場の稼働が1週間ストップ。さらに電気設備の漏電や、機械が泥に浸かるなど、復帰までには10日から2週間かかりました。その間、社員や取引業者の皆様に献身的な復旧作業をしていただき、そのおかげをもって早期通常稼働が可能となりました。商品供給面ではお得意先にも協力していただきました。今回の被害で、BCP対策(事業継続計画)はしっかりとしておかなければならないことを改めて実感しました」
 ‐SDGsの取組は。
 「SDGsは、もう国民の誰もが知っている事柄になりました。次の世代に繋げる取組として、企業がやるべき方向に向かっています。当社としても、これまで廃棄していたものを有効利用するなど、取組を進めています」
 ‐将来的なビジョンは。
 「コロナでは業務用・土産用と、小売用で大きく明暗が分かれた。外食向けの業務用は、コロナ前の100%には回復しないでしょうし、特需のあったキムチなどもやや頭打ちの状況です。漬物メーカーの中には、漬物以外の農産物加工品に取り組むところもあれば、原料を自社で調達するため農業に参入した企業もあります。その中で、沢庵専門メーカーの九州農産が、どのような方向に進むべきか考える時に来ている。漬物の設備を有効利用するためには、大根以外の原料も視野に入れています。詳しくはまだ発表できませんが、現在新製品を開発中です。これは次の世代にバトンタッチする重要な役目を担ってきます。10年、15年先を見据え、会社の柱となる商品に育てていきたい」
【2022(令和4)年11月11日第5111号7面】

電子版 九州うまかモン 九州農産

11月11日号 梅特集インタビュー

中田食品株式会社 代表取締役社長 中田吉昭氏

夏場の売れ行きは好調 収入安定化で持続可能な生産を
 中田食品株式会社(和歌山県田辺市)の中田吉昭社長にインタビュー。期待されていた夏場の梅干し製品の売れ行きや紀州産の在庫状況、中国産製品の値上げの動きなどについて話を聞いた。梅業界をリードする中田社長は、生産者の収入の安定化を図って持続可能な生産環境を整える必要性を強調し、改めて梅の価値や魅力を訴求して販売につなげていく意向を示した。
 ◇ ◇
 ‐今夏の売れ行きは。
 「今年の夏は暑かったので、好調な売れ行きだった。後に発表内容が修正されるものの、梅雨明けが例年より早く6月から暑い日が続いた。昨年と一昨年は前年比で見ると90%台で推移するなど、コロナ禍では梅干し製品は全般的にやや低調な動きだった。だが、今年の7月と8月は久しぶりに売上を作ることができた。9月以降は元に戻ってきているため、積極的な販促が必要になってくる」
 ‐中国産製品の値上げは。
 「燃料、電気代、人件費、調味料、包装資材、物流費などあらゆるコストが上昇していることに加え、進行する円安の影響が大きく、とても価格を維持することはできない。弊社では10月から値上げを実施している。輸入の現地パックと国内製造の両方で行っているが、商品によって量目調整と価格改定で対応が異なる。中国産については各社値上げを行っている流れで、企業努力で吸収することはできない状況だ」
 ‐国産製品との価格差が縮まってきている。
 「国産製品の人気は依然として強い。確かに国産と中国産の価格差は以前よりも縮まってきているが、まだ明確な差がある。物価高の影響もあり価格面のニーズは根強く、中国産の需要は堅調で、夏場は国産と中国産の両方が動いた」
 ‐紀州産の在庫状況は。
 「昨年が豊作で今年が平年作のため、産地としての在庫はゆとりがある、と言えるだろう。ただ、来年の作柄がどうなるのか分からない。梅は一年一作なので、原料は備蓄できる環境が望ましい。近年は異常気象が毎年のように発生しており、紀州梅産地も数年に一度は不作の年がある。そのため、目の前のことだけでなく、数年のスパンで原料のことを考える必要がある。そのようなことに取組むことが原料価格の安定につながると考えている」
 ‐生産者の収入は。
 「若い生産者は波のある収入よりも安定した収入を望んでいる。高齢化や後継者不足といった課題もあり、農業を止める農家もあるが、条件の良い農地は若い人に管理してもらったり、譲渡されたりするなど、若い生産者の意欲は高まっている。我々としては生産者が梅を作ってくれないと商品を作ることができない。持続可能な生産を実現するためには、生産者の収入の安定化を図る必要がある」
 ‐販売面の課題は。
 「消費者のニーズを捉えることが重要だ。物価が上昇し、食品も様々なものが値上がりしている中で、消費者の生活防衛意識は高まっている。そのような状況下でも買っていただける商品はどのようなものなのか。そのことを意識してものづくりを行う必要がある。梅干しには優れた健康機能性があり、毎日の食生活に取り入れていただけるように価値や魅力を訴求することが重要だ」
(千葉友寛)
【2022(令和4)年11月11日第5110号12面】


11月1日号 東北特集インタビュー

秋田県漬物協同組合 理事長 木村吉伸氏

秋田特産「いぶりがっこ」
惣菜ニーズ拡大で業務用伸長
 今年5月に開催された秋田県漬物協同組合の総会において、木村吉伸氏(株式会社雄勝野きむらや社長)が新理事長に就任した。木村理事長に組合事業や足元の販売動向などについて聞いた。木村理事長は秋田漬物を代表する「いぶりがっこ」の今後の展開や課題について語った。(藤井大碁)
◇    ◇
――理事長に就任された。
 「当組合は『いぶりがっこ』をはじめ、秋田県の野菜や山菜原料から作られる多種多様な〝秋田漬物〟を製造する11社が加入している。厳しい環境下で大役を仰せつかったことに、責任の重さを感じているが、漬物産業の発展に向け、精一杯努力していきたい」
――組合事業について。
 「『いぶりがっこ』の地理的表示(GI)認証の周知や、漬物グランプリへの出品、漬物製造管理士の資格取得を推進していく。6月に施行された改正食品衛生法で、漬物製造業が営業許可業種の対象となったが、漬物の専門的な知識を学ぶ場はほとんどないため、漬物製造管理士制度の意義は高まっている。『いぶりがっこ』の製造者や社員には、他の漬物や発酵食品の加工技術を学ぶ貴重な機会になると考えている」
――GI認証周知の取組。
 「令和元年に『いぶりがっこ』が地理的表示(GI)保護制度に登録され、当組合員が生産する『いぶりがっこ』の製品はすべて生産管理基準を満たし『いぶりがっこ』の表示とともにGIマークが表示され、品質レベルも全体的に底上げされてきている。また商品ブランド『いぶりがっこ』がGI認証制度の保護下になったことで、組合員は品質の追求に集中できるようになった。一般消費者のGI登録品に対する認知度向上は全体の課題ではあるが、組合員には、新たな販路の開拓や、海外輸出など、GI品目の秘めた可能性について理解を深めてもらえるよう努力し、組合員一丸となって取引先や一般消費者へGI登録いぶりがっこの良さを伝えていきたい」
――「いぶりがっこ」の動向。
 「弊社においては、土産物の需要はコロナ禍以前の水準まで回復している。加えて業務用のダイスカット等の刻み製品が、瓶詰製品をはじめ、スーパーの惣菜や弁当に使用されるケースも増えており、大幅に伸長している。販路については関東はもとより関西圏へも広がりをみせており、インバウンドの回復による土産物や外食需要の本格的な需要回復に期待したい」
――製造コストの上昇。
 「原料大根や砂糖などの原料に加え、燻すための薪、電気代の値上げ幅も大きく、全体での原材料コストは5割程度上昇している。原料大根については農業資材の高騰と天候不良、人手不足から、買取り価格を上げていかなければ、確保することが難しくなっている。原材料の確保は漬物製造業にとって生命線であり、産地開発を進め、生産者や原料メーカーと一層の信頼関係を醸成し、安定した経営に取り組んでいかなければならない」
――今後について。
 「『いぶりがっこ』は一時のブームのような急激な需要拡大が、果たしていつまで続くのか、という不安があったが、その後も落ち込みはあまりなく、最近は、食べることで身体や心身に良い影響を与えるという研究などのプラスの材料もあり、コロナ禍であっても底堅い需要を感じた。また、二次加工原料としての引き合いも増えており、独特の風味が料理のアクセントとして有用な食材として定着しつつある。当組合では、いぶりがっこを一つの成功事例として他の秋田漬物にも光を当てることで、秋田の漬物業界の一層の発展を図っていきたい。また秋田ならではの発酵文化と伝統食品の素晴らしさを伝えるべく精進し、その価値を高めていきたい。秋田における昔ながらの原始的で朴訥、アナログ的な物づくりが生み出す風味を追求することは、時代に逆行しているとも云えるが、それ故に秋田漬物がオンリーワンの輝きを持っていると考える。当組合では、現代の製法と古来の原始的な製法の融合に活路を見出し、秋田ならではの素朴で奥深い漬物を全国に伝えて行きたい」

青森県漬物組合 組合長 小村彰夫氏

「青森県漬物まつり」開催
県内スーパーで組合員の漬物販売
 青森県漬物組合では、今年6月の総会において小村彰夫氏(コムラ醸造株式会社社長)が組合長に就任した。小村組合長に青森県の漬物業界の現状や組合事業などについてインタビュー。小村組合長は漬物需要活性化のため「青森県漬物まつり」を開催することや組合員の拡大に取り組むことで青森県の漬物業界を活性化させていくビジョンを語った。(藤井大碁)
◇    ◇
――組合長に就任されたが、どのような組合事業を行っていくか。
 「今年度から新しい組合事業をスタートする。県内の漬物製造業者が製造した漬物をより多くの県民の方に知ってもらいたい、食べてもらいたいという思いから『青森県漬物まつり』を県内スーパーで11月下旬より開催する。組合員7社の漬物が一堂に会する青森県産漬物愛用キャンペーンとして展開していく。現在、全国のスーパーなどで地元産品を積極的に販売するフェアが開催されているが、その対象は野菜や肉、魚といった生鮮品がメーンで、加工品での展開はまだ多くない。地産地消の取組として、スーパー側からも、ものすごく興味を示して頂いている。この取組により、青森県民の皆様にもっと漬物に親しんでもらい、県内の漬物需要の底上げにつなげていきたい」
――組合員の拡大にも力を入れていく。
 「県内には組合員7社以外にも、漬物製造事業者がたくさんある。HACCP制度化や漬物製造業の許可制への移行に際し、我々組合員は衛生管理などにおいて県の漬物事業者の模範になれるよう取り組んでいかなければならない。そうした取組を通して組合に加入するメリットを訴え、より多くの事業者にご加入頂きたいと考えている。組合員が増え、横のつながりが強固になれば、業界全体のレベルアップにもつながると考えている」
――県内漬物業界の現状は。
 「円安、物価高、原材料や資材の高騰により漬物事業者は今まで以上に厳しい環境に置かれている。節約志向の高まりによるお客様の買い控えもある。こうした状況下であるからこそ、組合員で力を合わせてこの難局を乗り越えていきたい」
――最後に。
 「日本には各地域にそれぞれ異なる食文化があり、その食文化を次世代に継承していくことが大切だと考えている。日本伝統の漬物文化をしっかりと守っていけるよう取り組んでいく」

11月1日号 「キーパーソン インタビュー」

ティーズネットワーク 代表取締役社長 富岡純一氏㊧ 食品事業部食品統括本部長 高橋進氏㊨

農水産物の輸入で実績
原料確保と管理が商社の役目
 TOMMYホールディングス株式会社(富岡純一社長、東京都台東区)は食品、家電、ゴルフ会員権、ネットショップ、エネルギー、ヘアメイク・美容、イベント、歯科医院、IT、不動産売買など、様々な業種10社でグループを構成する、ヒトの暮らしを支える事業(未来)を創造するリーディングカンパニー。グループの1社であるティーズネットワーク株式会社(同)はデジタル家電、食品、カスタマーサポート等の事業を行っている。同社食品事業部食品統括本部長の高橋進氏は、40数年前から海外産食品原料の輸入を手掛けており、本紙関連業界でも多くの企業と取引がある。高橋本部長に、同社の概要と輸入食材を取り巻く現状、将来展望などを伺った。
◇   ◇
 ‐貴社の取扱品目は。
 「メーン食材はくらげです。くらげはメキシコ湾、中国、インドネシア、マレーシアなどで獲れ、46種類以上の品種があります。中でも備前くらげ(綿くらげ)は中華料理店で使用される高級食材で、他の品種に比べて価格が10倍以上もします。これに関しては当社が業界トップの取扱量です。くらげは88%が水分で、それを塩とミョウバンで締め、歯応えを出すのに約1年かかります。歯応えに加えて歩留まり、色味など、加工技術の高さをご評価いただけています。また、綿クラゲは養殖も手掛けており、他に養殖を行っている業者はなく、年間通じて供給できる体制を整えている点も、信頼を得ているのだと思います」
 ‐その他の品目は。
 「もともと44年前は山菜の輸入からスタートし、農産物では現在、木耳、椎茸、唐辛子、ガーリック、松の実、栗の甘露煮、竹の子、わらび、なめこなどを取り扱っています。唐辛子はキムチメーカー様ともお取引がありますが、畑ごとの品種を厳重に管理し、ブレンドして味を調整できるノウハウを蓄積しています。また、前述の農産物以外にも漬物用では梅、高菜、きゅうり、楽京など、オファーがあれば流通しているチャネルを使って取り扱うことができますので、ぜひ相談していただきたいと思います」
 ‐水産物は。
 「水産物ではわかめ、ひじき、寒天、あわび、わかさぎ、ギンポなど。その他、ここ最近力を入れているのが小女子で、今年で4年目となります。大連、山東省沖で獲れる小女子を浜買いし、中国の有力企業のアサリ加工工場に持ち込んで処理しています。佃煮メーカー向けにはサイズ別に対応でき、細かなニーズに応えることが可能です」
 ‐今後の展望は。
 「地球環境、気候の変化で、気温や海水温が変わってきています。例えば中国では、魚介類が取れる北限がどんどんロシア側にズレて行っています。日本国内でも、小女子やわかさぎは不漁が続いており、農産物は台風やゲリラ豪雨などの異常気象が、作柄に大きな影響を与えています。こうなってくると国産の食材にこだわっていては、日本食の文化が保てなくなってきます。『国』にこだわるのではなく、『食材の質』にこだわることが大切でしょう。年間を通して原料を確保できなければ、食品メーカーにとっては命取りとなります。原料の保管から供給までしっかりと管理することが、これからの商社の役目だと思っています」
【2022(令和4)年11月1日第5110号3面】

【問合せ先】TEL03-3832-0147
ティーズネットワーク 食品事業部 HP

10月26日号 おせち特集 インタビュー

株式会社近鉄百貨店 営業政策本部商品政策推進部課長 湯瀬光一氏

顧客ニーズを大切にする 
少人数化・高価格化がトレンド 
 株式会社近鉄百貨店(秋田拓士社長、大阪市阿倍野区)は、関西から東海エリアに掛けて展開し、地域に根差した店舗作りを得意としている。老若男女の顧客に合わせた店舗作りで、数多くの食・ファッションのトレンドを発信してきた。同社のおせち・生鮮・惣菜を担当する湯瀬光一課長に近年のおせちトレンドや、同社ならではの取組について話を聞いた。
(大阪支社・高澤尚揮)
◇    ◇
 ‐コロナ禍でのお重の売上変化と今年の目標。
 「2020年からの新型コロナウイルスのまん延で、海外旅行の渡航規制、帰省自粛もあり、初年度(2020年度)は前年比約8・8%増の売上になった。ただ、コロナ前からもおせちは年々2~3%伸長していた分野で、コロナだけが売上増の理由ではない。今年については、現在の予約段階(10月21日)では昨年比4%増で、出だしは好調。10月からの全国旅行支援導入により、旅行需要が増え、おせちの駆け込み予約の件数は減ると予想されるが、総合的に見ると大きな損失とは見ていない」
 ‐お重のトレンドは。
 「少人数化と、高価格化の傾向にある。核家族化の影響もあり、『おせちは作るものから買うもの』という認識が消費者に高まりつつある。量よりも高品質なものを食べたいというニーズに応えられるようラインナップを揃えている。高価格のお重は、5万円以上を指し、取り扱いのある京都の料亭のおせちは店頭予約で即日、数分で完売した」
 ‐ネットショップでのお重の予約について。
 「今年は、関西で一早くネット予約してもらえるよう、店頭予約に先駆けて1週間前にスタートさせた。前年比7%増の結果だ。しかし現状では、自社で店頭予約が80%、ネットショップ予約が20%でシェアとしては高くない。シニア層でもネット利用率は伸びてきているが、あえて実際にサンプルを見てから予約したいという顧客が根強いと感じる」
 ーお重販売のマーケティングは。
 「顧客の需要は多様化している。ラインナップを数多く揃えることが重要だ。
子どもや鉄道好きには、特急『ひのとり』の形をしたお重、高齢者向けには『やわらかせおち』を揃え、年々知名度を上げている。近畿大学とのコラボレーションお重もある。近年、ご家族へのお重の贈答需要が高まり、ネットショップでは比較的小規模サイズでも配送料無料で対応している」
 ー最後に近鉄百貨店らしさとは。
 「『地域性』『近郊の小規模事業者との取引』『グループ連携』が強みだ。京都の料亭との取引、店舗のある大阪、奈良などの良質な商品を作っている小規模事業者との取引、グループ会社のブランド力がある。顧客のニーズを細やかに察知し、商品やサービスを届けることを意識している社員が多いと感じる」
【2022(令和4)年10月26日第5109号3面】

丸千千代田水産株式会社 加工品部加工品二課 課長代理 横山拓氏

メーカーと協業でヒット商品を
“旬の佃煮カレンダー”作成 
丸千千代田水産株式会社(石橋秀子社長、東京都江東区豊洲)加工品部加工品二課課長代理の横山拓氏に今年のおせち商戦や売れ筋の佃煮商品などについて聞いた。横山氏は厳しい原料事情が続く中、佃煮メーカーとの協業でヒット商品を生み出し、旬の提案により佃煮売場を活性化させていきたいと今後のビジョンを語った。(藤井大碁)
 ー今年のおせち商戦。
 「ほぼ全ての品目で価格改定が実施されており、その影響が大きくなっている。量販店によって、値上げをするところ、量目変更で対応するところなど戦略は様々で、その要望に沿って、現在できる限りの対応をさせて頂いている」
 ー売上の見通し。
 「価格改定があるので、おせち全体の動きは昨年より若干鈍ると予想している。昨年より人の動きが活発化するという点において、地方の量販店ではコロナ禍で落ち込んだ売上の回復を見込んでいる。一方、首都圏では帰省や旅行に出かける人が増えるため、前年並か微減で想定している量販店が多い。ただ首都圏では仮に数量が減ったとしても価格改定が行われるため、売上は前年並に落ち着くという見方が強い」
 ー値上げの影響。
 「節約志向が高まっているのは確かだが、ハレの日にはお金を使おうという消費者も多いので、消費動向が読みづらい面がある。今年は生活防衛が強まる中、お客様がどこまでお金を使うかという点が、年末商戦の鍵となるのではないか」
 ー各アイテムの動向。
 「黒豆は丹波篠山産の原料が少ないことが懸念されるが、例年並の売上を見込んでいる。田作りは原料事情が厳しく値上げ傾向。量販店において日配売場での動きがダウントレンドになってきているが、その分、水産売場での販売に力を入れてカバーしていきたい。栗きんとんは、芋も栗も原料事情が良くないが、お客様が必ず購入される一品なので安定供給できるよう努めていく。昆布巻も原料事情が悪く値上げ幅が大きい。年々巻き手が減少しておりメーカーを取り巻く環境が厳しくなっている」
 早出しおせちが近年一般的になった。
 「4~5年前から早出しおせちに力を入れる量販店が増えた。12月15日頃からおせち商材を並べ、売り切り御免のスタイルで、売り切ったらお酒のおつまみなど違うアイテムを販売するというケースが増えている。地方の量販店では正月三が日までおせち商材を並べるところがまだ見られるが、元旦や2日を休業する小売店も増えており、食品ロスの観点からも、今後は売り切り御免のスタイルが、首都圏だけでなく全国的に一般化していくのではないか」
 今年、力を入れる取組。
 「おせちプラス一品の提案を積極的に行う。そば等の麺類、中華惣菜などをおせち商材と共に関連販売し、おせちプラスアルファの売上を作っていく。また家飲み需要を意識して昨年発売した佃煮おせちのおつまみセットは、昨年まずまずの動きを見せ、今年も継続する」
 ー通常品としての佃煮製品の動き。
 「日配売場では苦戦が続いているが、水産売場では不漁で水産物が少ないこともあり、佃煮が健闘している。両売場を合わせると前年比微増で推移しているのではないか。水産売場で今年ヒットしている佃煮製品として、ごまおかか、しいたけ昆布、金ごまいわしが挙げられる。ごまおかかは、国産あみ佃煮にさば節、ごまを混ぜてご飯にかけるふりかけ風佃煮で、生玉子をかけるとさらに美味しいと好評だ。しいたけ昆布は、角切り昆布と厚めに切った椎茸を炊込み甘めに仕上げた商品。しいたけの戻し汁も加えて旨味を閉じ込めている。金ごまいわしは、味わいと共に、すりごまと青魚の健康性が受けている。1日一尾食べるというシニア層が多いようで好調を持続している。佃煮製品は原料事情が厳しいが、メーカーとの協業により、今後もこうしたヒット商品を生み出していきたい」
 ー最後に。
 「弊社では、新たな取組として〝旬の佃煮カレンダー〟を作成した。例えば、3月あみ、4月しらす、6月あゆ、7月うなぎといった具合に、旬の魚の佃煮を売場で展開していく計画だ。11月からは水産庁が制定した『さかなの日』の取組も行う予定で、『佃煮の日』も併せ、旬の提案を行うことで佃煮売場を活性化させていきたい。ご協力頂ける佃煮メーカーさんには是非ご連絡頂きたい」
【2022(令和4)年10月26日第5109号4面】

全国調理食品工業協同組合 副理事長 佐々重雄氏

円安で巣ごもり需要に期待
供給制約の高まりを懸念
  全国調理食品工業協同組合(岩田功理事長)の佐々重雄副理事長(株式会社佐々商店代表取締役社長)にインタビュー。おせち商戦の展望について、今年は値上げの影響で昨年を下回ると予想。原料と人手の確保は年々困難になってきており、供給制約の高まりや長期化を懸念する考えを示した。(千葉友寛)
◇   ◇
 ‐おせち商戦について。
 「昨年のおせち商戦は予想よりも活発な動きにはならず、商品は少し余ってしまった。今年のおせち商戦の動きを予想するのは難しい状況で、各社値上げを行うため、数量は落ちるというのが大方の見解だ。10月11日から政府の全国旅行支援事業がスタートし、人の動きが活発になっている。外食、観光土産関係には追い風となると思うが、コロナ感染者の増減によって需要の流れは大きく変わる。海外からの観光客は増えると思うが、円安のため国内から海外に旅行に行く人は少ないと思っている。そうなれば巣ごもり需要が増える可能性もあり、年末年始は家で家族と過ごす、という動きになればおせち商品にとっては追い風となる」
 ‐原料状況は。
 「国産の栗は異常な価格になっている。和洋のスイーツとしての人気が高く、バイヤーが産地に直接買いに来ている。皮付の現地引き取り価格は昨年の約2倍になっている。産地に台風などの大きな被害はなかったものの、今年はやや減産となっている。量は少し少ないくらいだが、需要が急激に増えたことで価格が高騰した。中国産は4割~5割減産で、我々が使用する小粒の栗が少ない。価格は1・6倍に上がっている。韓国産も不作で歩留まりが悪く、価格は1・3倍となっている」
 ‐さつまいもや昆布など、その他の原料について。
 「近年、安納芋は人気が高まっていたのだが、九州で発生した基腐病の影響で確保することが困難になっている。そのため、原料は紅はるかやシルクスイートにシフトしてきている。さつまいもの価格も全体的に上がっている。今年度の北海道産昆布の生産量は、1万2600tと4年連続で過去最低となっている。天候の影響もあるが、人手不足で漁ができないことも大きな要因となっている。生産量が少ないので必然的に価格は上がっている。また、昆布の巻き手が確保できず、原料があったとしても製品を供給することができなくなってきている。その他、田作りの原料となるカタクチイワシも大不漁となっている」
 ‐予約おせちの動きは。
 「お重の予約状況は悪くないだけに、単品も売れる環境になることを期待している。ただ、値上げが実施されるので、消費者の購買の動きを予測することは難しい。栗が1、2粒減る、価格が1000円を超える、など内容量調整、価格改定の両方の動きが出てくると思うが、正月くらいは少し贅沢しておせちを食べよう、というマインドになるのか分からない。メーカーとしては原料調達が困難な状況になってきている中で、一生懸命製品を作っているが、売れるかどうか自信を持つことができない。消費者の動向を注視し、悩みながら今後の方針について考えている。我々を取り巻く環境は厳しさを増している。原料と人手の確保は年々困難になってきており、供給制約の高まりや長期化を懸念している」
【2022(令和4)年10月26日第5109号5面】



菊池食品工業株式会社 代表取締役社長 菊池光晃氏

原料高と人手不足が課題 
来年のおせち商戦を懸念
 煮豆、佃煮、惣菜の大手として知られる菊池食品工業株式会社(東京都板橋区大山)の代表取締役社長兼COOの菊池光晃氏にインタビュー。今年のおせち商戦や今後の見通しについて聞いた。菊池社長は原料高騰や人手不足といった課題がある中、適切な原料確保や製造ラインの機械化などにより、年末商材の安定供給につなげていく必要性を語った。(藤井大碁)

ー今年のおせち商戦。
 「一昨年、首都圏のスーパーでは巣ごもり消費で大きく需要が伸びたが供給数が足らず、多くの店舗で欠品した。昨年はその分を補うため5~10%程物量を増やして商戦に臨んだが、一昨年のような外出制限がなく、帰省が活発化し首都圏に人が少なかったため、5%くらいのロスが出た。今年は、その実績を踏まえての対応となるため、昨年比94~95%が首都圏のスーパーの売上見込みとなりそうだ。一方、地方のスーパーは今年も帰省が見込めるため、昨年比100~105%程で計画しているところが多いのではないか。今年は各社値上げを実施すると思うので、首都圏でも物量が減った分、単価が上がり、売上額は同じくらいに落ち着くのではないか。弊社でも量目変更も含めて、おせち製品で5%程の値上げを実施する予定だ」
ー原料状況について。
 「様々な原料が高騰している。新物の栗で栗きんとんを作るところがあれば、輸入原料に関しては、仕入れの段階で為替の影響により3割高となる。弊社では、今年は在庫があるのでまだ良いが、来年の年末商戦は大変な状況になる。通常品に関しても来年4月以降は、3割高の輸入原料を使用しなければならないため、大幅な値上げを実施せざるを得ない厳しい環境だ。また黒豆は近年、調理過程で皮が剥けてしまう烈皮が多発している。炊いてみなければ分からないので選別作業にも人手がかかる。田作りも不漁で、高い安いという価格の問題ではなく、原料確保自体が困難になっている。また、昆布巻も原料高騰に加え、巻き手の不足により、将来的な供給が不安視されている」
ー人手不足も深刻化している。
 「弊社の工場がある函館では観光業の回復と共に、ホテルなどへ人材が流れている。製造ラインでは、できる限りの機械化を行っているが、人手不足のために作り切れず、全ての需要に応えることが難しい状況だ。今後は外国人労働者の採用などを検討していく必要がある」
ー値上げの影響。
 「おせちを食べることは、神社に行ったり、お守りを買ったりすることに似ており、値段に左右されるものではないと考えている。弊社が実施したマーケティング調査においても、おせちが値上がりしても買う人は買うし、買わない人は安くなっても買わないという結果が出ている。これが、ハレの日の食べ物であるおせちの購買スタイルの特徴で、縁起物なので通常品とはその傾向が異なる」
ー近年、重詰おせちの需要が増える中、単品おせちへの影響。
 「栗きんとん、黒豆、田作り、昆布巻きの主力4品については根強い需要がある。一方で、串物などその他のアイテムは減少傾向にある。重詰の中の品目には、個人個人で嫌いなもの、好きなものがあるので、無駄に思う人もいて、単品を好んで買う人もいる。また重詰に加えて、好きな単品おせちを買う人も多い」
ー今後のおせち商戦。
 「原料高騰と人手不足が課題となる。今年も新規のお話を頂いているが、受注を増やしすぎると人手の問題で作りきれない。また来年は円安の影響で高い原料を使わなければならないので、どのように対応していくか、今から来年のおせち商戦を懸念している。一方でおせち製品を製造するメーカーも廃業などにより減少しており、供給元が減ることにより、製造しているメーカーへ注文が集中する流れがある。それにより、全ての需要に応えることがさらに難しくなっている。適切な原料確保と機械化により、安定供給につなげていきたい」
【2022(令和4)年10月26日第5109号6面】

全調食近畿ブロック会 会長 野村啓介氏

少量化で敷居が下がる 
原料「高い」から「無い」に 
 京風おせちや佃煮、おばんざいの製造で知られる株式会社野村佃煮(京都府宇治市)の社長で、全国調理食品工業協同組合近畿ブロック会の会長も務める野村啓介社長にインタビュー。野村社長は今年のおせち商戦は旅行の増加や物価上昇の影響を指摘。食品ロスの削減にも気を配り、慎重な姿勢で備える方針を語る。
(大阪支社・小林悟空)
◇    ◇
 ーコロナ下で3度目のおせち商戦だ。
 「お重の市場は元々拡大傾向にあって、ここ2年は巣ごもりでそれに上積みされた感覚だ。しかし3年目の今年は、コロナが収まり帰省先でおせちを食べる方が増えるのか、旅行や外食でおせちを食べなくなるのか、予想がつかないのが正直なところ。10月20日現在の注文状況は悪くないが、おせち商戦のスタートが早まっていることによる影響が大きい。失速する可能性もあるので、注視している。また旅行が増えたことや物価上昇の影響から財布の紐は固くなっており、購入単価は下がるのではないか。当社としては急激な拡大を目指すのは食品ロスや人手の面でリスクが大きいと判断し、前年実績を少しずつクリアするような計画を立てている」
 売れ筋の変化は。
 「当社では少量で買い求めやすい価格の商品の購入が増えている。百貨店では有名料亭の高額商品が伸長しているようで、はっきり二極化していると言えるだろう。リピート率がかなり高い中での変化なので、高齢化や少世帯化が進んでいることの現れだと見ている」
 店頭販売の動向は
 「単品商材は年々減少しているが、数種類の盛り合わせ商材は毎年伸長している。今年は量販店全体が前年を下回って推移しているのに加えて、物価上昇の影響もある。厳しい年末商戦になることは間違いないと思う」
 ー今後の見通し。
 「盛り合わせ商材やお重が伸長しているように、おせちを楽しむことの敷居は下がり、身近で気楽なものになっている。ありがたいことでもあり、求められる商品が変わっていくことへの危機感もある。当社は和風、京風の味を強みとしているので、その良さを伝える努力を続けなければいけない」
 ー政府の旅行支援が始まった。
 「京都でも観光客は戻ってきている。旅行や外食が増えればおせち市場にはマイナスとなる面もあるかもしれないが、佃煮や惣菜全体を見れば土産、業務筋が回復しないことにはコロナ前の水準に戻ることは難しい。このまま日常が取り戻されることを願っている。しかし町中を眺めていると、一人で河原を散歩している時でさえマスクを着けている方が大半。まだ先は長そうだ」
 近畿ブロック会では北海道の昆布漁を視察した。
 「昆布の生産量が激減していることから、昆布の価値を再確認して良いものを作る気持ちを新たにしようと企画した。佃煮の主原料は今後、価格上昇どころか、総量が足りずお金を出しても手に入らない時代が来るかもしれない。今年は山フキや田作りがその状態に陥った。素材を、大切に扱う業界としていきたい」
【2022(令和4)年10月26日第5109号7面】

三河佃煮工業協同組合 理事長 小林利生氏

人流活発化でおせち減少も
重詰市場踊り場迎える可能性も
三河佃煮工業協同組合の小林利生理事長(株式会社小林つくだ煮社長)におせち商戦や原料状況について聞いた。小林理事長は人流が活発化する中、おせち全体の売上は減少すると予想。特に高価格帯の重詰めは値上げにより苦戦し、拡大してきた重詰め市場が踊り場を迎える可能性を指摘した。(藤井大碁)
◇    ◇
ーおせち商戦の動向。
 「おせちの受注はここまで昨年と同程度で推移しているが、単品では田作りが若干増えそうだ。今年はコロナが落ち着き、昨年より人流が活発化することが予想される。そのため、おせちを食べる日数は減り、コロナ禍にあった昨年、一昨年よりもおせち全体の売上は減少する可能性が高いとも考えられる。また高価格帯のおせち商品は値上げにより、苦戦する可能性があるのではないか。これまで毎年重詰め製品を含めたおせち商品を食べてきた人たちが、おせちにかけてきた家庭内の予算を旅行や外食、他のごちそうなどに振り分けることも考えられる。近年拡大を続けてきた重詰め市場が踊り場を迎える可能性がある。杞憂に終わるかもしれないが」
ー値上げについて。
 「おせちでは、セットものについて、5~10%程値上げする。年末商材は年に1度の製品で、ハレの日の食べ物なので、通常品より値上げはしやすい。一方、通常品については4月に一部製品で値上げを実施し、業務用製品に関しては11月に2度目の値上げを実施するが、その後に様々な原料が値上がりしている状況だ。まだまだ値上げの要素が出揃っていないので、今後、内容量と価格のバランスを見極めながら、さらなる値上げを検討せざるを得ない状況だ」
ー原料状況。
 「様々な原料が非常に厳しい状況となっている。小女子は近年不漁続きで、価格も高騰している。中国の小女子も冷凍技術の進化で品質は上がっているが、為替の影響もあり国産より価格が高くなる可能性もある。ちりめん山椒に使用する山椒の実に関しても、主要産地の韓国で量の確保が難しくなっており価格が上がっている。他にも様々な原料の確保が難しくなっており、それに代わる新しい製品を開発していきたい気持ちはあるが、伝統食品は変わり種を出しても、なかなか売れないマーケットであるため、その判断に苦慮している」
ー佃煮の需要。
 「ここ数カ月はスーパーの食品売上と連動する形で、前年比微減が続いているものの、長期的に見ればそこまでの落ち込みはなく、佃煮の需要は堅調と言える。マーケットが小さい分、その嗜好性がより強まっている。それは強みでもあり、ちょっとした贅沢品のカテゴリーに入れば、さらに強みが増すのではないか。近年、ご飯の消費量が落ちている中、佃煮の消費量はそこまで減っていないのはなぜか。このあたりを分析することが、佃煮の需要をさらに押し上げるヒントになるかもしれない」
【2022(令和4)年10月26日第5109号8面】

全国凍豆腐工業協同組合連合会 会長 木下博隆氏

共通ロゴで認知度向上へ 
アレンジ定着地域が購入額大 
 11月3日は「高野豆腐の日」。年末ムードの高まる「文化の日」に、高野豆腐(凍り豆腐)が和食の代表的な食品であると伝えたい想いから全国凍豆腐工業協同組合連合会(木下博隆会長=旭松食品社長)が2020年に制定した。今年は共通ロゴマークによる販促・PRや、子ども食堂への寄付事業を実施することで認知度を高め、機能性やアレンジレシピの発信へ繋げていく方針だ。自社では新市場の開拓と、SNSを用いた発信に力を入れていく。(小林悟空)
◇    ◇
 ー「高野豆腐の日」の活動は。
 「3年目となる今年も、引き続き共通ロゴマークを用いたPR・販促を各社ごとに行ってもらう。また子ども食堂へ、高野豆腐の寄付事業も実施し、まずは高野豆腐の存在を認識してもらうことを目指していく。この第一歩から、機能性やアレンジレシピの幅広さを知ってもらうきっかけに繋げていける」
 機能性研究には力を入れられている。
 「研究、論文発表し記者会見を開く流れを作ったことで、メディアにとって『取材したい食材』になってきた。これまでは高齢者向けにフレイル予防や床ずれ予防といった観点で発表してきたが、今後は美容、腸活といった若~中年向けの研究も強化している。大豆由来のタンパク質や食物繊維が豊富であるため、健康に貢献するのは当然なのだが、研究成果として示すことで反響が違ってくる」
 ー高野豆腐の市況は。
 「出荷面では、2018年10月にテレビ番組で機能性が紹介されたのをピークに、その後はブームが落ち着いてきたのに加えコロナの影響もあり微減傾向となっていた。『高野豆腐の日』をきっかけに巻き返したい。また原油関連を始めとしたコスト上昇が厳しい。大豆はアメリカ、カナダの輸入原料が大半であるため為替の影響も甚大。当社では企業努力による吸収は難しいと判断し出荷価格で約5%~15%の改定を実施した」
 ー御社の取組は。
 「一つが新市場の開拓。10月からカップ入りでお湯を注ぐだけで食べられる高野豆腐『TOPURO』を発売した。あっさりしたスープ感覚でインスタント食やダイエット食売場に展開でき、パンやおにぎりとの買い回りにも貢献できる。今までと違ったアプローチで、高野豆腐の魅力を『発見』してくれる方が増えると期待している」
 ー従来型の高野豆腐拡大については。
 「SNS上を中心に他業界とのコラボキャンペーンなどを行っている。アレンジレシピ発信も定着してきており、インスタグラムでは『♯高野豆腐』の投稿が10万件を超えた。高野豆腐は元祖大豆ミートとも言える存在で、まだまだ拡大の余地はある。示唆的なのが、当社本店のある飯田市では高野豆腐の一人当たり購入額が大阪の2倍以上になっていること。組合とも協力しながら発信していけば、全国へ広めていくことは可能だと考えている」
 【全国凍豆腐工業協同組合連合会加盟企業(6社)】旭松食品㈱、㈱みすずコーポレーション、登喜和冷凍食品㈱、㈱信濃雪、羽二重豆腐㈱、高原㈱
【2022(令和4)年10月26日第5109号9面】


おせち折詰事業協同組合 理事長 小澤譲氏

おせち組合で情報共有
冷凍弁当やスポーツ振興挑戦
 株式会社ティーケーシン(小澤譲社長、兵庫県西宮市)は冷凍おせち製造で業界トップクラスの規模を誇る。今年はおせちで培った知見を生かした冷凍弁当事業を開始、また昨年末には女性の活躍機会創出を目的に女子サッカーチームを立ち上げるなどチャレンジの幅を広げている。昨年5月に発足した「おせち折詰事業協同組合」の初代理事長に就任した小澤社長に、組合の目的や各事業の動向を聞いた。
(大阪支社・小林悟空)
◇   ◇
ーおせち折詰事業協同組合理事長に就任した。
 「昨年5月、当社含めて8社が加盟し登記した。目的は情報共有を円滑化し、協力体制を築くこと。数百万もの数が年末の数日に集中的に届けられるおせちは、原料不足や、気象災害、交通事故などが命取りになる。1年の最初を祝うおせち料理をお客様に届けられないことは絶対にあってはならない。企業の垣根を超えて、お客様の幸せを追求するために組合結成に至った」
ー御社のおせち事業について。
 「全国の有名百貨店、量販店や通販会社など、様々な販路へ200種類近いおせちを提供している。製造数は増え続けており、昨年実績は約125万段。今年は142万段の予測で、国内トップクラスに位置している。自社ブランドのおせちとしては、地元の西宮神社にちなんだ『えびすおせち』や、フランス料理の巨匠アラン・デュカスがプロデュースするビストロ『ブノワ』のレシピを再現したフレンチおせちがある」
ーおせち事業拡大の背景。
 「当社は明治38年、『漬新』の屋号で創業し、長らく漬物や珍味の製造を主としていたためハード面、ソフト面とも揃っていた。2006年に当時はまだ主流でなかった冷凍おせち事業をスタートして以来、上手く工場を改装しながら活用できスムーズにおせちに重心を移せた。また何より優れたスタッフが揃っていたことが大きい。200種類のおせちを作るには数千もの食材を扱う必要がある。全てを適切に扱うのは基本中の基本であると同時に最も難しいこと。実績を重ね、信頼を得ると仕事が集まるようになった」
ーおせち市場の見通し。
 「大局的にはおせちを自ら作る家庭は減っていて、お重の市場は拡大している。直近2年は巣ごもり消費の影響でおせち売上は大きく伸び、今年もその傾向は続きそうだが、来年以降は海外旅行が増えるので市場全体としては反動減に転じるのは避けがたいだろう。食材仕入れにも影響してくる。昨今の物流業界の働き方改革や、海外原料の不安定化もあり、情報共有のため組合を結成できたのはタイミングが良かった」
ー2018年に社名を「漬新」から変更した。
 「製造者表示が義務化され、漬物を連想させる社名はふさわしくないと感じていた。実際、おせち・珍味・スイーツが主力となり新事業も見据えていたため会社の実態とそぐわなくなっていた。そんな折、スイーツ事業を担っていた㈱桜スイーツ工房を吸収合併するのに合わせて社名変更に至った」
ー新事業について。
 「冷凍弁当の宅配サービス『わたしゴハン。あなたゴハン。』を今年3月より開始した。おせち事業で培ってきた美味しく健康的な食を作る技術を、日常的に提供していけるサービスだ。三井物産グループが運営される『FooDo』でも取り扱い頂くこととなった。また当社のスイーツ事業ブランドであるbeillevaire(ベイユヴェール)の名を冠した女子サッカーチーム『Beillevaire西宮』を昨年12月に立ち上げた」
ー女子サッカーチーム立ち上げの狙い。
 「女子スポーツの振興は地域活性化や女性の活躍機会の創出に繋がる。もちろん、当社の宣伝や、彼女らが作っているおせちに注目が集まることも期待している。選手や監督はプロ契約ではなく、社員として正規雇用し、日中は製造や営業の仕事をこなし、時間外活動としてサッカーに取り組んでもらっている。明るく行動力があるので社内にも活気が出てきた。いずれはサッカー界でも、仕事でもリーダー的存在に育ってほしい」
【2022(令和4)年10月26日第5109号16面】



10月11日号 浅漬キムチ インタビュー

株式会社ピックルスホールディングス 代表取締役社長 影山 直司氏

ピックルスグループで協業
収穫作業を請け負い農家の負担軽減

 株式会社ピックルスホールディングス(埼玉県所沢市)代表取締役社長の影山直司氏に2023年2月期第2四半期決算や値上げの動き、中長期的な戦略などについて話を聞いた。今後伸びていくカテゴリーとして、惣菜、冷凍食品を挙げ、M&Aも視野に入れながら力を入れていく方針を示した。原料の安定調達については、グループ会社の株式会社ピックルスファームにおいて、農家における課題の一つとなっている収穫作業を請け負うことで契約農家の負担を軽減し、持続可能な農業の形を見出そうとしている。
(千葉友寛)
◇   ◇
 ‐ホールディングス化の狙いは。
 「9月1日に持株会社としてピックルスホールディングスを設立し、ピックルスコーポレーションの上に位置することになった。これによってピックルスコーポレーションの下にあったグループ各社がピックルスコーポレーションの子会社ではなく、横並びになって兄弟会社になった。これまではピックルスコーポレーションの指示を受けながら経営を行っていたが、今後は各グループ会社の経営陣が素早く決断を下して事業を行っていくことになり、スピード感や各社の経験、知識を活かした対応が出てくることを期待している」
 ‐これまでのM&Aとの違いは。
 「ピックルスホールディングスの役割は、M&Aを含む経営戦略の立案。これまでのM&Aはピックルスコーポレーションのグループ会社になる、という形だったが、これからはピックルスホールディングスのグループに入ってもらう、というイメージで、子会社になるのではなく、一緒に効率化を図りながら業務を進めていきましょう、という業務提携に近い形も考えられる。カテゴリーも漬物だけではなく、冷凍食品、飲食店、調味料、原料など、漬物に関係ない分野まで幅を広げながら協業していくイメージだ。また、北海道から九州まで、成功した事例を共有して水平展開できることも大きなメリットだ。今後は一緒に事業を進めていく企業が増えることを期待している」
 ‐食料品関係で伸びている市場は。
 「市場を見ると、伸びているのは惣菜と冷凍食品などがある。冷凍食品はスーパーにおける売場が拡大傾向であり、CVSも力を入れている。今年の夏、グループの原料会社であるピックルスファームで栽培したさつまいもを使ってアイス焼き芋を製造し、テスト販売したところ評判が良かった。コロナ禍で一般家庭にも冷凍食品がますます浸透し、時短調理にも活用されている。今後も冷凍食品は伸びると見ている」
 ‐2023年2月期第2四半期決算について。
 「2023年2月期第2四半期は厳しい数字となり、通期の見通しも修正している。品目別売上で厳しいのは、浅漬・キムチと仕入商品。惣菜は比較的堅調となっている。キムチはコロナによる巣ごもり需要や乳酸菌効果により増加したが、現在は反動減となり、コロナ前の水準に戻っている。コロナ禍における巣ごもり需要等により売上が伸び、昨年も前半は良かったが10月から厳しくなってきた。年間で見ても減収となった。利益は最高益を出したが、後半は利益面でも苦戦した。大きな要因としては巣ごもり需要で伸びた分の反動減が大きい」
 ‐浅漬の値上げは。
 「商品の切り替え時などに少しずつ見直しを行っている。原料に加え、様々な製造コストが上昇している。容器や包装資材の変更も進めており、現在はカップ製品を主力としているが、新たにスタンドパックの浅漬を販売している。スタンドパックはカップ容器と比較するとプラスチックの使用量が3分の1になる。売場での陳列などに課題はあるが、SDGsや環境対応のラインナップとして提案している」
 ‐キムチの値上げについて。
 「人件費、調味料、包装資材などのコストが上がっているが、すぐに値上げをする予定はない。厳しい環境ではあるが、11月からご飯がススムキムチの増量キャンペーンを予定している」
 ‐仕入れ商品の値上げの動きは。
 「得意先の状況もあるので、よく検討して得意先に案内するようにしている。輸入原料の商品や輸入完成品については為替の影響もあるので、実情を丁寧に説明している。値上げすると売上が下がるとよく聞くが、商品に力があれば売上は大きく減らないと思っている。そのような意味では企業や商品のブランド力を高めていくことが重要だ」
 ‐中長期的な戦略は。
 「コロナの感染者が収まってくれば外食需要やインバウンド需要が増えると見ており、業務用商品に力を入れている。また、原料の安定調達という観点では、グループ会社のピックルスファームを中心に動いている。高齢化が進む契約農家で大きな課題となっているのが収穫。ピックルスファームで、収穫作業を請け負うなど農家の負担を減らせるようにしていきたいと考えている。また、設備投資だが、今期中に茨城工場について具体的な発表ができる見通しだ。茨城工場はキムチ専用になる予定だが、省力化を図った工場になる。関西地区の工場は土地を探している段階だ」
【2022(令和4)年10月11日第5108号9面】

10月11日号 茨城特集 トップに聞く

長島漬物食品株式会社 代表取締役社長 長島 久氏

大根生産4年目で19町歩
原料確保と製品の安定供給は一体
 全国有数の野菜生産地として知られる茨城県だが、他の地域と同様に農家の減少や高齢化といった課題を抱え、原料の安定確保は大きな問題となっている。そのような状況の中で、長島漬物食品株式会社(長島久社長、茨城県小美玉市)では、原料を安定的に確保するため、4年前から大根を自社生産する取組を開始。昨年の作付は目標の20町歩(年間25町歩)を達成し、今年の作付は年間で約19町歩とやや減少したが、順調に生育しており、10月5日から収穫をスタートした。茨城県漬物工業協同組合の理事長を務める長島社長は、将来的に原料確保が難しくなる状況を指摘した上で、「原料確保と製品の安定供給は一体」と明言した。(千葉友寛)
   ◇   ◇
 ‐自社で大根を生産する取組が4年目となる。
 「初年度は手探りで農業をはじめ、3町歩からスタートしてノウハウを学んだ。昨年は秋作で目標の20町歩を手掛け、年間では25町歩まで増やすことができた。今年は反収の良いさつまいもを生産する農家が増えたことで、近隣の畑を昨年並みに借りることができなかった。年間の作付は白首が露地で17町歩、青首の露地が2町歩。ハウスものは全て青首で、全部で20町歩に少し届かないくらいだ」
 ‐今年の種蒔きは。
 「8月10日から1カ月半かかって行った。そのため、収穫も1カ月半かかる。8月10日は真夏なので、その時期に蒔くと高温障害などの問題が出てくるが、品種を変えながらやっている。農家に頼んでも嫌がられるが、自分でやる分には問題ない。種蒔きを早く行う理由は、収穫期に人手が確保できないため、収穫期間を長くするために逆算してお盆前から蒔き始めている。できるだけ大根生産に人手をかけないように取り組んでおり、種蒔きや畑の管理は私を含めた2人、収穫は6人でやっている」
 ‐今後の大根生産について。
 「来年ということではないが、近い将来は秋作で30町歩まで増やしたいと考えている。そこまで生産を増やすとハーベスタがもう1台必要になるし、人手も必要になる。さつまいもの生産が増加傾向にある中、借りられる畑も限られている。弊社で使用する大根原料は自社生産の大根で約6割カバーできている。様子を見ながらになるが、30町歩まで増やすと100%カバーできる。農家の高齢化や減少は以前よりも進んでおり、今の時期に使用される青森産の大根が全く入ってこない現状を見ても、自分達で原料を確保しなければ近い将来、製品を作ることができなくなる可能性もある。原料の確保と製品の安定供給は一体だと考えている」
 ‐製造コストが上昇している。
 「調味料、包材、物流費、電気代などが上がっており、製品価格で計算すると3割くらい上げないと合わない状況だが、3割上げると全く違う価格になってしまうので、段階を踏んで上げていくしかないだろう。ただ、これだけ多くの物価が上がっている状況で採算が合う価格にすると消費者は買わなくなる。漬物売場を見ると、ほとんどの商品が値上げできていないのに物価高の影響で買い控えの対象になってしまっている。既存品の値上げやカップのスライス製品は量目調整ができない。量が売れて売上が増えても利益を出すのは難しい状況だ」
 ‐沢庵のニーズが多様化している。
 「アイテムの構成からすると、1本、ハーフ、ミニ、カップ、スライス、ぶつ切り、千切り、べったら漬、糖絞りとこれ以上ない、というくらいのラインナップになっており、今後さらに売場が拡大する、ということは考えにくい。未だに198円で販売している1本物もあるが、安い商品があるとどうしても引っ張られてしまうし、1本物は350円くらいで販売しなければ沢庵売場の価格のバランスがおかしくなる。1本の重量は産地によって異なるが、1本の規格は1本なので内容量を調整することもできない。そこには沢庵市場が抱える大きな問題があると考えている」
【2022(令和4)年10月11日第5108号6面】

電子版 バイヤー必見イチ押し商品 長島漬物食品 

9月11日号 酢漬特集 トップに聞く

株式会社みやまえ 代表取締役社長 宮前 有一郎氏

 生姜商品の総合メーカーとして全国でトップクラスのシェアを持つのが、株式会社みやまえ(宮前有一郎社長、奈良県生駒郡平群町)。今年は主力とするタイ、中国南部産生姜とも良質な原料が集まっている。しかし為替の影響やその他コストの上昇が大きく、第二弾の値上げを検討している。品質とサポート力を強みに、価格以上の価値を提供していく考えを示す。
(大阪支社・小林悟空)
◇   ◇
――海外原料の動向は。
 「タイ、中国南部は天候にも恵まれ良質な原料が集まっている。唯一、山東省は低温、干ばつ、洪水と続き、漬物用原料を集めるのが難しそうだ。タイは天候が良く豊作型で、スパイスメーカーの買付もなかったため、農家がフレッシュの値崩れを恐れて漬物用の早掘りが増え、原料価格自体は落ち着いている。中国南部、特に福建省においては当社のシェアが高い。フレッシュ生姜価格の動向や、日本の経済状況をお伝えし、当社と現地が互いに再生産可能な価格で妥結できた」
――円安や副資材の高騰が進行している。
 「一番大きいのが円安。昨年9月から30%以上の円安ドル高。タイ産、中国南部産も円ベースでは昨年を大きく上回る価格になる。各種資材や人件費等も全てが上昇し、企業努力でカバーできる範囲を完全に超えている。このままでは事業継続は不可能になる」
――価格改定の考えは。
 「今年の春から包材や調味料の高騰を理由に約10%価格改定を案内、実施したのだが、その後のコスト上昇幅の方が大きく、この秋にも第2弾を実施せざるを得ない。数回に分けて段階的に上げることを検討している」
――値上げによる競争は。
 「国内メーカーの状況はみな同じ。日本漬物産業同友会でも『適正価格』がキーワードになっている通り、漬物業界でも値上げラッシュは起きると思う。むしろ懸念しているのは、価格で優位性のある海外メーカーとの競争。あらゆるものが値上がりしている中、添え物である漬物は真っ先にコストカットの対象になりかねない」
――価格以外の強みが求められる。
 「第一に商品の品質。当社が主に使用するのは中国南部やタイ産原料。これらは日本の品種に近く、辛みがマイルドで柔らかい。買付時期も他メーカーより早く設定しており、繊維質が少なく漬物用に適した原料を確保できるルーチンを組めている。一部メーカーは硬くスジ張ったガリを提供しているが、それとの差を実感してほしい」
――サポート面については。
 「一つが安定供給。昨今、海上輸送が不安定で海外製品は度々欠品が起きている。当社の場合は原料在庫を国内に確保しているためその心配はない。もう一つは小回りが利くこと。味付けやカット形状、包装形態など得意先の要望に応えられる。また惣菜や練り物など他業種のメーカーへの納入では紅生姜の色止めなどの要望がある。こうした専門的な顧客の要望へ応えられるのは当社だけだと自負している」
――今後の方針は。
 「生姜を軸に、漬物に限らず幅広い商品を提供する。中外食から好評の『冷凍刻み生姜』もその一つだ。OEMも活用していきたい。この他、寿司や和惣菜を中心に広げてきた販路を生かし、他社製品の販売にも取り組み、成長を目指していく」
【2022(令和4)年9月11日第5105号4面】

9月1日号 トップに聞く

株式会社日本東泉 代表取締役社長 李忠儒氏

山東省生姜は1~2割減収
ガリ用原料確保に全力

株式会社日本東泉(大阪市住之江区)の李忠儒社長にインタビュー。同社は中国最大の生姜産地である山
東省に、自社工場として現地法人「龍口東寶(ドンパオ)食品有限公司」を有し、生姜の契約栽培から加工までを一貫して行う。日本では原料卸として生姜、にんにくなどの中国農産物を塩蔵、冷凍などの形態で供給する他、漬物メーカーとして商標登録商品「ホワイトガリ」などの提供も拡大している。李社長は、減収や諸コスト上昇を背景に山東省産生姜が価格上昇する見通しであること、品質維持と安定供給を最優先する方針を語った。
(大阪支社・小林悟空)
◇   ◇
―山東省生姜の生育状況。
「作付面積は昨年から3割減っているが、これは平年に戻っただけなので問題ない。天候が悪く、4月半
ばに植え付けが終了して以後に気温の乱高下があり、霜が降りて生育が遅れた。その後も天候や雨が不規則で病気が一部出た。ガリ用の収穫は9月頭から本格的になり、その後ハーフ、刻み、青果用と収穫が続くが、全体で平年の1~2割減収になりそうだ」
―漬物用の見通し。
「価格は上昇すると思う。減収の予想が立つと農家は青果用の確保を第一に考えるので、時期の早い漬物用の収穫をしてくれず、作柄以上に漬物用は少なくなる。特にガリ用は供給不足感が出てきそうだ。添加物や資材費、物流費上昇を考えれば、漬物用原料の価格は上がらざるを得ないだろう」
―値上げについて。
「原料状況や諸コスト増を反映して値上げすべき状況であるが、生姜漬以外のコストも上がる中、価格重視の雰囲気が強まっており慎重に判断しなければいけない。他社の動きも気になるところ。先述の通りにガリ用原料が不足すると、無料提供される生姜漬がコストカットの対象になり、市場に低品質な生姜漬が流通することも懸念される。刻み用や、青果用が無理やりにガリとして使われる恐れがあるためだ。またロシアへ輸出されるはずだった低級の商品が、輸出制限のため日本へ向けられている。価格重視のあまり、こうした商品を提供する店が増えると、和食文化やその店の品位が損なわれることを訴えていきたい」
ホワイトガリ
―御社の対応は。
「品質の維持と安定供給を第一とする。当社の生姜は漬物の他、惣菜や冷凍食品など様々な食品に利用していただいているので、安全で安心な食材を提供することが必要不可欠だ。当社は山東省に龍口東寶食品有限公司を有し、自社農場、契約農場で生姜を栽培している。その強みを生かしてしっかりと高品質な原料を確保していける。契約栽培では、保証ラインを定めた上で市場価格にある程度連動させるなど、農家のモチベーションに繋げる仕組みを作っている。生姜以外ではにんにくや唐辛子の酢漬け、醤油漬け製品も供給している」
―食の安全性追求のため様々な認証を取得している
「中国農産物というと残留農薬など心配される方も多いが、当社は2003年には肥料・農薬に厳しい制限を定める緑色食品A級を取得、2007年にはグローバルGAPを取得し世界基準で農業を行っており、各国へ輸出できる体制となっている。また漬物メーカーとしてもHACCPシステムを導入し、FSSC22000取得の工場で製造を行っている」
―漬物作りの強み。
「タンクは5万トンを超え、業界最大級の規模で漬け込みを行っている。看板商品となっているのが『ホワイトガリ』。極若早掘りした生姜を無脱色で用いており、ほどよい辛さとシャキシャキとした柔らかな食感が自慢のガリだ。土壌作りから品種改良、漬込方法までを幾度も重ねて完成させたものだ。ミニパック入も用意している。紅生姜も千切り、みじん切りや、天ぷら用の串刺しタイプなどを製造している」
―生姜漬への思い。
「私は韓国生まれの台湾華僑だが、近畿大学へ入学したことをきっかけに日本の人々と出会い、生姜漬という文化を知り、起業する後押しをいただくことが出来た。生姜漬は寿司店でも牛丼店でも必ず提供され、それだけに皆が食べるもの。良い原料を提供すること、良い漬物を作ることが生姜漬文化への貢献と考え、天候や環境変化に負けず最善の努力を尽くしたい」
【2022(令和4)年9月1日第5104号7面】
◇   ◇
同社は本紙電子版の企画「工場長必見!関連資材機器・原料」に登録。中国農産物の供給元として、山東省生姜の原料動向や過去の紙面アーカイブを掲載している。
工場長必見!関連資材機器・原料 「日本東泉」→こちらから
生姜農場
龍口東寶食品有限公司

8月21日号 <霞ヶ浦北浦特集>

霞ヶ浦北浦水産加工業協同組合 代表理事組合長 戸田 廣氏

時代の変化に対応を
次世代見据えた組合事業推進

 霞ヶ浦北浦では、今年も7月21日にワカサギ漁が解禁となった。同地でのワカサギ漁は3年連続で不漁となり、原料確保の難しさやコロナ禍による消費者の価値観の変化など、業界は大きな岐路に立っている。地場産業であり、伝統産業である霞ヶ浦北浦水産加工業の価値を守るためには何が必要か、霞ヶ浦北浦水産加工業協同組合の戸田廣代表理事組合長に、近況や今後の見通しなどについて話を聞いた。
(菰田隆行)
◇   ◇
 ‐今年もワカサギ漁が解禁した。
 「ワカサギは3年連続で不漁が続いており、今年も状況はあまり良くない。一方、昨年1~2割減だったシラウオは、今年は良い数量が上がっている。これからの漁状況は終わってみないと分からないが、原料の調達地を変えたり、新たな食材の加工に取り組んでいる組合員もいる。変化への対応が重要だ」
 ‐地場産業としての水産加工業の存在価値は。
 「ワカサギというと北国のイメージがあり、茨城県霞ヶ浦北浦のワカサギは全国ブランドにはなり得ていない。地元での消費が減少してきて、茨城のアンテナショップを都内に進出したが、まだまだ知名度は低い。新型コロナウイルスの試練でギフト商材が不振となっているのも大きな痛手だ。今後は、大手量販店への商品供給ができるメーカーは限られているので、直営店、ネット通販などの直販に対応していくことが重要となってくるだろう」
 ‐御社ではネット通販に力を入れている。
 「ホームページは最初、会社のPRを目的に開設した。しかし2年前に専門家にコンサルティングを依頼し、テコ入れを図った。まず包装紙に“伝統の味”や“秘伝のタレ”など、不明確な文言は入れないようにとの指導を受け、包装紙から一新した。また、あれもこれもと商品を羅列するのではなく、シーズン毎に『これが売りたい』と1点に絞ることも大切だと知ることができた。弊社は直営店を6店舗運営しているが、現在はネット通販で直営店1店舗分の売上がついてきており、取組の成果が現れている」
 ‐今後の組合運営は。
 「東日本大震災から新型コロナウイルスと試練が続き、組合事業が非常に難しくなっている。今後も状況の変化は早いだろうが、伝統やのれんを振りかざすことなく、時代の変化に対応していくことが大切。私は組合長をあと1年務めさせていただくが、後任の方にはその場しのぎではなく、常に次世代のことを考えて事業を推進していってほしい。みんなが夢を持てる業界にできるよう、任期を全うしたいと思っている」
【2022(令和4)年8月21日第5103号4面】

茨城県水産加工業協同組合連合会 HP

8月11日号 関西版 <トップに聞く>

赤田善株式会社 代表取締役社長 赤田真朗氏

食添製剤の新工場棟
自社衛生管理システムを結集

 赤田善株式会社(赤田真朗社長、大阪市中央区)は鳴尾浜センターに新工場棟・研究所を設置し6月25日の竣工式を実施。ベーキングパウダーをはじめとする「スタンド印」製品の製造拠点として、また同社の食品工場総合衛生管理システム「TOSCO(Total Sanitation Control)システム」導入のモデル工場として本格的に稼働を開始する。
(小林悟空)
◇    ◇
 ‐新設の背景は。
 「鳴尾浜センターの旧工場棟は平成元年に操業開始しており、多少の老朽化はあれど一般的にはまだ運用可能な範囲だった。それでも今回建て替えたのは、衛生管理レベルのアップデートが一番の目的。当社が提案する『TOSCO』の知識を結集し、創業100周年となる10年後にも通用する設計を目指した」
 ‐新工場棟の特徴。
 「HACCPに準じて製造エリア(ゾーニング)の明確化、インターロック付きシートシャッター、エアーシャワー、手洗い設備等の衛生関係設備の充実を行い、より衛生的な製造が可能となった。またゾーニングによる動線設計を行うことで原料入庫から製品製造、倉庫入れまでワンウェイで行うことを可能とした。さらに、人だけでなく空気の動線設計も行っている。アレルギー室のみを陰圧、それ以外を陽圧とすることで、同棟内にアレルギー室を新設することを可能とした」
 ‐動線を重視されている。
 「動線設計というと面倒なイメージを持たれることもあるが、むしろそれに従えば良いので人的ミスが起きず、作業中の迷いが無いのでストレスを減らせる。当然効率もアップする。当社は社内のコロナ対策としても、ゾーニングや動線設計を行い効果を発揮している」
 ‐衛生面以外の特徴は。
 「予算の上限を決めて設計した。通路(廊下)を無くす、研究所棟と工場棟でスキップフロアとするなどのアイデアを凝らすことで床面積を節約し、予算内に収められた。この他にも、浸水に備えて代替の利かない機器等は2階へ配置、敷地中央に大通りを配置して倉庫・工場棟・研究所棟から素早く荷捌きできるようにするなど随所に工夫を凝らしている。実際に顧客へ提案する際にも色々な制約や要望が必ずある。実際の食品製造現場を長年見てきた経験から解決策を提案している」
 ‐TOSCOについて。
 「〝フーズデザイン・クリーンルームから手袋まで…〟を合い言葉に、工場衛生のすべてを提案している。当社には2級建築士が在籍しており、営業マンも全員が食品添加物とTOSCOの知識を持ち、両面から提案ができることが強み。例えば日持ち向上では添加物を使用するだけでなく、空気中の菌(カビ)を減らしたり、温度管理を整えたりと、工場の環境を改善することが商品の改善にも繋がることは多々ある」
 ‐食品添加物部門の主力は。
 「メーカーとしてはベーキングパウダー、日持向上剤、ゲル化剤が現在の主力となっている。商社機能も持ち合わせており、加工食品全般へあらゆるご提案ができる。
 ‐今後の方針は。
 「現在、新規のお問い合わせの大半はホームページから頂いている。『教えて!アカタゼン!』というQ&Aコンテンツを設けたことで悩み事をネット検索された方がこれを見つけ、問い合わせしてくださる流れが出来ている。お客様の悩み事に寄り添い、解決策を提示していくことで『縁の下の力持ち』として、食品産業界の発展へ貢献していきたい」
【2022(令和4)年8月11日第5102号6面】

赤田善株式会社 HP
鳴尾浜センターの新工場棟、新研究所棟
新工場棟内部

8月11日号 関西版 <この人に聞く>

フジッコ株式会社 コア事業本部 昆布事業部 執行役員昆布事業部長 紀井孝之氏、開発担当 森本直也氏

生昆布で産地負担軽減
食感や見栄え優れる新素材
 フジッコ株式会社(福井正一社長、神戸市中央区)は9月1日より北海道産生昆布を使用した「ふじっ子煮 おやさい昆布」を発売する。昆布は乾燥させて使うものという常識を打ち破る新商品だ。コア事業本部昆布事業部の紀井孝之部長(右)と、開発を担当した同部の森本直也氏(左)にインタビュー。生昆布は見た目、食感とも良く、漁師の負担軽減にも貢献できるが、前例のない取組なだけにビジネスモデルとして確立させていく必要があると強調した。(大阪支社・小林悟空)
◇    ◇
 ‐生昆布の特徴は。
 森本氏 見た目、食感の部分で大きく違う。①ハリツヤ、透明感があり見栄えが良い②歯切れが良くてコシのある「コリッ」「プリッ」とした食感③新鮮な風味、の3点が特徴。海藻らしさがあり、乾燥昆布とは全く違う新しい素材という感覚。
 ‐佃煮にする際の違い。
 森本氏 硬い乾燥昆布の場合は「柔らかくする」イメージで炊き上げていく。一方、水分のある生昆布を同じようにすると上手くいかない。味付けや加熱時間など条件を変えて試作を重ねた。独自の「真空煮熟製法」で炊くことで、食感を残したまま生昆布の内部までしっかりと味を染み込ませることができた。
 ‐北海道産生昆布を使用した「ふじっ子煮 おやさい昆布」について。
 森本氏 生昆布に牛蒡、蓮根、筍を大ぶりサイズにカットして合わせた。野菜量が全体の50%と、ふじっ子煮シリーズとしては最も多く贅沢感がある。生昆布の見栄えと弾力に富んだ食感があって、その野菜に負けないバランスが実現できた。生昆布を使う意義がある商品となった。
 ‐生昆布がこれまで使われなかった理由。
 紀井氏 古来、昆布は北海道から船で日本全国へ運ばれた。当時は長期保存といえば乾燥させることであり日本の食文化は乾燥昆布をベースに発展してきた。また生昆布の場合は冷凍輸送・保存が必要なため、現時点においても乾燥作業以上のコストがかかっている。乾燥昆布が非常に優秀な素材であり産地、加工業者とも変える動機が無かった、という所ではないか。
 ‐今回の開発背景。
 紀井氏 乾燥作業の負担軽減が一番の目的。昆布の生産量は近年激減していて、その原因は海水温上昇による生態系の変化と、漁師の高齢化による減少。水揚げした昆布を一枚一枚拡げて天日干しにする作業は大変な重労働。生のまま出荷できるようになれば水揚げ後の天日干しの負担が減り、水揚げ量減少が抑えられる。昆布の生産量減少が抑えられれば、昆布を使用した商品を安定して供給でき、需要が増えることで、水中の環境改善や養殖研究も活性化し、資源量も回復するという循環が生まれると考えている。
 ‐反響は。
 紀井氏 まだ発売前だが、流通業者様からは乾燥の負担を軽減し、昆布産地を守るというコンセプトと、野菜と生昆布の相性、両面で高評価頂いている。一般消費者の方々へも同様にコンセプトを伝えていくことが鍵になる。これをきっかけに、昆布という食材の伝統や文化にも関心を持っていただければ嬉しい。
 ‐今後の課題。
 紀井氏 現在は道東地区の3漁協及び道南地区でそれぞれ協力頂いて取組を行っているが、ほとんど前例が無い取組であり、ビジネスモデルとして確立するにはまだ時間がかかる。販売が増えれば本取組への理解も広まっていくと思う。将来的には佃煮だけでなく、惣菜への展開も検討していきたい。

【ふじっ子煮 おやさい昆布】
 ▼内容量:63g▼賞味期間:90日(要冷蔵)▼価格248円(税抜)▼発売日:9月1日
【2022(令和4)年8月11日第5102号7面】

フジッコ HP
ふじっ子煮 おやさい昆布

8月11日号 九州版 <新社長に聞く>

農業生産法人サンアグリフーズ株式会社 代表取締役社長 礒部 良太氏

(8月9日、ズームにてリモート取材)
循環型農業が経営理念
漬物と肉の加工を強みに

 農業生産法人サンアグリフーズ株式会社(宮崎県児湯郡都農町)は、関連会社の農業生産法人有限会社アグテック(宮崎県児湯郡新富町)とともに、循環型及び自己完結型農業の確立を経営理念に掲げ、自社栽培の野菜を漬物(浅漬・ふる漬)・カット野菜・惣菜などに加工・販売している。6月に新社長に就任した礒部良太氏に、同社の経営理念や今後の展開について話を伺った。(菰田隆行)
◇   ◇
 ‐長引くコロナの影響。
 「福岡の飲食店など業務用のウエートが高かったので、売上は大きく落ち込んだ。道の駅などの土産関連は、最初の落ち込みから徐々に集客数も上がってきてやや回復しているが、やはり全体的に売上が落ちたのが痛かった」
 ‐売上カバーの方策は。
 「以前から手掛けてはいたが、コロナ禍ではインターネットが強くなってきたので、ホームページの強化を進めてきた。地道に続けてきて、ちょっとずつだが売上は上がっている」
 ‐アグテックは肉用牛の繁殖から肥育までを一貫して行っている。
 「アグテックと当社は、循環型農業を目指している。牛を育てる上で出た堆肥を牛のエサとなる農産物の栽培に利用し、さらに育てた野菜を当社で漬物などに加工し、製品化している。この一つの流れができているのが、当グループの強みだと思う。原料の生産元は直接なので、安全安心という点もアピールポイント。また、今年の3月から野菜の加工だけでなく肉の加工も始めたので、そこも強みにできると思う」
 ‐厳しい状況での社長就任となったが抱負は。
 「前社長の辰則(良太氏の父、現会長)と、全体をまとめてくれていた黒木秋芳部長が培ってきてくれたサンアグリフーズの根本を崩さず、受け継ぎながらやっていく。しかし、一方で新事業に取り組めるような環境も作っていきたいと思っている。昔の物も残しつつ、新しい風を取り入れて行きたい」
 ‐具体的には。
 「漬物はひとつの柱として残しながら、肉の加工を強みにしたい。“ご褒美カレー”も好評だが、レトルト製品は委託。自社工場は漬物と肉の加工、両方ができるのでハンバーグ、メンチカツなど肉の加工が軌道に乗ったら、現在ある漬物との惣菜風のコラボ商品が作れれば、面白いものができるのではないか。大手メーカーさんにはどうしても販売量などの面では勝てないので、エッジの利いた商品を作っていければと考えている」
 ‐現在のオススメ商品。
 「熟練職人が添加物不使用素材にこだわった『PUREシリーズ』は自信作。宮崎県の名水で仕込んだ純米酢や、県内在来種の“みやだいず”を加工した無添加みそ、希少な再仕込み醤油など、素材にとことんこだわっている。また、開けたらそのまま食べられるスタンドパックのパッケージも斬新で、当社の“顔”にしたい商品だ」
【礒部良太(いそべ・りょうた)氏の略歴】
 ▼1988(昭和63)年10月16日生、33歳▼宮崎県児湯郡新富町出身▼宮崎県立妻高校卒(宮崎県西都市)▼東海大学農学部卒(熊本・阿蘇キャンパス)▼宮崎県高原町の畜産飼料製造会社に就職▼1年後にアグテック入社▼2020年9月 アグテック代表取締役就任▼2022年6月 サンアグリフーズ代表取締役就任▼趣味:磯釣り
【2022(令和4)年8月11日第5102号13面】

農業生産法人 サンアグリフーズ株式会社 HP

8月11日号 新潟特集 <理事長に聞く>

新潟県漬物工業協同組合 理事長 佐久間 大輔氏

可能な限り対話できる機会を
8月23日に講習会開催

 5月の総会で新潟県漬物工業協同組合理事長に就任した佐久間大輔理事長にインタビュー。組合の課題や今後の活動予定などについて話を聞いた。本音で話し合える関係を大事に考えている佐久間理事長は、可能な限り対話できる機会を作り、賛助会員も含めて切磋琢磨していく意向を示した。
(千葉友寛)
◇   ◇
 ‐5月の総会で理事長に就任した。
 「髙口前理事長は全漬連青年部会全国大会新潟大会までは理事長を務める、ということだったのだが、新潟大会がコロナの影響で1年延期となったため、任期も伸びてしまっていた。そのため、今年は役員改選年ではなかったのだが、総会をもって退任されることになり、私がその後を引き受けさせていただいた。髙口前理事長はリーダーシップを発揮し、組合のために一生懸命取り組んでいただいたので感謝している」
 ‐組合員同士の関係について。
 「よく他県の方に『新潟県の人たちは仲が良いよね』と言われるのだが、本当にその通りだと思う。県内メーカーはよくコミュニケーションが取れているし、品質競争で切磋琢磨している。新潟での青年部会全国大会は昨年が2回目だったのだが、平成9年に1回目を開催した時のメンバーがそのまま親会に入って理事や役員を務めている。商売ではバッティングする部分もあるが、本音で言い合える関係を大事にしていきたいと思っている。後輩にはそのような流れを引き継いでいってほしい」
 ‐組合の課題は。
 「やはり会員数の減少だろう。以前と比べても明らかに数は減っているし、会議をしてもより小さい規模になっている。当組合では会員と取引などがある関連企業に賛助会員として入会していただく取組を積極的に行っており、ある程度の規模を保つことができている。組合で集まる機会があれば賛助会員にPRしていただく時間を設けている。我々にとっても有益な情報をいただけるので、お互いにメリットがある。賛助会員も含めて人が集まることで良い意見やアイデアが出てくる。新型コロナウイルスの感染が再び増加に転じてしまったが、可能な限り対話できる機会を作っていきたいと考えている」
 ‐今後の活動予定は。
 「8月23日の午前に外国人技能実習試験を実施するのだが、同日の午後にアルコール事業法改定と企業の危機管理に関する講習会を開催する。行政とは引き続き良い関係を築いており、定期的に情報提供を行っていただいている」
 ‐新潟つけものグランプリを開催した。
 「この企画は、県の支援を受けて昨年12月に『新潟つけものグランプリ!2021』を初めて開催することができた。グランプリ期間中(2021年12月1日~2022年1月31日)に新潟5大漬物である、たくあん漬、味噌漬、山海漬、にんにく漬、十全なす漬の中で購入数を競う内容で、味噌漬が初代王者(グランプリ)に輝いた。このようなイベントではメーカーが賞品を協賛する形が多いと思うが、200名分の賞品を組合で購入し、会員に負担がかからないようにした。新潟県は地産他消の流れとなっているので、県民に改めて新潟漬物の5本柱を知っていただく良い機会になったと思っている」
 ‐今後の見通しは。
 「コロナの第7波で今後の消費動向が不透明となっている中、原材料をはじめ、包装資材、調味料、物流費、光熱費などあらゆるコストが上昇し、メーカーの利益は大幅に圧迫されている。これからますます厳しい状況になっていくことが想定されるが、組合が一致団結して協力できるところは助け合っていきたいと思っている」
【2022(令和4)年8月11日第5102号16面】

新潟県漬物工業協同組合 HP

8月1日号 長野特集 <理事長に聞く>

長野県こんにゃく組合 理事長 細萱 聖氏

需要創出の鍵は即食性
全社を挙げてSDGs推進

 長野県こんにゃく組合の新理事長に就任した細萱聖氏(細萱食品社長)にインタビュー。同組合の前身である長野県蒟蒻協同組合は2021年に解散。今年4月に「長野県こんにゃく組合」として組合員5社により再スタートを切った。細萱理事長は、こんにゃくの需要を伸ばしていくためのポイントとして、即食性の高い製品の開発を挙げた。
(藤井大碁)
◇    ◇
 ―「長野県こんにゃく組合」の理事長に就任された。
 「もともと長野県蒟蒻協同組合には、16社が加盟していたが、組合の会合に出席する組合員が少なく、小林文人前理事長が会長を退任されるのを機に解散することになった。その後、改めて組合の必要性を感じていた5社(小林蒟蒻店、寺田屋、上州屋、荻原、細萱食品)が加入し再スタートを切った。規模は縮小してしまったが、力を合わせて、こんにゃく業界活性化のために取り組んでいきたい」
 ―組合事業について。
 「長野県蒟蒻協同組合の時代から長年実施してきたこんにゃくの寄贈を継続していく。今期は、こんにゃく祭りのイベントとして、10月1日に長野市の児童養護施設『三帰寮』へ組合員5社のこんにゃく製品を各200個、計1000個を寄贈する予定だ」
 ―こんにゃく製品の販売動向。
 「量販店向けの需要はコロナの影響がそこまでないが、土産物や業務用は引き続き厳しい状況が続いている。こんにゃくは、おでんや煮物を良く食べる秋冬シーズンが最需要期で、寒い季節に比べると夏場の動きは弱い。その中でも、しらたきやこんにゃく麺は堅調に動いている。こんにゃく屋が、原料や製法がこんにゃくと全く異なる〝ところてん〟を昔から手掛けているのも、夏場の売上対策によるところが大きい。弊社でもところてんの製造を行っているが、暑くなればなるほど、ところてんは良く売れる。今年も6月下旬に気温が一気に上昇したことで、出荷量が大きく伸びた。ところてんはゴールデンウイーク明けからお盆までが勝負なので、暑くなることを期待しながら頑張って製造していきたい」
 ―こんにゃくの需要を伸ばすために。
 「こんにゃくは、カットやアク抜きなど、手間がかかるイメージがあるので、もっと手軽に食べられる製品を開発していく必要があると思う。味付け済みでレンジアップしてすぐ食べられる製品や他の食材とコラボした惣菜製品など即食性の高いラインナップが増えれば、需要は伸びていくのではないか」
 ―令和元年に新工場が稼働した。
 「昔ながらの製法を再現しつつ、現代に合わせた衛生的な環境と設備により製造を行っている。弊社はOEMがメーンとなるので、安定したものを失敗なく作ることを特に重視している。2020年には食品安全規格〔JFSーB〕認証や環境配慮の取組の評価基準〔エコアクション21〕認証を取得した」
 ―長野県SDGs推進企業にも登録されている。
 「全社を挙げてSDGs推進に取り組んでいる。食品ロス削減においては、ところてん製造で発生した天草の残渣を必要とする農家に提供することで、100%のリサイクル率を実現している。また二酸化炭素の排出量削減を目指し、具体的な目標値を設定し、それに向けて取り組んでいる」

【細萱聖氏プロフィール】1982年9月29日長野県佐久市生まれ。2004年上武大学経営情報学部卒、2004年オリヒロ入社、2007年細萱食品入社。2015年より代表取締役社長
【2022(令和4)年8月1日第5101号13面】

細萱食品 HP

8月1日号 長野特集 <この人に聞く>

旭松食品株式会社 研究開発本部研究所 副主任研究員 石黒 貴寛氏

フレイルや腸活研究強化
伝統製法が生む食感と栄養

 旭松食品株式会社(木下博隆社長、本店=長野県飯田市)は高野豆腐のトップメーカーとして、健康機能性や新製品開発で業界をリードしている。研究開発本部研究所副主任研究員の石黒貴寛氏は、豆腐を凍結・低温熟成させる伝統製法が高野豆腐の特徴的な栄養成分であるレジスタントプロテイン(難消化性タンパク質、RP)を形成、肉のような食感を生み、様々な健康機能性につながっていると解説する。(小林悟空)
◇    ◇
 ―高野豆腐の栄養は。
 石黒氏 大豆由来の栄養成分が豊富で、1枚16・5g中にタンパク質8・5g、カルシウム81㎎、鉄1・0㎎などがあります。特筆すべきが、RPの多さ。他の大豆加工品と比べても圧倒的に多い。健康のために子どもからお年寄りまでおすすめできる食材です。
 ―RPについて。
 石黒氏 RPは人が分泌する胃酸や酵素では消化されにくい食物繊維のようなタンパク質。大腸に到達すると腸内細菌が消化してくれるので、タンパク質としての恩恵も得られます。RPの機能性が注目され始めたのはここ10年ほど。当社では特に中高年のメタボ予防に焦点を当てて研究し、ヒト試験において「食後中性脂肪上昇抑制効果」、「脂質代謝改善効果」、「糖尿病改善・予防効果」などを確認しています。
 ―今後の機能性研究は。
 石黒氏 現在は健康寿命を伸ばすロコモティブシンドローム・フレイル予防や、若年層で関心の高い腸活・免疫といった分野でも研究を進めています。昨年は「免疫賦活効果」「腸管バリア機能向上効果」について発表しました。
 ―高野豆腐にRPが多い理由は。
 石黒氏 高野豆腐は豆腐を製造し、凍結・低温熟成を経て完成します。この原料豆腐は普通の豆腐よりも強いプレスをかけ硬く作り、さらに凍結・低温熟成工程によって大きな氷結晶ができ、それが豆腐成分を物理的に圧迫します。この工程でタンパク質が強く結合し、RPが形成されることが分かってきました。
 ―高野豆腐といえば独特の肉様食感だ。
 石黒氏 RPが出来るほどの強い圧力が、豆腐の構造を変え、あの食感を生んでいます。しっかり噛みごたえはありながら、口内や歯茎を傷めることは無いため、子どもや高齢者の咀嚼力をトレーニングするのにも適しています。
 ―製造方法の進化は。
 石黒氏 硬い豆腐を作り、凍結・低温熟成させるという基本は大昔から変わっていません。昔の人はどうやってこの最適化された製法に行き着いたものかと改めて驚かされます。今は製造効率化の研究も進めています。
 これまでに大きく変わったのは喫食時に軟らかくするための膨軟加工です。昔はアンモニアを膨軟剤として使っていたので臭いがキツく、何度も水を替えて水戻しする必要がありました。1972年に重曹(NaHCO3)を使う新技術が開発されると、臭いがなく水戻し不要になりました。
 さらに2014年に炭酸カリウム(K2CO3)を使用する減塩製法を開発(製法特許取得済)し、一般的な高野豆腐よりナトリウム(Na)量を98%減、ナトリウムの排出を促すカリウムは23倍になりました。これが現在の「『新』あさひ豆腐」です。
 ―10月に「TOPURO」を新発売する。
 石黒氏 カップ入りで、お湯を入れるだけで高野豆腐が食べられる簡便性の高い即食商品。通常の高野豆腐よりも戻りやすくなるよう工夫されています。1食100kcal未満、塩分1・0g以下に抑えながら、タンパク質約8・5g以上、RP3・0gを摂ることができます。健康美意識の高い方々をターゲットに「ベジタブルブロス」「ボニートブロス」「チキンブロス」の3種類を発売します。
 原料加工から完成まで、高野豆腐の伝統製法を継承しつつも新しい発想を取り入れています。特許出願中のため詳細は明かせないが、ぜひ一度食べてみていただきたいです。
【2022(令和4)年8月1日第5101号14面】

旭松食品 HP

7月21日号 梅特集 <トップインタビュー>

中田食品株式会社 代表取締役社長 中田吉昭氏

梅雨明けから需要増加
持続可能な紀州梅産地を形成

 中田食品株式会社(和歌山県田辺市)の中田吉昭社長にインタビュー。今年の梅の作柄や漬け込み状況などについて話を聞いた。今年の作柄は平年作の見通しで、紀州梅産地では十分な量が漬け込まれている。今年は梅雨明けが早く、6月下旬から全国的に気温が上昇したことに連動し、梅干し製品も動き出している。今夏は熱中症対策などで需要の増加が期待される中、中田社長は改めて持続可能な産地の在り方を強調した。(千葉友寛)
◇   ◇
 ―今年の作柄は。
 「平年作の見通しだ。まだ収穫は終わっていないのだが、塩の出荷量が1万1000tを上回ったので平年並みの収穫量はあると見ている。他の梅産地の話も聞いているが、雹害などが発生し、原料確保に苦労されているところもある。漬物も値上げの機運が高まってきているが、3年ぶりに産地視察に訪れたバイヤーに話を聞くと、値上げについては慎重な対応となっているようだ。原材料価格だけではなく、調味資材、物流費、電気代などのコストが上昇し、多くの品目で値上げが実施されているように致し方ないことだと思っているが、漬物全体の売上が良くないため、売場では慎重にならざるを得ない状況となっている」
 ―中国産梅の状況は。
 「中国産は不作で原料価格が上がっている。その上、製造・輸送コストの上昇と円安の影響が大きく、値上げは必至の状況だ。国産製品との価格差は以前より縮まってきているが、まだまだ歴然とした差がある。中国梅は価格面に加え、品質や安定供給の観点からも売場に必要な存在だ」
 ―梅干しの売れ行きは。
 「今年は梅雨明けが早く、気温も一気に上昇したことで梅干しの需要もぐっと伸びてきている。春からの動きを見ると、他の漬物と同様に前年の90%台で推移していた。新型コロナ感染者の減少とともに巣ごもり需要が落ち着き、外食や観光関係が回復してきた。そのような状況下で今夏は熱中症対策に加え、田辺市やみなべ町が研究成果を発表した梅の成分によるコロナ予防への期待などが梅干しの購入動機につながることを願っている」
 ―産地の在庫状況は。
 「A級は十分にある。量販向けの売れ筋商品の原料の全体的な量は分からないが、弊社は困っている状況ではない。今年は青果向けの動きが弱く、塩漬けされる流れとなった。後半に塩の追加注文もあったと聞いており、農家の方でも十分な量の塩漬けが行われているようだ」
 ―夏の動きが期待される。
 「今夏は猛暑で、残暑も厳しくなるという予報のため、長くて暑い夏となる。特需が発生した2018年も7月上旬に梅雨明けして林修先生のテレビ番組で『梅干しの機能性』という内容が放映されたことで想定以上の動きとなった。今年は2018年の時よりも梅雨明けが早く、需要に結び付くことを期待している」
 ―産地の課題は。
 「持続可能な紀州梅産地を形成していくためには、農家に梅を生産し続けていただかないといけない。紀州梅産地でも農家の高齢化や後継者不足が大きな課題となっているが、農業生産が減少すると、我々梅干メーカーは製品供給が困難になり、産業として成り立たない。梅には捨てるところがない、と言われているが、農家にしても生で市場や農協に販売することができ、塩漬けして梅干しや梅肉の原料として売ることもできる。販売するチャネルが多く、紀州南高梅というブランドも確立されているため、他の作物と比較しても高単価となっている。さらに、梅は科学的な研究によって様々な健康機能性が実証され、健康食品としてのイメージもあり、こんなに恵まれた作物はないと思っている。加工や販売だけではなく、農家も喜べる環境を作っていくことが我々の役割だと認識している。売上も重要だが、農家が一生懸命育ててくれた梅を大事に販売していくことも重要だと考えている」
【2022(令和4)年7月21日第5100号1面】

中田食品株式会社 HP

7月21日号 梅特集 <理事長に聞く>

山梨県漬物協同組合 理事長 長谷川正一郎氏

原料ひっ迫で値上げへ
適正利益での販売を目標に
 小梅の生産量日本一を誇る山梨県。特産品ブランドとして著名な〝甲州小梅〟の作柄や原料状況、販売動向について、山梨県漬物協同組合理事長の長谷川正一郎氏に話を聞いた。生産農家が減少していることから収穫量も毎年減っている状況を懸念し、買い取り価格を上げることにつながる適正価格での販売の重要性を訴えた。(菰田隆行)
◇  ◇
 ―今年の甲州小梅の作柄と在庫状況は。
 「昨年から今年にかけての冬は長かったが、春になると一斉に花が咲き、受粉も一気に終わって実の生りは良かった。しかし、その後は収穫直前の4月に例年以上の雨が降り、日照不足となった。収穫期の5月に入っても気温が上がらなかったため太りきらず、小粒のままで収穫せざるを得なかった。従ってSサイズが多く、収量は昨年比で5%~10%、平年比で30%~35%程度少ない。毎年値上がりしている生の価格は、産地にもよるが、今年も5%程度上がっている。昨年の原料も予定数量は入って来なかったのだが、在庫量を去年の今頃と比べると、今年は1割程度少ない状況だ」
 ―農家の現状は。
 「収量減は天候の影響もあるが、それよりもこの3~4年で農家が毎年5%程度減っているのが、一番大きな要因だ。梅の木は植えてから30年過ぎると老木となって収量も落ちる。新しく木を植えても実が生るのに5~6年はかかるため、高齢化している兼業農家では老木を切り倒したり、実が生っても収穫しないまま放棄してしまう人もいる。農家は減少し、老木が増えていくという現状から、今後も小梅の収穫量は増える要素がない。これ以上減らないよう、買い取り価格を上げていくしかない状況だ」
 ―小梅の製品値上げについて。
 「原料ひっ迫、諸経費高騰から小売用、業務用とも9月頃から10%程度の値上げへ動かざるを得ない。業務用は量目調整できないので4年連続の値上げとなり、小売用も量目調整ではなく値上げの方向だ」
 ―値上げすると客離れが懸念される。
 「値上げすると、消費者より先にバイヤーから敬遠される。売り場の尺数が縮小している現状から、価格だけ見てSKUから外れてしまう。しかし本当に美味しいものなら、お客様の方から〝なぜ置いてないの?〟と店側に問い合わせが来て復活することもある。バイヤーには価格優先ではなく、本当に美味しいものを見極め、適正な利益で販売することを考えてほしい」
 ―今後について。
 「コロナによってネット通販は若干増えたが、当社ではまだ分母が小さい。先ほど言った適正利益を考えれば、メーカーが小売するのが一番良いと思うので、取組は進めて行かなければならないだろう。小梅は40年ずっと同じ値段だったが、今年は値上げしなければ立ち行かなくなる。現在の198円を298円、398円を498円の価格帯に持っていくことを目標としなければ、農家がついて来られなくなるだろう」
【2022(令和4)年7月21日第5100号2面】

山梨県漬物協同組合 HP
長谷川醸造 電子版バイヤー必見!イチ押し商品


7月21日号 梅特集 <トップに聞く>

田辺米穀株式会社 代表取締役社長 久保正氏

創立70周年迎える
物流の幅を広げて変化に対応
 7月1日に創立70周年を迎えた総合食品卸売問屋の田辺米穀株式会社(和歌山県西牟婁郡上富田町)の久保正社長にインタビュー。今後の事業や新しい取組などについて話を聞いた。久保社長は2024年4月に控える物流改革に対応するため、今年4月より物流部を創設。貨物を運ぶ緑ナンバーを取得し、3温度帯に対応している物流倉庫をフルに活用しながら、中継地として物流の幅を広げていく意向を示した。
(千葉友寛)
◇   ◇
 ―創立70周年を迎えた。
 「弊社は昭和27年に内麦や雑穀類の販売を行う会社として、田辺市内の米穀店からの出資で設立した。以来、取り扱い品目を少しずつ拡大し、砂糖や小麦の他、加工食品、飲料、業務用調味料、食品添加物を扱う食品問屋として事業を行ってきた。平成8年からは冷凍食品、市乳の取り扱いを始め、その後は水産物、日配食品、食肉製造を扱い総合食品卸売問屋として、常温、冷蔵、冷凍、定温の温度帯別倉庫や危険物倉庫も完備し、和歌山県の中南部から三重県熊野地方までを主なカバーエリアとして営業している。取引先様をはじめ、諸先輩方、社員、地域の皆さんのおかげで今の会社があり、心から感謝している。私は一昨年11月に6代目社長として就任したが、次の世代につなげていくことが自分の使命だと思っている」
 ―新しい取組について。
 「4月から新しい期となり、100年続く会社を作っていこう、ということで時代に合った取組をスタートした。具体的には4月から物流部を新たに作り、貨物を運ぶ緑ナンバーを取得し、『食と物流』のトータルサポートという特徴をより強く打ち出していきたいと考えている。2024年4月1日から自動車運転業務(運送業ドライバー)に年間残業時間上限960時間の規制が設けられ、労働基準法の基本労働時間は原則1日8時間(休憩時間1時間除く)となる。この物流改革は運送事業者にとって大きな課題で、3温度帯に対応している弊社の物流倉庫をフルに活用し、中継地として利用していただきたいと考えている」
 ―今後の事業や方向性について。
 「弊社のような地方の問屋が生き残っていくためには時代の流れに対応しながら、変革や新しい取組を推進していく必要がある。新型コロナウイルスによって消費の流れや物の動きが変わり、市場の形も変わった。自分たちの特徴や強みを考えた時に、物流の多様性が重要になってくると考えた。以前から『うちの荷物も運べないか』と多くの方に依頼されていたが、緑ナンバーがないので運ぶことができなかった。この事業をしっかり行うことができれば地域貢献にもつながる。これまでの70年を一つの区切りとして、新たな歴史を作っていきたいと思っている。世の中の動きは自分たちが思っている以上のスピードで変化している。私も含めて社員1人1人が意識と自覚を持ち、取り組んでいくことが重要だ。今年はそのようなスタートの1年にしたいと考えている」
【2022(令和4)年7月21日第5100号2面】

田辺米穀 HP

7月21日号 梅特集 <新社長に聞く>

株式会社福梅 取締役社長 北脇祐一氏

ニッチ狙う「福梅ぼし」
旨味ある紅映の強み活かす
 株式会社福梅(福井県三方上中郡若狭町)は7月より、長く社長を務めた前田靖二氏が勇退し、執行役・営業担当だった北脇祐一氏が取締役社長に就任した。同社は県内栽培の「紅映(べにさし)」を主力に、青梅塩漬けから出荷までを一貫管理。ISO9001を取得し安心安全な商品を提供する、日本海側を代表する梅加工メーカーである。北脇新社長は、原料確保が課題としながらも、ニッチ市場を突く戦略で成長を目指していく。
(小林悟空)
◇    ◇
 ―新社長就任の抱負を。
 「前田前社長が88歳まで長きにわたり会社を育ててきた。この度、組織の若返りや活性化を目的に、交代となった。私自身は平成11年から28年まで製造に従事した後、営業部へ移った。原料仕入れから営業まで経験した立場から、福井梅の魅力を発信して売上向上を図るとともに、効率化を進めしっかり利益の出る会社を目指したい」
 ―会社の現状は。
 「35期目が終わり売上は前年比で約10%の増収となった。成長エンジンとなったのはネット通販。自社通販の他、各種ECサイトへも出品しており、コロナによる土産等の減少をカバーした。課題は原料面。生産農家は10年前に400軒以上あったのが今は320軒程に減った。気候変動もあり、平年作のラインが大きく下がっている」
 ―福井梅の作柄は。
 「330t入荷の計画が、200t程に留まる凶作となった。元々裏年の予想ではあったが、雨不足や人手不足で収穫できない農家があり想定を下回る入荷となった。特にLサイズが少なく、通常通りに出荷すれば不足することは目に見えている。使用するサイズを一つずつ大きいものにスライドしたり、出荷制限も検討しなければいけなくなりそうだ」
 ―他産地との競争は。
 「基本的に紀州梅とも中国産とも規模が違うので同じ土俵に立つことは難しく、ニッチな市場を狙っている。具体的にはしそと塩だけで漬けた塩分15%の『しそ漬福梅ぼし』が当社の主力商品となっている。低塩で甘めの梅干しが主流になりつつある市場において、昔ながらの酸っぱくしょっぱい梅干しは貴重となっている。最近の健康志向にも合致しファンを獲得できている」
 ―福井梅の特徴は。
 「『しそ漬福梅ぼし』など約8割に使うのが紅映という品種。肉厚でぽったりとした触感があり、南高梅と比較すると旨味成分(遊離アミノ酸)が多く酸度が低いというデータが出ている。これらの特徴があるから、しそ漬のようなシンプルな味付けがよく合う。チューブに入れた『しそねり梅』、『しそねり梅しその葉入』も、シンプルゆえ料理に使いやすいと好評頂いている」
 ―「新福井梅」も発売されている。
 「新しい品種の福太夫(ふくだゆう)を使用している。こちらはやや小ぶりで糖度が高く、フルーティな香りがある。数年前に植えた樹がようやく収穫適齢を迎え始めたところで、当社の自社農園でも今年初収穫できた。これまではギフト中心となっていたが、収穫が増えれば別の販路へも提案していく方針だ」

 【北脇祐一新社長】
昭和49年4月5日生まれ。前田前社長の姪孫に当たる。学生時代に福梅でアルバイトを経験。測量会社に勤務後、ものづくりに魅力を感じ平成11年に福梅入社。以来製造部門に長く従事し20年に工場長就任。同28年に営業部へ異動。今年7月、取締役社長就任。
 ※同時に、前田靖二前社長長男の前田良治氏が代表取締役会長に就いた。良治氏は建設業の株式会社前田産業社長も務めている。
【2022(令和4)年7月21日第5100号3面】

株式会社福梅 HP

7月21日号 梅特集 <理事長に聞く>

紀州田辺梅干協同組合 理事長 大谷喜則氏

暑い夏の到来に期待
優れた健康機能性をPR

 紀州田辺梅干協同組合理事長の大谷喜則氏(大谷屋社長)にインタビュー。今年の作柄状況や梅産業の課題、組合活動の方針などについて話を聞いた。コロナ禍でこの2年は積極的な活動を行うことができなかったが、梅の消費拡大、産地維持、安定供給の観点から進むべき道を模索していく考えを示した。
(千葉友寛)
◇    ◇
 ―今年の紀州梅産地の作柄は。
 「収穫する場所によって多少の差はあるものの、終盤に漬け込み量の目安となる塩の出荷量が1万1000tを超えたことからも平年作を少し上回る作柄になっていると見ている。収穫前にまとまった雨が降らなかったこともあり全体的にはやや小粒傾向だが、後半は玉太りしたところもある。台風や風などの影響もなく、良質な梅が収穫されている」
 ―在庫状況は。
 「2019年と2020年は不作で、2021年は豊作となった。2020年の3月以降、コロナの影響で巣ごもり需要が発生したが、梅干しの需要には結び付かず、この2年の売れ行きは芳しくなかった。そのようなこともあり、産地では昨年の在庫に余裕がある。そのため、産地全体で漬け込み意欲は強くなかったのだが、青果向けの需要が少なかったこともあり、今年も十分な量が漬け込まれているようだ」
 ―販売面の課題は。
 「紀州梅はここ1、2年の間に値上げを実施した。その多くは内容量調整だったのだが、割高感が出たことで買い控えされてしまったと考えられる。また、その2年間は冷夏や長雨となり、2年続けて夏らしい気候にならなかったことも大きかった。夏商材の代表格でもある梅干しの需要は気温が上昇すると増加するので、今年の夏は暑くなることを期待している。6月後半から記録的な猛暑となり、梅干しにも動きが出てきている。7月中旬は全国的に雨模様となっており、気温も下がっているため一服しているが、再び気温が上がってくれば需要は伸長すると思っている。ありがたいことに、梅干しは熱中症対策のアイテムとして広く認知されている。夏に売れれば秋、冬とその流れが続いていく。これからの気候にもよるが、6月下旬から7月上旬のような暑い日が続き、夏らしい夏になれば梅産業には追い風になる」
 ―観光土産や業務用の動きは。
 「量販店や通販関係の売れ行きは堅調だったが、業務用や観光土産品はコロナの影響で打撃を受けた。今年に入ってコロナ感染者が減少し、外食関係は回復傾向で和歌山にも観光客が少しずつ戻ってきていたのだが、再び感染者が増加に転じたことで先行きは不透明となっている」
 ―今後の販売動向の見通しは。
 「今年は青梅の価格が昨年よりも下がり、昨年の原料も十分に余裕があることを考えても原料価格は下がる方向だ。だが、製品価格については、調味料、包材、容器、物流費、電気代とあらゆるコストが上昇しているため、とても下げられる状況ではない。梅メーカーがここ数年で経験してきたことだが、値下げは簡単にできるが、値上げは簡単にはできない、ということ。過去の例を見ても、原料価格の上昇分をスムーズに製品価格に転嫁できたことはない。ただ、直近の値上げによって梅干しの嗜好性は高まり、一部の消費者が離れた感は否めない。メーカーとしては高品質な梅干しを供給することも重要だが、健康機能性のPRや食べるシーンの提案など、まだまだやるべきことがあると思っている。この2年間、組合では積極的な活動を行うことができなかったが、梅の消費拡大、産地維持、安定供給の観点から進むべき道を模索していきたいと考えている」
【2022(令和4)年7月21日第5100号4面】

紀州田辺梅干協同組合の加盟社一覧
大谷屋 HP

7月21日号 梅特集 <理事長に聞く>

紀州みなべ梅干協同組合 理事長 殿畑雅敏氏

価格の安定化で産地保護
数年に1度か2度は不作

 紀州みなべ梅干協同組合理事長の殿畑雅敏氏(株式会社トノハタ社長)にインタビュー。今年の作柄や製品の売れ行きなどについて話を聞いた。一昨年まで2年連続の不作、凶作で値上げの機運が高まったが、改めて価格改定の難しさを指摘。重要な課題として「価格の安定化」を挙げた。
(千葉友寛)
◇    ◇
 ―今年の作柄と在庫状況は。
 「昨年は豊作だったので、十分な在庫がある。ただ、5年に1回か2回は不作や凶作の年がある。そのような意味では、現在の在庫は足りなくなった年の補充用として考える必要がある。梅の原料は保管しておくことができるので、単年ではなく、4~5年スパンで在庫を調整することが産地にとって良いことだと思っている」
 ―今年の原料相場について。
 「青梅の場合は、その年の加工業者の漬け込みキャパと供給量により価格が形成される。一方、梅干しの場合は、その年の総供給量と見込み総需要のバランスで価格が形成される。青梅は置いておくことができないので、青梅の出荷が漬け込みキャパより多くなれば価格は下がるし、少なければ上がる。塩漬すれば2年、3年とストックしておくことができるため、青梅と同じ状況にはならない。過去を振り返っても青梅安梅干高の年もあれば、青梅高梅干安の年もある。即ち、青梅価格と梅干価格は価格形成論理が異なるので価格的にリンクはしない。本年度の梅干し樽価格は、現時点ではっきりしたことは言えないが、ただ、一つ言えるのは、梅干し原料の価格が極端に上がったり、下がったりすると『不作→原料価格上昇→製品値上げ→市場の縮小→製品価格下落→売上減』という負のスパイラルに陥るので、望ましくはない。今の若い世代の後継者は、将来的に継続できる安定的な収入を求めている。今年の製品価格に関しては、調味資材、容器、ラベル、段ボール、塩、物流費、電気代などあらゆる費用がすでに平均20%前後上がり、これからさらに上がるものもある。また、仮に今年は一部製品価格が下がったとして、2~3年後に必ずやってくる不作による原料価格の上昇局面で、値上げを実施できるかどうか。そのようなことも総合的に考慮して判断すべきだ」
 ―様々なコストが上昇する中、値下げの動きが懸念される。
 「梅のような作物は数年に1度ないしは2度は不作の年が必ずくる。そこで値上げをすると市場は確実にシュリンクする。産地保護の観点からも再生産可能な原料価格を出していくことが重要で、製品価格の安定化を図り、安定供給に努めていかなければならない。原料価格が乱高下すると消費者が離れてしまうので、産地、加工メーカー、流通、お客様にとって適正な価格を探っていく努力はより必要になってくる」
 ―中国産の作柄は。
 「今年の作柄は不作で原料価格も上がる見通しだ。だが、それ以上に円安の進行で為替差損が大きく、資材関連も平均で約20%上がっている。円安と製造コストの上昇で値上げしなければ大幅な採算割れとなり、継続して販売することができなくなる状況だ。中国梅は秋冬から価格改定の動きが加速するだろう」
【2022(令和4)年7月21日第5100号5面】

紀州みなべ梅干協同組合の加盟社一覧
トノハタ HP

日本惣菜協会「惣菜管理士」30周年記念インタビュー

一般社団法人日本惣菜協会 専務理事 清水誠三氏

【第3回】優秀な人材が業界発展の鍵 「日本デリアカデミーの会」開設
 一般社団法人日本惣菜協会(平井浩一郎会長、東京都千代田区)では「惣菜管理士資格試験制度」が今年7月に創設30周年を迎える。それを記念して、本紙では、「惣菜管理士30周年記念インタビュー」として3回シリーズで、同協会の清水誠三専務理事にお話を伺った。第3回目のテーマは『惣菜管理士30周年と協会の取組』。日本惣菜協会では30周年記念事業として、学生向けの惣菜業界PR動画の作成などを実施する。また新たに、「日本デリアカデミーの会」の開設やS級惣菜管理士の拡充といった新規事業を予定しており、惣菜管理士のさらなるレベルアップに取り組んでいく。清水専務理事は「惣菜業界へ優秀な人材に入ってもらうことが業界発展の鍵」と語り、優秀な人材に集まってもらえるような環境作りの必要性を語った。
(藤井大碁)
◇   ◇
 ―惣菜管理士資格試験制度が30周年を迎えた。
 「1992年に研修がスタートし、翌93年3月に第1回目の試験が行われた。30周年を迎えるにあたり、これまで惣菜管理士資格試験制度に関わってこられた関係者の方に改めて御礼を申し上げたい。スタート当初は惣菜製造業や食品メーカーの方が取得する資格だったが、その後、食の総合的なカリキュラムとして、卸、小売、外食、資材メーカー、学生まで幅広い層の方に取得者が広がった。2009年には資格取得者が1万人を突破、昨年、お陰様で資格取得者が3万人を超えた」
 ―惣菜管理士資格制度が支持される理由。
 「惣菜管理士という名称ではあるが、大手食品メーカーなど食のトップ企業の方にもたくさん受験して頂いており、総合的に食の知識が習得できる資格として認知頂いている。資格取得が目標ではなく、勉強して食のリテラシーを上げてもらうことを目的としており、通信教育のテキストを読み、課題を毎月提出しなければならないなど、勉強するための仕組みが整えられていることも高い評価を頂いている。惣菜管理士資格制度が人材育成の一助になり、惣菜業界がさらに発展していくことを期待している」
 ―2019年~2021年にかけてカリキュラムの大幅な刷新を行った。
 「法改正や惣菜市場の変化、食のグローバル化などが進む中、時代に合わせた内容へカリキュラムを変えるべきだという声があり、2019年から3年をかけて大幅な刷新を行った。15年振りの大幅な食品衛生法改定や食品表示法の改正、HACCPやGAP、食のグローバル化、ライフステージと栄養なども新たに盛り込まれ、さらに時代ニーズに沿った内容に生まれ変わった」
 ―30周年記念事業。
 「優秀な人材に惣菜業界へ入ってもらうため、学生に向けたPR動画を作成する。動画内では、惣菜メーカーや惣菜販売会社の品質管理や開発、営業企画などで活躍している方を紹介し、業界の認知度アップを図る。また惣菜管理士のロゴを作成し、パンフレットやホームページ、資格取得者の名刺などへの掲載を検討している。さらに、試験で満点を取った受験生を対象に成績優秀者表彰も開始する。その他、記念セミナーの開催や日本デリアカデミーの会の開設、S級惣菜管理士の拡充などの新規事業も計画している」
 ―「日本デリアカデミーの会」の開設とS級惣菜管理士の拡充について。
 「日本デリアカデミーの会は、一級惣菜管理士の交流と惣菜知識を更に深めて頂き、業界のレベルアップを目指すもので、検討中ではあるが、『マーケティング部門』として営業や開発、『生産管理部門』として品質管理、生産管理の専門性を高めるセミナーや共同研究、『女性開発者WEB上のサロン』等も考えている。業界発展と惣菜管理士同士の交流や相互啓発、惣菜管理士の価値向上にもつながるものと考えている。またS級惣菜管理士については、現在、一級惣菜管理士の中でHACCPの衛生管理ができる人材をS級惣菜管理士として認定しているが、新たに『食品表示』、『工場の生産管理』のプロフェッショナルをそれぞれS級惣菜管理士として認定していきたいと考えている」
 ―『惣菜和英辞典』も完成した。
 「以前から会員企業より、惣菜メニュー名の英語表記の指針となるものを協会主導で作成して欲しいとの要望があり、プロジェクトがスタートし、この度完成した。訪日外国人の購入に限らず、海外への日本食の普及にも主眼を置いている。海外進出した惣菜メーカーが現地の言語で商品説明を記す際など、輸出入のビジネスにも役立てて頂きたい。また日本で働く外国人技能実習生の方々にもお役立て頂けると考えている。会員企業のみならず、広く多くの事業者に活用してもらうために、協会ホームページから全編を無料でダウンロードすることができるので是非ご活用頂きたい」
 ―今後のビジョン。
 「業界を良くしていくためにはやはり人が重要で、優秀な人材が業界発展の鍵と言える。そういう意味で、教育、人材育成と優秀な人材に集まってもらえるような環境を作ることも、我々の大きな役割の一つだ。若い世代から働きたいと思ってもらえる職場づくりを行い、将来的には優秀な人材が惣菜業界にイノベーションを起こし、さらなる業界発展につながることを目指していく」
【2022(令和4)年7月21日第5100号11面】

<塩特集インタビュー>

株式会社天塩 代表取締役社長 鈴木恵氏

三食で適正な塩分摂取を
 付加価値高い商品が伸長

 株式会社天塩(鈴木惠社長、東京都新宿区)は、江戸時代から続くにがりを多く含ませた塩づくり“差塩製法”を継承した「にがりを含んだ塩」にこだわり、日本の伝統食文化の良さを未来につなげている。「赤穂の塩作り」は文化庁より日本遺産に認定され、その歴史的な価値が証明されている。同社代表取締役社長の鈴木恵氏に塩の動向や今後のビジョンについてインタビュー。鈴木社長は熱中症対策が日常的になる中、1日三食の中で適正な塩分摂取を行うことなど改めて塩の大切さを訴えていく必要性を示した。
(藤井大碁)
◇   ◇
―直近の塩の動き。
 「コロナ初期にあった巣ごもり需要は縮小し、家庭用の塩の消費はやや減少傾向にある。だが極端に落ち込んでいるわけではなく、一部では伸びている商品もある。弊社でも海洋深層水を使用した平釜塩など競合が少なく付加価値の高い商品については伸長している。コロナをきっかけに、以前より料理素材にこだわる人や健康に気を遣う人が増えていると推測できる。また単身世帯の増加などにより1キロサイズなどの大容量製品は引き続き厳しい状況で、700gや500gの製品が売れている。人口減少が続く中、塩だけでなく食品全体の需要は何もしなければ年々減少していく。長期的な見通しを立て対策を練っていかなければならない」
―梅干し向けの塩の需要。
 「梅干しメーカー向けの出荷については、各メーカーが昨年の在庫をまだ持っているようで、昨年より動きが悪い。また一般消費者向けについても、様々な食品が値上がりして節約志向が高まる中、梅干しを漬ける人が減っているのか苦戦している。最近のトレンドとしては、通販で梅を購入して梅干しを漬ける人が増えている。こうした消費形態の変化にも対応していく必要がある。今年は梅雨明けが例年よりだいぶ早かったので、今後の巻き返しに期待したい」
―塩の需要を高めるために。
 「最も大切なのは根底から塩の重要性を訴えていくことだ。近年、熱中症対策が日常的になってきているが、1日三食の中で塩をしっかりとることが重要であるということを改めて訴えていきたい。特に夏場は、塩飴で少量ずつ塩分補給を行うより、三食の中で適正な塩分摂取を行う方が、経済的であるし効率的な対策が立てられる。自分で料理を作り、どのくらいの塩分を摂っているのか把握することが大切ではないか。そうした基本的な塩の知識を発信していくことが重要だと考えている」
―特殊製法塩協会の会長を2年務め、今年の総会にて任期満了で退任された。
 「2年間にわたり会長を務めさせて頂いた。コロナ禍によりPRイベントなどリアルの活動を実施することは難しかったが、HACCP制度化に伴い、業界として作らなければならなかったHACCP手引書を作成し、会員に配布した。協会会員以外からも参考にしたいという声があり、協会ホームページから自由にダウンロードできるようにしている。安全安心な塩づくりのために是非ご活用頂きたい。特殊製法塩協会は今期よりマル二の脇田社長が会長に就任された。私も副会長として引き続き会長をサポートし、塩の重要性を訴える活動に力を入れていきたい。来年は食育推進全国大会へ協会として出展することも検討していく」
―今後について。
 「消費者の節約志向は高まっているが、付加価値の高いものについては、高くても売れる傾向にある。そうした商品を開発し、価値をしっかり伝えながら販売していくことが大切だ。長期的には人口減少が進む中、塩だけでなく塩と関連する新規事業の立ち上げにも力を入れていきたい」
【2022(令和4)年7月21日第5100号12面】

電子版 Web展示会 天塩

<塩特集インタビュー>

鳴門塩業株式会社 専務取締役 石井英年氏、取締役営業本部長 青木貴嗣氏

石炭価格高騰が影響大
安全安心の塩作り守る価格を

 鳴門塩業株式会社(安藝順社長、徳島県鳴門市)は、年間最大20万tの製塩プラントを有する国内製塩大手であり、株式会社大塚製薬工場へ医薬品原薬の塩を供給してきた経緯から国内製塩メーカーでは初めて医薬品製造業許可を取得し局方塩の生産を行うなど、万全の体制下で国産塩を製造している。石井英年専務(左)と青木貴嗣本部長(右)は、石炭価格を筆頭にコスト上昇が自助努力の範囲を超えていることを指摘。安全安心な国産塩の供給には、適正価格の追求が必要であると話す。
(小林悟空)
◇   ◇
―価格改定を進めている。
 青木本部長「今年4月より、kg当たり10円以上の値上げを行った。決定したのは昨年11月、石炭高騰が主要因だった。製塩にかかるエネルギー費や物流費、人件費が塩の値段を大きく左右することになる。中でもエネルギー費用は大きな割合を占めており、企業努力による吸収は不可能と判断しての価格改定だった」
―その後も石炭価格は上昇している。
 石井専務「この状況が続くなら第2次値上げも現実味を帯びていく。ロシア産石炭の使用が世界各国で禁止された結果、インドネシア産石炭やオーストラリア産石炭に需要が集中し高騰している。昨年の上昇幅よりさらに大きい。円安やその他の諸コスト増も続いており、前回の価格改定が完了してもなお、全く利益が出ない状態になってしまった」
―カーボンニュートラルへの取組も求められている。
 石井専務
「高騰しているとは言え石炭が最も安価であるし、他のエネルギー源へ切り替えるとなれば新たに莫大な設備投資が必要であり、現状としては難しい。別の方法で環境負荷軽減を図っている。まず石炭を使うボイラーは、硫黄酸化物、窒素酸化物の排出が少ない流動床ボイラーを使用している。ボイラーの蒸気から自家発電をするコージェネレーションシステムの採用、ボイラーで発生した灰は路盤材として有効活用している。その他エネルギー源の活用についても、業界団体などで企業の垣根を超え研究している所だ。この他、持続可能な開発目標(SDGs)に賛同し実現に向けた積極的な取組を進めている」
―塩の製法について。
 青木本部長
「膜濃縮製塩法を採っている。これは目に見える異物は勿論、海水中に含まれる環境ホルモンやダイオキシン、ヒ素などの物質も分子レベルで除去し、非常に品質の高い食塩を作ることができる。万が一、海が汚染されていたとしても安全だということ。この製塩法は日本が生み出したものであり、世界に誇れる技術だと言える」
―国内製塩他社との差別化は。
 青木本部長
「安全衛生管理という面に強みがある。塩は金属を侵すためサビ等の異物混入が大敵で、設備や商品のチェックは万全の体制を整えている。当社は2002年に医薬品製造許可を取得し、医薬品GMP管理のもと、日本薬局方塩化ナトリウム(医薬用原薬)を生産している。医薬品の製造は食品よりさらに厳しい管理が求められる。この経験が食品製造においても意識を高め、衛生管理レベルは格段に向上した」
―品質面での違いは。
 青木本部長
「製塩における『加工助剤』の大半を当社では使用していないことが特徴。基本的に製塩工程の中で無害化されるため『使っているからダメ』という訳では決してないのだが、当社は医薬品製造工場としての責任上からも、たとえ助剤といえども使用しないほうが望ましいとの考えで、使用を廃止している。根本から断っているため、それらの成分が混入することは万に一つもないと言える」
―今後の方針は。
 石井専務
「人間にとって必須である塩は安定供給・品質維持は最重要事項であるので、エネルギー相場等見極めながら、柔軟に対応していかなければならない。勿論、流れに身を任せるだけではなくて、効率化や環境負荷軽減などやるべきことにも取り組んでいく。全社員から常に改善策を募っており、年間100以上の意見が出て、中には数千万円規模のコスト削減に繋がることもある。製造から物流、事務作業まで、まだまだ改善できることはありそうだ」
【2022(令和4)年7月21日第5100号13面】

鳴門塩業 HP

7月11日号 滋賀特集 この人に聞く

株式会社丸長食品 代表取締役社長 金井 長光氏

「まぜちゃい菜」TVで話題
 購入者との交流が商品開発に
 株式会社丸長食品(金井長光社長、大津市尾花川)は、2014年のTー1グランプリ(現漬物グランプリ)でグランプリに輝いた「まぜちゃい菜」を始めとした漬物や、赤こんにゃく、佃煮、レトルト食品など様々な商品が揃う。地域性を追求した高品質な商品はテレビや一般紙などメディア出演の機会が増えている。金井社長は購入者とのコミュニケーションを増やすことが口コミを増やし、商品開発にも繋がっていると話す。
(小林悟空)
◇   ◇
‐メディア出演が連続している。
 「テレビ番組は全国放送、関西ローカル、他エリアローカルでも紹介いただいた。雑誌や一般紙でも取り上げてくださっている。多くは『まぜちゃい菜』の紹介だが、それを素材にタルタルソースにした『まぜタル』や、県名産の赤こんにゃくを出汁で炊いた『あかこん』、琵琶湖産の鮎を使った『大鮎の炊き込みご飯の素』など様々な商品を紹介頂いた。特にこの2年間のコロナ下ではお取り寄せグルメが注目され、テレビ出演の回数も非常に多くなった」
‐反響は。
 「大変な反響で、リピートしてくださる方も増えて通販部門は好調だ。コロナで落ち込んだ土産部門をカバーしてくれている。また気が付いたのが、メディア紹介の際にはいつも“漬物屋さんが作る~~”といったキャッチフレーズを付けて頂くこと。意外性だけでなく、漬物という言葉は日本人にとって熟成とか、職人技とかのイメージに直結する特別な言葉なのではないか」
‐メディア出演増加の背景は。
 「お客様の口コミが広がり、それがメディア関係者の目に留まっているようだ。正直なところ当社はSNS等による自力での発信はあまり積極的にできていない。代わりに漬物を使ったアレンジレシピの募集など、お客様と交流を取れる仕組みづくりをしてきたことで、口コミが広がっているのだと思う」
‐「まぜちゃい菜」について改めて教えて下さい。
 「2014年にT‐1グランプリでグランプリを獲得して以来、看板商品の一つとなった。前年に『青トマとサラダ』を出品した際、味の評判は大変良かったのだが“漬物とは言い難い”との評価があり受賞を逃した。ならば本当にご飯に合う漬物を作って見返してやろうという思いで生まれたのが『まぜちゃい菜』だ。主原料の日野菜は県の特産品。それまで根茎の部分のみ使われており、葉も有効活用する狙いがあった。今で言うSDGsにも合ったコンセプトだ。醤油ベースに食欲を刺激する唐辛子のピリ辛味、そして日野菜のシャキシャキ感を活かした。テレビ出演の際にもご飯に合うこと、アレンジもしやすいことを評価して頂いている」
‐「まぜタル」もテレビ出演した。
 「『まぜちゃい菜』のアレンジレシピをお客様から教えて頂く中で、人気があったタルタルソースを商品化したものだ。こうした商品を我々から提示することが、漬物は自由に食べて良いとさらに多くの方へ気づいてもらうきっかけになると思う。現在は『まぜちゃい菜』ともう一つの滋賀県名産品を組み合わせたコロッケを開発中だ」
‐漬物以外の商品も多彩だ。
 「それぞれ専門の職人が付き、製造している。赤こんにゃくをかつお節ベースのタレで炊き上げた『あかこん』は究極のおせちの一品としてテレビで紹介いただいたようにこだわった商品を作っている。当社は創業時から鮒ずしと千枚漬作りを続けており、野菜や魚、出汁、発酵等への理解が今の商品開発にも繋がっている。滋賀ならでは、当社ならではの商品開発を今後も続けていきたい」
【2022(令和4)年7月11日第5099号4面】

丸長食品HP
まぜちゃい菜(袋)
あかこん
大鮎の炊き込みご飯の素

7月1日号 愛知特集 会長に聞く

公益社団法人愛知県漬物協会 会長 山田 謹一氏

日本一の漬物屋に
「洋漬物」で新たな市場を創造

 公益社団法人愛知県漬物協会の山田謹一会長(株式会社若菜会長)にインタビュー。漬物グランプリ2022(主催:全日本漬物協同組合連合会)で同社の「真鯛のミルフィーユ」がグランプリ(農林水産大臣賞)を受賞したことや積極的に展開している「チーズの漬物」などについて話を聞いた。全漬連の副会長も務める山田会長は、消費の幅を広げるため「洋」に合った漬物の開発や提案の重要性を強調した。
(千葉友寛)
◇   ◇
 ―漬物GPでは御社のGP受賞をはじめ、愛知県の5社が金賞以上を受賞した。
 「弊社の商品をはじめ、愛知県の漬物が評価されたことを嬉しく思っている。愛知県は奈良漬から沢庵まで、作っている漬物の幅が広い。そのような意味でも多くの漬物が目に留まったと考えている。賞を狙ってエントリーしたわけではないのだが、グランプリを受賞させていただいたことで社員のモチベーションがアップし、大変ありがたく思っている。日頃から社員には規模は小さいけど、品質や味は日本一を目指してやっていこう、と言っていて、今年は胸を張って日本一と言えるようになった」
 ―GP受賞の反響は。
 「おかげさまで5月から注文が増えている。だが、弊社は多品目生産を行っているのでGP受賞の商品だけを作るわけにはいかない。『真鯛のミルフィーユ』は週1回の仕込みで限定販売している」
 ―自社製造のこだわりについて。
 「弊社は7割が自社製造で、残りの3割が仕入れ商品となっている。効率を考えれば仕入れ商品の方が良い部分もあり、数量が多いものは仕入れ商品で対応している。百貨店の店舗では約100品目用意する必要があり、自社製造の商品で全てをカバーすることはできない。それでも、仕入れ商品については割合を増やしていくことは考えておらず個性を出しながらこだわった商品を作り上げていくことをテーマとしている」
 ―チーズの漬物が人気となっている。
 「少し前に北海道の帯広の近くにあるチーズ工場を視察させていただいた。チーズはヨーロッパが本場だが、現在は国産のチーズがヨーロッパで賞を取るようになっている。日本のチーズはレベルが上がっていて、日本の食のレベルの高さに改めて感銘を受けた。美味しいチーズの特徴は食べ飽きないこと。本当に美味しいものは朝、昼、夜食べても飽きない。漬物業界においては、米離れが進む中で和食だけに頼っていても消費の幅が狭まってしまう。洋の部分も摂り入れて新しい食べ方や市場を創造していくことが重要だ」
 ―業界の課題は。
 「何と言っても値上げだろう。原料価格だけではなく、包装容器、調味料関連などの製造コストが上がっていることに加え、物流費、燃料、電気代も上昇している。感覚的には10%~15%くらいの値上げは消費者も認めてくれると思うが、20%以上上がると買い控えになる。弊社では3月に納品する商品も含めて全体の3分の1程度の商品を対象に値上げを行った。売れる商品は変わっていくと思うし、売り方も変わっていく。商品に付加価値がなければ残ることが難しい状況になってくるだろう」
【2022(令和4)年7月1日第5098号4面】

7月1日号 奈良漬特集 この人に聞く

盛田株式会社 営業本部食品事業部副事業部長 東日本支社デイリーフード営業部部長 河野 秀生氏

9月より6%値上げ
猛暑で「土用の丑」伸長予想
盛田株式会社 営業本部食品事業部副事業部長 東日本支社デイリーフード営業部部長 河野 秀生氏
 忠勇ブランドで奈良漬の製造販売を行う盛田株式会社では「あっさり味なら漬胡瓜」や「伝統製法なら漬」といった製品を売場で展開する。7月23日“土用の丑の日”商戦の見通しや奈良漬製品のトレンドについて、営業本部食品事業部副事業部長東日本支社デイリーフード営業部部長の河野秀生氏に聞いた。
(藤井大碁)
 ―奈良漬製品の動向。
 「近年、家庭用については巣ごもり需要の影響で堅調に推移してきたが、外出制限の解除と共に、売上は減少傾向となっている。ただ弊社においては、『あっさり味なら漬 胡瓜』が引き続き伸長しており、他の製品の落ち込みをカバーすることで、奈良漬製品全体の売上は前年を上回って推移している」
 ―「あっさり味なら漬胡瓜」が人気だ。
 「売場が広がり続けており、おかげ様で単品4億円の売上が視野に入ってきた。酒粕の香りを控えた甘めの味わいや、漬物の中でもポピュラーな野菜である胡瓜を使用していることなどが人気の理由だと分析している」
 ―値上げの状況。
 「奈良漬製品は9月1日出荷分より一律で6%の値上げを実施する。砂糖、重油、電気代、包材などあらゆるコストが上昇しており、海外原料に関しても為替の影響を受け、大幅なコストアップが見込まれる。量目調整は包材のロスが著しく、SDGsの流れに逆行してしまうため、環境配慮の観点からも、今回は実質値上げを進めていく」
 ―「土用の丑」商戦。
 「今年は鰻が若干高いようだが、猛暑が予想されており、売上は伸びると予想している。弊社では土用の丑の日に合わせた昨年6~7月の出荷額が、コロナ前の2019年と比較して115%と拡大しており、今年もさらに10%程の上乗せを目指す」
 ―消費者ニーズ。
 「外食でお金を使わない分、ちょっぴり贅沢な商品が好調に推移している。奈良漬もこの流れを受け、国産原料を使用して漬け方にこだわったものなど高質な商品がコロナ前より支持を集める傾向にある」
 ―今後に向けて。
 「まだ弊社のラインナップにない即食性の高いカップ容器のスライスタイプの商品を開発していく。土用の丑の日だけでなく、年間を通して定番品として提案することで、トライアル層にも手軽に奈良漬を手に取ってもらい、結果的にブロック物も売れる流れを作っていきたい」
【2022(令和4)年7月1日第5098号7面】

盛田 HP

五味商店(千葉県) 第17回こだわり商品展示会 7月20日に浜松町で開催

 「安全安心」「美味しい」「本物」「健康」といったテーマで全国から厳選した“こだわり食品”を有名百貨店や高質スーパーなどに納入する株式会社五味商店(寺谷健治社長、千葉県我孫子市)は、7月20日に東京都港区の東京都立産業貿易センター浜松町館にて「第17回こだわり商品展示会」を開催する。コロナ禍の影響により同展示会の開催は2019年以来3年ぶりとなる。寺谷健治社長に今回の見どころや消費動向の変化について聞いた。
(藤井大碁)
―こだわり食品の動き。
 「おかげ様で好調に推移している。3月決算は売上が前期比2桁増で着地した。今年のゴールデンウイークは外出制限が解除されたこともあり苦戦すると予想していたが、売上は落ち込むことなく、4月・5月も前年比105%と伸長している。コロナ禍でお金を使う機会が少なく、個人所得は減っているが個人資産は増えている。旅行や外食などにお金を使わない分、ちょっぴり贅沢なこだわり食品へのニーズは高まり、食に対する価値基準が変わった。食べ物に関しては一度美味しいものを食べてしまうと、品質を下げることが難しく、以前の食生活に戻れなくなるという側面もある。それが4月・5月に売上が減少しなかった理由ではないだろうか。値上げが続いている中での、売上増に驚いている」
―消費動向について。
 「節約できるところは徹底的に節約し、自分が食べたいものは少し贅沢しても食べるという消費形態が浸透している。十人十色の考え方であれば、可処分所得が減る中で、こだわり食品の需要がシュリンクしていくと考えられるが、今の消費スタイルは”一人十色”と言えるもので、消費者の一人ひとりが、節約と贅沢を両立するようになったと推測している」
―どのような販路が伸びているか。
 「特に雑貨店向けの売上が伸びている。近年、食品を取り扱う雑貨店が増えており、売り先が広がっている。こうした店舗では、アフターコロナに向け、ネットとリアルの激しい競争が予想される中、リアル店舗に呼び込むための仕掛けとしてこだわり食品の品揃えに力を入れている。また価格より品質を重視するスーパーマーケットも増えてきており、そうした店舗へのこだわり食品の納入も増えつつある」
―「こだわり商品展示会」の開催は3年ぶりとなる。
 「来場者も出展企業もリアル開催を待ち望んでいる。2月のスーパーマーケット・トレードショーも、首都圏からは来られたが、地方からは来られなかった方も多く、久しぶりに全国から多くの方に来てもらえる展示会になる。今回は会場が東京駅の丸ビルから浜松町の産業貿易センターに変更となり、新しい会場で皆様の来場をお待ちしている」
―今回の見どころ。
 「行政との取組に注目してほしい。111社が出展する中、三重県の尾鷲市や鹿児島県の指宿市など、我々と行政のコラボは、中小企業基盤整備機構のブースも含めると約30社に及ぶ。地方の人口減少が進む中、”地産外商”は地方の食品メーカーの重要なテーマとなっている。だが、そのために何をしていいか分からない、という経営者は多く、首都圏で市場を開拓するための手段として、我々を使ってもらう。まずは、地元でしか商売をしていなかった事業者が、展示会に出展することで、県外にも市場があるということを肌で感じてほしい。経営者のマインドを外向きに変えることが、我々の最初の目標だ。最終的なゴールは、首都圏に販路を広げることで売上を拡大し、製造ラインや工場の増設に繋げること。それにより地元の雇用を拡大し、地域活性化に繋げていく。既に展示会出展者にこうした成功事例があり、今後も行政と一体となり取り組んでいく」
―今後について。
 「県民割りなどが始まり人の流れが活発になっており、内食需要は減少していくと思うが、前述したような消費形態の変化もあり、ライフスタイルがコロナ前に戻ることは考えられない。美味しいものを食べたいというのは、人間の求める生理的な欲求の一つなので、それを満たすだけの商品をしっかり供給していく。また供給するだけでなく、その商品の価値をどのように料理すれば生かせるか、というところまで落とし込んで提案していくことが大切だと考えている」
【2022(令和4)年7月1日第5098号8面】

電子版 地域セレクション特別会員

「惣菜管理士」30周年 記念インタビュー

一般社団法人日本惣菜協会 専務理事 清水 誠三氏

【第2回】惣菜市場は前年比3%拡大 『総惣菜化』など5つのトレンド
 一般社団法人日本惣菜協会(平井浩一郎会長、東京都千代田区)では「惣菜管理士資格試験制度」が今年7月に創設30周年を迎える。それを記念して、本紙では、「惣菜管理士30周年記念インタビュー」として3回シリーズで、同協会の清水誠三専務理事にお話を伺う。第2回目のテーマは「惣菜市場について」。日本惣菜協会では6月1日に、惣菜の業態別市場規模や消費者動向などを調査する「2022年版惣菜白書」を発刊。今回の調査結果から算出した2021年の惣菜市場規模は、前年対比103%の10兆1149億円となり、コロナ禍の影響を受けて、11年ぶりに前年を下回った昨年からは回復したものの、2019年対比では98%に留まった。清水専務理事は、近年の惣菜市場の変化について『総惣菜化』など5つのトレンドを挙げ、即食をテーマにさらに市場が拡大していくという見解を示した。
(藤井大碁)
◇    ◇
 ―最新の惣菜市場規模が発表となった。
 「2021年の惣菜市場規模は前年比103%となり、2年ぶりに大台となる10兆円を回復した。2020年は前年比95・2%とコロナの影響を受け2009年以来11年ぶりに前年を下回ったこともあり、まずはこの結果にほっとしている。10年前の2011年比で見ると食市場全体は103・3%で推移している。コロナ禍により外食市場が79・7%と10年前に比べ大幅に縮小する中、惣菜市場は121%と順調に拡大している」
 ―業態別の推移。
 「全業態で前年をクリアしたものの、明暗が分かれている。顕著なのは食品スーパーの好調ぶりで、コロナ前と比べ大きく構成比を上げている。食品スーパーは、コロナ初期こそ感染対策のための客数減などにより惣菜売上が苦戦したものの、その後回復。他の業態が全て前年を下回る状況となった2020年に関しても100・8%と唯一前年を上回り、2021年も前年比106・6%と大きく伸長している。一方、コロナ禍により大きな打撃を受けた百貨店やコンビニは徐々に売上が回復しているもののコロナ前には届いていない。全体的には、外食を控えている方がまだ多く、外食マーケットの一部が惣菜へシフトしていることもあり、惣菜への注目度や消費者の利用度は高まっている。今後、インバウンドを含めて観光客が増加していけば、全ての業態で売上はさらに回復していくのではないか」
 ―近年の惣菜市場の変化。
 「コロナ禍の影響もあり惣菜市場は目まぐるしく変化しているが、大きく分けて5つのトレンドがあると分析している。1つ目が『総惣菜化』だ。現在、惣菜売場の強いスーパーは売上が好調な傾向にある。その中で見られるのが、即食性の高い商品をどの売場においても販売する流れだ。鮮魚売場ではアジフライや鮭弁当、精肉売場ではサイコロステーキやローストビーフ、青果売場ではカップサラダやカップフルーツといった具合に、それぞれの売場で即食をテーマにした商品ラインナップが広がっている。2つ目が、『冷凍食品の伸長』。保存が効き、食べたいときにすぐ食べられる利便性に加え、近年の味わいの進化もあり、需要が伸びている。3つ目が『外食のフードデリバリー、テイクアウト、キッチンカー』。コロナ禍により、外食が中食に大きくシフトし、このカテゴリーが拡大している。4つ目が『Eコマース、宅配サービス』。オイシックス、ヨシケイ、生協といった食品宅配事業者の存在感が高まった。素材だけでなくミールキットや冷凍食品の販売も好調に推移している。5つ目が『異業種の参入』。無印良品がスーパーを展開し食品や惣菜を販売し始めた他、健康食品で有名な世田谷自然食品も冷凍惣菜の販売を始めるなど、新しい事業者の参入が目立っている」
 ―消費者動向について。
 「惣菜白書の調査によると、消費者が惣菜を購入する際の選択基準は、一番目が美味しさ、二番目が価格となっており、いくら価格が安価でも美味しくないと支持を得られないということが分かる。特に、鮮度の良さや材料の良さなど食材の品質を重視する消費者が多い」
 ―惣菜市場の展望。
 「年収別の中食、外食の利用率データを見てみると、年収の低い層は外食の利用率が低いが、中食は年収の多い少ないに関わらず利用率があまり変わらない。このデータからも、中食が国民全体の食生活に浸透していることが分かる。先ほどお話しした総惣菜化の流れもあり、即食というニーズに支えられ、中食市場はまだまだ伸長していくと考えている。現在、外食のフードデリバリーやテイクアウトといった業態については、惣菜白書の市場規模には含まれていない。そういう意味では、惣菜白書で捉えきれていない中食マーケットについても間違いなく拡大していると言える」
 ―今後求められていく惣菜。
 「高齢者が増加する中、惣菜を利用する理由の一つとして経済合理性が挙げられる。家族が多いと素材から作ったほうが安いが、2人住まいであれば、買ってきた方が安いというのが実情だ。こうした理由から惣菜を購入される方の中には、毎食惣菜を購入したいという方もいる。だが個人的には、現在の惣菜は毎食食べるには味が濃すぎると考えている。家で作る惣菜には、完全には代替ができない。今後に向け、毎日、毎食でも食べられる優しい味わいの『ケの惣菜』が開発されることを期待したい。家庭内でご飯を炊く機会が減る中で、こうした惣菜や弁当が登場することにより、ますます惣菜市場の拡大が見込めるのではないだろうか」
【2022(令和4)年6月26日第5097号2面】

6月26日号 山陰特集 トップに聞く

宝福一有限会社 代表取締役社長 髙野 昌康氏

ラベル傾きも妥協せず
地域密着で真のブランド確立
 宝福一有限会社(鳥取県倉吉市)の髙野昌康社長にインタビュー。高野社長は、宝福一が株式会社大物のグループに参画した2019年に社長就任。その直後にコロナ禍に見舞われることとなったが、この期間を活用して宝福一のブランド育成を目指し品質向上や、SNSや各種メディアによる情報発信を強化。成果を上げつつある。
(小林悟空)
◇    ◇
 ―コロナが発生し2年半が経つ。
 「土産の売上構成比が大きい会社だったためコロナの影響は大きく、行政の補助金を受けて何とか乗り越えられたのが正直なところ。しかしそのお陰で、宝福一の強みと課題点を見つめ直し、改善に取り組む時間が得られた。無駄の削減、IT導入による作業効率改善、ブランド育成へ、社員全員を巻き込んで取り組むことができた」
 ―ブランド育成について。
 「第一に品質向上。商品をどこで、誰に、どのように買って頂きたいかを考え、それに見合った品質を目指した。看板商品に育ちつつあった『福ノ誉シリーズ』はラベルシールの傾きにまで気を配るように徹底した。細かいことだが、これでようやく鳥取県内の土産に留まらず、都市部のセレクトショップや、ギフトとして販売するにふさわしい商品になれたと思う」
 ―情報発信にも取り組まれている。
 「地域で愛される企業を目指し、SNSや動画サイトで日々の会社の様子を発信し始めた。地元新聞での発信も増やしている。また当社は小ロットでのOEM対応が得意なので、個人経営の飲食店様などとの取引も増やした結果、これが口コミを呼び地元事業者とのコミュニケーションが増えた。地域密着企業であることが真のブランドを作り、他府県での販売にも良い影響を与えてくれる」
 ―価格改定も進めている。
 「この2年間にも商品ごとに適正価格を追求し価格改定、規格変更を行ってきた。今回のインフレには秋頃に対応していく予定だ。とはいえ、ただ値上げをするだけではお客様の理解を得られないので品質向上も同時に進めている。その一例が、『プレミアム健康酢』のリニューアル品として発売した『飲むお酢』。リッチな果汁感と飲みやすさで、従来以上の売れ行きとなった」
 ―大物との相乗効果は。
 「宝福一は非常に魅力的な商品を作っていたが後継者が不在で、縁あって大物グループに参画した。大物としての販路を活かし、宝福一の商品をもっと広く販売していくこともできるはずだ。また宝福一の運営を通して得られたメーカーとしての知見は、大物にとって貴重なものとなっていきそうだ」
【2022(令和4)年6月26日第5097号7面】

宝福一 HP

6月26日号 徳島特集 理事長に聞く

徳島県漬物加工販売協同組合 理事長 田中 民夫氏

野菜契約価格を引き上げ
重要度増す国産野菜の一大産地
 辰巳屋食品株式会社(板野郡藍住町)の田中民夫社長にインタビュー。辰巳屋食品は現在①農業、②一次加工原料の卸、③奈良漬や千枚漬・菊花蕪漬等の製造、と3事業を柱とした安定経営を進めており、特に奈良漬は宮内庁献上の実績を持ち、巣ごもり消費を受け販売を伸ばした。徳島県漬物加工販売協同組合理事長としては生産農家と漬物メーカー、双方の立場から価格見直しの必要性を指摘するとともに、県全体で原料の安定供給を目指すため組合事業の多角化について考えを語った。
◇    ◇
 ―徳島の農業について。
 「生産農家の高齢化や後継者不足はやはり問題となっていて、その最大の原因は価格だと思う。瓜などの漬物原料は大半が契約栽培となっているが、契約価格が十年以上あまり上がっていない。その一方で塩や肥料、資材は年々値上がりしており生産農家は利益を得づらいのが現状だ」
 ―今年は値上げの年となっているが。
 「生産農家との契約価格を引き上げた。また当社から出荷する一次加工原料や完成品は野菜価格に加え、調味料や物流コストの上昇も乗ってくる。価格見直しは検討しなければいけない」
 ―今年の奈良漬の見通しは。
 「コロナが落ち着いてきて業務筋からの注文が増えていること、また昨年が不作だったことから、今年は瓜、胡瓜ともに作付を増やしている。海外旅行の回復はまだ先だろうが、その分国内旅行が活発になってきているので期待したい」
 ―通販やSNS発信を強化されている。
 「令和元年に奈良漬を宮内庁へ献上したことをきっかけに、以前は業務筋への出荷が多かったが、徐々に自社ブランドを強化している。通販やふるさと納税、量販店への出荷が増えたことで、消費者の声が直接届くようになり、改めて自分の仕事に誇りを感じている」
 ―農業、原料卸、メーカーのバランスは。
 「3つ全てを全力で取り組むのが当社にとってベストと感じている。柱を3本持つことは経営的に安定するだけでなく、仕事量を年間通して平準化することにも繋がる。夏は瓜の収穫時期と、土用丑や中元による奈良漬の出荷最盛期が重なる。冬は千枚漬・菊花蕪漬がある。一方で春と秋は漬物メーカーにとっては稼働率の谷となりやすい時期なのだが、当社の場合は農業へシフトすることで安定して仕事がある」
 ―組合事業について。
 「資材の共同購入や、外国人技能実習生の受入事業など、実効性のある事業が脈々と受け継がれてきた。これをさらに推し進め、得意分野ごとに分業体制を築いたり、物流の共同化を図ったりと、原料の安定供給に貢献できる事業も検討していきたい。まずは、組合内の情報交換の促進が第一歩だ」
 ―国産原料の重要度は増している。
 「徳島漬協加盟者の多くが農業やその一次加工に関わっている。漬物だけでなく惣菜など様々な用途に使われており、日本の食文化の縁の下の力持ちだ。我々が安定供給を実現していくことは徳島全体のイメージアップとなり、生産農家の収益確保、野菜の国内自給率改善へも繋がっていくはずだ」
【2022(令和4)年6月26日第5097号8面】
 

6月11日号 酢漬特集 トップに聞く

株式会社みやまえ 代表取締役社長 宮前 有一郎氏

7月から価格改定宣言
品質とサポート力で付加価値

 生姜の総合メーカーとして全国でトップクラスのシェアを持つ株式会社みやまえ(奈良県生駒郡平群町)の宮前有一郎社長にインタビュー。宮前社長は日本漬物産業同友会の立ち上げに尽力し初代会長を務めるなど漬物業界を牽引する存在として信頼を集めている。5月に実施された情報交換会では、7月からの値上げを宣言。今なお円安やコスト上昇が継続する中、品質とサポート力を強みに、価格以上の価値を提供していく戦略を語る。
(小林悟空)
◇   ◇
 ーー同友会会長を2期4年間務められた。
 「日本漬物輸入事業協同組合の解散時に、任意団体として同友会を立ち上げて活動存続を呼びかけ、会長を務めることとなった。後半2年間は新型コロナがまん延し、他団体の活動が軒並み制限された中、オンライン会議をすぐに取り入れ情報共有の場を提供できただけでも、同友会の存在意義は示せたと思う」
 ーー情報交換の重要性。
 「我々メーカーは、取引先とのやり取りだけでは情報が偏ってくることがある。産地の情報は正しいのか、原料の仕入れ価格が相場に合っているか、経営者として何に取り組むべきか、必ず直面する悩みだ。同業者とコミュニケーションを取ることが出来れば自分の立ち位置を認識し判断の材料が得られる。遠藤新会長には、情報共有はもちろん、業界活性化へ向けた取組を期待したい」
 ーー情報交換会で7月からの値上げを発表された。
 「調味料、包材など各種資材コストの上昇があり、企業努力で吸収することが不可能と3月時点で判断した。7月からの値上げを案内し大半は了承頂けた。ところが、資材コストの上昇は4月以降も続き、急激な円安も発生した。そして今年度産の生姜原料は中国、タイともに作付けが減り、肥料等の高騰を受けて高止まりする見通しと、値上げを完了しても厳しい状況となってしまった」
 ーー価格以外の強みが求められる。
 「商品自体の品質と、生姜の総合メーカーならではのきめ細かいサポート力の2点をお伝えするようにしている。当社が主に使用するのは中国南部やタイ産原料であり、これらは日本で古来から栽培していた品種に近く、辛みがマイルドで柔らかい。買付時期も他メーカーより早く設定しており、繊維質が少なく漬物用に適した原料を確保できるルーチンを組めている。商談の際にはブラインドテストを行い、品質の差を実感していただいている」
 ーーサポート力について。
 「一つが安定供給。今回、海上輸送が不安定になり、海外完成品を扱う商社などは欠品を起こしたが、当社の場合は在庫を国内に確保しているため基本的にその心配はない。もう一つは小回りが利くこと。味付けやカット形状、包装形態など得意先の要望に応えられる。また惣菜や練り物など他業種のメーカーへの納入も多いのだが、その際には紅生姜の色止めなどを求められることもある。そうした専門性の高い要望へ応えられるのは当社の強みだと感じている」
 ーー今後の方針は。
 「生姜を軸として、漬物に限らず幅広い商品を提供する。OEMも活用していく。その一つが2013年に発売した『冷凍刻み生姜』。1本1本を個別急速冷凍しているため調理の手間を削減でき、中外食業界でご利用頂いている。他にも機能性を高めたおろし生姜や粉末生姜など着手している。これまで培ってきた生姜に関する知見と販路を活かし、ビジネスチャンスを見出していきたい」
【2022(令和4)年6月11日第5096号6面】

みやまえ HP

6月11日号 わさび関連企業特集 理事長に聞く

静岡県漬物商工業協同組合 理事長 望月 啓行氏

オンリーワン商品で差別化
「かつおのUMAMIわさび」が金賞
 静岡県漬物商工業協同組合の望月啓行理事長(田丸屋本店社長)に商品動向や今後の展望についてインタビュー。望月理事長は、コロナ後に向け、観光販路以外の売上比率上昇やオンリーワン商品の開発などに取り組んでいく必要性を語った。
(藤井大碁)
 ーー商品動向について。
 「コロナ禍により観光販路は大きな影響を受けた。ようやく感染状況が落ち着き、人が出始めてはいるが、弊社ではバス旅行の売上が大きかったため、そこが戻らなければ本格的な回復は見込めない。バス会社の企画が回復するまでにはまだ数カ月の時間が必要だろう。駅や空港などの交通販路も回復傾向にはあるものの、コロナ前の状況には戻っていない。この先も完全に売上が戻ることはなく、戻っても8割程度だと考えている。また小売店向けの売上に関しても、巣ごもり需要が落ち着き、前年比でみると厳しい状況にある。観光販路の売上がコロナ前に戻らない中、小売店を含めてそれ以外の売上構成比をどう高めていくか考えていかなければならない」
 ーー具体的な施策は。
 「もう一度、自社の強みと付加価値を整理して、それに応じた新商品を開発していく。あえてマーケットを絞り、何かしらに特化した形で商品開発を進めて、他のメーカーとは違ったオンリーワン商品を発売することで差別化を図っていく。もう一つは、販路の構成比を見直していく。業務用の売上比率を伸ばすための取組などを行っていきたい」
 ーーアウトドアに特化した新商品「WASABBQ(ワサビービーキュー)~太陽と青空のわさび~」の売行きが好調だ。
 「“キャンプ食”というトレンドに合わせて、ターゲットを明確化したことがヒットに繋がったと考えている。アウトドア用品店などこれまでなかった売場にも販路が広がっている。ここまでトライアル層の獲得はうまくいっているが、今後リピーターになってもらえるよう努力していかなければならない」
 ーー漬物グランプリ2022にて「かつおのUMAMIわさび」が金賞を受賞した。
 「『かつおのUMAMIわさび』は、わさびを日常的に食卓で楽しんでもらえるようご飯との相性の良さを追求して開発した商品だ。問屋さんから受賞商品をまとめて量販店向けに提案したいというお話も頂いている。受賞商品の売上が伸びれば漬物グランプリの価値も上昇していくと思うので、今後の売上増に期待したい」
 ーー「静岡県の持続的なわさび産業振興」に関する連携協定を締結した。
 「NTT西日本、鈴生、田丸屋本店の3社が連携し、畑わさびの生産量を増やしていくための取組がスタートした。水わさびは環境面で生産量を拡大していくのは容易ではなく、既存のマーケットを維持しながら、新しいマーケットをつくろうという取組だ。ICTのプロであるNTT西日本、農業のプロである鈴生、ワサビのプロである田丸屋本店が組み、新しいマーケットをつくり、長期的に静岡県のわさびマーケットを拡大していくことを目指していく」
 ーー今後に向けて。
 「様々な事がコロナで変わった。PDCAの回し方や、付加価値の付け方、提案の仕方などもコロナ前と大きく変わっている。幸いなことに食は無くなることのない業態だと思うので、コロナで確立された方法論を捉え、新しい取組を進めていきたい」
【2022(令和4)年6月11日第5096号10面】

静岡県漬物商工業協同組合 HP
田丸屋本店 電子版Web展示会

「惣菜管理士」30周年 記念インタビュー

一般社団法人日本惣菜協会 専務理事 清水 誠三氏

【第1回】惣菜製造業のAI・ロボット化 日本が誇る惣菜文化を未来へ
 一般社団法人日本惣菜協会(平井浩一郎会長、東京都千代田区)では「惣菜管理士資格試験制度」が今年7月に創設30周年を迎える。それを記念して、本紙では、「惣菜管理士30周年記念インタビュー」として3回シリーズで、同協会の清水誠三専務理事にお話を伺う。第1回目のテーマは「惣菜製造業のAI・ロボット化」。日本惣菜協会では、2021年9月に、経済産業省が推進する「令和3年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」に事業の代表として採択され、15社の協力企業とともに、ロボット・AI・量子コンピューターの現場導入に取り組んでいる。清水専務理事は、将来的にロボット1台あたりの価格を下げることにより、惣菜業界に広くロボットを普及し、人手不足などの課題を解決することで、日本の惣菜文化を未来に繋いでいくビジョンを語った。
(藤井大碁)
◇    ◇
 ーロボット事業を実施することになった背景。
 「2020年に協会会員向けに実態調査を行ったところ約250社から回答が得られ、惣菜業界が対処すべき課題が浮かび上がった。労働人口の減少、見込み生産によるロスの発生、外国人や高齢者中心の労働環境など、その課題は様々で、マーケットは伸長しているものの、課題も多いのが現在の惣菜製造業ということが明らかになった。惣菜製造業は労働集約型であり、人材確保に苦慮しているため、デジタル化を推進することによりこうした課題を解決していこうという流れの中、AI・ロボット化推進に向けた事業を行うことになった」
 ー経済産業省と連携したプロジェクトがスタートしている。
 「2020年度に、ロボットが稼働しやすい環境、〝ロボットフレンドリー(ロボフレ)な環境〟の実現にあたり組成された予算事業『革新的ロボット研究開発等基盤構築事業』の食品分野の分科会(食品TC)に協会が参画させて頂き、活動を行ってきた。2年目に現状の課題について発表を行ったところ、公平性が担保でき、業界全体に影響力が出てくるということで、2021年度より、協会が補助事業の幹事を務めることになった。現在、惣菜盛付ロボットシステムの開発、量子コンピューターによる惣菜作業者シフト計算の実用化開発などを進めている。日立製作所やキユーピーで活躍した技術者の荻野武氏がAI・ロボット推進イノベーション担当フェローとして協会に加入し、プロジェクトの陣頭指揮を執っている。荻野氏が提唱する『One for all, All for one』や『利他の心』という理念の下、食品TCに加入する様々なメーカーが志を一つにして、業界貢献のために取り組んでくれている」
 ー具体的にどのような作業をロボットが行うのか。
 「国内で食品製造業に従事している方は130~150万人とされているが、その中で盛付に従事している方は約半分の60万人に及ぶ。これをなんとかしていきたいと考え、2種類の盛付ロボットが既に4社(マックスバリュ東海、ヒライ、イチビキ、藤本食品)の現場にテスト導入されている。ロボットは、一般的に、導入される現場に応じてカスタマイズする必要がある。だが、そうすると2000万円を超えるような高額なものになってしまい、とても中小の惣菜企業が導入できるような価格には収まらない。これを今回参画している15社が共同開発し、またロボフレな環境を整えることで標準化し、ロボットの販売量を増やすことで価格を下げ、中小企業が無理なく導入できるような価格でロボットを供給することを目指している。今回は経済産業省の補助事業なので、協会や惣菜業界だけが恩恵を受けるだけではダメだと思っており、惣菜業界以外の食品メーカー様、漬物メーカー様でも使えるようであれば、どんどん使って頂きたい。それにより受注台数が増えれば、ロボットの価格が下がっていく。最終的には、1台500万円でロボットを販売することが目標だ。補助事業の期間は5年間なので、あと3年以内に食品業界に広く導入できるよう取り組んでいく」
 ー量子コンピューターによるシフト計算。
 「もう一つの補助事業が、量子コンピューターによるシフト計算だ。複雑な従業員のシフト計算は多くの業界にとって悩みの種になっている。数百人規模のシフトの最適化を現存のコンピューターで行えば、数十年、数百年かかるものが、量子コンピューターであればわずか数分でできる。シフト計算は現在5社が導入している。またそれに付随して、何をどれだけ生産するべきかという需要予測のシステム開発にも取り組んでいる。需要予測は様々な業界のデータを取り入れ、どこでも使えるシステムを目指しており、実用化できれば食品ロス削減にも大きく貢献できるものと考えている。その他にも、中小企業庁のものづくり補助金事業を活用し、協会会員企業30社を対象に課題解決を支援する取組も並行して行っており、工場をデジタルで分析して効率化を図る〝デジタルツイン〟の運用などもスタートしている」
 ーロボット導入の課題。
 「日本人の美的感覚は研ぎ澄まされており、惣菜や弁当の盛付にも一定の美しさが求められている。だが、現在のロボットの盛付は残念ながらそこまでのレベルには達していない。それがエシカル消費の浸透などでどこまで許容してもらえるようになるか。ロボットの盛付のレベルも今後上昇していくと思うので、どこかで合致点が見つかることを期待している。またヒライでは、ロボットが盛付しやすい大振りな具材を詰めた〝ロボフレ弁当〟を開発した。今の弁当がそのままロボット化されるイメージではなく、まったく違った形でイノベーションが起き、ロボフレ弁当のようにロボットが簡単に盛付できる弁当が一気に普及するというイメージもある。もう一つの課題が、盛付のスピード。現在は安全基準が厳しく盛付スピードを上げることができない。生産性に合うスピードにどこまで追いついていけるかが課題となる」
 ーロボット導入には、ロボフレの考え方が重要とされる。
 「消費者の意識改革も大切だが、流通関係においても、番重や容器の規格を統一化することができれば一気にロボフレな環境が整う。惣菜の競争領域は、味や栄養分などの商品開発に絞り、それ以外の領域は、協調領域としていくことができれば、効率化が進み、環境にも優しく、SDGsの推進にも繋がる」
 ー惣菜製造業の理想的な未来。
 「AI・ロボット化によるメリットは、人手不足解消だけでなく、作業環境の改善や惣菜業界のイメージアップにも及ぶ。理想的な未来像は、ロボットと人が共存する製造現場で、揚げ物など危険が伴う調理場にはロボット、繊細な職人技が求められる調理場には人というような融合がベストではないか。ロボット化を推進し、惣菜業界の課題を解決することで、日本が誇る素晴らしいお惣菜の食文化を未来に繋いでいくことが最大の目標だ」
【2022(令和4)年5月21日第5094号3面】

5月21日号 資材機器特集 インタビュー

株式会社タカハシ 代表取締役 髙橋 晃氏

高い処理能力の裁断機
独自“垂直裁断方式”で著名

 食品用機械と設備の総合メーカー、株式会社タカハシ(東京都中野区)は、独自設計の“垂直裁断方式”による「タカハシ式高速裁断機」で著名である。その高い処理能力に加え、操作性、安全性、衛生面においてもワンランク上の作業環境を実現。漬物・佃煮・珍味をはじめ給食・食品・ペットフード・製薬業界まで、多方面で活躍している。同社代表取締役の髙橋晃氏に取引実績のある各業界の動向、課題などについて話を伺った。(文中敬称略)
◇   ◇
‐取引のあるカテゴリーの現状は。
 髙橋 ペットフード業界は元気がある。無添加の食材や健康バランスを考えた凝った商品など、かなりいい値段のする物も多い。人が食べる物と同じ切り方をするが、ユーザーによっては斜めに切ってほしいという要望もある。練り物のキャットフードの乾燥品は、焼く前に10㎜ほどに細かく裁断してほしいという要望があり、角切りの刃で裁断する。以前は手作業でやっていたものを機械で裁断することで、効率が良くなった。切る際に、粘度のある食材が刃に付かないように裁断するのは、これまでの経験上のノウハウが生きてくる部分だ。
 岩手・宮城の海岸端では、「三陸わかめ」ブランドで海藻を手掛けているメーカーさんも多い。漬物業界では、九州の沢庵や高菜漬のメーカーさんが堅調だ。その他では、食肉業界、ケーキやドライフルーツなどの菓子業界に導入実績がある。海外進出は、この2年間コロナでストップしてしまっているが、タイでソーセージやウインナーを加工しているメーカーさんへは何台か納入させていただいている。
 その他では、せんべいやあられなどの米菓業界に納入しているスライサー機のメーカーより、対応できない裁断の依頼が来ている。スライサーでは繊維質の食材は切りにくいため、垂直裁断の依頼が来ることもある。そういった機械メーカーの横の繋がりによって、お陰様で取引先が広がっている。
‐機械メンテナンス対応の課題は。
 髙橋 機械の動きを制御する電子部品は寿命が短く、ほぼ5~6年で部品交換を行わなければならない。ところが現行では世界的に電子部品が不足しており、注文してから納品まで半年ほどかかることもしばしばある。部品調達では、オーバーホールした際に出た部品を再利用するなどの対応を行っているが、なかなかうまくいっていない。
 顧客は機械が故障したり、調子が悪くなった時に連絡をくださるが、そこから交換部品を発注しても、何カ月も待たなければならなくなる。そうなると製造ラインが止まってしまい、ご迷惑をおかけすることになってしまう。
 そこで、メンテナンス契約を結んで定期的に訪問し、大きな故障になる前に機械をチェックする体制を作っていきたいと思っている。まず、関東エリアで始めて行きたいと考えている。
‐人手の確保について。
 髙橋 何年も前から恒常的な人手不足が続いている。工場内での製造員が足りずに、納期に時間がかかっているのが現状だ。東京都公認の人材募集サイトなども利用し、なんとか確保していきたい。
‐漬物の将来展望は。
 髙橋 漬物は料理素材としての利用度が高まっている。コンビニのサンドイッチやポテトサラダに、細かく切った沢庵が使われている。沢庵に限らず、カットの仕方で様々な食材としての使用法が考えられるので、「こんな切り方ができないか?」というアイデアがあればぜひ、相談していただきたい。
【2022(令和4)年5月21日第5094号5面】

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5月21日号 新社長に聞く

マルヤナギ小倉屋 代表取締役社長 柳本 勇治氏

食育型カンパニーに
伝統食材の素晴らしさ次代へ

 蒸し豆・国産蒸しもち麦・煮豆・佃煮の製造・販売を行う株式会社マルヤナギ小倉屋(柳本勇治社長、神戸市東灘区)は、27年社長を務めた柳本一郎氏が今年2月に会長へ就任し、新社長には副社長の柳本勇治氏が選任された。同氏は、日本初の蒸し大豆商品や、国産もち麦商品の開発・販売を主導してきた。多くの人に「食と健康に対する関心」をより高めてほしいと語る柳本新社長に新体制での取組について話を聞いた。
(大阪支社・高澤尚揮)
◇   ◇ 
 当社は、経済産業省が推進する健康経営優良法人の認定制度において、4年連続(大規模法人部門は2年連続)認定取得している。食を通じて人々の健康に奉仕するためには、社員自らが健康に関心を高めて増進する必要がある。
 すでに各種取り組み、社内の肥満率(BMI25以上)が大幅に改善した実績があり、近隣企業からの依頼で、当社の取組を講演でご紹介したこともある。2022年に注力したいのは、更なる健康経営と地域の健康増進だ。
 まず全社員の健康診断を9月までに行い、早期にフィードバックできるようにする。特に循環器疾患と糖尿病対策の強化を図り、具体的な数値目標としてLDLコレステロールと糖代謝の異常者数の10%改善を目指す。メンタルヘルスにも気を配り、ストレスチェックを全員に実施し、ストレスを比較的感じやすい中堅社員と若手社員における高ストレス者の割合をそれぞれ10%を目標に軽減したい。社内での成功事例を着実に広げていく方針だ。
 地域の健康増進については、当社で加工するもち麦は、兵庫県の加東市が主な生産地で、行政・JA一丸となって地域の名産化に取り組んでいる。もち麦の健康機能性の研究には、加東市役所の職員の方々にご協力いただいた。食育活動では毎年、現地の小学校でもち麦の生育と機能性について学習してもらい、給食でもち麦を使用した料理に毎月親しんでもらっている。
 現地でのPRは、市内のケーブルテレビで30分番組を放送していることもあり、同市のもち麦消費量は全国平均の4倍以上となっている。人口4万人の加東市の町全体の健康増進へ貢献し、さらには全国的にもち麦の消費量が増えるように仕掛けていきたい。
 当社のメインテーマは、「伝統食材の素晴らしさを次の世代へ」だ。創業社長が伝統食メーカーとしての礎を築き、現会長の柳本一郎が日配の販路を広げた歴史がある。
 私は3代目の社長として「新しい食の提案に取り組む食育型カンパニー」に成長させたい。伝統食品の素材の良さ、おいしさ、健康性といった素晴らしさを発信していきたい。
 昨年は、地元兵庫を代表するベーカリーの協力の下、もち麦を粉末化したもち麦粉でアレンジパンを作っていただく「ひょうごもち麦パンプロジェクト」を発足させた。地元産の原料を魅力に感じてもち麦パンを製造していただき、消費者からはもっちり食感が好評だったと聞く。
 4月には神戸市の元町にもち麦を使用したおこわ・おはぎの専門店「m’ocowa KOBE(もこわ こうべ)」をオープンさせた。おこわやおはぎは従来もち米で作るが、同店ではもち米ともち麦を半分ずつ使用している。食べ歩きも可能で、新しい食の提案の1つとして、利用者にもち麦を楽しんでほしいという思いを込めた。  
 チャレンジはまだまだ道半ばであり、事業づくりでは他社との「違い」をいかに生み出し、PRできるか常に考えている。健康経営や地域密着の取組が社員の採用や定着率に繋がっていると実感している。
 皆様のご支援を引き続き賜りながら、ご期待に応えられますよう更なる高みを目指して精進して参ります。よろしくお願いいたします。
【2022(令和4)年5月21日第5094号8面】

マルヤナギ小倉屋 HP

5月16日号 漬物の素・夏の甘酒特集 インタビュー

日本いりぬか工業会 会長 足立昇司氏

ぬか床はSDGsに貢献
地道な情報発信を続ける
 3月の総会で日本いりぬか工業会の会長に就任した足立昇司氏(株式会社伊勢惣専務取締役)にインタビュー。会の活動に向けて抱負を聞いた。足立会長は「ぬか床はSDGsの活動に貢献できる存在」と語り、情報発信の重要性を強調した。
(千葉友寛)
◇   ◇
 ―3月の総会で新会長に就任した。
 「諸先輩方のご指導、ご鞭撻をいただきながら事業を進めていきたいと考えている。どのような活動をやっていくのか考えていることもあるが、コロナの影響で今後の動きが読めない部分も多分にあるので、まずは総会で承認された議案を着実に進めていきたい」
 ―事業の具体的な内容について。
 「令和4年度の事業計画は、①関連省庁との関係強化、行政情報及び対応。②いりぬか製品の啓発及び消費者への普及促進活動の推進。③会員の事業に関する知識及び情報の提供。④関係団体との連絡協調。⑤工業会加入促進。⑥分科会(委員会)の設立による新組織体制の構築。⑦その他、全員参加型の工業会としていくことが確認され、具体的な分科会の内容などを協議していく。昨年まではコロナの影響で会の活動は休止状態だった。会の活動としては今年から再スタートになる」
 ―7年前に5月8日を「ぬか漬の日」に制定した。
 「ぬか漬の普及を目的にぬか漬の日を制定した。それから2年はイベントを開催したが、その後は途絶えてしまっている。今年は事業計画に組み込めなかったので、来年は消費者を巻き込んだ活動を実施したいと考えている。また、会でぬか漬をPRするプロモーション動画を作ったのだが、現在は見られなくなっている。動画にはストーリーがあって、ぬか漬とは?というところから、ぬか漬の漬け方など、一連の流れを映像で紹介する内容だったのだが、まだ途中までしか作ることができていないまま止まってしまっている。それも復活させてストーリーを完結させたいと思っている」
 ―動画などを通して消費者に伝えたいことは。
 「ここ数年、ぬか漬がブームになっている感もあるが、まだまだ知らない人やぬか漬をやったことがない人も多い。使い方が分からないと、いりぬかを購入してもそこで終わってしまう。これは私が考えていることだが、会に加盟している企業の商品に動画のQRコードがあれば携帯で動画を見ながらぬか漬を作ることができる。これを1社でやるとコスト負担なども大きいので、会としてやれれば良いと思っている」
 ―ぬか床は食品ロス削減にも貢献できる。
 「米ぬかの有効活用や残った野菜を捨てることなくぬか漬にして食べられること、発酵食品として健康に寄与できることなど、SDGsの活動に貢献できる存在だということを訴えていくことも必要だ。ありがたいことにぬか床やぬか漬がメディアで紹介される機会が増えているが、情報発信を続けていかないと取り上げられなくなる。ぬか床にはまだまだ注目される要素があり、やれることもたくさんあると思う。これからも地道な情報発信を続けていきたい」
【2022(令和4)年5月16日第5093増刊号4面】

伊勢惣 HP

5月6日号 キムチ浅漬特集 インタビュー

宮本社長
影山副社長

株式会社ピックルスコーポレーション 代表取締役社長 宮本雅弘氏 代表取締役副社長 影山直司氏

2023年2月期業績は減収予想
グループの競争力強化へ

 株式会社ピックルスコーポレーション(埼玉県所沢市)代表取締役社長の宮本雅弘氏と代表取締役副社長の影山直司氏にインタビュー。前期の決算や様々なコストが上昇し、あらゆる商品の値上げが相次ぐ中、2023年2月期連結業績予想などについて話を聞いた。
(千葉友寛)
◇    ◇
 ‐減収ながら過去最高の利益を達成した要因について。
 「原料が年間を通じて安定していたことが一番の要因。胡瓜製品については一部で値上げを行った。また、不採算な商品の見直しやアイテム数見直しによる生産の効率化の取組を行った。売上は秋口からキムチや浅漬の売れ行きが低調となったことなどで前年に届かなかった」
 ‐惣菜が10・8%増と伸びている。
 「コロナの影響で巣ごもり消費が増えて2年が経っている。家庭での料理疲れや簡便商品のニーズが増えてスーパー全体の惣菜も好調となっている。弊社はその流れに乗ることができた。キムチと浅漬は低調だが、主力商品なので商品開発を進めていく。浅漬は価格競争が起きていないが、その理由は無理して売場を取ろう、という動きがなくなってきているからだ。だが、キムチは価格競争という面もあり、少なからずその影響がある」
 ‐海外産原料(製品含む)と国産原料の今後の見通しは。
 「浅漬のオクラやブロッコリーは海外から輸入している冷凍野菜で、そういったものの価格は上昇していくと想定され、価格転嫁が必要になってくるだろう。その他、糖絞り大根は中国からの輸入で、影響が出てくると見ている。浅漬やキムチの国産原料は集中的な契約を止めて各工場の近隣で契約率を上げるように取り組んでいる。また、原料の安定調達や農業を通じた地域活性化への取組を目的に、今年3月に子会社でピックルスファームを設立した。野菜の研究などの取組を行い、美味しい野菜を、まずは自社工場、グループ会社向けに生産する。5反歩からのスタートだが、今後は勉強しながら耕作面積を増やしていく方針だ」
 ‐2023年2月期は減収を計画しているが、その理由は。
 「売上は約10%の減収を計画しているのだが、このうちの6%は収益認識に関する新しい会計基準の適用によるもので、実際には4%減の計画。4%減の理由は、巣ごもり需要からの反動減などの影響がある。値上げについては競合の動きや得意先によっても対応が変わってくるが、例えば『ぬか胡瓜』については、以前は3本入りでやっていたが、基本は2本にしている。また、グループ会社で製造している大容量商品も量目を減らすために規格変更を検討する。弊社の浅漬はカップを袋にしたり、180gを160gに変更することを検討している。いずれにしても根拠のある値上げだということをしっかり説明できれば、理解していただけると思っている」
 ‐9月1日(予定)に持株会社に移行する。
 「ピックルスコーポレーションには子会社があるが、親子の関係になっているため、子は親の目を気にして自由な行動が取りづらい環境になっていた。その関係を横並びにすることで切磋琢磨し、各事業社における意思決定を迅速に行える体制を整え、グループの競争力を高めたいと考えた」
 ‐SDGsの取組について。
 「弊社では子ども食堂への支援の他、環境に配慮した容器への切り替えなど、様々な取組を行っている。SDGsの取組はサステナブルな社会の実現に貢献できるだけでなく、企業のコストダウンにも貢献できる。例えば工場で使用する白菜は外葉を産業廃棄物として処理しているが、堆肥化するなど再資源化することができ、弊社も有効利用の手段を議論している。得意先である量販店もSDGsを掲げているので、商品を供給するメーカー側にもそのような活動を行うことが必然になってくる。その流れの中にはビジネスチャンスもあると見ている」
 ‐5月26日に社長就任が内定している影山副社長に抱負を。
 「厳しい環境の中でどう進んでいくか、ということをしっかり考えなければならない。SDGsの活動についても、小学生、中学生、高校生と学校でSDGsを学んだ方が消費者となっていくので、物事を判断する基準も変化していく。消費者や販売先にそのような部分でもアピールできるようにIR活動を進め、選ばれる企業になることを目指している。また、生産面では人が集まらない状況となっているため、機械化して作業効率を上げるなど、労働環境を整えていくことが重要だ。農業についても生産者の高齢化が進む中、大きくなった白菜や大根を収穫するのは大変なので弊社が収穫作業を請け負うなど負担を軽減し、高齢の方でも農業を持続していただけるサポート体制を構築していきたいと思っている。生産農家の方、お得意先、取引先の皆さんのご協力をいただきながら事業を行っていきたいと考えている」

2022年2月期決算説明会

冷凍食品の商品開発に着手
 ピックルスコーポレーションは4月22日、2022年2月期決算説明会をオンラインで開催した。
 当連結会計年度における売上高は450億600万円(前年同期比2・2%減)、営業利益は29億4200万円(同8・5%増)、経常利益は30億6800万円(同8・5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億2800万円(同16・2%増)となり、過去最高の営業利益、経常利益、純利益を達成した。
 2023年2月期連結業績予想は、売上高が407億円、営業利益が25億円(前年同期比15・0%減)、経常利益が26億3000万円(同14・3%減)、当期純利益が17億6000万円(同17・3%減)と約10%の減収を見込む。
 売上高は、収益認識に関する新たな会計基準を適用したことと、巣ごもり需要からの反動減の影響。営業利益は、減収計画や原料価格を例年の価格で見込んでいることから、減益を計画している。
 主力商品である浅漬とキムチの売れ行きが低調となっていることについて宮本社長は、「浅漬とキムチは前期から売れなくなってきている。乳酸菌を豊富に含むキムチは健康ブームが落ち着いてきた影響で売上が落ちている」と分析した。
 今後の商品展開については、「食品ロスを考えると冷凍食品に注目している。冷凍食品を共同開発している企業の施設を借りて商品開発を進めていきたいと考えている」と冷凍食品の商品開発に着手する意向を示した。
 また、昨今のコストアップについては、「原料高に加えて包装資材が7~10%の値上げになっている。調味料も上がっているし、輸入原料も上昇している。今後は商品の見直しをしたいと考えている。ただ、値上げをすると競合に売場を取られる可能性もあるので、対策を考えていきたい」と述べた。
 最後に5月26日に社長就任が内定している影山直司副社長が挨拶を行い、終了となった。
【2022(令和4)年5月6日第5092号10面】

5月6日号 キムチ浅漬特集 インタビュー

秋本食品株式会社 代表取締役専務 秋本善明氏

主力3品に資源を集中
価格の維持は困難
 秋本食品株式会社(秋本大典社長、神奈川県綾瀬市)の代表取締役専務食品事業本部長(兼)マーケティング部長の秋本善明氏にインタビュー。2021年度の決算やSDGsの取組、値上げなどについて話を聞いた。同社では3月から太陽光発電を運用し、工場で使用する約3割の電力を賄うなど、今後も持続可能な事業を展開していく方針を示した。(千葉友寛)
◇   ◇
 ‐2021年度の決算は。
 「売上は前年に少し届かなかった。昨年は巣ごもり需要の特需が発生した2020年の反動減が影響した。それでもコロナ発生前の2019年と比較すると、売上はプラスとなっているので、漬物需要のベースアップにはつながったと見ている」
 ‐浅漬とキムチの動き。
 「浅漬はほぼ前年並みで、2019年以上の数字となっている。月によって差があり、春先や年末は厳しかったが、秋口は良かった。直近の動きもそれほど悪くなく、リニューアルした『あとひきだいこん』は好調が続いている。全体的に大きな波はなかった。キムチは2020年の伸長率が高かった分、前年比で見ると大きく落ち込んでいる。売場としては主原料の白菜の価格が安定していたこともあって価格訴求の流れとなり、売りづらい環境だった」
 ‐今期の販売戦略は。
 「17年ぶりに放映したテレビCMを効果があるうちに『オモニの極旨キムチ』の販促を行う。また、『オモニシリーズ』の味で展開した『オモニの極旨大根キムチ』もセットで売っていきたいので力を入れていく。今期は弊社の主力商品である『オモニの極旨キムチ』、『王道キムチ』、『あとひきだいこん』に資源を集中して販促を行っていく。弊社は主力3品を中心に新規の取引が始まる。それをきっかけに仕入れ商品も配送できるようになれば効率が上がって、売上も上がる流れとなる」
 ‐製造コストが上昇している。
 「頭の痛い問題だが、電気代に関してはタイミング良く太陽光発電の運用が3月から始まったので、湘南工場では使用する電力の3割近くを自家発電で賄っている。太陽光発電の取組は1年以上前から計画していたもので、ようやく運用がスタートした。持続可能な社会を作る上でSDGsに関連する取組は必要不可欠なもので、再生可能な自然エネルギーを利用する太陽光発電もその一環だ。植物性由来の容器などの包装資材の活用の他、巾着から平袋への変更も検討している。そもそも、野菜を使って商品を供給する我々の事業は農業や自然環境を守り、生活者の健康に寄与するサステナブルな仕事だと思っている」
 ‐環境が変化している。
 「国内外の環境はものすごい速さで変化しており、先が読めない。これまで市場では『時短』がキーワードになっていたが、コロナの影響でおうち時間が増えたことで『時短』のトーンが弱まった感がある。環境の変化が読めない中で、主流だった動きがすぐに変わるため、対応していくことは難しい。今後は外出が増え、外食、旅行、観光の重要も増えるだろう。そのような中でも健康意識は高いところで維持されると見ており、キムチに含まれる乳酸菌などを訴求したPRが重要になってくる」
 ‐値上げの動きは。
 「仕入れ商品の値上げ要請は着実に増えている。特に輸入製品や輸入原料を使用した商品は為替の影響も大きく、採算が合わなくなっている。得意先の反応は様々だが、値上げの機運は高まっており、現状では価格の維持は困難な状況のため取り合わないという雰囲気ではない。持続可能な事業を行っていく上でも根拠のある値上げだということを説明し、理解を求めていくことが急務となっている」
【2022(令和4)年5月6日第5092号2面】

<インタビュー2022> 東京中央漬物(東京都) 新社長には齋藤氏、古海氏が専務

皆川会長
齋藤社長
古海専務
東京都公認の漬物荷受機関である東京中央漬物株式会社(皆川昭弘社長、東京都江東区豊洲)は、4月1日付けの新人事を決定。皆川昭弘代表取締役社長が代表取締役会長、齋藤正久取締役常務が代表取締役社長、古海利明取締役常務が代表取締役専務、守随純一取締役部長と横田博一取締役部長が常務取締役にそれぞれ就任(藤原静子取締役部長は留任)した。
同社は昭和9年12月、東京都(当時は東京市)に卸売市場法が公布されたことで漬物の荷受機関を設置することになり、日本橋から築地に市場が移転した同時期に会社が創立。平成19年10月に全国漬物株式会社と統合し、平成18年11月に皆川昭弘氏が7代目社長に就任、平成30年11月に市場移転に伴い豊洲に移転した。
創業当時の主な取扱い品目は奈良漬、みそ漬、福神漬、しょうが漬、楽京漬、からし漬、べったら漬などで、現在は常時1000アイテム以上を取り扱っている。90年以上に亘って大消費地である東京で卸売の業容を拡大した。同社に商品を販売する荷主共和会の会員は約80社で、全国の特産品を供給、幅広いニーズにきめ細かく対応している。
新体制となり、第93期を迎えた同社の皆川会長、齋藤社長、古海専務にインタビュー。齋藤社長は「売上10%増を目標に掲げ、社員の自主性を育てながら利益を生み出せる体質にしていく」と抱負を語った。
(千葉友寛)
◇   ◇
‐社長就任の心境は。
齋藤社長「皆川会長は漬物業界で顔が広く、ポジションも高い位置にある。コロナの影響がある中でやっていけるのかという不安もあるし、プレッシャーも大きい。しかし、社長として会社を預かる以上は歴代社長に引けを取らないように頑張ってやっていくしかない。恥をかくこともあると思うが、周りの意見を聞きながら役員、社員と一丸となって進んでいきたい」

‐専務就任の心境は。
古海専務「大変身が引き締まる思いだ。特にこの2年間はコロナの影響が大きく、売上も苦戦した。役員だけではなく、社員全員が知恵を出し合ってこの苦境を切り抜けていきたいと考えている」

‐コロナ禍の2年を振り返って。
齋藤社長「消費の流れが大きく変化した。スーパーの動きを見ると、1年目は巣ごもり需要が増加し、特需的な動きが発生した。2年目は前年の数字をクリアできなかったが、後半から再び需要が増えて売上も戻り、通年ではそこそこの数字となった。ホテルや業務用関係、企業向けの仕出し弁当は観光需要が大幅に減少したことと、テレワークが定着してきたことで厳しい状況が続き、廃業する企業もあった。市場関係も外食や居酒屋中心のところは緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されると売上が大きく落ち込み、一番ひどい時は売上が10%しかない、というところもあった。コロナ感染者が減少すれば客足の回復も見込めるが、元に戻ることはないと見ている。今の売上を基準に今後の展開を考えていく必要がある」

‐新期の販売戦略は。
齋藤社長「私が皆川会長からよく言われていた言葉に『経営者になったつもりで考えろ』がある。社内向けについては経営者の立場になって利益を生み出せる仕事にチャレンジしていく必要があると考えており、そういった意味では社員の自主性を育てていきたい。一人一人が意識を高く持ち、失敗を恐れず何事にもチャレンジしていく雰囲気や流れを作っていきたい。お得意先や取引先については利益が生まれないと向き合っていただけないので、東京中漬と取引していれば利益が出る、取引して良かった、と思っていただけるようにWinWin(ウィンウィン)の関係を築いていきたい」

‐仕事のこだわりは。
古海専務「信用と信頼が大事。取引先から商品を仕入れたらすぐに支払う。商品を販売したらすぐに支払っていただく。当たり前のことだが未だに支払いについては一番神経を使っている。信用や信頼を築くためには時間がかかるが、失うのは一瞬。社員が頑張ってやってきた仕事を台無しにするわけにはいかない。今年はコロナ発生から3年目となり、ウィズコロナ、アフターコロナの流れで売上の回復を予想している。社員一丸となって新しいお客様や販路を開拓していきたい。ここ2年は厳しい状況が続いていたが、利益が出ればしっかり社員に還元していきたい」

‐御社の役割は。
齋藤社長「コロナ禍の2年間で改めて感じたことは、食品はどんな状況でも必要とされる、ということ。お得意先や取引先に対して有益な情報を発信できれば売上アップにつながり、役に立つことができる。漬物は健康志向や機能性といった部分でまだまだ伸び代があるカテゴリーだと思っているので、これまで築いてきたパイプを生かしながら全国の魅力ある商品を案内していきたい」

‐新期の目標は。
齋藤社長・古海専務「目標は売上10%増。コロナ前の売上が45億円だったので、そこまでは持っていきたい。そして数年後には過去最高の50億円を達成したいと考えている」

‐人事のタイミングについて。
皆川会長「世代交代は私が社長に就任した58歳の時、今から15年前から年表を決めて考えていた。健康寿命は長くても73歳くらいまでなので、元気なうちに新しい世代に役と道を譲ることを計画していた。企業によっては高齢になった会長や社長が長く役についているケースもあるが、若い人たちに早くバトンを渡さないと世の中のスピードについていけなくなる。また、年齢とともに考え方が保守的になり、安全な道を選んでチャレンジしにくい体質となる。ここ数年は自分自身、それを感じていた部分もある」

‐社長と専務に対する期待は。
「2人はミスが少なく、温厚な性格で社内外の人から好感が持たれている。若い社員を育てるには適役で、社内融和できる人を役員にした。社内で問題があれば上手くいくものもいかなくなる。若い社員でも意見を言える環境を作ることが大切で、これまで以上に風通しの良い会社になると思っている。私もあと数年は会長として仕事を続ける予定だが、今後については新しい挑戦をしてほしいと思っている。現状維持を目指しているだけでは減退していくだけだ。将来性があることには投資も必要だが、ミスを恐れず新たなマーケットを作り上げてほしい」

【齋藤正久社長】
1968年1月30日、千葉県出身、社歴31年
【古海利明専務】
1961年3月16日、埼玉県出身、社歴33年

【2022(令和4)年4月1日第5089号1、2面】
東京中央漬物 HP


4月1日号 <高菜漬特集> この人に聞く

水溜食品株式会社 常務取締役 水溜 光一氏

高菜の漬込みは計画通り
カイゼン活動で生産性が向上

水溜食品株式会社(水溜政典社長、鹿児島県南さつま市)は、鹿児島産寒干し大根の銘品「島津梅」や、高品質な“ホール物”の高菜漬製造で知られる。その他にも、割干し大根個包装「ぽり×2」や、ごぼう酢漬の個包装「ごぼう酢てぃっくす」など、オンリーワン商品の開発力にも定評がある。また2021年2月には、鹿児島県が制定している「食品関連産業カイゼン活動取組優秀社表彰」で同社の取組が認められ、表彰を受けた。その活動の中心として高菜漬の製造工程見直しや生産性の向上に取り組んだ、常務取締役の水溜光一氏に話を伺った。
【菰田隆行】<文中敬称略>
◇     ◇
‐今期の高菜原料の作柄は。
水溜 昨年12月に収穫した早ものは、大変良好な作柄でした。今年に入り、1月以降は普通作といったところですが、全体では計画通りの数量が入荷し、品質も上々だったと思います。3月末いっぱいで、漬け込みを終了しました。
‐農家の作付意欲は。
水溜 当社の契約産地は地元の金峰町(南さつま市)と吹上町(日置市)ですが、作付の意欲はあり、今年も「もっと作らせてほしい」と申し出る農家さんもありました。ただ、新型コロナウイルスの影響で末端の動きがやや低調だったため、ヒネ在庫との兼ね合いで作付面積は前年並みとしました。高菜漬の需要は増えてきていますので、今後は作付面積を増やしていく計画です。

‐製品動向は。
水溜 業務用(刻み)の需要も年々増え、力を入れていますが、やはりホール物比率が高い状態。量販店やお土産ルートでご評価をいただいています。姿物の高菜漬(200g、250g)で全体の80%以上を占めており、残りが刻み物の高菜漬です。あと最近では、原料の注文もスポット的に入ってきています。今後は、お客様の使用するニーズに合わせて、最適な状態で提供できるかが課題です。コロナもようやくまん延防止等重点措置が解除となり、これからの人の動きに期待がかかりますが、お土産ルートでの販売は完全に元に戻るか懸念があります。

‐製造工程でのカイゼン活動について。
水溜 当社の高菜漬は、塩分を少なめにしてタンクに漬け込み、乳酸発酵させた後にナベトロに入れ替えて冷蔵庫に移します。そこでマイナス1℃で冷蔵熟成させて製品化します。これにより脱塩工程がなくなるため、風味の良さをご評価いただけています。高菜漬製造ライン改善への経緯としては、整形工程(検査・ヘタ切り・半割・カット)のところで時間と人が多くかかり、計量・包装ラインで手待ち時間が発生するという課題がありました。干し大根や生大根製品は22回転/分であったのに対し、高菜漬は手作業による整形・袋詰めのため8回転/分しかできず、出荷に影響を与えていました。また、高菜には異物(石・笹の葉など)が多く、非効率な洗浄工程も課題でした。

‐見直したカイゼン点は。
水溜 ボトルネックの整形作業を軽減させるため、余力のあった洗浄工程でまず半割カットを実施しました。すると、整形工程での作業が1つ減り、手待ち時間が減少。また、洗浄工程でカットすることで異物も発見、除去しやすくなりました。さらに取組を進め、全体のラインバランスを取るために洗浄工程に整形工程(検査・ヘタ切り・半割・カット)を移動させて実施することにしました。これにより包装工程が短縮され、8枚/分だった出来高が18枚/分に改善、作業人員も10名から6名に削減することができました。結果として全体の生産性がアップし、在庫管理工程や取り置き工程が減少して、ジャストインタイムでの出荷が可能となりました。加えて、細かく整形をしてから洗浄することにより異物が除去され、社外クレームが減少しました。

‐カイゼンの成果は。
水溜 具体的な数字や実績を元に対策を考える、カイゼンの手法が身につきました。生産に余裕ができると教育への時間確保ができるようになり、従業員にも向上心が生まれ、自発的なカイゼン提案も出てくるようになりました。今後も、出来高の平準化を目指し、需要増に対応できる原料確保や、補助金を活用した洗浄工程における機械化の導入も進めて行きたいと考えています。
【2022(令和4)年4月1日第5089号3面】

食料新聞電子版 九州うまかモン 水溜食品


3月11日号 社長に聞く

株式会社丸漬 代表取締役社長 加勢 智啓氏

就任初年度は効率化注力
試食販売の成功事例をSNSで

株式会社丸漬(加勢智啓社長、京都市下京区)は、京都市中央卸売市場近くに本社を構える漬物問屋であり、また自らも全国へ京都の漬物を届けるメーカーとしても活躍する。
昨年4月に社長就任した加勢社長は試食販売での成功事例を基に、消費者への発信を強化していく方針を語った。
(小林悟空)
◇    ◇
‐コロナ禍の最中に社長就任され1年が経つ。
加勢社長 新型コロナウイルスが流行してちょうど1年の時期と厳しい環境下でしたが、だからこそ会社が変化していかなければいけないという危機感があり、社長交代する運びとなりました。
この1年は既存の売上を維持しながら業務効率を改善することをテーマに、社内体制の見直しに注力してきました。
京のどぼ漬
‐今後の取り組みは。
加勢社長 インターネット上での発信と販売を強化していく方針です。漬物の製造や、野菜の収穫風景など、ちょっとしたことでも発信していこうと準備しています。
我々にとっては見慣れたものでも一般の方にとっては珍しく興味深いことで、知れば食べてみたくなるのが人間の心理です。当社はお取引先のスーパー様で試食販売を企画することも多いのですが、そうすると初めは漬物に興味がない様子だった方も購入してくださるようになります。SNSでも同じことを積み重ねれば少しずつでも漬物に関心を持つ方は増えるはずです。その方たちへダイレクトに商品を届ける方法として、ネット通販も取り組んでいきます。

‐スーパーでの試食販売について。
加勢社長 メーカーとしての当社は、先人が築き皆で守っている京都の漬物というブランドに恥じることのない高品質と、日常使いできる価格帯の両立というポジションを目指してきました。ただ、価格だけで選択肢から外れて一度も手にとってもらえないのでは、どれだけこだわっても効果がないので、漬物メーカーとしては珍しいほど試食販売を頻繁に実施してきました。 コロナ禍で試食販売ができなくなったのは大きな痛手ですが、SNSで補えるよう検討しています。
百菜漬
‐最近の売れ筋は。
加勢社長 どぼ漬(ぬか漬)が好調です。「京のどぼ漬(胡瓜2本入/胡瓜・茄子各1本入)」はすぐき由来の「ラブレ乳酸菌」を加え、さらに発酵を促進したぬか床に漬け込んだ製品です。また白菜のどぼ漬は、白菜に一手間を加えたということで「百菜漬(ひゃくさいづけ)」と命名しています。
発酵食品ブームという環境下で、乳酸発酵をしっかり訴求してきたことが功を奏したと言えます。

‐問屋としての役割は。
加勢社長 漬物には様々な種類があり、さらに同じ種類でもメーカーにより味や価格、量目などに幅があります。この幅広さは漬物文化の長い歴史で育まれた強みです。これを卸先の客層や立地条件、流行等に合わせて提案し、時にはメーカー様と共にオリジナル商品を開発する調整役が漬物問屋ならではの仕事だと考えています。京都という全国的に見ても恵まれた環境だからこそ培ってこれた知見を活かし、独自の提案を行ってまいります。
【2022(令和4)年3月11日第5087号3面】

食料新聞電子版 バイヤー必見イチ押し商品

3月1日号 東京特集 トップに聞く

東京中央漬物株式会社 代表取締役社長 皆川 昭弘氏

適正価格での販売が重要
SDGsに関連した対応を

東京都公認の漬物荷受機関である東京中央漬物株式会社(皆川昭弘社長、東京都江東区豊洲)の皆川社長にインタビュー。新型コロナウイルスの影響や値上げの動きなどについて話を聞き、事業継続のために必要なことは「適正価格での販売」と改めて強調した。(千葉友寛)
◇     ◇
‐今期の業績は。
「今期もコロナ感染者の増減によって巣ごもり消費や外食関係に大きな影響が出たため、数字が良い月と悪い月で差が出た。昨年の6月、8月、10月は落ち込んだが、11月から今年1月までは良かった。2月までの売上は昨年並みで、3月末決算では若干の黒字になると見ている」

‐漬物の売れ行きは。
「弊社はお客様とメーカーの中間に位置する問屋なので、全体の流れを感じることができる。一部のメーカーや好調が続くキムチメーカーの動きは良いのだが、全体的には良くない。沢庵、刻み、浅漬の動きは鈍くなっている。梅干は昨年末から1月は前年比1割減くらいで推移しているが、梅の花が咲いて暖かくなるこれからの季節に向けて積極的な販促を行う見込みで、潤沢な原料を活かして売場を盛り上げてくれることを期待している」

‐値上げの動きは。
「中国産楽京など、一部の製品は春夏の棚割りから量目調整を実施するが、その他の商品は案内が届いていない。競合他社や小売店の動きを注視しているのだろう。燃料、包装資材、調味料、物流費とあらゆるコストが上がっている状況で、胡瓜や楽京は不作で原料価格も上昇している。近年は生姜の価格も高止まりしており、量目調整だけでは立ち行かない状況となっている。適正価格で販売し、利益を確保しなければ体力がなくなって廃業した方が良い、という意見も出てくる。事業を継続するためにも適正価格で販売することが重要だ」

‐ニーズの変化。
「時代は変化していくのでニーズも変わっていく。漬物では沢庵が代表的な例で、昔は一本物が主流だったが、個食のニーズが高まってきたことでハーフ、ミニ、スライス、カップと変化してきた。製造する側にとっては一本物やホール物の方が手間がかからなくて良いのだが、現在は個食に加えて簡便性の高い商品が支持されている。また、最近では巾着の袋を平袋に替える動きが出てきている。これは上部を留めるクリップを使用しないため、コスト削減と環境対策になるなど、SDGsに関連した対応として消費者の関心も高い。漬物でも一部商品で導入されているが、近いうちに平袋形態が主流になると見ている」

‐御社に求められている役割は。
「無理な販売価格で事業を続けていても疲弊するだけだ。時間をかけてでも誠意を持って適正価格での販売を目指さなければならない。原料の生産者は減少の一途を辿っており、少しでも維持してもらうためにも買い上げ価格を上げる必要がある。私が入社した昭和40年代は、漬物関連のメーカーと問屋を合わせ3000社あったが、いまは1000社を割っている。ここ数年で予想を上回る速さで寡占化が進んでおり、あと10年で500社まで減る可能性もある。健全な経営ができているうちに次世代に継承する体制を整えていくことが重要で、廃業が増えると地域の名産品を作るメーカーがなくなる恐れがある。名産品は一度途絶えると再生することはない。全国の名産品を供給することは我々の使命で、これからもメーカーに寄り添った取組を行っていきたい」
【2022(令和4)年3月1日第5086号1面】

東京中央漬物 HP


2月11日号 SMTS特集 特別インタビュー

秋本食品株式会社 代表取締役専務 秋本善明氏

秋本食品株式会社(秋本大典社長、神奈川県綾瀬市)の代表取締役専務食品事業本部長(兼)マーケティング部長の秋本善明氏にインタビュー。コロナ禍で予断を許さない状況となっているが、同社の取引先で組織され、会員相互の企業発展と親睦を目的とする秋本会会員企業と連携強化を図り、ともに難局を乗り切っていく考えを示した。(千葉友寛)
◇ ◇
‐浅漬の動きは。
「年間を通して見れば前年並みで推移しているが、年末に近づくにつれ徐々に売れなくなってきた。特に白菜となますの動きが悪く、千枚漬はまずまずだった。年末の売場は年々盛り上がりが弱くなっていて、売場を変えない店舗もある。その他の要因としては、野菜安のため浅漬が苦戦している状況が続き、そのまま年末を迎えたことが影響したと見ている」

‐キムチの売れ行きは。
「通年通して苦戦中。秋口に若干持ち直した感もあったが、浅漬と同様、原料野菜安によってまたブレーキがかかってしまった。他社による低価格販売も影響していると思われる。2021年は巣ごもり需要が増加した2020年比で見ると厳しい数字となっているが、2019年比で見るとプラスとなっている。ベースは上がっているものの、市場としては落ち着いてきている。それでも、テレビCMなどの販促を行っている『オモニの極旨キムチ』は今月に入って好調だ」

製造コストが上昇している。
「添加物、包装資材、燃料、電気代、物流費など、様々なコストが上がっている。これだけのものが一気に上がると量目調整だけでは対応できず、企業努力で吸収することはできない。近々に実施するということではないが、弊社も今後の対応を検討していかなければならないと思っている」

‐「いんげん」を素材とした新商品を発売する。
「弊社では積極的な新商品開発を行っているが、新しい素材にもチャレンジしている。ここ数年で見ればオクラが定着し、ブロッコリーも広がっている。これらの商品は漬物というよりも、サラダや惣菜の感覚で食されていると思う。オクラやブロッコリーはもともと人気のある野菜だったが、茹でるなど下処理に手間がかかる。手間を省くことができ、ドレッシングをかけずにそのまま食べることができる。色合いも良く、手軽に食べられることが食卓で一般化してきている理由だろう。今後もこのような商品を展開していきたいと思っている」

‐1月に開催予定だった展示会が中止となった。
「本来ならば弊社のテレビCMが放映されている期間だったので、『オモニの極旨キムチ』を大々的にPRする予定だった。しかし、新型コロナウイルスの感染者が年明けから急激に増加し、来場者の方をはじめ、出展される企業の皆さん、弊社社員の感染リスクを考慮し、中止と決断した。我々食品メーカーは感染者が出てしまうと工場の稼働に支障が出る可能性があり、安定供給の義務を果たせなくなる。それらのことを総合的に考えても、中止は良い判断だったと思っている」

‐秋本会会員企業にメッセージを。
「昨年11月にリモートで研修会を実施したが、ここ1、2年はほとんどの方と直接会うことができていない。皆さんのために役立つ事業を行うことができず、大変申し訳なく思っている。今後の見通しを予測するのは難しく、皆さんも大変なことが多いと思うが、情報を共有しながら連携を強化し、一緒に乗り切っていきたいと考えている。現状では、相対では難しいが、リモートで随時商談を行っているので、良い商品や良い提案を待っている」

‐御社の特長と魅力は。
「昔から『秋本の商品は少し高いけど美味しい』と言われてきた。これは先代から受け継いできていること。弊社は品質と味が第一で、味の追及を最も重要視している。また、弊社との取引先で組織された秋本会会員企業とのパイプを生かし、全国の商品を集めることができる。マーケティング活動をフィードバックしながら、浅漬やキムチを主力とする自社商品と仕入れ商品を組み合わせ、売場をトータルでプロデュースすることができる。お得意先様には長年に亘ってご支持いただいており、今後はこれまで築いた信頼関係をさらに強固なものとしていきたいと考えている」
【2022(令和4)年2月11日第5084号2面】

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