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【バイヤー必見】堺共同漬物―天王寺かぶら

堺共同漬物株式会社(大阪府) 「天王寺かぶら浅漬」

「なにわ伝統野菜」に特化

冬には「なにわの伝統野菜」の漬物を

夏の水なすに続く冬場の新たな特産漬物作りを目指す同社では、「なにわの伝統野菜」を原料にした商品提案を行っている。なにわの伝統野菜とは、100年以上前から大阪市内で栽培され、大阪の農業と食文化を支えて来た歴史と伝統を持つ野菜で、大阪市が現在までに9品目を認証している。

天王寺かぶら漬

野沢菜の原種とされる天王寺かぶらは、かぶ部分はもちろん葉も味が乗っていて美味しいのが特徴。その香り、歯切れを活かしながら、昆布の旨味たっぷりに漬け上げることで、かつて大阪名物として広く親しまれた往時を彷彿とさせる味となった。
 
俳人・画家として活躍した与謝蕪村は「名物や蕪の中の天王寺」、正岡子規は「此頃は蕪曳くらん天王寺」と歌を詠むなど、大阪名物として知られていたことがうかがえる。
 
天王寺かぶらとは

 
江戸から明治末期にかけて関西をはじめ西日本で広く栽培されていた蕪。発祥は大阪市天王寺付近で、四天王寺僧坊の食料として摂州の天王寺村で栽培されていた。
また、長野県野沢温泉村のお坊さんが天王寺蕪の種を持ち帰って栽培したものが、現在の野沢菜になったと言われている。大阪では大きな根身が育つ一方、長野では葉茎のみが成長することから、大阪の気候風土ならではの野菜と言える。
 
 
田辺大根しょうゆ漬
 
緻密で甘みに富んだ肉質が特徴の田辺大根を、ご飯に良く合うしょうゆ漬に仕上げた一品。細かく刻まれており、糖度が高く粘りのある大根の味わいとしょうゆの風味がマッチした味を手軽に楽しめるのも嬉しい。
なお下ぶくれの丸顔、色白肌の大根は〝べっぴんさん〟の代名詞でもあったとされている。
 

田辺大根とは


 

大阪市東住吉区田辺地区発祥の伝統野菜で、白あがり大根とねずみ大根の交雑種がルーツとされている。その歴史は、天保7年(1836年)の「名物名産略記」にも記載があるほど。田辺の法楽寺では終い不動(しまいふどう)の後、田辺大根の風呂炊きが行われるなど地域に根差した存在となっている。

明治時代には、短根で縦横がほぼ同じ長さだった田辺大根だが、次第に縦長なかたちに改良され現在に至っている。

泉州みずなす漬の歩み

絞れば水が滴るみずなす

今や大阪の特産漬物として全国区の知名度を誇るようになった「泉州みずなす漬」。

 

その栽培の歴史は遠く江戸時代まで遡り、絞ると水が滴る程多くの水分を含むみずなすを、生産農家は畑での水分補給のため口にしたとされる。その薄く極め細やかな表皮・甘味があって柔らかな肉質は漬物に最適な品質である一方、繊細で品質保持が難しいことから長く広域流通が不可能な、大阪府南部泉州地域のローカル漬物と位置づけられていた。

みずなす茶漬

冬は「みずなす茶漬」

泉州みずなすの旬といえば夏だが、同社はみずなすを長期熟成させた「みずなす茶漬」も販売している。

熟成したみずなすの旨味に、パリパリとした食感のきゅうりを加えてしょうゆに漬けた、本漬のお漬物。細かく刻んであるので使いやすく、白いご飯との相性は抜群。お酒のアテにもぴったりだ。

 

天王寺かぶらや田辺大根とともに「なにわ伝統野菜」のギフトセットなどでも提供している人気商品だ。

 

 

《連載企画》社員インタビュー

2022年2月

※インタビューはZoomで実施
営業部 染井一郎主任(右)
店舗と共同購入は販売方法が違うため、売れ筋も、求められる提案も違ってきます。
店舗での買い物はリアルタイムで行われるので、流行を取り入れたスピーディな提案や商品確保が求められます。一方、共同購入はカタログをじっくり読んで選ばれる分、店舗でのコトPOP以上に情報の力が重要です。素材や製法など、独自性ある商品をしなければいけません。
そして、売上データや流行の変化を考慮し、商品を新陳代謝していきます。如何に新しい提案をしていくか、漬物のプロとして腕が問われるところです。

営業部 井上和則係長(左)
商談時期は3月と9月が一般的で、ちょうどこれから、水なす含め夏を見越した商談が行われます。
当社のメーカーとして最大の強みは、やはり水なすです。味はもちろんですが、長年取り組んできたからこその生産農家との連携による原料確保力に強みがあります。万一不作で当社が原料を確保できない時は、他でもできないと断言する自信があります。
また他社製品を仕入れるベンダー業も担っています。世相が不安定な今、お取引先様は新たなことにチャレンジしたい気持ちと、リスクを抑えたい気持ち両方を抱えられていますが、その思いを汲み取り最適な提案ができるよう、全国へ情報網を広げて価値ある品を発掘してまいります。

2022年1月

営業部次長 林野賢寛氏(左)
1月は水なすの作付けが進む時期であり、夏へ向けて出荷計画を立案する時期です。巣ごもり消費が拡大して2年目となった昨年は、前年を上回る出荷量を記録。今後も水なす需要は高まると見て提案を続ける方針です。
また最近取り組んでいるのがスイートポテトのような芋菓子の開発。「とろける安納ぽてと」は漬物メーカーである当社の技術を活かすために、安納芋を塩水に漬けて甘みを引き出す工程を経てから油で揚げたもので、自然な甘みが楽しめます。第2段商品も開発中です。

営業部 林野裕史氏(右)
成長中のミールキット事業は、通常家庭では調理しづらい珍しい食材や味を提案することで、ミールキットならではの価値を追求しています。そのような野菜を確保し、安定して物流に乗せることができるのは漬物製造・卸業を営むなかで築き上げた強みだと感じています。

2021年11月

代表取締役社長 林野雅史㊨
営業部 林野裕史
みずなすに続く大阪名産漬物を
今シーズンの当社のみずなす売上は、昨年を上回るものとなりました。巣ごもり消費が昨年よりも落ち着いた中でも成長を見せたのは、みずなすが大阪だけでなく全国の皆様に定着してきている証拠だと思います。
現在、目標としているのが、みずなすに続くなにわ伝統野菜を使った漬物の育成です。大阪府立環境農林水産総合研究所と研究を重ね、伝統品種の特徴は残しつつ栽培しやすくなる品種改良にも取り組んでいます。
田辺大根を使った「小千枚漬」など、定番商品に一工夫のある商品が人気を得ており、手応えも感じ始めています。

企業紹介

みずなす工房

 

江戸時代に〝天下の台所〟として繁栄した大阪。中でも堺共同漬物株式会社が位置する堺市は国内外の重要な海運拠点であり、〝ものの始まりなんでも堺〟と言われるように、技術や文化の発信地として栄えて来た。その歴史は、北前船が昆布を運んだ〝昆布ロード〟の終着点として、また堺市福田一帯がかつて唐辛子の大産地だったことなど、食・農の面でも重要な役割を果たしていたことが分かっている。

その堺市で漬物の製造卸業を行う同社は、泉州みずなす漬やなにわの伝統野菜といった地域特産品をはじめとした漬物の製造業、直売店「みずなす工房」の展開、また全国各地の商品の流通に携わる卸業と、多様な業態を有している。

 
 

公式通販サイト「みずなす工房」 http://www.sororinomizunasu.com/

 

企業情報

会社堺共同漬物株式会社
代表

代表取締役 林野 雅史

創業昭和46年
業務内容漬物、味噌の製造販売・一般食品の卸売
住所(本社)大阪府堺市中区深阪2-14-50
電話(代表)
072-237-2421
FAX072-237-2415
ホームページhttp://www.mizunasu.co.jp/
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