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こんにゃくインタビュー2024

4月1日号 群馬こんにゃく特集

群馬県蒟蒻協同組合 理事長 小金澤定夫氏

こんにゃく需要拡大へ
美味しさの追求が未来を拓く
 群馬県蒟蒻協同組合の小金澤定夫理事長(小金澤下仁田蒟蒻株式会社代表取締役)にインタビュー。小金澤理事長は、消費者ニーズに対応し、本当に美味しいこんにゃく作りを行うことが業界の未来を切り拓くと指摘した。(藤井大碁)
ーこんにゃく業界の現状。 
 「国内のこんにゃく消費量は、年々減少を続けており、業界全体で見れば、厳しい状況と言わざるを得ない。世帯人数の減少や共働き世帯の増加により、こんにゃくやしらたきを購入して、料理を作る家庭が少なくなった。時代が大きく変化するなか、こんにゃくやしらたき製品も進化していかなければならない。消費者ニーズをつかみきれていないことが近年のこんにゃく需要減退につながっているのではないか」
ー消費者ニーズの変化。
 「今の時代は料理をしなくても、惣菜を購入することで食事が済んでしまう。母親が作る家庭料理が食卓に1品もないことには抵抗があるかもしれないが、何か1品だけ手料理を作って、あとは購入してくる。多忙な生活のなか、これが現在の一般的な食シーンになりつつある。弊社では、スーパーマーケットの惣菜売場向けに生芋こんにゃくを納入しているが、一年を通して好評を博している。シンプルな味付けの昔ながらのこんにゃく煮だが、美味しければやはり売れるのだ。逆に、安売りをしても美味しくなければ売れない。また昔のように量はたくさんいらない。たくさん作っても食べきれず、廃棄するのはもったいないから買わない、そうしたニーズの変化を理解しなければならない」
ーこんにゃく芋収穫量で全国シェア90%以上を誇る群馬県のこんにゃく産業。  
 「こんにゃくは、様々な農林水産物を輸入に頼るなか、100%国産でまかなえる貴重な農作物だ。だが、年々、消費減退が続いており、農林水産省や群馬県も、どのようにこんにゃく産業を維持していくか、頭を悩ませている。需要拡大は、生産農家だけではどうにもならない。こんにゃく製造者がどれだけ進化できるかにかかっている。国内外で認めてもらえる本当においしいこんにゃくを作ることが唯一の方法で、それができれば消費量は増加していくのではないか」
ー昨年群馬県で初めて「全国こんにゃくサミット」が開催された。
 「これまで全国のこんにゃく製造者と群馬県の生産農家がコミュニケーションをとれる場所が全く無かった。そういう意味で、蒟蒻製造者、原料業者、生産農家の三業態が集うサミットの開催は貴重な機会となった。今後もサミット開催を通して、こんにゃく業界が発展していくことを期待したい」
ー最後に。
 「こんにゃく業界は長年、パッケージデザインや、日持ちを長くすることに力を入れ、美味しさの追求をしてこなかったのではないか。伝統を守るだけでなく、時代ニーズに合わせて進化していかなければならない。本当に美味しいこんにゃくの開発に力を注ぎ、それが実現できれば、こんにゃくの未来は拓かれると信じている」
【2024(令和6)年4月1日第5158号3面】
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