本文へ移動

第15回山形県漬物展示品評会

<山形県漬物協同組合> 漬物オリンピックで伝統継承 第15回山形県漬物展示品評会

農水大臣賞を受賞した三奥屋の近社長
三奥屋「晩菊」が農水大臣賞
 山形県漬物協同組合(鈴木尚彦理事長)は2月24日、山形県山形市のホテルメトロポリタン山形にて4年に一度開催する「第15回山形県漬物展示品評会」の表彰式及びレセプションを開催。コロナで2年延期となっていたため、実に6年ぶりの開催となった。
 総出品数は154品(おき漬・あさ漬)で、東京家政大学大学院客員教授の宮尾茂雄氏を審査委員長、高崎健康福祉大学農学部生物生産学科教授の松岡寛樹氏を副審査委員長に計5人の審査委員が2月22日に山形市の山形県観光物産会館「ぐっと山形」にて審査会を行った結果、株式会社三奥屋(近清剛社長、山形県東置賜郡高畠町)の「晩菊」が農林水産大臣賞を受賞。その他、農林水産省大臣官房長賞、東北農政局長賞、山形県知事賞、山形県議会議長賞、全日本漬物協同組合連合会会長賞、東北漬物協会会長賞、株式会社山形県観光物産会館社長賞、山形県中小企業団体中央会長賞、山形県食品産業協議会長賞、株式会社食料新聞社社長賞の各受賞者も発表された。
晩菊(中央)を中心に上位入賞作品が並ぶ
 昭和40年(1965年)にスタートした同品評会は、県内漬物業者が県産漬物の品質の向上と流通、消費拡大を意図し、同県漬物業振興発展に寄与することを目指すべく、組合員が総力を挙げて開催。4年に一度の開催で「漬物オリンピック」とも呼ばれている。
 6年ぶりの開催となった山形県漬物展示品評会は着実に進化していた。準備期間も長かったこともあり、昨年5月から毎月集まって打合せを行った。昨年10月25日と26日には長野県漬物品評会の審査会を視察し、長野県漬物協同組合の古越三幸理事長らと情報交換を行った。
 これまでの審査会ではテレビや新聞各社の取材を断っていたが、今回は取材をOKにしたことで審査会の模様がテレビなどのメディアで紹介されるなど、高いPR効果があった。
 今回は以前に行っていたテレビCMでの告知を止めて近隣の4市を対象に、新聞の折り込みを40万部入れて即売会の情報を発信。また、山形市立商業高等学校の産業調査部がインスタグラムで品評会及び即売会のチラシを紹介した。
 即売会の会場は山形市の大沼デパートから同市の山形県観光物産会館「ぐっと山形」に移し、2月24日と25日に販売を行った。
 販売価格は同品評会で各賞を受賞した商品、参加商品の全商品が200円均一の大特価で販売。収益性よりも山形県漬物協同組合の取組や漬物の魅力を業界外へ広く発信する意味を込めた価格設定とした。
 もともと集客力のある売場ではあるものの、反響は予想以上となり、2日間とも早い時間帯で完売した。鈴木理事長が先導する山形漬協は、伝統を継承しながら時代に合わせて少しずつ変化している。
佐藤実行委員長
河田副理事長
佐藤課長
庄司大石田町長
厳粛な雰囲気の中で行われた表彰式
安全で美味しい山形の漬物を全国に
 各賞受賞者に表彰状授与
「第15回山形県漬物展示品評会」の表彰式及びレセプションは、渡辺真一専務理事の司会進行で、佐藤裕宣実行委員長が開会の辞を述べてスタート。鈴木理事長が挨拶(挨拶と祝辞は別掲)を行い、来賓をはじめ業界各位、出席者に謝意を表して品評会の意義や今後の活動について抱負を語った。
 続いて表彰状伝達式に移り、農林水産大臣賞をはじめとする各賞受賞者に、行政関係各位、関連業界の代表から表彰状が授与された。食料新聞社社長賞は、本紙編集部部長の千葉友寛が授与した。
 受賞者謝辞は、農林水産大臣賞を受賞した山形漬協前理事長で三奥屋の近清剛社長が「晩菊」や山形の風土で培われた漬物の魅力を語り、感謝の意を示した。
 来賓祝辞では、山形県知事の吉村美栄子氏、東北農政局地方参事官の佐々木春幸氏、衆議院議員の遠藤利明氏(横澤直美氏代理出席)、衆議院議員の鈴木憲和氏(東井上明氏代理出席)、山形議会議長の森田廣氏より、お祝いの賛辞と激励の言葉が贈られた。
 来賓紹介に続いて高崎健康福祉大学農学部生物生産学科教授で副審査委員長の松岡寛樹氏が講評を行った。その後、表彰式は河田吉助副理事長による閉会の言葉にて終了となった。
 会場設営でしばし休憩となった後、本間光太郎青年会会長が司会を務めてレセプションがスタート。佐藤実行委員長による開会の言葉に続いて挨拶を行った鈴木理事長は、「本日は第15回山形県漬物展示品評会の祝賀会に出席いただき、厚く御礼を申し上げる。来賓の方々をはじめ、2月22日に開催した審査会で154品の漬物を一品一品丁寧に審査していただいた審査委員の皆様にも厚く御礼を申し上げる。この祝賀会は農林水産大臣賞を受賞した三奥屋様を祝福する会でもあり、また出席された皆様の交流や情報交換、会社と自分の研鑽の場でもある。多くの方との会話の中から次の一歩のヒントや気づきを得られる場となれば幸いだ」と述べた。
 山形県議会議員の奥山誠司氏が来賓祝辞を述べた後、山形県農林水産部の地主徹部長の代理で出席した同部県産米・農産物ブランド推進課の佐藤真二課長が挨拶を行い、「漬物は私たちの文化遺産だと思っている。その価値を次世代に伝えていくことが私たちの責務でもある。本日は漬物の文化や技術を守り、発展させていくことの重要性を再認識した。受賞された皆様、ご出席された皆様のご健勝とご多幸を祈念して乾杯したい」と乾杯の音頭を取って、開宴となった。
 各テーブルに提供された上位7賞の受賞品を賞味しながら、6年ぶりの開催となった品評会の歴史や今後の在り方、新しい需要の創造など将来について意見交換を行った。歓談の時間を過ごした後、大石田町長の庄司中氏による中締め、本間青年会会長による閉会挨拶にてお開きとなった。
【審査方法】
 審査方法は5名の審査員が企業名と商品名が分からない出品財を実食で審査。1次審査(各1~5点)は食風味と商品性を評価。1次審査を通過した出品財は2次審査(各1~5点)に進み、食風味と商品性に加えて色沢と肉質も審査され、上位から順位が決定する。
【審査委員】
 ▼審査委員長:宮尾茂雄氏(東京家政大学大学院客員教授)▼副審査委員長:松岡寛樹氏(高崎健康福祉大学農学部生物生産学科教授)▼審査委員:齋藤寛子氏(山形県立米沢栄養大学健康栄養学部)、眞島彰子氏(株式会社清川屋商品開発部兼商品管理部部長)、半田周平氏(リンベル株式会社執行役員商品本部長)
山形県漬物展示品評会の審査委員と組合員
全154品を審査する審査委員

山形県漬物協同組合 理事長 鈴木尚彦氏

時代に合わせて変化していく
 第15回山形県漬物展示品評会の表彰式並びに祝賀会に出席いただき、組合員一同心より感謝を申し上げる。本日、お忙しい中ご出席を賜った当組合の名誉顧問で漬物をこよなく愛されている吉村美栄子様、東北農政局地方参事官の佐々木春幸様をはじめ、多くの来賓の方にお越しいただき、感謝している。
 コロナ禍で2年の延期を余儀なくされたが、2月22日に品評会の審査会を開催し、本日の表彰式並びに祝賀会を迎えることができた。また、昨年まで当組合を22年の長きに亘って守り、また私たちに山形県の漬物の伝統と文化を教えていただき、組合活動を活性化された近前理事長様、渡辺前専務理事様、諸先輩の皆様には心より感謝している。
 品評会は先輩たちから伝統を受け継ぎ、60年続いている。受け継いで初めて会を運営する私たちは、日々組合を支えてくれている事務局と力を合わせ、運営のやり方も時代に合うように変化していかなければならない。これからも意見を出し合い、前に進んでいきたいと思っている。祖父の代も父の代も山形県の漬物文化への愛、情熱、探求心は変わらない。安全で美味しい漬物を山形の県民、東北、日本中に届けていきたい。
 そのための漬物製造の技術の研鑽の場として品評会は60年続いてきた。組合員同士の切磋琢磨の場でもあり、これからも必要な取組。昨年5月から毎月実行委員会を重ね、自由な発言とそれをお互いに受け入れる心、とても大切な仲間ができた時間となった。
 私たちは漬物を通して山形の文化、四季、観光、おもてなしの心を県民、東北、日本中の皆様、外国人の皆様に自信を持って発信し続けていきたいと思っている。本日ご臨席を賜った来賓の方々、当組合賛助会員の皆様、当品評会に協賛いただいた各企業の皆様、心から御礼を申し上げる。
 今回、農林水産大臣賞を受賞された三奥屋様の晩菊は発売から67年目を迎えた商品と聞き、改めて漬物の伝統や文化の継承が大切だということを教えていただいた。
 結びに元日の能登半島地震で亡くなられた方々に哀悼の念といまも避難されている多くの方々への思いを忘れず、また長年に亘り品評会の審査委員を務めていただき昨年12月にご逝去された前田安彦先生への感謝も忘れてはなりません。
 普段の生活、日々の漬物製造、商売ができることへの感謝の気持ちを大切にして、これからも組合員一同励んでいく。

[講評] 副審査委員長 松岡寛樹氏

松岡副審査委員長
山形の食文化は安泰
 私がいる高崎健康福祉大学では、恐らく日本で唯一の漬物の研究室がある。昨年逝去されたが、宇都宮大学名誉教授の前田安彦先生から漬物を研究するようにずっと言われていて、立場が人を作るという言葉にあるように、色々な場で話す機会を作っていただき、徐々に漬物業界に入り込むようになっていった。
 私は大学生を教育している立場で、先ほどからも指摘されているように若い人にどのようにして漬物を受け入れてもらうか、影響力を持たせられるのか、ということはいつも考えているのだが、なかなか決め手がない、というのが正直なところだ。
 そんな中でもメディアの力は大きく、山形で開催されている国民スポーツ大会で沢庵を食べるシーンが流れると影響が出てくると思っている。本日は欠席となった宮尾審査委員長より預かっている講評を代読させていただく。
 6年ぶりに開催された品評会は、全体的に見てレベルの高さがうかがえた。山形県らしく山形青菜、外内島きゅうり、あつみかぶ、晩菊と地元の特産伝統野菜をふんだんに使った漬物が多く出品され、山形らしさが色濃く表れた品評会だったと思う。
 新開発された漬物が出されるのも、山形の品評会の楽しみでもある。さくらんぼの漬物の他、牛肉や豚肉を加えた漬物など、魅力的な漬物も多く出品されていた。
 山形のだしもダイスカットのような工夫が見られ、和風洋食や介護食など様々な食シーンに対応できるような製品開発がされていてこれからの動きが期待される。
 また、塩度が高いものなども散見されたが、漬物王国である山形の食文化は今後も安泰だと確信している。
三奥屋「晩菊」 農林水産大臣賞
 農林水産大臣賞を受賞した株式会社三奥屋(近清剛社長、山形県東置賜郡高畠町)の「晩菊」は、昭和36年に発売を開始。同社の看板商品として広く知られている。
 東北の漬物を代表する逸品として長く愛されている「晩菊」は、10種類にのぼる山形の代表的な山菜と野菜を刻んで漬込み、およそ2年の歳月をかけて仕上げている。
 春の山菜から晩秋の香り高い菊、野菜を素材別に丁寧に下漬け。熟成させた素材を合わせ、梅酢を用いて独自の本漬に仕上げた。
 晩菊の落ち着いたべっ甲色は漬け込んだ歳月の証。落ち着いた彩りで食卓に花を添える。
 規格は100gで賞味期限はD+179。
本長「外内島きゅうり味噌漬」 農林水産省大臣官房長賞(おき漬部門)
 農林水産省大臣官房長賞(おき漬部門)受賞の株式会社本長(本間光太郎社長、山形県鶴岡市)の「外内島きゅうり味噌漬」は、山形県鶴岡市外内島地区で栽培されている在来野菜の外内島きゅうりを使用。文献には170年前より栽培されているとの記載があり、歴史や風土を感じさせる逸品だ。
 希少な原料である外内島きゅうりを同社独自の味噌床に数回の漬け替えを行った特製の味噌漬で、コクのある旨味、ほど良い甘さと塩味、奥深い風味がご飯と良く合う。手間を惜しまない熟成した深い味わいが楽しめる。内容量は140gで賞味期限は120日。
マルハチ「焼畑あつみかぶ」 農林水産省大臣官房長賞(あさ漬部門)
 農林水産省大臣官房長賞(あさ漬部門)を受賞した株式会社マルハチ(阿部武秀社長、山形県東田川郡)の「焼畑あつみかぶ」は、400年の歴史がある山形県の特産品として愛されている。
 あつみかぶ発祥の地である山形県鶴岡市温海地区に伝わる昔ながらの焼畑農法は真夏に山の急斜面を焼き、焼き終わった後、まだ熱い灰の中に種を蒔く栽培方法。あつみかぶの表皮は濃紫色だが中は真っ白な果肉で、甘酢漬にすることで鮮やかなピンク色に漬け上がる。また、キュッと締まった果肉のカリッとした食感も楽しめる。内容量は150gで賞味期限は30日。

[謝辞] 三奥屋 代表取締役社長 近清剛氏

近社長
山形の漬物を全国に伝える
 本日はこのような栄えある賞をいただき、厚く御礼を申し上げる。三奥屋を創業した父は、全国の漬物を知っていて加工された和食の分析については私たち子供も恐れを感じる程だった。そのような父に育てられたので、味覚をはじめ、行儀作法は徹底して厳しく教えられた。本当に良い両親に育てていただいたと思っている。本日、皆様の前でこのような話をすることができて感謝するとともに、帰宅したら仏壇の前で父に報告させていただきたいと思っている。
 私たちは山形の漬物にどのように価値を付けていくのか、また日本全国に山形の漬物は素晴らしいものである、ということを伝えていく方法を考えていきたいと思っている。「西の京都、東の山形」と評されるように山形の漬物のポジションをもっと高めていきながら、山形の食は質が高い、ということをしっかりと伝えて価値作りを行っていきたいと考えている。今後も賞に甘えることなく、さらに研鑽を積んでいきたい。

[祝辞] 山形県知事 吉村美栄子氏

吉村知事
食料供給源山形として発展
 本日出席されている皆様には日頃より、本県の農林水産業はもちろん、県の取組に対してご理解とご協力を賜り、厚く御礼を申し上げる。第15回山形県漬物展示品評会の各賞受賞者の方には心からお祝いを申し上げる。
 高い製造技術や素材を生かした商品開発が評価されたものであり、これまでの努力に対し深く敬意を表する。貴組合の皆様には日頃より県産農産物の活用の他、本県の伝統野菜を原料とした漬物の開発を行うなど、守るべき伝統を継承しつつ、時代の変化を的確にとらえながら商品を開発され、山形の食と農の魅力を国内外に発信されている。
 さらに、沢庵禅師の遺徳を偲び長年に亘って香の物祭を開催して食文化の継承にも取り組まれるなど、改めて敬意を表する。沢庵漬を知らない人はほとんどいないと思うが、沢庵漬は山形が発祥だと話をすると多くの人がびっくりする。
 品評会はコロナの影響で2年延期され、6年ぶりの開催となる。品評会は品質向上に向けて組合員同士が切磋琢磨する意義深いもの。西の京都、東の山形と評されるなど、本県の漬物が全国から高く評価されているのは、偏に貴組合と組合員の皆様のご尽力の賜物。改めて感謝を申し上げる。
 さて、農業は本県の地域経済の活力の源となる基盤産業。この農業を将来に亘って発展させていくため、県では気候変動に対応した足腰の強い産地作りや県産農林水産物を起点とした食産業の振興など、様々な施策を展開している。
 特にこの4月には優れた技術と経営力、国際競争力を身に付け、農林業のリーダーとなる人材の育成する東北農林専門職大学が開学する。この開学を機に県民や国民の命をつなぐ食料供給源山形の更なる発展を目指していくので、引き続き格別のご理解とご協力を賜りたい。
 若い人に漬物の美味しさや良さをどのようにして伝えていくかということは大きな課題。ご飯のお供はもちろん、酒のつまみとしても食べられる。
 誇るべき食文化を次世代につないでいっていただきたいと思っている。何かお手伝いできることがあれば県に案を出していただきたい

[祝辞] 東北農政局長 前島明成氏

代読の佐々木氏
和食文化を未来につなぐ
 本品評会を主催されている山形県漬物協同組合は長きに亘り、山形県の漬物産業の発展に大きく貢献されてきた。その功績に謝意を表する。この度、農林水産大臣賞をはじめ各賞を受賞された皆様には、心からお祝いを申し上げる。これらの受賞は年々と受け継がれた伝統と技を生かしつつ、漬物の品質向上や新製品の開発等に真摯に取り組んできた成果が結実したものと考えている。今後ますますの活躍を期待している。
 漬物は古くから日本人に愛されてきた和食文化を象徴する食品の一つ。また山形県は全国でも有数の漬物産地で、山形県の多種多様な漬物は地域農産物の消費拡大、地域食品産業の発展、そして私たちの豊かな食生活の実現に貢献している。
 和食は日本人の伝統的な食文化として、平成25年にユネスコの無形文化遺産に登録され、昨年10周年を迎えた。また和食文化は日本食とともに農業、食、地域の食産業を支える基盤であり、多用な価値を国内外で創造する可能性を持っている。我が国の食文化をめぐる社会情勢や消費者の志向は大きく変化している。次世代へ和食文化を発信していくことが重要な課題だと受け止めている。農林水産省では食育の推進、日本食文化の海外発信、国産農産物の需要拡大等の施策を一体的に推進し、和食文化を未来につないでいく。そして和食文化を守る、つなぐ、広めることが漬物業界の更なる発展の一助になると考えている。今後もご支援とご協力をお願い申し上げる。
(代読:東北農政局地方参事官の佐々木春幸氏)

[祝辞] 衆議院議員 遠藤利明氏

代読の横澤氏
現代人の志向をとらえる
 第15回山形県漬物展示品評会表彰式の開催、お慶び申し上げる。
 本日、栄えある賞を受賞された皆様には心よりお祝いを申し上げる。山形が誇る漬物文化を支え、更なる発展に向けて尽力されている皆様に心より敬意を表する。
 漬物の素材の豊富さや研究を重ねた経験により、4年に一度、60年続けてこられた品評会を契機として、山形から全国へ漬物の新しい魅力が発信されることを期待している。
 若い方からインバウンドまで現代人の志向をとらえ、今後ますます発展されることをご期待申し上げ、お祝いの言葉とさせていただく。
 (代読:秘書の横澤直美氏)

[祝辞] 山形県議会議長 森田廣氏

森田議長
漬物は重要な食文化
 現在、第78回国民スポーツ大会冬季大会が山形で開催されているが、スキージャンプで有名な高梨沙羅選手は、朝はいつもおにぎりと漬物を食べて会場に行くそうだ。またお昼用におにぎりを作ってもらって漬物も食べながら競技に臨んでいると聞いている。非常にありがたいことだと感じている。
 協賛企業各社の協力があって開催される第15回山形県漬物展示品評会表彰式において、県議会を代表してお祝いの言葉を申し上げる。
 山形県漬物協同組合の皆様には本県漬物産業の振興、発展に多大なるご尽力を賜り、深く敬意を表するとともに感謝を申し上げる。また、本日農林水産大臣賞をはじめ各賞を受賞された皆様にお祝いを申し上げる。皆様の漬物作りに対する熱意と優れた技術、アイデアが高く評価されたものであり、心からお祝いを申し上げる。
 県内では古くから保存食や副食として、各地域の特色のある食材を用いた数多くの種類の漬物が作られてきている。これらは地域の食文化として大切に育まれ、また受け継がれてきており、西の京都、東の山形と評される漬物処として、全国から高い評価を得ている。
 近年、食育や地産地消を通した地域の伝統的な食文化を守る取組が広がりを見せているが、本県の漬物は大切に守り、受け継いでいくべき重要な食文化の一つであると認識している。県議会においても山形県の伝統的な食文化の継承と発展、食産業の振興に向けて引き続き力を注いでいく所存だ。皆様方におかれても更なるご尽力とご協力を賜りたく、お願い申し上げる。

[祝辞] 山形県議会議員 奥山誠治氏

奥山議員
漬物王国山形をPR
 品評会は6年ぶりの開催ということで、本日は楽しみにしていた。この度は三奥屋様をはじめ各賞を受賞された各企業の皆様にお祝いの言葉を申し上げる。引き続き研鑽を積まれ、更に飛躍されることを祈念している。山形の漬物は西の京都、東の山形と評されているが、山形では王国という言葉を用いることが多く、果樹王国、ラーメン県そば王国などと呼ばれている。そのような流れで『漬物王国山形』と呼び、何とかPRできないかと思っている。
 山形県はようやくコロナ前の来県者数に戻ってきて、今後はそれ以上に増えると予想されている。来県者は食べ物が美味しいということで来られる方が多く、初めて来た方も美味しいものを食べてリピーターになっている。漬物組合の皆様方には、更なる研鑽を積んで山形の美味しい漬物を国内外に発信していただきたいと思っている。

[祝辞] 衆議院議員 鈴木憲和氏

代読の東井上氏
食卓を彩る地域の宝
 日本の食文化は世界で注目を浴びており、特に今年オリンピックが開催されるパリでは日本食がブームになっている。
 農林水産省のデータによると、世界で日本食を提供する店舗は10数年前の3万店舗と比べると、現在は20万店舗まで増えている。日本食はご飯、漬物、汁物、おかずで構成され、漬物があって完結すると言われている。諸説はあるが、それだけ日本食には漬物が大事だということだ。
 パリではおにぎりがブームとなっていて、おにぎりの店舗がある。最初は日本人が現地で普及させたのだが、ヨーロッパの人が色々とアレンジして漬物などを入れるおにぎりの文化が広がっており、逆輸入されるとも言われている。
 日頃より県産漬物の需要拡大と技術の向上に尽力されている皆様に深く敬意を表する。4年に一度開催される品評会を機に古くからの伝統食品である漬物という食文化が食卓を彩る地域の宝として継承され、山形県の漬物の名声が全国にさらに広まり、消費拡大につながるよう期待している。
 (代読:代理秘書の東井上明氏)
三奥屋
本長
マルハチ
渡辺近七商店
三和漬物食品
ジェイエイあぐりんやまがた
後藤商店
河田醤油醸造場
菅野行雄副会長(左)から全漬連会長賞を授与される佐徳
内藤醸造
壽屋漬物道場
大石田漬物組合

ぐっと山形で販売会 大好評のうちに完売、終了

 第15回山形県漬物展示品評会受賞商品の販売会「山形漬けもの市」が2月24、25日の2日間、山形県観光物産会館「ぐっと山形」で開催された。
 受賞商品の農林水産大臣賞(1本)、農林水産大臣官房長賞(2本)、東北農政局長賞(同)、山形県知事賞(同)、山形県議会議長賞(10本)、全漬連会長賞(同)、東北漬物協会長賞(同)の計37本は金ラベルで表示。
 山形県物産会館社長賞、山形県中小企業団体中央会長賞、山形県食品産業協議会長賞、食料新聞社長賞(各5本)の計20本は銀ラベルの表示、その他はラベルなしで約150アイテム、計約3000パックを一律200円で販売した。
「山形漬けもの市」の会場
多くの来場者が詰めかけた
歴代農林水産大臣賞受賞作品
 鈴木理事長は「とにかく漬物を食べて、美味しさを知ってもらうため、一律200円で販売する」と語り、その効果もあってか午前9時のオープン時から多くの客が詰めかけた。
 来場者数を予測し、農林水産大臣賞から県知事賞までの各商品は一人2個までの購入制限を設けたが、中には1時間ほどで売り切れる商品もあるほどの人気ぶり。2日間でも早々に用意した商品を完売し、大好評のうちに終了した。

表彰式・レセプション 盛大かつ華やかに挙行

【2024(令和6)年3月11日第5156号1~4面】

<山形漬協> 三奥屋「晩菊」が農水大臣賞 6年ぶり漬物展示品評会

鈴木理事長
 山形県漬物協同組合(鈴木尚彦理事長)は2月24日、山形県山形市のホテルメトロポリタン山形にて4年に一度開催する「第15回山形県漬物展示品評会」の表彰式及びレセプションを開催。コロナで2年延期となっていたため、実に6年ぶりの開催となった。
 後援は山形県、全日本漬物協同組合連合会、東北漬物協会、山形県中小企業団体中央会、山形県食品産業協議会、やまがた食産業クラスター協議会、山形県観光物産協会など。
 昭和40年(1965年)にスタートした同品評会は、県内漬物業者が県産漬物の品質の向上と流通、消費拡大を意図し、同県漬物業振興発展に寄与することを目指すべく、組合員が総力を挙げて開催している。
 総出品数は154品で、東京家政大学大学院客員教授の宮尾茂雄氏を審査委員長、高崎健康福祉大学農学部生物生産学科教授の松岡寛樹氏を副審査委員長に、計5人の審査委員が2月22日に山形市の山形県観光物産会館「ぐっと山形」にて審査会を実施。1次と2次を分けて厳正な審査を行った結果、株式会社三奥屋(近清剛社長、山形県東置賜郡高畠町)の「晩菊」が農林水産大臣賞を受賞した。
華やかに開催された表彰式及びレセプション
 続いて株式会社本長(本間光太郎社長、山形県鶴岡市)の「外内島きゅうり味噌漬」(おき漬部門)と株式会社マルハチ(阿部武秀社長、山形県東田川郡)の「焼畑あつみかぶ」(あさ漬部門)が農林水産省大臣官房長賞、株式会社渡辺近七商店(渡辺勉社長、山形県山形市大字常明寺)の「蔵王胡瓜」(おき漬部門)と三和漬物食品株式会社(鈴木尚彦社長、山形県東置賜郡高畠町)の「わさび昆布」(あさ漬部門)が東北農政局長賞、株式会社ジェイエイあぐりんやまがた(奥山浩幸社長、山形県山形市)の「青菜漬」(おき漬部門)と有限会社後藤商店(後藤喜彦社長、山形県米沢市窪田町窪田)の「さっぱり柚子だいこん」(あさ漬部門)が山形県知事賞を受賞。その他、山形県議会議長賞、全日本漬物協同組合連合会会長賞、東北漬物協会会長賞、株式会社山形県観光物産会館社長賞、山形県中小企業団体中央会長賞、山形県食品産業協議会長賞、株式会社食料新聞社社長賞の各受賞者も発表された。
 表彰式及びレセプションには同組合名誉顧問でもある吉村美栄子山形県知事や東北農政局地方参事官の佐々木春幸氏、東北漬物協会の菅野行雄会長ら多数の来賓が出席。鈴木理事長は「三奥屋様の晩菊は発売から67年目という伝統と歴史のある商品で、文化の大切さを教えていただいた。心よりお祝いを申し上げる。私たちは商売ができることに感謝し、これからも事業に励んでいきたいと思っているので引き続きご理解とご協力をお願いしたい」と述べた。
 各賞を受賞した商品や参加商品を販売する即売会が2月24日と25日に「ぐっと山形」で開催され、「収益性よりも、まず食べて興味を持ってもらうこと」(鈴木理事長)を目的に200円均一で販売したところ、2日間ともすぐに完売。予想を上回る盛況ぶりとなった。
【詳細次号】
【2024(令和6)年3月1日第5155号1面】

山形県漬物協同組合
https://www.tsukemono-japan.org/yamagata/kumiai/index.htm

株式会社食料新聞社
〒111-0053
東京都台東区浅草橋5-9-4 MSビル2F

TEL.03-5835-4919(ショクイク)
FAX.03-5835-4921
・食料新聞の発行
・広報、宣伝サービス
・書籍の出版
TOPへ戻る