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豆腐・油揚・がんも商材・企業紹介2021

信濃雪

雪豆腐
こだわりの「生絞り」こうや豆腐
昭和26年創業のこうや豆腐・あぶら揚げメーカー株式会社信濃雪(松島晴実社長、長野県飯田市)。同社のこうや豆腐・あぶら揚げは、プロの料理人にも愛用される高品質商品だ。
 創業70周年を迎える今年、松島晴実常務が8月に新社長に就任した。松島新社長に同社のこうや豆腐製法や、今後の販売戦略についてお話を伺った。
(高澤尚揮)
◇    ◇
 ‐昨年からのコロナ禍でこうや豆腐需要に変化はありましたか。
 業務用の売上が6割を占める当社にとって昨年は苦しかった。一方で量販店では生協の売上が巣ごもり需要により堅調で、年末のおせち需要は微増した。今年に入ってからは業務用も、徐々に事業所・給食向けが回復してきたため、最終的に6月決算では前年並みとなった。おせち売上は例年安定しているため、大きな不安はない。
 ‐信濃雪のこうや豆腐の特徴は。
 製法で当社がこだわっているのは「生絞り製法」だ。主流の「煮取り製法」では、粉砕した大豆を煮た後におからと豆乳に分離させるが、当社は「生絞り製法」のため、粉砕した生大豆(呉)の状態で分離させる。大豆に熱を加えないことで、抽出可能な豆乳の量は減るものの、苦味や渋みが少なくなり、大豆本来のほんのりと甘い味を楽しんでもらえる。
 ‐こうや豆腐の新規ユーザーを増やすためには。
 「健康性を伝えること」「手軽に使えること」の2つは特に重要だと考える。健康性はすでに年齢層が高い方から強い支持を得ている。手軽さについては、当社では湯戻し不要でそのまま味噌汁に入れてもらえるタイプや、「雪豆腐粉末」のような「粉どうふ」をご飯からお菓子まで混ぜて活用できる商品まで揃えている。汎用性が高いと思う。
 ‐地域での宣伝活動は。
 コロナ前には、生協での売上が大きいこともあり、生協主催のお祭りに出店し、こうや豆腐を食べてもらう取組を行ってきた。
食べてもらうことで、ご家庭での購入に結びつくことを期待している。
 ‐組合活動について。
 5回目の開催となる「高野豆腐フォーラム」で今年も一般消費者へこうや豆腐の健康性や伝統性をPRする。11月には長野県のこども食堂へ共同寄贈を行う。こうや豆腐のPRや社会貢献活動を行うには、組合内での協力が欠かせない。
【2021(令和3)年10月26日第5073号8面】

みすずコーポレーション

こうや豆腐パウダー
メニュー提案を強化
 株式会社みすずコーポレーション(塚田裕一社長、長野県長野市)は、こうや豆腐やあぶら揚げを始めとして多彩な惣菜ラインアップを揃えるメーカーだ。
 昨年はコロナ禍の到来で、学校給食や産業給食の部門売上に厳しく響いた。今年に入り、徐々に回復傾向は見られるが、まだまだコロナ前の状況に戻るには時間が掛かりそうだ。
 コロナ禍で生活様式が変化したことについては、都市で働く場所や買い物場所に多様化が生まれているのではないかと捉えている。今後、同社は既存の年代層には、「寄り添い方の発信」として、メニューとの提案を強化していく。
 こうや豆腐は、おせち料理や彼岸などの風土や暦といった習慣と紐づけられた伝統食であり、昨年「高野豆腐の日」が登録されることで、伝統食としての側面から消費者の購買意欲に繋がることを期待している。
 一方で、健康性については大豆ミートへの関心の高まりから、植物性たんぱく質自体が注目を集めている。こうや豆腐は大豆由来のため、大豆たんぱく質に沿ったPRを引き続き行う。
【2021(令和3)年10月26日第5073号8面】



旭松食品

新あさひ豆腐(10個入)
凍り豆腐のトップメーカー
 凍り豆腐のトップメーカーである旭松食品株式会社(木下博隆社長、大阪市)は、SDGsへの対応を進めるとともに、高野豆腐の機能性研究、若年層への普及活動など幅広い取り組みを行っている。
 最新の研究では、高野豆腐のレジスタントプロテインが腸管バリア機能を維持・向上させることを明らかにした。腸の働きは肥満、生活習慣病、免疫力、肌荒れ、便秘、下痢に繋がっており、うつ病や認知症にも関わっていると考えられていることから、これらの病気の予防・改善に繋がる可能性が示されたことになる。
 同社はこれまでにも、研究機関やこうや豆腐普及委員会と連携して、高野豆腐の「血中悪玉コレステロールの減少」、「善玉コレステロールの増加」「食後血中中性脂肪の上昇抑制」「糖尿病の予防・改善」食後高血糖(血糖値スパイク)の抑制」、「免疫賦活効果」などの効果を明らかにしている。
 こうした研究成果はマスメディアで話題となり、特に中高年からの支持を集めるようになっている。
 一方、SNSでは若年層をターゲットに発信を行う環境に優しく、ヘルシーなプラントベースなタンパク源であることを訴求し、カレーの具や「代替肉」などのレシピを提案。商品も「うす切り」や「きざみ」など使いやすい形状を発売し、需要層は確実に広がってきている。
 さらに、昨年2月には高野豆腐の大豆原料をGLOBAL‐GAP認証原料に全面切り替え。長野県飯田市にある自社農場ではASIA‐GAP認証を取得し「ふる里の味」シリーズとして発売している。紙箱も、FSC認証紙に切り替えている。
 そしてもちろん、看板商品の「新あさひ豆腐」シリーズには長年の研究成果が注がれている。旧来、凍り豆腐は自然乾燥で長い年月をかけて作られるものだったが、人工冷凍法により量産化と品質安定化を実現。その後、重曹を用いて湯戻し不要ですぐに炊ける膨軟加工技術を開発、さらに2014年にはその重曹を炭酸カリウムに切り替えることで凍り豆腐に含まれる塩分ほぼゼロを実現した。
 凍り豆腐以外では、カップ入り味噌汁の「生みそずい」シリーズが著名。ほかにも豆腐生産時のおからを利用した「なめらかおからパウダー」や、糸引きがなく様々な料理に使える新食材「フリーズドライ納豆」、最近話題のヘルシー食材をカップ入りにした「オートミール」などヒット商品を開発している。
【2021(令和3)年10月26日第5073号8面】

日本豆腐協会 全国豆腐連合会

原料高騰による窮状を訴え
日本豆腐協会、及び一般財団法人全国豆腐連合会は連名で「豆腐の原材料高騰による窮状打開のお願い」の声明文書を発表した。
豆腐は、我が国が世界に誇る伝統的食品であり、両会に加盟する豆腐製造事業者は長年に亘って日本の食文化を支えてきた。しかし現在、これらの原材料に大きな変化が起きている。
特に「大豆」と「(揚げ用)油」の価格高騰はすさまじいものがある。「輸入大豆」については、シカゴ相場の高騰に加え、プレミアムや海上運賃も上昇しており、また中国等の大豆輸入量の増大に伴い、高止まりしている。
また、「国産大豆」も3年にわたる不作のため需給がひっ迫し、非常に高騰している。「(揚げ用)油」は、製油メーカーが3月~4月の値上げに引き続き、6月にも再度の値上げを発表した。さらに8月にも更なる値上げに踏み切るものと予想されており、秋口以降はほぼ2倍近くに値上がりすると危惧されている。
これらのことについて、日本豆腐協会では6月初旬、会員企業にアンケートを実施した。それによると、「大豆」の値上がりについては平均14・8%で、全ての会員企業が値上がりしたと回答した。「(揚げ用)油」の値上がりについては平均15%で、こちらも全ての会員企業が値上がりしたと回答している。
会員企業各社は、こうした急激なコストアップに対し、知恵と努力で切り抜けようとしているが、事態はもはや企業努力だけでは経営の維持が困難な状況に立ち至っている。
業界としては、安全・安心な商品を消費者に届けるのが使命と認識し、現下のコロナ禍においても日夜商品の供給に万全を期している。今後も、豆腐の安定供給を維持していくためにも、小売業、消費者に対し、豆腐業界の置かれている現状の理解を求めている。
【2021年7月21日第5064号14面、食料新聞デジタル7月30日号併載】
 
日本豆腐協会 http://www.tofu-as.com/
全国豆腐連合会 http://www.zentoren.jp/
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