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茨城県水産製品品評会 霞ケ浦北浦部門 2022

茨城県水産製品品評会・霞ケ浦北浦部門 原田水産が農水大臣賞

高木会長
青木審査委員長
農水大臣賞を受賞した原田水産の原田静男氏
コモリ食品、安部が水産庁長官賞
  茨城県の水産加工製品の品質の向上、普及拡大、及び水産業の振興を目的として行われる令和4年度茨城県水産製品品評会(主催=茨城県水産物開発普及協会、後援=茨城県)の表彰式が9日、水戸プラザホテルで開催された。今年度の品評会には、昨年を上回る霞ヶ浦北浦部門250点、沿海部門117点の計367点の出品が寄せられた。霞ヶ浦北浦部門では、原田水産(小美玉市高崎)の「白魚黄金釜揚げ」が農林水産大臣賞、コモリ食品(鉾田市中居)の「鯉こく(2人前)」、安部(かすみがうら市牛渡)の「わかさぎ白焼甘露煮」が水産庁長官賞を受賞した。
  表彰式は茨城県水産物開発普及協会の戸田廣副会長の開会の言葉に続き、同協会の髙木安四郎会長が挨拶。「茨城県の水産加工製品生産は質・量ともに全国屈指の位置を占めているが、原料の漁獲減少が顕著となり、価格も高騰し、年々原料の確保が困難を極めている。国際的な資源争奪競争などにより輸入原料の確保も厳しさを増しており、原油高、電気料金高騰、円安傾向の為替相場と過去に経験したことがない厳しい状況が継続している。そのような中、多様化するニーズに的確に応えていくことが業界発展にとって大切なことと考えている。今後もさらに魅力ある製品づくりに取り組んで頂きたい」と述べた。
 来賓紹介に続いて来賓を代表して茨城県農林水産部次長兼漁政課長の青木雅志氏が挨拶。「今回も工夫を凝らした製品が数多く見られ、各賞を受賞された皆様に心よりお祝いを申し上げたい。茨城県はバラエティーに富んだ魚介類やその加工品を生産しており、令和3年においては約15万tの水産加工生産量を誇る全国でもトップクラスの水産県。県としても受賞した製品をホームページやSNS、〝茨城を食べようポータルサイト〟などで情報発信し、県産水産物の認知度向上やイメージアップに努めている。品評会を通じて、本県を代表する加工製品が誕生することを期待したい」と話した。
 引き続き審査委員長でもある青木氏が審査講評を発表。出品物の全般的な特徴として、「昔ながらの伝統的な製品に加えて、少量ずつパックされたもの、複数製品を組合わせたものなど、気軽に水産物を楽しめる製品や、これまでにない特徴を持った目新しさのある製品が見受けられた」と指摘。霞ヶ浦北浦部門の特徴としては、「わかさぎやしらうお、えび等の霞ヶ浦北浦産の水産物を原料とした伝統的な佃煮が多く見られる中、今年の漁模様を反映して水揚げの多いしらうおを原料とした製品が目立った他、新しい加工技術の開発に取り組んでいる商品も見られた。主要魚種の資源減少を反映し、複数の原料を組合わせた製品を考案するなど、原料の確保にも工夫を凝らした製品が見られた」と評した。
 また農林水産大臣賞を受賞した原田水産の「白魚黄金釜揚げ」について、「霞ヶ浦の白魚の中から特に鮮度の良い素材を厳選し、独自に開発した特殊な技術を用いて茹で上げることで、白魚としては珍しい釜揚げに仕立て、素材の旨味としっとりとした食感を最大限に引き出し、煮崩れなく形よく仕上げられている。また、最も良い状態で真空包装することで長期の冷凍保存を可能とし、消費者がいつでも一番美味しい状態で食べられるよう工夫されている」と講評した。
 受賞者代表挨拶で、原田水産の原田静男氏は、「お祝いと激励の言葉を賜り、盛大な式典を開催して頂きました事、受賞者一同感激の極みであります。未だに収束が見えない新型コロナウイルス感染症により、我々業界は厳しい経営環境が続いております。従来の製品を改良し、より良い製品を世に出す心掛けが必要だと思います。今日の感謝を肝に銘じ、名誉ある各賞の名に恥じないよう茨城県の水産業発展のため努力を続けて参ります」と述べた。
【2022(令和4)年12月21日第5115号2面】

茨城県水産製品品評会

原田水産 「白魚黄金釜揚げ」が農林水産大臣賞

農林水産大臣賞を受賞した
鮮度ある味わいが手軽に楽しめる「白魚黄金釜揚げ」
 有限会社原田水産(原田静男社長、茨城県小美玉市)は、霞ヶ浦、北浦、涸沼の生鮮・加工食品・冷凍食品の製造販売を行う創業150年の老舗。4代目となる原田社長は「煮干などの伝統食だけでなく、時代ニーズに合った新しい技術や新しい製品を作らないと地場産業が衰退してしまう」という考えのもと、自社でしか作ることができないオリジナル製品の開発に力を注いでいる。
 この度、令和4年度茨城県水産製品品評会において農林水産大臣賞を受賞したのが「白魚黄金釜揚げ」だ。同社では霞ヶ浦屈指の白魚(鮮魚)取扱量を誇り、全国の市場に納入している。だが、近年の気候変動の影響などにより鮮魚だけではリスクがあると考え、最近では加工品にも力を入れている。
 「白魚黄金釜揚げ」は、〝白魚を寿司ネタに使用することはできないか〟という原田社長の着想により生まれた。白魚を塩のみで茹でると泡立ちし、苦味やアクが出るため、これまで添加物を加えずに釜揚げ製品を作ることは難しかった。しかし、原田社長はある調味料を加えることで、雑菌が死滅し、アクが出なくなることを発見した。その製法を用いて白魚を釜揚げにし、無菌状態を保ちながら真空パックに入れて冷凍することで、いつでも食べられる簡便性の高い白魚の釜揚げ製品の開発に成功した。
 味わいの面でも、泥臭さやクセが低減し、甘みが出てまろやかになるという。微生物検査により雑菌が抑えられていることも確認されており、現在、特許を出願中だ。
 鮮度ある味わいが手軽に楽しめるため、軍艦巻き、サラダ、かき揚げ、パスタといった様々な料理に霞ヶ浦産の白魚を使用することができる。内容量も100gとし、鮮度を落とさずに一度に食べきれるよう工夫した。市販用や飲食店向けに来年から本格的に販売をスタートする予定だ。
 なお、この製法は他の魚にも応用可能で、令和2年茨城県水産製品品評会において水産庁長官賞を受賞した「いわしカンロちゃん」も同製法により作られている。本来であれば、いわしを甘露煮にする際には、苦味やえぐみが出るため、頭やえらを取り除くのが一般的だが、同製品は取り除かず一匹まるごと炊き上げている。原田社長は、「この製法は霞ヶ浦の漁師や生産者のためになり、地域の活性化にもつながるものと信じている。霞ヶ浦の輝かしい未来を信じて〝黄金釜揚げ〟と名付けた」と製品への期待を語っている。
【2022(令和4)年12月21日第5115号2面】


コモリ食品「鯉こく」に水産庁長官賞

コモリ食品の小森代表
鯉こく
 コモリ食品(小森喜幸代表、茨城県鉾田市)は、鯉の養殖から加工販売までを行う老舗トップメーカー。同社では令和4年度茨城県水産製品品評会において「鯉こく(2人前)」が水産庁長官賞を受賞した。
 「鯉こく」は、自社養殖した北浦産の鯉と7種類の地元野菜を使用した味噌汁。鯉の頭の骨から出る髄液が旨味の決め手で、コク深い味わいのスープと、肉厚な鯉の身、茨城産のゴボウ、人参、ジャガイモなどたっぷりの野菜が絡まる味わいが人気を集めている。
 同社では、鯉の尾の部分を細かく一口大にカットし圧力鍋で骨まで柔らかくして、骨ごと食べられるように仕上げている。鯉の独特な香りがクセになり、長年の愛用者に加え、一度食べるとリピーターになる新規ファンも増加中で、同社のWEBショップには全国の「鯉こく」ファンから注文が入る。
 この「鯉こく」をフードプロセッサーですりつぶし、スパウトパウチ容器に詰めた新商品「ぐーっと飲む鯉こく 鹿行(ろっこう)の力」も画期的な製品。〝食べる〟から〝飲む〟という発想の転換を行うことで、「もっと手軽に『鯉こく』を味わってほしい」という小森代表の想いが形になった。
 いつでもどこでもワンハンドで「鯉こく」の美味しさを楽しむことができ、豊富な栄養素も摂取できる、話題性にも富んだ注目の製品だ。
 〝鹿行〟は同社の所在する鉾田市近郊の旧郡域である鹿島郡の「鹿」と、行方郡の「行」を取った名称。太平洋(鹿島灘)と霞ヶ浦に挟まれた地域で、肥沃な土地で野菜の栽培が盛んだ。
その土地の食品を使用して開発された「鹿行の力」に対する小森代表の思いは強い。
 「地元への感謝の気持ちと鯉の食文化を守りたい一心で開発した。何とか鯉の美味しさを知ってもらいたい」と小森代表は語る。
 同社では「鯉のうま煮」も人気商品。肉厚な鯉の身やプチプチとした魚卵を丁寧に甘辛く炊いており、地元スーパーを中心に販売数が増加している。
【2022(令和4)年12月21日第5115号3面】


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