梅議連 第27回総会を開催 梅干し輸出額が過去最高に
梅産業の振興を目的とした「梅振興議員連盟」(森山裕会長)は14日、東京都千代田区の参議院議員会館にて第27回総会を開催した。
当日は、二階俊博幹事長、鶴保庸介事務局長ら自民党所属の国会議員、農林水産省を始めとした関係省庁や梅産地の関係者、全日本漬物協同組合連合会より中田吉昭氏(和歌山県漬物組合連合会理事長)と真野康彦専務理事が出席、議事では決議文の採択や各産地動向の発表が行われた他、東京家政大学大学院客員教授の宮尾茂雄氏が「梅干し等漬物と塩分摂取について」の演題で講演を行った。
総会は清水真人参議院議員が司会進行を務め、二階幹事長が挨拶。「本日は各産地からご出席頂いており、引き続き産地の生産者の支援を力強く行っていきたい。近年、梅の価格は堅調で、輸出に関しても梅酒を始めとした関連製品が伸びて、重要な位置づけとなっている。梅は農産物の中でも優等生であるので、梅議連としても、積極的に世の中に梅の魅力を広めていきたい」と話した。
議事では、梅振興議員連盟決議書(令和4年6月)に対する対応状況を農林水産省が発表。梅の生産対策や学校給食への梅干しの推奨、梅の健康機能性の訴求、海外に向けた発信といった各決議内容への対応について進捗状況を説明した。輸出に関しては、梅干し、梅酒共に令和4年の輸出額が過去最高となったことが報告された。
当日は、二階俊博幹事長、鶴保庸介事務局長ら自民党所属の国会議員、農林水産省を始めとした関係省庁や梅産地の関係者、全日本漬物協同組合連合会より中田吉昭氏(和歌山県漬物組合連合会理事長)と真野康彦専務理事が出席、議事では決議文の採択や各産地動向の発表が行われた他、東京家政大学大学院客員教授の宮尾茂雄氏が「梅干し等漬物と塩分摂取について」の演題で講演を行った。
総会は清水真人参議院議員が司会進行を務め、二階幹事長が挨拶。「本日は各産地からご出席頂いており、引き続き産地の生産者の支援を力強く行っていきたい。近年、梅の価格は堅調で、輸出に関しても梅酒を始めとした関連製品が伸びて、重要な位置づけとなっている。梅は農産物の中でも優等生であるので、梅議連としても、積極的に世の中に梅の魅力を広めていきたい」と話した。
議事では、梅振興議員連盟決議書(令和4年6月)に対する対応状況を農林水産省が発表。梅の生産対策や学校給食への梅干しの推奨、梅の健康機能性の訴求、海外に向けた発信といった各決議内容への対応について進捗状況を説明した。輸出に関しては、梅干し、梅酒共に令和4年の輸出額が過去最高となったことが報告された。
中田理事長が現況報告 梅6産地による取組発表も
続いて産地における梅振興の取組について、和歌山県、埼玉県、群馬県、東京都、神奈川県、福井県の各産地関係者が発表した(詳細別掲)。また、梅干し等漬物の流通販売の現況報告について、全漬連を代表して和歌山県漬物組合連合会の中田理事長が発表を行った。
中田理事長は、梅干しの販売動向について説明。「昨年末に、ある梅干し会社がツイッターで『梅干しの売行きが悪く、廃業危機だ』とつぶやいた投稿が反響を呼びネット上で話題になった。そのツイートにより、梅干しのことを思い出してくれたのか、その後は少し売れるようになっている。総務省家計調査における梅干しの一世帯あたりの年間消費量データによると20年間で4割程減少している。コメ食よりパン食が増加した食事変化、中元やお歳暮など贈答品の減少なども原因だと考えられる」とした。
また、コロナ以降の販売状況について、「全国のスーパーマーケットのPOSデータによると、令和2年度は前年対比96・7%、令和3年度は94%、令和4年度は94・5%となっており、新型コロナ発生以降の3年間で毎年5%前後の減少が続いている。原因としては、コロナ禍で家庭内食が増え、割安感のある食品、調理食品への需要が増えたことで家庭での梅干し購入が減少してしまったことが考えられている。今から5年前の平成30年夏にテレビ番組で梅干しの健康機能性について放送され、梅干しの大ブームが起き、大きな需要が生まれた。この年、一年間で梅干し需要が前年比20%増えた。この底上げされた需要をコロナ禍の3年間で失ってしまったのが現状だ。だが冒頭のツイートのおかげか、昨年の年末からは前年と同じくらいで推移しており、下げ止まりの様相を見せているが、上昇には転じていない」と説明した。
今後については、「梅干しの売上を上げるためには、消費者が買いやすい価格での販売が求められるが、原料、資材、人件費、物流費など様々な経費が上がる中、価格を上げると売行きが悪くなるので値上げは非常に困難、また値下げ販売もできない状況で、厳しい経営環境が続いている。しかし、今年の紀州南高梅は良い作柄が見込まれている。長期予報では今年の夏も厳しい猛暑が続くとのことで、梅干しは熱中症予防や夏バテ対策に良いと言われており、メディア報道も期待しながら梅干し需要が増加するよう積極的に販売していきたい」と述べた。
その後、東京家政大学大学院客員教授の宮尾氏が「梅干し等漬物と塩分摂取について」というテーマで講演。梅の機能性や塩の役割、漬物の減塩化などについて説明した。農水省の「漬物で野菜を食べよう!」の取組についても触れ、「漬物には健康成分が多く含まれており生野菜を効率的に摂取できる」と解説した。 続く決議文採択では、梅の安定生産や需要拡大を図るための8項目の決議文が採択され、総会は終了した。
会場では、二階幹事長や鶴保事務局長らによる梅酒づくりのデモンストレーションが行われた他、各産地の梅製品の展示も実施された。
【各産地動向】
◇和歌山県(みなべ町長:小谷芳正氏)
「今年は豊作気味で進んできたが、若干、小粒傾向になっている。収量的には収穫してみないと分からないが、粒数は多いが量はそうでもないということになるのではないか。2月にしわたるみの予防に効く新たな特許を取得、今までは健康食品でやってきたが、これからは美容と健康でやっていきたい。学校給食で梅干しを食べてもらう取組を進めているが、いつも塩分濃度の話が出る。みなべ町は和歌山県下で医療費が最低の町、お隣の田辺市も下から2位ということで〝みなべ・田辺の梅システム〟の両地区とも医療費が安い。昨日、和歌山で梅に高血圧の抑制作用があるという記者発表もあった。今後も皆様のお知恵をお借りしながら、梅の健康機能性についての研究を進めていきたい」
◇埼玉県(越生町町長:新井康之氏)
「越生ブランドの『べに梅』のPRに力を入れている。べに梅は肉厚でフルーティーで、梅干しやジュースにしても美味しい。一定の基準を満たした生梅、梅干しなどに『べに梅』のラベルを貼って売り出している。6月11日に4年ぶりに梅フェアを開催、雨が降る中、大勢のお客様にべに梅を購入して頂くことができた。今年から補助事業として各農家に収穫ネットを配布する取組を始めた。これからも各生産地の取組を勉強させて頂きやっていきたい」
◇群馬県(JAはぐくみ:竹内敏夫代表理事理事長)
「昨年は雹害により大変な年となったが、今年は今のところ良い状況で、生産者も喜んでいる。コロナ禍や肥料高騰など厳しい環境の中、行政の支援に感謝している。高齢化により、耕作放棄地が増えてきていることが課題になっている。我々は加工部門があるので、梅干しや梅ジュースなどの梅加工品の製造により、少しでも農業生産者の所得向上や生産性向上をバックアップできるよう努めていきたい」
◇東京都(青梅市副市長:小山高義氏)
「平成21年4月に国内で初めて〝ウメ輪紋ウイルス〟が確認され、市内にある4万本を超える梅の木を伐採せざるを得ない自体に陥った。平成28年度から植栽を始め、これまで5000本の梅を植えることができた。吉野梅郷にある公園では1200本あまりの梅が成長する姿が見られ、市を代表する公園として再生している。梅の収穫量も増えており、新品種である露茜を使ったジャムの開発も行われている」
◇神奈川県(小田原市理事・経済部長:武井好博氏)
「小田原の梅は、関東の3大梅林と言われる曽我梅林を中心に栽培されている。最近では大手飲料メーカーと連携した商品開発も行っている。十郎梅は梅の果肉が厚く柔らかいことから梅干し用として高い評価を受けている。十郎梅プレミアム『雲上』、クラフトチューハイ『小田原うめ』なども好評で、最近では『梅ジャムデニッシュ』も開発され期間限定で発売している。梅は貴重な地域資源、今後も様々な梅の振興に取り組んでいく」
◇福井県(若狭町長:渡辺英朗氏)
「福井県は今年、豊作傾向で収量1200トンを見込んでおり、販路の拡大、消費拡大に力を入れている。福井県若狭地方は、日本海側最大の梅産地。剣先梅は梅酒や梅ジュースに最適、主力の紅映梅は梅干しに大変好評で、新しい品種の開発にも取り組んでいる。梅生産者の若手育成、梅ジャムや梅のお菓子の生産にも力を注いでいる。梅の老木化や生産者の高齢化が課題となっている。しっかりと産地を守り、梅振興に力を入れていきたい」
中田理事長は、梅干しの販売動向について説明。「昨年末に、ある梅干し会社がツイッターで『梅干しの売行きが悪く、廃業危機だ』とつぶやいた投稿が反響を呼びネット上で話題になった。そのツイートにより、梅干しのことを思い出してくれたのか、その後は少し売れるようになっている。総務省家計調査における梅干しの一世帯あたりの年間消費量データによると20年間で4割程減少している。コメ食よりパン食が増加した食事変化、中元やお歳暮など贈答品の減少なども原因だと考えられる」とした。
また、コロナ以降の販売状況について、「全国のスーパーマーケットのPOSデータによると、令和2年度は前年対比96・7%、令和3年度は94%、令和4年度は94・5%となっており、新型コロナ発生以降の3年間で毎年5%前後の減少が続いている。原因としては、コロナ禍で家庭内食が増え、割安感のある食品、調理食品への需要が増えたことで家庭での梅干し購入が減少してしまったことが考えられている。今から5年前の平成30年夏にテレビ番組で梅干しの健康機能性について放送され、梅干しの大ブームが起き、大きな需要が生まれた。この年、一年間で梅干し需要が前年比20%増えた。この底上げされた需要をコロナ禍の3年間で失ってしまったのが現状だ。だが冒頭のツイートのおかげか、昨年の年末からは前年と同じくらいで推移しており、下げ止まりの様相を見せているが、上昇には転じていない」と説明した。
今後については、「梅干しの売上を上げるためには、消費者が買いやすい価格での販売が求められるが、原料、資材、人件費、物流費など様々な経費が上がる中、価格を上げると売行きが悪くなるので値上げは非常に困難、また値下げ販売もできない状況で、厳しい経営環境が続いている。しかし、今年の紀州南高梅は良い作柄が見込まれている。長期予報では今年の夏も厳しい猛暑が続くとのことで、梅干しは熱中症予防や夏バテ対策に良いと言われており、メディア報道も期待しながら梅干し需要が増加するよう積極的に販売していきたい」と述べた。
その後、東京家政大学大学院客員教授の宮尾氏が「梅干し等漬物と塩分摂取について」というテーマで講演。梅の機能性や塩の役割、漬物の減塩化などについて説明した。農水省の「漬物で野菜を食べよう!」の取組についても触れ、「漬物には健康成分が多く含まれており生野菜を効率的に摂取できる」と解説した。 続く決議文採択では、梅の安定生産や需要拡大を図るための8項目の決議文が採択され、総会は終了した。
会場では、二階幹事長や鶴保事務局長らによる梅酒づくりのデモンストレーションが行われた他、各産地の梅製品の展示も実施された。
【各産地動向】
◇和歌山県(みなべ町長:小谷芳正氏)
「今年は豊作気味で進んできたが、若干、小粒傾向になっている。収量的には収穫してみないと分からないが、粒数は多いが量はそうでもないということになるのではないか。2月にしわたるみの予防に効く新たな特許を取得、今までは健康食品でやってきたが、これからは美容と健康でやっていきたい。学校給食で梅干しを食べてもらう取組を進めているが、いつも塩分濃度の話が出る。みなべ町は和歌山県下で医療費が最低の町、お隣の田辺市も下から2位ということで〝みなべ・田辺の梅システム〟の両地区とも医療費が安い。昨日、和歌山で梅に高血圧の抑制作用があるという記者発表もあった。今後も皆様のお知恵をお借りしながら、梅の健康機能性についての研究を進めていきたい」
◇埼玉県(越生町町長:新井康之氏)
「越生ブランドの『べに梅』のPRに力を入れている。べに梅は肉厚でフルーティーで、梅干しやジュースにしても美味しい。一定の基準を満たした生梅、梅干しなどに『べに梅』のラベルを貼って売り出している。6月11日に4年ぶりに梅フェアを開催、雨が降る中、大勢のお客様にべに梅を購入して頂くことができた。今年から補助事業として各農家に収穫ネットを配布する取組を始めた。これからも各生産地の取組を勉強させて頂きやっていきたい」
◇群馬県(JAはぐくみ:竹内敏夫代表理事理事長)
「昨年は雹害により大変な年となったが、今年は今のところ良い状況で、生産者も喜んでいる。コロナ禍や肥料高騰など厳しい環境の中、行政の支援に感謝している。高齢化により、耕作放棄地が増えてきていることが課題になっている。我々は加工部門があるので、梅干しや梅ジュースなどの梅加工品の製造により、少しでも農業生産者の所得向上や生産性向上をバックアップできるよう努めていきたい」
◇東京都(青梅市副市長:小山高義氏)
「平成21年4月に国内で初めて〝ウメ輪紋ウイルス〟が確認され、市内にある4万本を超える梅の木を伐採せざるを得ない自体に陥った。平成28年度から植栽を始め、これまで5000本の梅を植えることができた。吉野梅郷にある公園では1200本あまりの梅が成長する姿が見られ、市を代表する公園として再生している。梅の収穫量も増えており、新品種である露茜を使ったジャムの開発も行われている」
◇神奈川県(小田原市理事・経済部長:武井好博氏)
「小田原の梅は、関東の3大梅林と言われる曽我梅林を中心に栽培されている。最近では大手飲料メーカーと連携した商品開発も行っている。十郎梅は梅の果肉が厚く柔らかいことから梅干し用として高い評価を受けている。十郎梅プレミアム『雲上』、クラフトチューハイ『小田原うめ』なども好評で、最近では『梅ジャムデニッシュ』も開発され期間限定で発売している。梅は貴重な地域資源、今後も様々な梅の振興に取り組んでいく」
◇福井県(若狭町長:渡辺英朗氏)
「福井県は今年、豊作傾向で収量1200トンを見込んでおり、販路の拡大、消費拡大に力を入れている。福井県若狭地方は、日本海側最大の梅産地。剣先梅は梅酒や梅ジュースに最適、主力の紅映梅は梅干しに大変好評で、新しい品種の開発にも取り組んでいる。梅生産者の若手育成、梅ジャムや梅のお菓子の生産にも力を注いでいる。梅の老木化や生産者の高齢化が課題となっている。しっかりと産地を守り、梅振興に力を入れていきたい」
【2023(令和5)年6月26日第5132号1,2面】