【大阪支社】令和6(2024)年秋の叙勲で旭日双光章を受章した元全日本漬物協同組合連合会(全漬連)副会長の河島歳明氏(河島本家代表取締役社長)の受章記念祝賀会が3月2日、ホテルグランヴィア和歌山(和歌山市)で開催された。
全国から160余名が出席。行政、漬物業界関係者や、河島本家の社員や取引先、河島氏の親族、友人らも集い、慶事を祝った。
祝賀会は和歌山県漬物協同組合連合会の中田吉昭理事長が発起人代表、阪本和繁理事が実行委員長として開催された。
和歌山漬連の前田雅雄副理事長による開会宣言に続いて挨拶に立った中田理事長は出席者各位にお礼を述べた後、河島氏の受章経緯について「漬物業界団体の役職を歴任し、業界発展を常に先導してきた。社業においても、紀の川漬を地域ブランドとして確立した。これら多数の功績が認められ受章されたことは我々にとっても大きな喜び。そして、全国から多数の出席をいただいたのは何より河島氏の人柄によるものだ」と述べた。
阪本実行委員長による勲記披露が行われた後、来賓の岸本周平和歌山県知事、尾花正啓和歌山市長、中園雅治全漬連会長、〝沢庵寺〟で知られる宗鏡寺(兵庫県)の小原游堂住職らが祝辞を述べた。
岸本知事は「河島氏とは20年来の付き合いになる。穏やかで笑顔を絶やさず、誠を尽くし、周囲を惹きつけ、事業を成功に導き皆を幸せにする人だ。日本一の漬物生産金額を誇る和歌山を、河島氏のような徳のある人が引っ張ってくれたことは本当にありがたいこと」と称えた。
尾花市長は「日本の食文化は海外でブームになっており、漬物はそれを代表する独自の存在。河島氏がこれからもますます活躍し、日本の食文化が発展することを願っている」と激励の言葉を贈った。
中園会長は「河島氏は全漬連においては、沢庵漬委員会委員長として11月11日『たくあんの日』制定、副会長として賦課金制度の改革など幅広く活躍された。漬物は技術進歩により50年前より大きく減塩しているので、出席者の皆様も安心してたくさん食べてほしい」と漬物のアピールを交えて語った。
小原住職は「当院は沢庵和尚ゆかりの寺として、地域の子どもたちに食の大切さを伝えている。沢庵漬が河島氏や関西漬協の御縁を生み、昨年11月の出石お城祭りの際には関西漬協が当院の改修チャリティセールを実施していただき、地元で語り草となるほどの盛況になった」と謝意を示した。
来賓紹介、祝電披露に続いて中田理事長と和歌山地区漬物協同組合の河島伸浩副理事長が記念品を手渡した。また花束贈呈は河島氏の3人のお孫さんが登壇し、河島氏と美智子令夫人には笑顔が溢れた。
謝辞に立った河島氏は、「はからずも旭日双光章を賜り、また皆様から過分なるお言葉を頂き大変光栄に思う。ただ実を言うと、私は自分の力で受章したとは全く思っていない。皆様のご支援のおかげでこの場に立てている。和歌山の皆様は私をいつも後押ししてくれた。本当に心強かった。関西漬協の事業は、直前会長の高嶋良平氏をはじめ皆様がほとんどこなしてくれた。全漬連では賦課金制度の改革で、大手企業様には負担増をお願いしたわけだが、漬物文化の多様性を守るためならと快く受け入れてくださった。そして私が外部の活動で留守にしていても会社を守ってくれた河島本家の社員、常に私を支えてくれる家族、何より家内に心から感謝している」と、涙を湛えながら語り、会場は感動に包まれた。
最後は和歌山漬連の殿畑雅敏副理事長が閉会の辞を述べ、第一部は終了となった。
全国から160余名が出席。行政、漬物業界関係者や、河島本家の社員や取引先、河島氏の親族、友人らも集い、慶事を祝った。
祝賀会は和歌山県漬物協同組合連合会の中田吉昭理事長が発起人代表、阪本和繁理事が実行委員長として開催された。
和歌山漬連の前田雅雄副理事長による開会宣言に続いて挨拶に立った中田理事長は出席者各位にお礼を述べた後、河島氏の受章経緯について「漬物業界団体の役職を歴任し、業界発展を常に先導してきた。社業においても、紀の川漬を地域ブランドとして確立した。これら多数の功績が認められ受章されたことは我々にとっても大きな喜び。そして、全国から多数の出席をいただいたのは何より河島氏の人柄によるものだ」と述べた。
阪本実行委員長による勲記披露が行われた後、来賓の岸本周平和歌山県知事、尾花正啓和歌山市長、中園雅治全漬連会長、〝沢庵寺〟で知られる宗鏡寺(兵庫県)の小原游堂住職らが祝辞を述べた。
岸本知事は「河島氏とは20年来の付き合いになる。穏やかで笑顔を絶やさず、誠を尽くし、周囲を惹きつけ、事業を成功に導き皆を幸せにする人だ。日本一の漬物生産金額を誇る和歌山を、河島氏のような徳のある人が引っ張ってくれたことは本当にありがたいこと」と称えた。
尾花市長は「日本の食文化は海外でブームになっており、漬物はそれを代表する独自の存在。河島氏がこれからもますます活躍し、日本の食文化が発展することを願っている」と激励の言葉を贈った。
中園会長は「河島氏は全漬連においては、沢庵漬委員会委員長として11月11日『たくあんの日』制定、副会長として賦課金制度の改革など幅広く活躍された。漬物は技術進歩により50年前より大きく減塩しているので、出席者の皆様も安心してたくさん食べてほしい」と漬物のアピールを交えて語った。
小原住職は「当院は沢庵和尚ゆかりの寺として、地域の子どもたちに食の大切さを伝えている。沢庵漬が河島氏や関西漬協の御縁を生み、昨年11月の出石お城祭りの際には関西漬協が当院の改修チャリティセールを実施していただき、地元で語り草となるほどの盛況になった」と謝意を示した。
来賓紹介、祝電披露に続いて中田理事長と和歌山地区漬物協同組合の河島伸浩副理事長が記念品を手渡した。また花束贈呈は河島氏の3人のお孫さんが登壇し、河島氏と美智子令夫人には笑顔が溢れた。
謝辞に立った河島氏は、「はからずも旭日双光章を賜り、また皆様から過分なるお言葉を頂き大変光栄に思う。ただ実を言うと、私は自分の力で受章したとは全く思っていない。皆様のご支援のおかげでこの場に立てている。和歌山の皆様は私をいつも後押ししてくれた。本当に心強かった。関西漬協の事業は、直前会長の高嶋良平氏をはじめ皆様がほとんどこなしてくれた。全漬連では賦課金制度の改革で、大手企業様には負担増をお願いしたわけだが、漬物文化の多様性を守るためならと快く受け入れてくださった。そして私が外部の活動で留守にしていても会社を守ってくれた河島本家の社員、常に私を支えてくれる家族、何より家内に心から感謝している」と、涙を湛えながら語り、会場は感動に包まれた。
最後は和歌山漬連の殿畑雅敏副理事長が閉会の辞を述べ、第一部は終了となった。
【2025(令和7)年3月11日第5189号8面】
第二部は、桂あさ吉氏による祝落語「はてなの茶碗」で幕を開けた。
来賓一同が登壇し鏡開きを終えると、河島氏と時を同じくして黄綬褒章を受章した関西漬物協会の平井達雄会長が「出石お城祭りでのチャリティセールの盛況ぶりは漬物の底力を感じた。そういう気付きや学びがある時、いつも中心にいるのは河島氏」と語り、河島氏と出席者の繁栄を祈念して乾杯発声を務めた。
宴席中も河島氏は出席者一人ひとりに気さくに声をかけ、思い出話に華を咲かせる和やかな時間を過ごした。
宴もたけなわのうちに、河島氏の長男で河島本家常務の河島大紀氏が登壇。河島本家が今年で創業95年目を迎えたことを明かし「父は叙勲に推薦する話を頂いた際からずっと、皆様への感謝を口にしてきた。私からもお礼を申し上げたい。漬物業界は今、厳しい環境に置かれているが、当社はお客様に安全と安心を第一に商品を提供し続ける。これからは私が父の思いを受け継ぎ、河島本家を担っていく。今後ともご指導ご鞭撻をお願いしたい」と力強く宣言し、出席者一同は頼もしい後継者へ拍手喝采を贈った。
最後は和歌山漬連前理事長の杉本宗一氏が中締めの音頭を取り、幕を閉じた。
来賓一同が登壇し鏡開きを終えると、河島氏と時を同じくして黄綬褒章を受章した関西漬物協会の平井達雄会長が「出石お城祭りでのチャリティセールの盛況ぶりは漬物の底力を感じた。そういう気付きや学びがある時、いつも中心にいるのは河島氏」と語り、河島氏と出席者の繁栄を祈念して乾杯発声を務めた。
宴席中も河島氏は出席者一人ひとりに気さくに声をかけ、思い出話に華を咲かせる和やかな時間を過ごした。
宴もたけなわのうちに、河島氏の長男で河島本家常務の河島大紀氏が登壇。河島本家が今年で創業95年目を迎えたことを明かし「父は叙勲に推薦する話を頂いた際からずっと、皆様への感謝を口にしてきた。私からもお礼を申し上げたい。漬物業界は今、厳しい環境に置かれているが、当社はお客様に安全と安心を第一に商品を提供し続ける。これからは私が父の思いを受け継ぎ、河島本家を担っていく。今後ともご指導ご鞭撻をお願いしたい」と力強く宣言し、出席者一同は頼もしい後継者へ拍手喝采を贈った。
最後は和歌山漬連前理事長の杉本宗一氏が中締めの音頭を取り、幕を閉じた。
【2025(令和7)年3月11日第5189号8面】
西脇知事は万博で技を世界へ
株式会社柴常(京都市南区)の柴垣勝巳氏が、京都府の優秀技能者表彰を受賞し「京都府の現代の名工」に認定された。2月7日には京都市上京区の京都府公館において表彰式が執り行われ、西脇隆俊府知事より表彰状が手渡された。
今回表彰されたのは、食品業界のほか建築や工芸などの分野から柴垣氏を含めた17名。青年優秀技能者奨励賞(明日の名工)の9名も表彰された。
西脇府知事は「永年にわたり伝承された技術を現代の生活様式に合わせ進化させ続ける皆様に心から敬意を表したい。今年は大阪・関西万博へ関西パビリオンに府として出展する。一過性のイベントでなく、これを契機に皆様の技を世界へ伝えていきたい」と語り、表彰者を讚えた。
式典を終えて柴垣氏は「子どもの頃から手伝っていた頃から数えれば、漬物に携わって約60年。波乱万丈な人生だと自負しているが、それでも支えてくれた周囲の皆様に感謝している。私は商売っけの強いほうではなく、良いものを作って喜んでもらいたい、という気持ちで動いてきたからこそ何にでも挑戦出来たのだと思う。漬物は自分の人生そのものであり、業界を良くしたい思いも人一倍ある。培ってきた技術を共有し貢献したい」と語った。
【柴垣勝巳氏】
昭和32年生まれ。柴常は昨年で創業100周年を迎えた老舗であり、柴垣氏は幼少の頃から家業を手伝い、漬物製造技術を鍛えてきた。
主な製造品目はしば漬や刻みすぐきなどの古漬。自ら生産地に赴き栽培技術指導を行うなど原料にも精通する。
安全安心な製品作りと少人力化のため1992年からいち早く工場設備の機械化に着手し、年間約100トンの漬物を工場要員3名で製造できる体制を整えた。
このように野菜から漬物まで知識と技術は業界トップクラスと目される。
【2025(令和7)年3月1日第5188号3面】
今回表彰されたのは、食品業界のほか建築や工芸などの分野から柴垣氏を含めた17名。青年優秀技能者奨励賞(明日の名工)の9名も表彰された。
西脇府知事は「永年にわたり伝承された技術を現代の生活様式に合わせ進化させ続ける皆様に心から敬意を表したい。今年は大阪・関西万博へ関西パビリオンに府として出展する。一過性のイベントでなく、これを契機に皆様の技を世界へ伝えていきたい」と語り、表彰者を讚えた。
式典を終えて柴垣氏は「子どもの頃から手伝っていた頃から数えれば、漬物に携わって約60年。波乱万丈な人生だと自負しているが、それでも支えてくれた周囲の皆様に感謝している。私は商売っけの強いほうではなく、良いものを作って喜んでもらいたい、という気持ちで動いてきたからこそ何にでも挑戦出来たのだと思う。漬物は自分の人生そのものであり、業界を良くしたい思いも人一倍ある。培ってきた技術を共有し貢献したい」と語った。
【柴垣勝巳氏】
昭和32年生まれ。柴常は昨年で創業100周年を迎えた老舗であり、柴垣氏は幼少の頃から家業を手伝い、漬物製造技術を鍛えてきた。
主な製造品目はしば漬や刻みすぐきなどの古漬。自ら生産地に赴き栽培技術指導を行うなど原料にも精通する。
安全安心な製品作りと少人力化のため1992年からいち早く工場設備の機械化に着手し、年間約100トンの漬物を工場要員3名で製造できる体制を整えた。
このように野菜から漬物まで知識と技術は業界トップクラスと目される。
【2025(令和7)年3月1日第5188号3面】
京都市 京の名匠に村上嘉一氏 「千枚漬」守る熟練の技
京都市は、伝統産業の卓越した技を持ち、業界発展に貢献する「伝統産業技術功労者(京の名匠)」を発表、昨年12月16日に京都市役所で表彰式を実施した。
本紙関連では宮川町むらかみ(東山区)の村上嘉一代表が表彰を受けた。
染物、織物、工芸、食品などの分野で活躍する11名に、松井孝治市長より表彰状が授与された。松井市長は「日本のみならず世界の宝と言える技術を磨き、後進へ伝えている皆様に敬意と感謝を申し上げる。伝統の価値は何物にも代えがたく重いものであるが、今日においては見落とされがちなのが現実。価値を正しく、世界中へ伝えていくこと、道を極める人々を応援することに市として力を尽くしたい」と伝統産業を後押しする姿勢を示した。
受賞した村上氏は、宮川町むらかみの四代目として、千枚漬を中心に、季節に合わせた漬物を製造してきた。
同店の千枚漬は鉋を用いて手作業でミリ単位の調整をしながら薄切りにしていることや、味付けは酢をほとんど使わず昆布を多く用いた独自の味が特徴。
村上氏は蕪や気候の状態を見極めながら、熟練の技術でこの伝統の味を守ってきた。
表彰式を終えて村上氏は「野菜の状態を見極め、同じ味に仕上げるには技術と経験が必要。努力を認めていただき励みになる。近年は温暖化の影響で野菜の出来が不安定。難しい環境だが、お客様に喜んでいただくためにも、このような時こそ腕の見せどころ、と踏ん張っていきたい」と話した。
本紙関連では宮川町むらかみ(東山区)の村上嘉一代表が表彰を受けた。
染物、織物、工芸、食品などの分野で活躍する11名に、松井孝治市長より表彰状が授与された。松井市長は「日本のみならず世界の宝と言える技術を磨き、後進へ伝えている皆様に敬意と感謝を申し上げる。伝統の価値は何物にも代えがたく重いものであるが、今日においては見落とされがちなのが現実。価値を正しく、世界中へ伝えていくこと、道を極める人々を応援することに市として力を尽くしたい」と伝統産業を後押しする姿勢を示した。
受賞した村上氏は、宮川町むらかみの四代目として、千枚漬を中心に、季節に合わせた漬物を製造してきた。
同店の千枚漬は鉋を用いて手作業でミリ単位の調整をしながら薄切りにしていることや、味付けは酢をほとんど使わず昆布を多く用いた独自の味が特徴。
村上氏は蕪や気候の状態を見極めながら、熟練の技術でこの伝統の味を守ってきた。
表彰式を終えて村上氏は「野菜の状態を見極め、同じ味に仕上げるには技術と経験が必要。努力を認めていただき励みになる。近年は温暖化の影響で野菜の出来が不安定。難しい環境だが、お客様に喜んでいただくためにも、このような時こそ腕の見せどころ、と踏ん張っていきたい」と話した。
【2025(令和7)年1月11日第5184号7面】