本文へ移動

九州うまかモン トピックス2025

<九州ゆず愛ランド>九州産「ゆず」製品の可能性探る 別府で5年ぶりの総会

九州ゆず愛ランド出席者で
長谷部会長
川津事務局長
ゆず愛ランドの総会
輸出やインバウンド需要活発
 九州のゆず、柑橘類果実の生産農家、加工関連業者の親睦を図る団体「九州ゆず愛ランド」(長谷部知秀会長)は2月28日、第24回通常総会を大分県別府市の亀の井ホテルで開催した。2020年の総会から5年ぶりの開催となった。昨年の九州産のゆずは半作~7割減の凶作で、供給面では原料が現在ひっ迫しているが、需要面では加工品の輸出やインバウンド需要で成果を上げているメーカーの声が各社から聞かれ、今後もゆず製品消費への期待は大きいことがうかがえた。
 川津峰之事務局長(川津食品社長)の司会進行で開会し「前回開催がコロナ初年で、前回と同じ会場で5年ぶりにお会いできてうれしい。久しぶりに熱く語り合ってほしく、本日『ゆず愛ランドは再発進します!』」と挨拶した。
 次に長谷部会長(つえエーピー専務)が登壇し、総会の出席者へ日頃からの謝辞を示し「コロナが明け、インバウンドによる外食需要が高まっておりうれしい。だが当社では、製品の受注に対し生産が追い付いておらず、製造現場は人手不足が深刻な状況だ。原料面では、昨年産のゆずは凶作だったが、今年産に期待している」と語った。
太田氏
富永氏
日高氏
増田氏
釘村氏
岩下氏
藤川氏
三浦氏
 続いて情報交換会に移り、川津事務局長の指名で6名が、一人五分ほどのスピーチを行った。
 トップバッターは、旬(大分県)の太田信彦常務取締役で「昨年は、ゆずの生産量シェア8割を占める一大産地である高知、愛媛、徳島の四国産が半作減~7割減で、深刻な凶作となった。これだけの凶作であるため、九州のゆず産地ではカバーできなかった。一方で、瀬戸内レモンは例年の2~3割増で豊作だった」と昨年の柑橘類の作柄を総括した。
 愛媛から参加した味彩の富永誠司代表取締役社長は「ゆず凶作の理由の一つとして、地球温暖化による気温上昇が挙げられる。当社では、ゆずをはじめとした柑橘類製品を50カ国へ輸出し、その売上を年々増やしており、まだまだ拡大できそうだ」と今後のマーケットへの期待を語った。
 本紙の菰田隆行記者は「農産物、水産物の原料不足の中、原料を組み合わせた惣菜風の食品が人気。柑橘類においてもコラボ商品の開発の余地が大いにあり、この会では良いコラボが生まれる機会になると見ている」と話した。
 CITRUS JAPAN(宮崎県)の日高勇代表取締役社長は「宮崎県日南市産の日南レモンを加工したシロップを主に製造・販売し、会社の売上は来期、前期比で1・5倍以上を見込んでいる。輸出、インバウンド向けを念頭に置いた価格設定の商品開発が数字に結びついている」と世界的に国産レモン製品が支持されていることを強調した。
 美ノ久(愛知県)の増田健司営業本部係長は「当社はからしマスタード、ゆずこしょう製品のメーカーで、米国産マスタードは依然と不作が続き、価格が高止まっている。ゆずこしょうは、原料のゆずを常に探し求めているところ」とメーカー視点で語った。
 メセナ食彩センター(鹿児島県)の釘村浩昭常務取締役が「当社売上の6割ほどは原料供給事業であり、昨年は売上に大打撃を受けた。良い話としては、昨年4月に、『マツコの知らない世界』でゆずドレッシングを紹介してもらい、放送から2カ月で1年分を出荷するほどだった」と紹介した。
 最後に、川津食品の岩下秀康取締役常務が「原料業者、メーカーなど様々な立場から意見を聞くことができ、有意義な時間だった。対面で情報交換を行う大切さを改めて感じることができた」と総括し総会、情報交換会を締めくくった。
 懇親会に移ると、乾杯はJAかみましき(熊本県)柚子部会の藤川道博副部会長が音頭を取り、「今年がゆず豊作年になり、皆様の商売が繁盛することを祈っている」と投げかけ、その後は和やかに歓談が行われた。
 中締めは、鶴見運送(大分県)の三浦政人代表取締役社長が「昨今の物価高騰で、トラックの価格が数年で2割上昇、人件費も上がり、運送業界は厳しい。また人手不足で、人材獲得に苦労している。各業界、各社課題はあるが、そのような中でも、共に困難を乗り越えていきましょう」と呼びかけ、懇親会は盛会裏の内に締めくくられた。
(菰田隆行・高澤尚揮)
【2025(令和7)年3月21日第5190号12面】

たくあん 原料不足で価格改定へ 干し大根は計画比6割作

干したくあん用大根のやぐら干し作業
 たくあんの原料となる大根が各地で不足している。特に深刻なのが干したくあんである。主要産地である南九州各社の原料入荷量は計画の6割前後となり、価格改定に向け動き始めている。
 干し大根の生産は南九州に一極集中しており、干す作業も寒風の吹く時期にしかできないため、不作が直撃した。
 前年産の在庫も払底しているため、この少ない原料でこれから一年をやりくりしていかなければならない。
 価格改定幅はまちまちだが、販路によっては30%以上の大幅値上げを実施するところもある。昨年、紀州産南高梅がそうしたように、供給を減速させるための値上げという側面もあるようだ。
 市販品ではスライス製品を中心に量目調整も行われる。また、生育不良により一本物として供給できる原料が極端に少なく、ハーフサイズや2個入りへの切り替え提案も行われる。
 生育不良の原因は、9月頃の播種時期に長雨で播種が遅れ、その後一変して雨不足となり大根が太らなかった。
 また、大根を干す作業は重労働であるため、他作物への転換を含め、干し大根生産者の減少も深刻化している。これを食い止めるためには原料買取価格の引き上げが必須であり、その価格転嫁もしていかなければならない。
 生漬けたくあん(塩押したくあん)用の大根についても、主力の九州、新潟ともに不作であるが、春作でのリカバリーが可能なため、干したくあんに比べると慎重な姿勢。ただ、大根原料以外にも光熱費や人件費をはじめ諸コストが上昇しているため、価格改定に踏み切るメーカーもあり、今後も増えていくと見られている。
【2025(令和7)年2月21日第5187号6面】

<九州新進>2月2日「つぼ漬の日」 姶良市につぼ漬191kg提供

 左から姶良市教育長の前田光久氏、姶良市の湯元市長、九州新進の新納社長、中西志津江氏
 「つぼ漬ごはん」として提供され、新納社長も子どもたちと一緒に給食を食べた
 九州新進株式会社(新納一基社長、鹿児島県姶良市)では2月2日の「つぼ漬の日」に合わせ、姶良市の小中学校用の給食メニュー「つぼ漬ごはん」などの食材として、つぼ漬を姶良市に提供した。
 この取組は2016年度から毎年行われており、学校給食で、つぼ漬を利用することにより、漬物や地域への親しみを育み、地産地消の推進が図られることと併せて、需要の拡大や産地の育成を図ることを目的としている。
 <つぼ漬贈呈式の実施>
 日時:1月28日13時10分より、場所:姶良市市役所本庁舎3階ミーティングルームA、出席者:姶良市長 湯元敏浩氏、九州新進代表取締役社長 新納一基氏ほか、式次第:つぼ漬贈呈・記念撮影
 <学校給食の提供>
 寄贈したつぼ漬は1月31日~2月6日に姶良市内の各小学校等の給食において「つぼ漬ごはん」等のメニューで子供たちに提供された。実施校は小学校17校、中学校5校、さらに幼稚園等4カ所を加え、合計26施設。提供するつぼ漬の総量は191㎏となる。姶良市立重富(しげとみ)小学校では2月3日に、給食メニューとして、実際につぼ漬ごはんが子供たちに提供された。
 つぼ漬けの日は、九州新進株式会社が南九州の伝統的な漬物である「つぼ漬」を全国的にPRするために、平成24年2月2日を「つぼ漬の日」として制定。記念日は、一般社団法人日本記念日協会により認定・登録された。
 干し上がった大根を収穫し、つぼ漬の新物の生産が始まるこの時期に合わせての命名でもある。
【2025(令和7)年2月11日第5186号20面】
株式会社食料新聞社
〒111-0053
東京都台東区浅草橋5-9-4 MSビル2F

TEL.03-5835-4919(ショクイク)
FAX.03-5835-4921
・食料新聞の発行
・広報、宣伝サービス
・書籍の出版
TOPへ戻る