漬物研究同志会(近清剛会長)は2月25日、東京都千代田区のAP東京丸の内にて、第45回総会及び東京家政大学学生による株式会社吉岡屋でのインターンシップ活動報告、同大学大学院客員教授で一般社団法人全国漬物検査協会会長でもある宮尾茂雄名誉会長による講演会が開催された。
第1部の総会は事務局長の小林登氏が司会を務めて前田節明副会長が開会の挨拶を行い、「九州は大雪で大変なことになっていて、2月上旬は4日間、雪が溶けなかった。春先に漬け込む高菜漬への影響を心配している。漬物の原料産地は衰退してきており、今から農業法人を始めても人手不足や畑などの問題もある。本日は宮尾先生に技術的なお話をしていただきながら、原料をどのように確保していけばよいのか、ということについて皆さんと意見交換させていただきたい」と述べた。
1月に入会した新会員の株式会社ニシヤマの田中準一郎社長の自己紹介に続き、小林氏が総会の議事を進行。令和6年度事業報告及び収支報告、令和6年度監査報告、令和7年度事業計画は原案通り承認、可決。事業計画では7月4日・5日に長野視察研修会(株式会社やまへい工場見学、他)、9月に海外視察研修会(訪問候補先:ベトナム)、11月に東京家政大学卒論生OGとの漬物談義を予定。また、女子会スタディーツアーは4月11日に株式会社田丸屋本店で実施予定で、10月にも予定している。
第2部の活動報告では、吉岡屋でインターンシップ実習を行った東京家政大学の管理栄養学科1年生の家光春菜さん、同2年生の建石愛佳さん、栄養学科2年生の高石夏樹さんが活動内容を報告。実習内容は①オリエンテーション、漬物の基礎知識②店舗・市場見学、漬物試食、チラシの作成ミニ講座③漬物POP作成④漬物アレンジレシピ試作⑤漬物アレンジレシピPOP作成、店舗販売実習準備⑥店舗販売実習、ゲストスピーカーの話⑦SNSでの情報発信、店頭用小POP作成など、延べ7日間に分けて実施された。
インターンシップを通して学んだことや成長したことについて家光さんは、「漬物の手軽さと健康性。漬物は塩分がたくさん含まれているというイメージだったが、野菜に含まれるカリウムを摂取することでナトリウムが体外に排出されるため、あまり気を付ける必要がなく栄養面で優れていることを学んだ。また、食物繊維が多く整腸作用や発がん性物質を排出する効果があることを知ることができた。私は漬物をもっと食べようと思うと同時に、漬物のことをあまり知らない人にも伝えていきたいと思った」。
建石さんは「自分から行動できるようになり、物事を前向きに捉えられるようになった。ネガティブに自分から行動することを避けるよりもポジティブに物事を考えて挑戦することの大切を学んだ」。
高石さんは「インターンシップに参加する前まで、漬物は塩分が多く食べ過ぎには注意が必要だと思っていた。しかし、漬物講座を通して漬物は袋から出してすぐに食べられるため、生野菜よりも多くの食物繊維を効率良く手軽に摂取することができることを知った。漬物に対する認識が誤っていたことに気が付くことができたとともに、誤った認識が広まっていることはとてももったいないことだと感じた。食物繊維は生活習慣病予防などに効果があるため、食物繊維を豊富に含む漬物を若い世代にも積極的に食べてもらいたいと感じた」とそれぞれに漬物に対する印象が変わり、好感を持ったことなどを報告。最後に吉川絵美子幹事より3人に修了証が授与された。
休憩を挟み、宮尾名誉会長が「魚醤油」の演題で講演。演題に先立ち、昨年12月に発売した同名誉会長の著書『毎日の食卓に欠かせない「漬物の力」はなぜスゴイ?』」を出版した背景や内容について解説。「漬物は塩分が高い、ということが固定概念として浸透している。これは誤りだということを外部に発信する方法はないか、と考えて本を書くことにした。漬物企業で働いている人の中にも漬物は高塩で健康に良くない、という認識の人がいると思う。その認識を変えて自分たちが作っている商品について自信を持てる業界にしていきたい」と強調した。
講演では魚醤油と大豆醤油の違い、魚醤油の歴史や国内外における種類、原料、風味の違いや特徴などについて説明を行った。
【2025(令和7)年3月11日第5189号2面】
第1部の総会は事務局長の小林登氏が司会を務めて前田節明副会長が開会の挨拶を行い、「九州は大雪で大変なことになっていて、2月上旬は4日間、雪が溶けなかった。春先に漬け込む高菜漬への影響を心配している。漬物の原料産地は衰退してきており、今から農業法人を始めても人手不足や畑などの問題もある。本日は宮尾先生に技術的なお話をしていただきながら、原料をどのように確保していけばよいのか、ということについて皆さんと意見交換させていただきたい」と述べた。
1月に入会した新会員の株式会社ニシヤマの田中準一郎社長の自己紹介に続き、小林氏が総会の議事を進行。令和6年度事業報告及び収支報告、令和6年度監査報告、令和7年度事業計画は原案通り承認、可決。事業計画では7月4日・5日に長野視察研修会(株式会社やまへい工場見学、他)、9月に海外視察研修会(訪問候補先:ベトナム)、11月に東京家政大学卒論生OGとの漬物談義を予定。また、女子会スタディーツアーは4月11日に株式会社田丸屋本店で実施予定で、10月にも予定している。
第2部の活動報告では、吉岡屋でインターンシップ実習を行った東京家政大学の管理栄養学科1年生の家光春菜さん、同2年生の建石愛佳さん、栄養学科2年生の高石夏樹さんが活動内容を報告。実習内容は①オリエンテーション、漬物の基礎知識②店舗・市場見学、漬物試食、チラシの作成ミニ講座③漬物POP作成④漬物アレンジレシピ試作⑤漬物アレンジレシピPOP作成、店舗販売実習準備⑥店舗販売実習、ゲストスピーカーの話⑦SNSでの情報発信、店頭用小POP作成など、延べ7日間に分けて実施された。
インターンシップを通して学んだことや成長したことについて家光さんは、「漬物の手軽さと健康性。漬物は塩分がたくさん含まれているというイメージだったが、野菜に含まれるカリウムを摂取することでナトリウムが体外に排出されるため、あまり気を付ける必要がなく栄養面で優れていることを学んだ。また、食物繊維が多く整腸作用や発がん性物質を排出する効果があることを知ることができた。私は漬物をもっと食べようと思うと同時に、漬物のことをあまり知らない人にも伝えていきたいと思った」。
建石さんは「自分から行動できるようになり、物事を前向きに捉えられるようになった。ネガティブに自分から行動することを避けるよりもポジティブに物事を考えて挑戦することの大切を学んだ」。
高石さんは「インターンシップに参加する前まで、漬物は塩分が多く食べ過ぎには注意が必要だと思っていた。しかし、漬物講座を通して漬物は袋から出してすぐに食べられるため、生野菜よりも多くの食物繊維を効率良く手軽に摂取することができることを知った。漬物に対する認識が誤っていたことに気が付くことができたとともに、誤った認識が広まっていることはとてももったいないことだと感じた。食物繊維は生活習慣病予防などに効果があるため、食物繊維を豊富に含む漬物を若い世代にも積極的に食べてもらいたいと感じた」とそれぞれに漬物に対する印象が変わり、好感を持ったことなどを報告。最後に吉川絵美子幹事より3人に修了証が授与された。
休憩を挟み、宮尾名誉会長が「魚醤油」の演題で講演。演題に先立ち、昨年12月に発売した同名誉会長の著書『毎日の食卓に欠かせない「漬物の力」はなぜスゴイ?』」を出版した背景や内容について解説。「漬物は塩分が高い、ということが固定概念として浸透している。これは誤りだということを外部に発信する方法はないか、と考えて本を書くことにした。漬物企業で働いている人の中にも漬物は高塩で健康に良くない、という認識の人がいると思う。その認識を変えて自分たちが作っている商品について自信を持てる業界にしていきたい」と強調した。
講演では魚醤油と大豆醤油の違い、魚醤油の歴史や国内外における種類、原料、風味の違いや特徴などについて説明を行った。
【2025(令和7)年3月11日第5189号2面】
<吉岡屋> 春のインターン実習 学生2名が漬物レシピ試作
株式会社吉岡屋(吉川絵美子社長、東京都中央区)では漬物研究同志会女子会の取組としてスタートした東京家政大学学生を対象とした2024年度春のインターン実習を実施。2月13日~2月28日の日程で、全7回のプログラムが行われた。
今回の実習には栄養学部管理栄養学科2年生の金本凪咲さんと松本彩さんの2名が参加。市場見学や漬物アレンジレシピ作成、POP制作、SNSでの情報発信、店舗における接客など様々なプログラムが実施された。
2月20日には、築地総本店にて漬物アレンジレシピの試作会が行われた。インターン生は、手軽に作れることを最大のテーマとして漬物アレンジレシピを考案し、実際に調理した。
奈良漬を使用したチーズトーストやクリームチーズサンドの他、べったら漬を使用したうどんや韓国風おにぎり、大根とザーサイのマヨネーズ和え、菜の花ポテトサラダなど今回もインターン生の柔軟なアイデアにより魅力的なアレンジレシピが生み出された。
金本さんは「これまで漬物は塩分が多いイメージがあったが、野菜の栄養素がしっかりとれて健康に良いことが分かった。漬物を使用して手軽に様々な料理ができることも知り、漬物をより身近に感じる機会となった」。松本さんは「豊洲では賑やかな市場の雰囲気や普段見ることができない流通の現場を見学することができ勉強になった。レシピ試作では漬物が洋風料理との相性も良いことが分かり、様々な料理が手軽に作れることを学んだ」とそれぞれ感想を語った。
吉川社長は今回のインターン研修について、「漬物の基礎知識から漬物販売まで、漬物の良さをアピールすることをテーマに実習を行っている。漬物に親しみ、学生が食生活に漬物を取り入れるきっかけとなることを願っている。また、学生同士のディスカッションや発言の機会も多く設け、自主性を育むことにも注力している。このインターンシップを経て学生がより成長していくことを期待している」と述べた。
今回の実習には栄養学部管理栄養学科2年生の金本凪咲さんと松本彩さんの2名が参加。市場見学や漬物アレンジレシピ作成、POP制作、SNSでの情報発信、店舗における接客など様々なプログラムが実施された。
2月20日には、築地総本店にて漬物アレンジレシピの試作会が行われた。インターン生は、手軽に作れることを最大のテーマとして漬物アレンジレシピを考案し、実際に調理した。
奈良漬を使用したチーズトーストやクリームチーズサンドの他、べったら漬を使用したうどんや韓国風おにぎり、大根とザーサイのマヨネーズ和え、菜の花ポテトサラダなど今回もインターン生の柔軟なアイデアにより魅力的なアレンジレシピが生み出された。
金本さんは「これまで漬物は塩分が多いイメージがあったが、野菜の栄養素がしっかりとれて健康に良いことが分かった。漬物を使用して手軽に様々な料理ができることも知り、漬物をより身近に感じる機会となった」。松本さんは「豊洲では賑やかな市場の雰囲気や普段見ることができない流通の現場を見学することができ勉強になった。レシピ試作では漬物が洋風料理との相性も良いことが分かり、様々な料理が手軽に作れることを学んだ」とそれぞれ感想を語った。
吉川社長は今回のインターン研修について、「漬物の基礎知識から漬物販売まで、漬物の良さをアピールすることをテーマに実習を行っている。漬物に親しみ、学生が食生活に漬物を取り入れるきっかけとなることを願っている。また、学生同士のディスカッションや発言の機会も多く設け、自主性を育むことにも注力している。このインターンシップを経て学生がより成長していくことを期待している」と述べた。
【2025(令和7)年3月1日第5188号6面】