<企業紹介>九州農産株式会社
<オススメ商品> 「九州たくあん一本」、スライス製品
同社は、沢庵業界では初となる甘味料の「アセスルファムK(ASK)」を採用し、それを使用した「九州たくあん」が爆発的なヒットを飛ばした。シリーズ発売10周年を越え、なおも絶好調を続けている。宮崎県産大根を全て自社工場で漬け込んだ、プレーンタイプのオーソドックスな沢庵として絶大な人気を誇っている。
一方、同社がパイオニアとなったフードカップ入りのスライス沢庵シリーズも販売業績が安定しており、「甘口・本漬沢庵」と「九州沢庵・干し沢庵しそ味2点盛り」の2アイテムが揃っている。
一方、同社がパイオニアとなったフードカップ入りのスライス沢庵シリーズも販売業績が安定しており、「甘口・本漬沢庵」と「九州沢庵・干し沢庵しそ味2点盛り」の2アイテムが揃っている。
原料収穫にハーベスタ導入
<企業情報>
会社 | 九州農産株式会社 |
代表 | 代表取締役社長 梅元寿敏 |
創業 | 昭和50年9月 |
取扱商品 | 塩押沢庵・干し沢庵・刻み醤油漬 その他 |
住所 | 〒880-1104 宮崎県東諸県郡国富町大字田尻字明久2067番地2 |
電話 | 0985-75-7020 |
FAX | 0985-75-2849 |
HP | http://www.kyushu-nousann.com/ |
メール | kyuno2067umemoto@smile.ocn.ne.jp |
たくあんから「きゅうり漬」誕生
九州農産株式会社(梅元寿敏社長、宮崎県東諸県郡国富町)は、東海漬物グループの沢庵メーカーとして著名だが、昨年は初めてのきゅうり漬製品となる「ばっちゃまの発酵きゅうり漬みそ味」を発売した。
味噌は、みそ漬たくあんの液を使用している。九州風の甘みがある味噌がたくあんを漬け込んで冷蔵熟成させているうちにその旨味を増し、独特な風味を生み出し、きゅうりによく合う。パッケージ裏面でも「たくあん屋が作った」と訴求している。
きゅうりは九州産の、青果用品種のうち規格外品や余剰分を引き取って使用する。漬物専用品種と比べると、漬け込んだ際に柔らかく仕上がる。「パリっ」ではなく「トロっ」とした食感の中から味噌の旨味が溢れてきて、ご飯のお供によく合う。
商品名の通り熟成発酵した味噌で漬け込んでいることから、全日本漬物協同組合より「発酵漬物」に認定も受けている。健康にも、環境にも優しい商品だ。
梅元社長は「製造時期のピークを沢庵とずらせるので工場稼働の平準化にもつながる。当社初のきゅうり漬への挑戦であり、今後の改善や横展開も進めていきたい」と話す。
たくあん製品では、フードカップ入りのスライス沢庵シリーズの「本漬沢庵甘口」「九州沢庵・干し沢庵しそ味2点盛り」の2アイテムが好評を博している。
たくあん製品は塩押しが主力であるため、九州外で大根原料が不足している昨今、注文が寄せられている。
大根原料確保は今後ますます難しくなるとの見通しから、同社は独自の取組を進めている。農家の負担軽減を目的に業界に先駆けてハーベスタ(収穫機)を導入。フレコンによる収穫を認め、農家が行っていた選別作業を自社で行うなど、業界内でも注目されている。
また製造面でも主要工程の機械化を進める。コスト節減、雇用難への対応、衛生面の向上、従業員の安全、人的ミスの防止など様々なメリットを見込み、重要な課題として検討している。
味噌は、みそ漬たくあんの液を使用している。九州風の甘みがある味噌がたくあんを漬け込んで冷蔵熟成させているうちにその旨味を増し、独特な風味を生み出し、きゅうりによく合う。パッケージ裏面でも「たくあん屋が作った」と訴求している。
きゅうりは九州産の、青果用品種のうち規格外品や余剰分を引き取って使用する。漬物専用品種と比べると、漬け込んだ際に柔らかく仕上がる。「パリっ」ではなく「トロっ」とした食感の中から味噌の旨味が溢れてきて、ご飯のお供によく合う。
商品名の通り熟成発酵した味噌で漬け込んでいることから、全日本漬物協同組合より「発酵漬物」に認定も受けている。健康にも、環境にも優しい商品だ。
梅元社長は「製造時期のピークを沢庵とずらせるので工場稼働の平準化にもつながる。当社初のきゅうり漬への挑戦であり、今後の改善や横展開も進めていきたい」と話す。
たくあん製品では、フードカップ入りのスライス沢庵シリーズの「本漬沢庵甘口」「九州沢庵・干し沢庵しそ味2点盛り」の2アイテムが好評を博している。
たくあん製品は塩押しが主力であるため、九州外で大根原料が不足している昨今、注文が寄せられている。
大根原料確保は今後ますます難しくなるとの見通しから、同社は独自の取組を進めている。農家の負担軽減を目的に業界に先駆けてハーベスタ(収穫機)を導入。フレコンによる収穫を認め、農家が行っていた選別作業を自社で行うなど、業界内でも注目されている。
また製造面でも主要工程の機械化を進める。コスト節減、雇用難への対応、衛生面の向上、従業員の安全、人的ミスの防止など様々なメリットを見込み、重要な課題として検討している。
2022年11月11日号 沢庵ワイド特集 この人に聞く
生沢庵原料は2割減
大根以外の漬物を視野に
九州農産株式会社(宮崎県東諸県郡国富町)は、東海漬物グループの沢庵メーカーとして、全国に名品を供給している。昨年11月の社長就任から間もなく1年を迎える梅元寿敏社長に、今季大根原料の状況と販売動向、将来的なビジョンなどについて話を伺った。
(菰田隆行)
◇ ◇
‐今季の沢庵原料動向は。
「9月9日~11日にかけて播種した生沢庵(塩押し)用の大根が、9月17~18日にかけて九州に上陸した台風14号の大雨で全滅し、播き直しとなりました。9月21日から播種が再スタートしましたが、例年より3週間遅れとなり、生育が見込めないため、一部は播き直しできなかった。作付面積は計画の1割減の見通しです。播き直し分の大根の生育は順調で、11月25日以降の収穫・漬け込みとなり、年末までの約1カ月間で全体のほぼ85%の漬込みを行ないます。これは例年の1・5倍の作業量ですが、従業員一同気持ちを引き締め、対処していきます。2022年度産沢庵原料は、台風11号・12号で北海道や青森県・秋田県の青首大根に被害が出て、14号で南九州に被害が出ましたので原料不足の年になりそうです。さらに12月中旬以降は霜が降り、気温が低くなるとの予報もあるため、トータルすると約2割の収量減と予想します」
‐販売動向の予想は。
「原料の2割減予想は製品にすると約2カ月半の原料が不足することになりますが、2021年度産の在庫もいくらか残っており、不足する分は産地の元漬業者さんから二押原料の仕入れを増やすことで充足できる見込みです。また、近年力を入れているスライストレー商品に注力する事と、干し沢庵をしっかり売っていくことで販売バランスを取っていきたい。台風被害とは別件ですが、タネ代、肥料代、農業施設代、燃料等農業生産にかかわる諸経費が値上がりしており、農家さんの生産継続のため生大根価格の仕入れ価格を上げさせていただきました。沢庵の販売価格につきましても、現在製品値上げのお願いをしている状況です。年明け3月までには値上げを実施いたしたいと考えております。値上げを行えば、その影響で売上が落ちることも予想されますが、弊社として、販売計画に沿って柔軟に対応していく所存です。また、12月8日に告示される宮崎県知事選に、前知事の東国原英夫氏が立候補を表明しています。知事時代には特産品にシールを貼るなどPRに努めてくれたので、その再来があるとすれば、宮崎ブランドの活性化につながると期待しています」
‐台風14号で工場が被害に遭った。
「停電が3日間続き、工場の稼働が1週間ストップ。さらに電気設備の漏電や、機械が泥に浸かるなど、復帰までには10日から2週間かかりました。その間、社員や取引業者の皆様に献身的な復旧作業をしていただき、そのおかげをもって早期通常稼働が可能となりました。商品供給面ではお得意先にも協力していただきました。今回の被害で、BCP対策(事業継続計画)はしっかりとしておかなければならないことを改めて実感しました」
‐SDGsの取組は。
「SDGsは、もう国民の誰もが知っている事柄になりました。次の世代に繋げる取組として、企業がやるべき方向に向かっています。当社としても、これまで廃棄していたものを有効利用するなど、取組を進めています」
‐将来的なビジョンは。
「コロナでは業務用・土産用と、小売用で大きく明暗が分かれた。外食向けの業務用は、コロナ前の100%には回復しないでしょうし、特需のあったキムチなどもやや頭打ちの状況です。漬物メーカーの中には、漬物以外の農産物加工品に取り組むところもあれば、原料を自社で調達するため農業に参入した企業もあります。その中で、沢庵専門メーカーの九州農産が、どのような方向に進むべきか考える時に来ている。漬物の設備を有効利用するためには、大根以外の原料も視野に入れています。詳しくはまだ発表できませんが、現在新製品を開発中です。これは次の世代にバトンタッチする重要な役目を担ってきます。10年、15年先を見据え、会社の柱となる商品に育てていきたい」
【2022(令和4)年11月11日第5111号7面】
電子版 九州うまかモン 九州農産
大根以外の漬物を視野に
九州農産株式会社(宮崎県東諸県郡国富町)は、東海漬物グループの沢庵メーカーとして、全国に名品を供給している。昨年11月の社長就任から間もなく1年を迎える梅元寿敏社長に、今季大根原料の状況と販売動向、将来的なビジョンなどについて話を伺った。
(菰田隆行)
◇ ◇
‐今季の沢庵原料動向は。
「9月9日~11日にかけて播種した生沢庵(塩押し)用の大根が、9月17~18日にかけて九州に上陸した台風14号の大雨で全滅し、播き直しとなりました。9月21日から播種が再スタートしましたが、例年より3週間遅れとなり、生育が見込めないため、一部は播き直しできなかった。作付面積は計画の1割減の見通しです。播き直し分の大根の生育は順調で、11月25日以降の収穫・漬け込みとなり、年末までの約1カ月間で全体のほぼ85%の漬込みを行ないます。これは例年の1・5倍の作業量ですが、従業員一同気持ちを引き締め、対処していきます。2022年度産沢庵原料は、台風11号・12号で北海道や青森県・秋田県の青首大根に被害が出て、14号で南九州に被害が出ましたので原料不足の年になりそうです。さらに12月中旬以降は霜が降り、気温が低くなるとの予報もあるため、トータルすると約2割の収量減と予想します」
‐販売動向の予想は。
「原料の2割減予想は製品にすると約2カ月半の原料が不足することになりますが、2021年度産の在庫もいくらか残っており、不足する分は産地の元漬業者さんから二押原料の仕入れを増やすことで充足できる見込みです。また、近年力を入れているスライストレー商品に注力する事と、干し沢庵をしっかり売っていくことで販売バランスを取っていきたい。台風被害とは別件ですが、タネ代、肥料代、農業施設代、燃料等農業生産にかかわる諸経費が値上がりしており、農家さんの生産継続のため生大根価格の仕入れ価格を上げさせていただきました。沢庵の販売価格につきましても、現在製品値上げのお願いをしている状況です。年明け3月までには値上げを実施いたしたいと考えております。値上げを行えば、その影響で売上が落ちることも予想されますが、弊社として、販売計画に沿って柔軟に対応していく所存です。また、12月8日に告示される宮崎県知事選に、前知事の東国原英夫氏が立候補を表明しています。知事時代には特産品にシールを貼るなどPRに努めてくれたので、その再来があるとすれば、宮崎ブランドの活性化につながると期待しています」
‐台風14号で工場が被害に遭った。
「停電が3日間続き、工場の稼働が1週間ストップ。さらに電気設備の漏電や、機械が泥に浸かるなど、復帰までには10日から2週間かかりました。その間、社員や取引業者の皆様に献身的な復旧作業をしていただき、そのおかげをもって早期通常稼働が可能となりました。商品供給面ではお得意先にも協力していただきました。今回の被害で、BCP対策(事業継続計画)はしっかりとしておかなければならないことを改めて実感しました」
‐SDGsの取組は。
「SDGsは、もう国民の誰もが知っている事柄になりました。次の世代に繋げる取組として、企業がやるべき方向に向かっています。当社としても、これまで廃棄していたものを有効利用するなど、取組を進めています」
‐将来的なビジョンは。
「コロナでは業務用・土産用と、小売用で大きく明暗が分かれた。外食向けの業務用は、コロナ前の100%には回復しないでしょうし、特需のあったキムチなどもやや頭打ちの状況です。漬物メーカーの中には、漬物以外の農産物加工品に取り組むところもあれば、原料を自社で調達するため農業に参入した企業もあります。その中で、沢庵専門メーカーの九州農産が、どのような方向に進むべきか考える時に来ている。漬物の設備を有効利用するためには、大根以外の原料も視野に入れています。詳しくはまだ発表できませんが、現在新製品を開発中です。これは次の世代にバトンタッチする重要な役目を担ってきます。10年、15年先を見据え、会社の柱となる商品に育てていきたい」
【2022(令和4)年11月11日第5111号7面】
電子版 九州うまかモン 九州農産