漬物研究同志会(近清剛会長)は2月20日、東京都板橋区の東京家政大学で第40回総会を開催した。総会では7月に佐賀県の前田食品工業を訪れる国内視察研修会など2020年度の事業計画及び予算案が採択されたほか、総会後には漬物研究同志会女子会の活動として会員の吉岡屋と若菜で実施された東京家政大学栄養学科学生によるインターンシップ活動の報告、また東京家政大学食品加工学教授で農学博士の宮尾茂雄氏による講演会が実施された。
総会は事務局長の小林登氏の司会のもと進行。開会挨拶で近会長は、新型コロナウイルスの影響に触れた後、山形県漬物協同組合の取り組みに言及。「県内の売場の中で漬物が他の食品に絶対に負けないように頑張ろうと組合員には話している。特に特産品の野菜が出た時には、必ず力を込めて県民に特産漬物として認知されるよう努めていく方針で進めている。特産漬物は地域の特産野菜を原料としているので、とっても大切なもので、県民にそれを訴えていかなければならない。県民に関心を寄せてもらえれば漬物業界はもっと活性化していくだろう」と強調した。
また全日本漬物協同組合連合会の発酵漬物認定委員会について、「ようやく認定が発表されるようだが、発酵漬物をこれからどのように社会に浸透させていくかが大切なこと。各都道府県で発酵漬物認定委員会を作り、それぞれの地域で公的機関と連携して活動を進めて行けば発酵漬物への認知が早く広がっていくのではないか」と指摘した。最後に3月いっぱいで宮尾教授が東京家政大学教授を退任することに触れ、「東京家政大学で実施される宮尾先生の同志会の講義は今回が最後になるが、今後は場所を変え引き続き宮尾先生にご指導頂きながら進めていきたい」と話した。
続いて2019年度事業報告及び収支報告、2019年度監査報告、2020年度事業計画及び予算案が上程され満場一致で承認された。今期は7月に佐賀県の前田食品工業を訪問する国内視察研修会、9月の海外視察研修会、11月の研修会などの活動を予定。女子会では3月24日に吉岡屋が店舗を構える豊洲市場の新施設「江戸前場下町」へのスタディーツアー、6月には勉強会を予定している。事務局より、新会員として「京つけもの川久 北尾商店」の入会と宮尾教授の最終講義が3月7日に東京家政大学で行われることが発表され総会は閉会した。
続いて、インターンシップ報告会が行われた。インターンシップは、漬物研究同志会女子会で東京家政大学学生と女子会メンバーの交流会を実施したことが発端になりスタートした取り組みで、2018年から吉川絵美子幹事が代表を務める吉岡屋において、学生による漬物レシピの開発や試食会が実施されてきた。2019年は吉岡屋のほか、若菜でも実施。報告会では吉岡屋でインターンシップを行った2チームと若菜で行った1チームの代表者がスライドを用いて成果を報告した(詳細別掲)。
講演会では、宮尾教授が『漬物野菜の健康機能性をPR』という演題で講演した。宮尾教授は漬物に多く含まれる食物繊維の機能性について説明。日本人の食物繊維摂取量が年々減少していることに触れ、「日本人は大腸がんが多く、もっと食物繊維をとらなければならない」と指摘。生と漬物の食物繊維摂取量を比較し、「漬物によっては生で食べるより食物繊維を3倍~4倍多く摂取できるため、その事実を消費者に広く伝えていくべきだ」とした。
またこれから注目される可能性がある成分として含硫化合物を挙げ、「国立がんセンターのコホート研究により漬物に使用される野菜を多く食べている人はがんによる死亡率が低いというデータがあるのでこれから強調していって頂きたい」と話した。
総会は事務局長の小林登氏の司会のもと進行。開会挨拶で近会長は、新型コロナウイルスの影響に触れた後、山形県漬物協同組合の取り組みに言及。「県内の売場の中で漬物が他の食品に絶対に負けないように頑張ろうと組合員には話している。特に特産品の野菜が出た時には、必ず力を込めて県民に特産漬物として認知されるよう努めていく方針で進めている。特産漬物は地域の特産野菜を原料としているので、とっても大切なもので、県民にそれを訴えていかなければならない。県民に関心を寄せてもらえれば漬物業界はもっと活性化していくだろう」と強調した。
また全日本漬物協同組合連合会の発酵漬物認定委員会について、「ようやく認定が発表されるようだが、発酵漬物をこれからどのように社会に浸透させていくかが大切なこと。各都道府県で発酵漬物認定委員会を作り、それぞれの地域で公的機関と連携して活動を進めて行けば発酵漬物への認知が早く広がっていくのではないか」と指摘した。最後に3月いっぱいで宮尾教授が東京家政大学教授を退任することに触れ、「東京家政大学で実施される宮尾先生の同志会の講義は今回が最後になるが、今後は場所を変え引き続き宮尾先生にご指導頂きながら進めていきたい」と話した。
続いて2019年度事業報告及び収支報告、2019年度監査報告、2020年度事業計画及び予算案が上程され満場一致で承認された。今期は7月に佐賀県の前田食品工業を訪問する国内視察研修会、9月の海外視察研修会、11月の研修会などの活動を予定。女子会では3月24日に吉岡屋が店舗を構える豊洲市場の新施設「江戸前場下町」へのスタディーツアー、6月には勉強会を予定している。事務局より、新会員として「京つけもの川久 北尾商店」の入会と宮尾教授の最終講義が3月7日に東京家政大学で行われることが発表され総会は閉会した。
続いて、インターンシップ報告会が行われた。インターンシップは、漬物研究同志会女子会で東京家政大学学生と女子会メンバーの交流会を実施したことが発端になりスタートした取り組みで、2018年から吉川絵美子幹事が代表を務める吉岡屋において、学生による漬物レシピの開発や試食会が実施されてきた。2019年は吉岡屋のほか、若菜でも実施。報告会では吉岡屋でインターンシップを行った2チームと若菜で行った1チームの代表者がスライドを用いて成果を報告した(詳細別掲)。
講演会では、宮尾教授が『漬物野菜の健康機能性をPR』という演題で講演した。宮尾教授は漬物に多く含まれる食物繊維の機能性について説明。日本人の食物繊維摂取量が年々減少していることに触れ、「日本人は大腸がんが多く、もっと食物繊維をとらなければならない」と指摘。生と漬物の食物繊維摂取量を比較し、「漬物によっては生で食べるより食物繊維を3倍~4倍多く摂取できるため、その事実を消費者に広く伝えていくべきだ」とした。
またこれから注目される可能性がある成分として含硫化合物を挙げ、「国立がんセンターのコホート研究により漬物に使用される野菜を多く食べている人はがんによる死亡率が低いというデータがあるのでこれから強調していって頂きたい」と話した。
インターンシップ報告 吉岡屋と若菜で試食会など
漬物研究同志会の総会では、東京家政大学栄養学科の学生より、昨年、吉岡屋と若菜で実施されたインターンシップの報告が行われ、吉岡屋の吉川絵美子社長、若菜の山田麻耶営業企画課長より当日発表を行ったインターンシップ生に修了証が授与された。
同インターンシップは、漬物の商品知識の取得や販売方法などを学ぶことを目的としており、吉岡屋では学生4名が2チームに分かれそれぞれ約4カ月の期間内に5時間×7回の実習が行われた。内容は豊洲市場見学や商品POP作成、漬物アレンジレシピの試作など幅広く、試食会では築地にある吉岡屋の総本店で「ちくべったら」や「べったら揚げ」などのアレンジレシピを漬物と共に試食販売した。
若菜では学生2名が、青山ファーマーズマーケットでの漬物販売や、銀座若菜の奈良漬やあま酒を使用したアレンジレシピの開発などを約4カ月のインターンシップ期間で実施。試食会では開発したアレンジレシピ「あま酒ババロア」と「あま酒と豆乳のぜんざい」を、銀座の百貨店内にある同社店舗において試食販売を実施した。
インターンシップ生からは、「お客様に商品の魅力を伝えるにあたっての工夫や苦悩、POPやSNSに載せる写真の撮り方のコツが学べた」「アレンジレシピの紹介や試食により商品に興味を持ってもらい購入につながることが感じられた」「漬物を食べたことが今までほとんどなかったが、レシピ考案などを通して漬物の良さが見え、漬物の広い可能性に気づくことができた」といった前向きな感想が寄せられた。
吉川社長は「漬物を普段召し上がらない若い女性が漬物を使用して何かをするのは困難もあると思うが、自分たちの食生活によくぞ引き込んでくれたと思う。あまり縁がないものと関わり、それにチャレンジして人々に紹介し、お客様の生の声が聞けた経験は大変貴重なものだと思う」。
山田課長は「漬物に触れる機会があまりない人でもこのようなインターンシップをきっかけに慣れ親しんで頂き、若い人は知らないだけなんだということを感じた。弊社にとっても今後の活動のベースになるような機会だった」。
宮尾教授は「本当に素晴らしい発表で感動した。SNSやPOPなどを駆使して漬物を手に取ってもらおうとする若い人ならではの考えやレシピ開発の視点も面白く、ヒントになることが多かったのではないか。漬物研究同志会は家政大学で行われるのは今回が最後となるが、最後の内容にふさわしい話が聞けて嬉しく思っている。インターンシップは漬物産業全体にも大変意義のある取り組みだと思うので、継続して広がっていくことを願っている」と語った。
同インターンシップは、漬物の商品知識の取得や販売方法などを学ぶことを目的としており、吉岡屋では学生4名が2チームに分かれそれぞれ約4カ月の期間内に5時間×7回の実習が行われた。内容は豊洲市場見学や商品POP作成、漬物アレンジレシピの試作など幅広く、試食会では築地にある吉岡屋の総本店で「ちくべったら」や「べったら揚げ」などのアレンジレシピを漬物と共に試食販売した。
若菜では学生2名が、青山ファーマーズマーケットでの漬物販売や、銀座若菜の奈良漬やあま酒を使用したアレンジレシピの開発などを約4カ月のインターンシップ期間で実施。試食会では開発したアレンジレシピ「あま酒ババロア」と「あま酒と豆乳のぜんざい」を、銀座の百貨店内にある同社店舗において試食販売を実施した。
インターンシップ生からは、「お客様に商品の魅力を伝えるにあたっての工夫や苦悩、POPやSNSに載せる写真の撮り方のコツが学べた」「アレンジレシピの紹介や試食により商品に興味を持ってもらい購入につながることが感じられた」「漬物を食べたことが今までほとんどなかったが、レシピ考案などを通して漬物の良さが見え、漬物の広い可能性に気づくことができた」といった前向きな感想が寄せられた。
吉川社長は「漬物を普段召し上がらない若い女性が漬物を使用して何かをするのは困難もあると思うが、自分たちの食生活によくぞ引き込んでくれたと思う。あまり縁がないものと関わり、それにチャレンジして人々に紹介し、お客様の生の声が聞けた経験は大変貴重なものだと思う」。
山田課長は「漬物に触れる機会があまりない人でもこのようなインターンシップをきっかけに慣れ親しんで頂き、若い人は知らないだけなんだということを感じた。弊社にとっても今後の活動のベースになるような機会だった」。
宮尾教授は「本当に素晴らしい発表で感動した。SNSやPOPなどを駆使して漬物を手に取ってもらおうとする若い人ならではの考えやレシピ開発の視点も面白く、ヒントになることが多かったのではないか。漬物研究同志会は家政大学で行われるのは今回が最後となるが、最後の内容にふさわしい話が聞けて嬉しく思っている。インターンシップは漬物産業全体にも大変意義のある取り組みだと思うので、継続して広がっていくことを願っている」と語った。
【2020(令和2)年2月24日第5012号5面掲載】
「発酵漬物認定制度について」
資料提供=漬物研究同志会(2019年11月25日開催の研修会より)