本文へ移動

辛子蓮根 団体活動・企業紹介

熊本県辛子蓮根協組 熊本を代表する郷土食 コロナ明けで活動再開へ

辛子蓮根 ※農水省HP「うちの郷土料理」より(画像提供元:尚絅大学生活科学部守田真里子氏)
 九州熊本県には、阿蘇たかな漬、馬刺しなど名物料理や食材が豊富だ。それらと肩を並べ、熊本県を代表する郷土料理に「辛子蓮根」がある。茹でた蓮根の穴の部分に、辛子、味噌等を混ぜて作った辛子味噌を詰め込み、小麦粉やウコンの衣をまぶして油で揚げた料理だ。
 その発祥は1632年頃、肥後細川藩主、細川忠利公の滋養強壮食として献上されたことに遡る。蓮根の断面が細川家の家紋「九曜」に似ていることから、その製法は門外不出とされてきた。
 明治以降になると一般市場でも製造され始め、サクッとした歯ごたえと独自に調合された辛子味噌がツーンと鼻を刺激し、食欲増進・鉄分補充・栄養豊富な郷土食として認知度が高まった。正月にはおせち料理の一品として欠かせない。
 熊本県辛子蓮根協同組合(髙見治理事長)は、現在11社が加盟(別掲)しており、活動としては原料資材や販促用品を共同購入するなど、共同事業を行っている。平成19年3月に取得した「熊本名産からし蓮根」の地域団体商標(商標登録第5030806号)は現在も継続している。
 辛子蓮根は土産品、惣菜製品としての流通が主で、日持ちは1週間ほど。県内だけでなく、関東方面に出荷している業者もある。組合非加盟の業者は真空パックで消費期限の長い製品を製造しているところもあるが、組合としてのコンセンサスでは真空パック製品の製造を認めていない。
 その理由は、1984年に発生した食中毒事件。蓮根や辛子に付着した土壌菌のボツリヌス菌が嫌気性であるため、真空包装と長期保存によって菌が増殖して流通してしまったのが原因だったため。組合では安全性を第一に自主基準を設け、真空パック製品の製造を控えている。
 消費者嗜好の変化もあり、若年層は辛子蓮根を食べ慣れていないため、いかに選んでもらえるかが課題。健康性のある〝蓮根〟という括りは有望だ。
 また、この3年半の間は新型コロナウイルスの蔓延で販促イベントや勉強会・研修会等の会合も開くことができなかった。コロナ明けから徐々に活動を再開していく予定だ。
【加盟組合員】(順不同)
 ▼合資会社浜食品▼有限会社新宅商店▼ふくとく株式会社▼有限会社村上カラシレンコン店▼合名会社村里かまぼこ店▼有限会社髙見商店▼合資会社竹士蒲鉾商店▼有限会社酒井蒲鉾店▼有限会社肥後国屋▼株式会社おにさか▼株式会社本伝九曜紋
【2023(令和5)年8月21日第5138号1面】

熊本県からし蓮根協同組合

髙見商店(熊本県)

髙見商店自慢のからし蓮根
車海老の味噌漬け
有限会社髙見商店(髙見治社長、熊本県八代市) のメーン商品は、熊本名産のからし蓮根。栄養価の高い蓮根の穴に辛子味噌を詰め込んで油で揚げた、熊本の代表的な郷土料理である。同社商品は「辛子味噌」はもちろんのこと、「衣(ころも)」も、たいへん人気がある。
好みの厚さにスライスして食べるが、5~8㎜くらいにスライスして食べると辛子と蓮根のバランスがちょうど良く、美味しく食べられる。また一度電子レンジ等で軽く温めると辛子味噌の香りがたって、より美味しさが楽しめる。
蓮根の大きさによって「大」「中」サイズがあり、ギフトセットではそれぞれのサイズの組み合わせが揃っている。また、ひと口サイズにカットした商品もあり、切る必要がないため食べやすい。持ち運びにも便利なので、移動時のおつまみにも最適。衣の割合が多いので、辛さが苦手な人にも食べやすい商品だ。
さらに冷凍製品もあり、特殊急速冷凍により冷凍前と冷凍後の違いが大幅に改善されている。従来よりも日持ちの心配がなくなり、扱いやすさが増した。食べる時は常温での解凍か、電子レンジで温めて食べる。(再凍結は不可)
同社独自の製品が「車海老の味噌漬け」。極上の車海老を〝とうもろこし味噌〟と、料理のプロの間で定評のある〝赤酒〟でじっくりと時間をかけて漬け込んだ絶品である。110~400g入りまでのセットが揃っている。
「れんこんチップス」はからし蓮根メーカーの同社が原料と製法にこだわって開発した菓子製品。蓮根を米油で素揚げし、オリジナルのスパイスをまぶした。蓮根のパリパリ食感に、ピリ辛のスパイスが程よいアクセントになっている。からし蓮根が苦手な人でも、食べやすく仕上げた。「からし明太子味」と「からしれんこん味」(共に20g入り)がある。
「カルタン」はカルシウム豊かな小魚、植物性タンパク質の国産大豆と、地元葦北でとれた良質なイリコを揚げた製品。飴をからめ、ごまを合わせて仕上げてある。健康志向のおやつ、おつまみとして病み付きになる一品。カルシウムとタンパク質が豊富なことから、それぞれ頭文字をとってカルタンと名付けた。80gトレー入りと、120gカップ入りがある。
「いきなり団子」(冷凍)はさつま芋、あんこ、さつま芋の3層構造になった熊本名物。九州産の芋を使用し、ふっくらとやわらかく蒸しあげた。原料を吟味し無添加にこだわり、品評会で受賞歴多数の商品だ。
その他、青果として「アールスメロン」や熊本県名産の柑橘系果実「晩白柚」(季節限定)も取り扱っている。
カルタン
いきなり団子

髙見商店(熊本県八代市) 

本社新工場の外観
整った設備の工場内部

本社工場移転し業務開始 衛生面の高い製品作りに

からし蓮根、漬物、菓子など製造の有限会社髙見商店(髙見治社長、熊本県八代市)では、2020(令和2)年8月24日より本社工場を移転した。
同社では、時代のニーズに合わせたより衛生面の高い製品づくりと、作業環境の整備等の観点から新工場移転の準備を進めてきたが、この度新社屋での業務開始の運びとなった。
本社新工場の敷地面積は3960㎡で、床面積は1660㎡。フライヤー、ボイル殺菌装置、特殊急速凍結装置、野菜加工機械も増設し、旧工場の1・5倍の生産を目指す。
同社は熊本名産のからし蓮根を中心に惣菜、車海老や鯛の味噌漬け等の漬物、熊本生ラーメン、熊本名産菓子のいきなり団子などを製造している。
その他、メロンや晩白柚(ばんぺいゆ・柑橘系果実)などの青果や、カット野菜の製造(生、ボイル、冷凍加工対応可)も行う。一般小売製品、業務用ともに食品工場、コンビニベンダー等、相手先の要望・規格に合わせた製品を受注生産することができる。
新工場は現在の工場から熊本寄りに車で2~3分の場所に位置する。熊本県八代市は九州の中心に位置し、高速道路、新幹線、コンテナヤードを備えた港など、交通のインフラが整っている。
また、周辺には大規模農産地を控え、原料確保にも有利な地。同社では近隣の農家とタイアップし、蓮根の原料については品種選定から栽培方法まで一貫して取り組んでいる。新住所・電話等は次の通り。(電話・ファクス・メールアドレス等は従来のまま)
【新住所】
▼〒866‐0893 熊本県八代市海士江町2675‐1
▼TEL 0965‐32‐4753
▼FAX 0965‐34‐3340
 
【2020(令和2)年9月1日第5032号6面】

ふくとく(熊本市西区) 完全手造りのからし蓮根

ふくとくのからし蓮根
「からし蓮根・〆蒲(鯖)」セット
ふくとく本社 社屋
大臣賞受賞「〆蒲」も人気
熊本県辛子蓮根協同組合(髙見治理事長)加盟企業のふくとく株式会社(太田悦生社長、熊本市西区)は昭和23年創業以来、蒲鉾を中心に受け継がれた製法を守りつつ製造。また、時代に合った新しい商品づくりも行ってきた。
ふくとくの製品づくりの基本理念は、健康・安全で身体が求める美味しいもの。子供からお年寄りまで幅広く愛される製品づくりを目指している。
同社の定番商品、お刺身蒲鉾「〆蒲(しめかま)」は同社が長年の研究の末、国内産のさばと〝はも〟のすり身などを合わせ、珍しいかまぼこに仕上げた製品。第48回農林水産祭で内閣総理大臣賞を受賞している。
さばは脂の乗った貴重な「真鯖」だけを使用し、独自の追酢で〆ている。一本一本が職人による手造りで、量産が難しい希少品である(「〆蒲」は意匠登録済み)。
レギュラータイプの他、ゆず果汁に漬け込んだ爽やかな香りと酸味が特長の「〆蒲(ゆず風味)」や、昆布をのせ寝かせることで旨味が増す「バッテラ〆蒲」、全国水産加工たべもの展で農林水産大臣賞を受賞した「〆蒲(このしろ)」などが揃っている。
一方、ふくとくのからし蓮根は完全手造り。ウコンを使用した香ばしい衣に、地元味噌メーカーと作り上げた風味豊かなからし味噌が蓮根と爽やかなあじわいを奏でる。
揚げたてを届けるため、客からの注文分しか揚げていない。なお、衣の色は天然ウコンを使用した黄色となっている。
同社のからし蓮根は地元百貨店、空港、サービスエリア、ホテル・旅館などで販売。コロナウイルスの影響で4~5月の売上は減少したが、6月以降は少しずつ戻ってきている。
同社社長の長男・太田安昭工場長は、同社のからし蓮根の歴史について「蒲鉾の製造は冬場に集中するので、創業者の祖父が夏場に作る商材としてからし蓮根の製造を始めた」と語る。
同社ホームページでは、ギフトとして「からし蓮根・〆蒲(鯖)」セットなどを多彩に取り揃えている。
【2020(令和2)年8月1日第5029号14面】
 
同社ホームページ http://www.2919.co.jp/
 
 

豊富な惣菜を提供 辛子蓮根は晴れの日食材 浜食品

浜食品の店舗外観
色とりどりの惣菜製品が揃う
【福岡支局】熊本県辛子蓮根協同組合加盟の合資会社浜食品(浜繁美代表、熊本県菊池郡大津町)は全日食チェーンに所属し、スーパーマーケットを運営。食料品販売に加えて惣菜の製造・販売も手がけ、辛子蓮根もその一品として製造している。
大津町は、熊本市から阿蘇地方へ向かう国道57号線が東西を貫く。国道沿線にはロードサイドの商業施設が集積し、町の産業に大きな位置を占める。
現在は熊本地震の影響で交通量は少ないが、浜食品は大津町旧道沿いの大津町役場西隣に位置するため、普段から日常の買い物をする常連客はもちろん、ランチ時になると役場の職員が弁当や惣菜を買い求めにやって来る。
同店は戦後の昭和26年頃、浜代表の父が食品店を開店し、創業して70年ほどが経過する。創業時から食料品販売のほか惣菜なども製造し、当時は阿蘇方面にまで配達に出ていたという。現在は創業者長女の繁美さんが代表を務め、妹の緒方康子さんが惣菜部門の責任者を務めている。
緒方さんによると、辛子蓮根は創業当時から製造しており、お盆や正月に親族が集まった時に「晴れの日」食材として食べる習慣があったという。同店では現在もその習慣に則って毎日は製造しておらず、8月と12月のみ製造している。
しかし、「時々は辛子蓮根を欲しいというお得意さんもいて、仕入れの都合もあるので予約注文なら受け付けている」(緒方さん)という。
4年前に発生した熊本地震では大きな被害を受けたが、行政からの補助金を受けて何とか乗り切ってきた。緒方さんは「辛子蓮根はうちのでないとだめ、というお客さんもいるので、これからもその期待に応えられるように頑張りたい」と抱負を語っている。
【2020(令和2)年7月11日第5027号2面】
 
 
 

独自の辛子蓮根を製造 OLショップでギフト販売 竹士蒲鉾商店

本社直営店の外観
豊富な品揃えの店内
三色辛子蓮根セット
【福岡支局】「不動ちくわ本舗」の屋号で知られ、ちくわ、蒲鉾、そして辛子蓮根の製造販売を行っているのが合資会社竹士蒲鉾商店(竹士学社長、熊本市南区城南町)だ。約160年前、安政年間創業の老舗。
同社の辛子蓮根の特徴は、辛子味噌へのこだわりにある。味噌メーカー3社4種類の麦味噌、粒味噌、昔ながらの熟成味噌をオリジナルの割合で和辛子とブレンドしている。ただ辛いだけではなく味噌だけ食べても美味しいような仕上がりで、ツンとする辛子の奥に塩気や甘味が感じられる。誰からも愛され、料理にも合わせやすい味わいとなっている。
蓮根はシャキシャキとした食感が残る絶妙な茹で具合を追求している。そこに辛味噌を詰め込み、ウコン・くちなしを混ぜた衣を付けてカラリと揚げれば、鮮やかな黄色が目を惹く辛子蓮根の完成だ。
バリエーションとして、衣に紫芋を加えて紫色にした「紫辛子蓮根」も製造。こちらはより甘味を強調していて、辛味が苦手な人でも食べやすいと好評だ。
他にも柚子皮を粉末にして辛子味噌に加えた、衣が緑色の「ゆず辛子蓮根」もあり、3種を詰め合わせた「三色辛子蓮根セット」もある。
セット注文受付中
同社の商品は、本社併設の直売店やオンラインショップで販売。コロナウイルスの影響で空港や高速SAでの販売動向は厳しかったが、現在は中元用などでギフトセットの注文をオンラインショップで受け付けている。
【2020(令和2)年7月1日第5026号2面】
 
 
 

熊本の伝統を大切に維持 村上カラシレンコン店

通販で購入できる3本セット
有限会社村上カラシレンコン店(村上範年代表、熊本市中央区)は、熊本名産の辛子蓮根を製造販売する有名店である。
創業は昭和30年。現代表の村上範年氏は3代目で、範年氏の祖母が始めて今年で63年目だ。同店の辛子蓮根は、熟練の職人たちが店奥の厨房でひとつひとつ時間をかけて仕上げているため、一度にたくさんの商品を店頭に並べることはできない。しかし、「揚げたてが最高に美味しい」とのこだわりから作り置きはせず、前日から仕込んだ素材を朝5~6時頃から揚げ始め、午前中のうちには取引先のスーパーに納める。1日500~600本を製造し、店頭でもその日のうちに売り切るのが信条だ。
同店の辛子蓮根について代表夫人の村上裕子さんは「うちのこだわりは中に練り込むからし味噌に、洋がらしを使用していることです」と語る。県内では和がらしを使用する同業者がほとんどだが「洋がらしを使うと味がまろやかになる」といい、そのお陰もあって同店の辛子蓮根には熱烈なリピーターがついている。
店舗の外観
同店の位置する熊本市中央区新町は、熊本城とその城内敷地にある熊本発展の礎を築いた武将・加藤清正を主神とする加藤神社のお膝元だ。そのため神社参拝の観光バスがお土産購入に同店に立ち寄ることも多く、「バスが来るとてんやわんやで、嬉しい悲鳴です」(裕子さん)と語る。
辛子蓮根は、病弱だった肥後細川家初代・忠利公のために、造血効能があるとされる蓮根を食べ易くするための工夫として考案されたものだ。それ以後、馬刺しと並ぶ熊本のソウルフードとして今に受け継がれている。村上カラシレンコン店では当時の製法を大切に維持しつつ、「からし蓮根作り体験」を受け入れたり、ネット通販で全国の消費者に熊本の味を届けている。
【2018(平成30)年11月19日第4956号9面】
 
 
 
 
株式会社食料新聞社
〒111-0053
東京都台東区浅草橋5-9-4 MSビル2F

TEL.03-5835-4919(ショクイク)
FAX.03-5835-4921
・食料新聞の発行
・広報、宣伝サービス
・書籍の出版
TOPへ戻る