日本惣菜協会とは
一般社団法人日本惣菜協会は、中食・惣菜事業者の支援のため、「惣菜管理士」「デリカアドバイザー」といった教育プログラムの提供や研修・セミナーの開催、企業間の交流の場の提供、「惣菜白書」の発刊を始めとした市場分析、行政への提言、HACCPなど衛生品質管理体制づくりのサポートなどを行う業界団体である。会員企業への様々なサポートにより、中食・惣菜産業の更なる社会的地位向上を目指し活動を行っている。
惣菜産業は今や10兆円を超える市場規模に成長したが、惣菜産業を支える企業の大半は中小企業で占められており、生産性を向上し良質・安全な惣菜を提供するためには業界の近代化・合理化が必要となる。これらの課題を解決するため、昭和52年5月に任意団体日本惣菜協会が設立されたのが協会発足のきっかけ。昭和54年5月に農林水産大臣の認可を得て社団法人日本惣菜協会となり、平成25年4月からは一般社団法人に移行し活動している。
2024年9月現在、会員383社、賛助会員280社、協力会員34社となっており、全国に8支部(北海道、東北、関東、北陸、東海、関西、中国四国、九州)を設けている。
入会のご案内
◇会員相互の交流・情報交換の場の提供
賀詞交歓会や総会など、幅広い業界関係者が出席する交流・情報交換の場に参加できる。
◇講演会への優先的なご案内
5月の総会に伴う「記念講演」と1月の「新春セミナー」、全国8支部で年1~2回行う「支部セミナー」に参加できる。
◇国内外研修への参加 ※正会員・賛助会員のみ
◇各種養成研修の会員価格での受講
「惣菜管理士養成研修」「デリカアドバイザー養成研修」受講料が割引価格となる。
◇惣菜データ集「惣菜白書」の1冊無料配布 ※正会員・賛助会員のみ
◇協会出版物の割引販売
◇協会機関誌「jmNEWS」の配布・配信
◇メールマガジンの配信
協会からのお知らせや人事労務・行政情報など
◇HACCP支援法審査料の優遇 ※正会真のみ
◇共同購入・PL保険制度への参加 ※正会員のみ
◇優良社員表彰制度 ※正会員のみ
惣菜管理士
2024年9月時点で「惣菜管理士」は累計2,511社、35,795人になった。
〈申込期間〉
■通常申込:6月1日~9月20日
デリカアドバイザー養成研修
「デリカアドバイザー養成研修」は、惣菜専門店やスーパーマーケット、百貨店など惣菜売場で働くリーダーが、惣菜を調理・販売する際の注意点、衛生や食品表示等の食品法令、バックヤード・厨房での作業工程を通信教育で学ぶ研修。 現代の食生活に不可欠となった惣菜・弁当についての知識を持つことによって、商品の価値を理解し、自信を持って日々の業務に取り組めるスタッフの育成を目指している。
<デリカアドバイザーってなに?>
Q.デリカアドバイザーの役割
A.惣菜を購入するお客様からの要望に応える「買い物サポーター」。惣菜製造と小売販売の知識を身につけた「デリカアドバイザー」が働く店には下記のような「デリカアドバイザー」表示を掲示することができ、美味しさと一緒に安心を提供する。
Q.どんな人がデリカアドバイザーに?
A.特に、店舗のリーダーおよびリーダーを目指す方々には、積極的に取得を推進している。 デリカアドバイザー取得後は、テキストをパートタイマー等の教育教材として利用してもらい、共に働くスタッフに伝えていくことで、店舗全体の知識レベル向上につなげている。
Q.研修はどのように行われるの?
A.すべて通信教育で行われる。仕事の合間や自宅でテキストをしっかり読んで勉強し、2回ある添削問題に解答する。その結果をもとにさらに復習し、修了試験に合格するとデリカアドバイザーに認定される。
Q.実際にどんな勉強をするの?
A.惣菜の基礎知識、店舗で惣菜を調理・販売する際の注意点、衛生や食品表示等の食品法令、惣菜製造と小売販売の基礎知識を学ぶ。バックヤードでの作業工程や商品の価値を理解し、自信を持って業務に取り組めることを目指している。
<受講資格>
申込方法は、企業請求書払いの「企業一括申込」と受講生個人が受講料前払いの「個人申込」がある。「企業一括申込」のみ、研修をマークシート(郵送)方法で行う選択が可能。
申込方法・操作動画は下記URL参照。
デリカアドバイザー養成研修 http://www.nsouzai-kyoukai.or.jp/training/da/
ホームミールマイスター
9テーマ・100項目からなる食の教科書「ホームミールマイスター」。食に関する基礎知識をインターネットで学ぶことができる。
テキストは下記ホームページ(スマートフォンも対応)からいつでも無料で閲覧できる。
協会の取組み
<HACCP認定>
日本惣菜協会では、惣菜・弁当や野菜加工などを製造する事業者への新たな支援事業として、2007年から「惣菜製造管理認定事業(JmHACCP)」を行っている。JmHACCPは、惣菜・弁当や野菜加工などの製造工程において、食品に起因する衛生上の危害の発生防止と適正な品質の確保を図るため、①コーデックスの7原則に基づいた衛生管理の適切な運用、②HACCP運用を効果的・効率的に行うための一般衛生管理の実施の2点を主要なポイントとして検査及び審査を行う。
2018年に食品衛生法が改正され「HACCP制度化」が経過措置期限付きで成立、2021年6月にはその経過措置期間が終了し、すべての食品等事業者が「HACCPに沿った衛生管理」を行わなければならなくなることから、JmHACCPへの問合せは増加している。
協会概要
名称 | 一般社団法人 日本惣菜協会 |
所在地 | 〒102-0093 東京都千代田区平河町1-3-13 ヒューリック平河町ビル2F |
電話番号 | 03-6272-8515 |
ホームページ | |
創立 | 1977年5月 |
設立 | 1979年5月 社団法人設立認可 2013年4月 一般社団法人に移行(内閣府許可) |
会長 | 平井浩一郎 |
会員数 | 会員 380社 賛助会員 247社 協力会員 32社 (2023年5月現在) |
支部 | 8支部 (北海道、東北、関東、北陸、東海、関西、中国四国、九州) |
'“革新的ロボット事業”に採択 惣菜産業革命で人手不足解消
この度、今年度の経済産業省の事業である「令和6年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」に代表幹事として採択された(本予算事業の執行管理団体は一般社団法人日本ロボット工業会)。
昨年度は、惣菜盛付工程全自動化統合ロボットシステム・触覚ハンド活用多品種弁当盛付ロボットシステム・蓋閉めロボットシステム用容器清流化システム・製品移載と番重移載連動型ロボットシステムの開発、現場実装、ロボフレ標準番重推進検討、デジタルツイン・量子コンピューター入力データフォーマット標準化を進めてきた。
今年度は、昨年度開発したシステムの現場実運用から得た知見、成果を活用し、さらなる業界横展開のため、ロボフレの考えを取り入れた各種ロボットシステムエンハンスとこれらロボットシステムを活用した、冷惣菜盛付工程、弁当盛付工程、麺惣菜盛付工程それぞれの統合システムを開発・現場実装を予定している。
これら統合システムは、現場実装後、同業他社の関係者にも見学してもらい、ロボットシステムの横展開を促す目的もある。また、統合システムに加えて、構内搬送ロボフレ自動化、デジタルツインの現場実運用に向けた開発も行う。
日本惣菜協会は、この事業を通じて、多くの人手を要する全国の惣菜工場が直面する共通の課題に真摯に向き合い、志に共感する惣菜製造企業(ユーザー企業)8社及び、ベンダー企業(研究開発企業)14社と共に本事業を進め、将来の日本の人手不足解消に貢献する。
「惣菜管理士」合格者2871名 全国で2511社3万5795名に
デリカアドバイザー71名誕生 10月1日より次回受講受付開始
10日の修了認定審査会において71名を修了認定者として認定し(合格率93・4%)、これにより、デリカアドバイザー修了認定者は354社、3434名となりました。
日本惣菜協会では、小売業関係者からの人材育成に対する要望を受け、2013年11月から「デリカアドバイザー養成研修」をスタートした。デリカアドバイザー養成研修は、惣菜売場のスタッフが、惣菜を調理・販売する際の注意点、原料原産地やアレルゲン、栄養成分など食品表示に関わる法令関係、食品衛生や労働安全等を通信教育で学ぶ研修。研修を採用している企業では、売場のリーダーがデリカアドバイザーの資格取得後、テキストを他のパートタイマー等への教育教材として利用し、共に働くスタッフに伝えていくことで、店舗全体の知識レベルの向上に活用しているケースもある。合格者からは「知識を身につけることで、自信を持って対応できるようになった」等の声が寄せられている。
また、資格取得後はデリカアドバイザー認定証を店頭に掲示することが可能になり、惣菜を購入するお客様の買い物サポーターとして、「信頼される売場」づくりを後押ししている。
また、最近の傾向としては、食品メーカーの営業社員などが、惣菜売場の状況をより深く理解し、取引先との関係強化を目的に受講するケースが増えている。既に惣菜管理士などの資格を持っている人でも、新たな視点での学びが得られると、受講生から好評を得ている。
今後も日本惣菜協会では、自信を持って惣菜業界で働く人々を育成するために、各社の人材育成のサポートに注力していく。
次回のデリカアドバイザー養成研修受講の申し込み期間は10月1日から11月末までとなっている。
女子栄養大と協定締結 商品開発や人材育成で連携
協定締結式には、日本惣菜協会より平井会長、清水誠三専務理事、大隅和昭常務理事、学校法人香川栄養学園女子栄養大学より香川明夫理事長・学長、染谷忠彦副理事長、武見ゆかり副学長、浅尾貴子専任講師が出席した。
締結式で日本惣菜協会の清水専務理事は「惣菜産業は年々拡大しており、中食をさらに利用してもらうためにも健康で美味しい食の提供が必要になっている。産学連携をもって、食の提供や研究開発を進めていくことが重要だと考え今回の協定締結に至った。学生の皆様に中食に対する理解を深めてもらうと共に、伸長する中食産業を担う人材を育て、業界で働いてもらうことにも協会として大きく期待している」と協定締結の意義を説明した。
女子栄養大学の武見副学長は、具体的な連携内容について言及。「大学と日本惣菜協会の会員企業が相互に講師を派遣するなど学び合うこと、『スマートミール』基準に適合する商品の共同開発など技術協力し合うこと、惣菜産業を担う人材を育て、活躍の場を創出するなど育て合うことが協定締結の大きな目的。大学としても今回の連携に大きな期待を寄せている」と話した。
その後、平井会長と香川学長が協定書に署名し協定が締結された。
香川学長は「中食市場は拡大しており、生活者の暮らしに欠かせない食のインフラに成長している。業界全体として生産性を向上し良質で安全な惣菜を提供するという目的は、“食により人間の健康の維持・改善を図る”という本学の建学の精神にも通ずるもの。この度の協定締結は日本の食、健康な生活を支えるために意義あることと考えている」と強調した。
平井会長は「惣菜産業が拡大する中、我々の役割もこれまで以上に大きくなっている。今までは、マーケティングを中心に、美味しい、出来立て、便利などが食品に求められていたが、果たしてそれだけでいいのか。食品の知識や栄養、健康、安全性などの面で、女子栄養大学にバックアップして頂き、世の中の発展に尽くしていきたい」と述べた。
クローズアップ
一般社団法人日本惣菜協会 専務理事 清水 誠三氏
一般社団法人日本惣菜協会(平井浩一郎会長、東京都千代田区)では近年、惣菜市場の拡大と共に会員数が増加。2024年6月現在、686社が加入する業界団体として存在感を増している。食品業界に従事する「食」の専門家を育成する「惣菜管理士」は取得者が3万4000人を突破、食品に関する総合的な知識を体系的に学べる通信教育として、惣菜製造業のみならず食に関連する様々な業態の企業に広がっている。同協会の清水誠三専務理事に現在の市場動向やAIロボット事業の進捗状況などについて聞いた。
‐最新の市場動向。
「2023年の惣菜市場規模は、前年対比104・9%の10兆9827億円と11兆円に迫る規模となった。だが、今回は値上げによる上乗せ分が3ポイント程度あると考えている。最近の傾向として価格帯の高い惣菜製品が売れるようになってきており、一品あたりの単価も上昇している。そう考えると、物量はそこまで伸びていないということになる。惣菜市場が拡大していることは事実だが、喜んでばかりはいられない。その中身を冷静に分析していく必要がある」
‐売場のトレンド。
「ピザ、お好み焼きなど単価の高い商品が市場を牽引している。惣菜は今まで、女性の社会進出に伴い“家庭内食代行”の役割が強かったが、最近の傾向として、“外食代行”のニーズが強まっている。家飲み需要の拡大や節約志向の高まりにより、外飲みから家飲みへ、またコストを考えると外食するより美味しい惣菜を購入して家で食べた方が良いという流れができている。現在、惣菜部門を強化しているスーパーマーケットでは、外食を意識したワンランク上のメニュー提案により、そうしたニーズをうまく取り込んでいる」
‐業態別では食品スーパーの伸びが著しい。
「惣菜市場全体は伸びているが、業態別に見るとコロナ前と比較して大きく伸びているのは食品スーパーのみで、コンビニや専門店は微増、百貨店(直営)では地方店舗閉店の影響などもあり、未だコロナ前の売上に届いていない。食品スーパーの惣菜が好調を維持しているのは、製品自体の進化もあるが、店内の惣菜売場の面積を広げられることも大きい。コンビニや専門店では面積に限りがあり売場を広げることができない。鮮魚売場や精肉売場で惣菜を販売するスーパーも年々増えており、総惣菜化の流れの中で食品スーパーが強さを発揮している」
‐AIロボット事業の状況。
「現在、約40台のロボットが実際に惣菜製造現場に導入されている。今年度は引き続きロボットの改良を進めると共に、さらなる普及に力を入れる。現在は価格が1台1000万円程で、人件費を考えると、ロボット費用回収までに3~4年かかる計算になるが、今年はこれを700万円程まで落として、約2年で費用を回収できるよう取り組んでいきたい」
‐会員数が増加している。
‐漬物、佃煮、蒟蒻など伝統食品の可能性。
「ここにきて、米の価格が上昇しており、量も少し足りなくなっている。それにより、今年の米の作付面積は若干増える予想だ。メディアでこうした米の話題が取り上げられれば、米の消費量は上向いていく。漬物や佃煮は、米の消費量と比例する食べ物であるので、チャンスが到来しているのではないか。蒟蒻は、定番の煮付けでも、こだわった商品は惣菜売場で良く売れている。照り感を出し、七味をかけるなどして、華やかさを演出できれば、健康性にも優れているので、さらに売れていくのではないか」
‐今年も惣菜管理士の募集をスタートした。
「昨年、駅弁の食中毒事件が起きた。それにより、9月~12月までの駅弁フェアが全て無くなり、半年間にわたり駅弁のマーケットは8割にシュリンクしたと言われている。このように食中毒事件は、原因となった一社だけでなく、マーケット全体に大きな影響を及ぼす。惣菜においても同じようなことが起これば、11兆円まで拡大したマーケットは一気にシュリンクしてしまう。現在3万4000人を超える惣菜管理士の方が正しい知識を持って、衛生管理をしっかりとやって頂いているから食中毒が起きていない。今回の駅弁の食中毒事件も惣菜管理士の知識があれば絶対に起きていないはずだ。惣菜管理士は、惣菜のみならず食全体の教育カリキュラムであり、食に関する運転免許証と言えるもの。業界への責任を持つためにも、是非取得してほしい」
‐インバウンドの影響。
「インバウンド消費の20%が食に関する消費と言われており、外食だけでなく、スーパーやコンビニで食べ物を買う外国人観光客も増えてきている。今年2月に開催されたスーパーマーケット・トレードショーでは、全国スーパーマーケット協会と共同で、惣菜売場向けの英語表記を提案、会場では惣菜和英辞典を500冊配布した。協会ホームページから無料でダウンロードできる。辞典があれば簡単に売場で英語表記ができるので、是非ご活用頂きたい」
‐今後の展望。
「人口が減少する中、胃袋の奪い合いは加熱していくが、食の外部化はさらに進むことが予想される。今後の惣菜市場を予想するアンケートでは、惣菜を販売する全ての業態の企業が『惣菜市場は伸びる』と回答している。皆で力を入れて取り組んでいけば、将来的に15兆円の市場規模を目指せるのではないか」
(藤井大碁)
【2024(令和6)年6月21日第5166号10面】
「惣菜管理士養成研修」 申込期間は9月20日まで
申込期間は9月20日まで。
惣菜管理士は三級から一級まで18教科で構成され、惣菜を含む食品の開発・製造・加工・流通・企画・販売に関する幅広い知識を習得できることから資格取得者は年々増加している。2023年に「惣菜管理士」は3万4266人となった。
<申込みはWEBサイトから>
当日は総会開催に合わせて、優良社員表彰式、記念セミナー、懇親会が開催され、来賓、業界関係者、会員企業など650名が参加した。定時総会および、その後開催された理事会において平井会長の再任が可決された。懇親会には来賓として林芳正内閣官房長官、齋藤健経済産業大臣らが出席、協会の取組や惣菜業界へエールを贈った。
懇親会冒頭には新役員が登壇し、平井会長が開会挨拶。当日の出席に謝意を示すと共に、日本社会の展望に触れ、「過去を振り返ると明治維新や太平洋戦争の敗戦、バブル崩壊など40年ごとに変換期を迎えており、この2、3年が、日本が再浮上するか落ちぶれていくかのターニングポイントになるのではないか。それを良い方向に持っていき、3度目の復活を実現させるのが我々の使命。中食産業もその一端を担って、明るい日本にできるよう全力で頑張って行こう」と呼びかけた。来賓祝辞では、武村展英農林水産副大臣、林芳正内閣官房長官、齋藤健経済産業大臣、中田宏参議院議員が挨拶した。
武村副大臣は「共働き世代の増加や少子高齢化の加速が想定される中、食卓を支える貴協会の役割の重要性はますます高まっていく。農水省としても皆様との連携を強化し、食料産業、食文化の振興に尽力していく」と語り、林内閣官房長官は「日々、現場でさらに良いものを切磋琢磨して作って頂いていることが貴協会の繁栄につながっている。今後のさらなる発展を祈念している」と挨拶。
また齋藤経済産業大臣は「現在、半導体王国日本を復活させるために全力で取り組んでおり、平井会長が仰る通り日本経済に潮目の変化がきている。あと何年か後に、会長の仰った通りだったと言えるよう努力していきたい」と話し、中田参議院議員は「プラスチック削減の枠組みが今年中に出来る予定で、惣菜業界としても大いに研鑽をしていただきながらご発展いただきたい。今後も応援団として尽力していきたい」とそれぞれの立場から祝辞を述べた。
新入会員紹介では、2024年1月以降に入会した企業の代表者が登壇。新入会員を代表して富岡食品代表取締役社長の冨岡宏臣氏が挨拶。「活気ある日本惣菜協会に入会できたことを嬉しく思う。是非色々と学ばせていただき、皆様方との新しい出会いに感謝し自己成長、企業成長につなげていきたい。弊社の地元深谷市は今年7月に発行される新一万札円の顔となる渋沢栄一翁の生誕の地。新一万円札が惣菜協会や皆様の企業に良いお金として流れてくれることを祈念したい」と述べた。
業界代表挨拶及び乾杯発声は、ニチレイフーズ代表取締役社長の竹永雅彦氏が務め開宴。宴たけなわの中、日本惣菜協会副会長の青木達也氏が中締めの挨拶を務め閉会となった。
懇親会に先駆け行われた記念セミナーにおいては、アクシアル リテイリング代表取締役社長CEOの原和彦氏が「TQMを根幹に据えた成長戦略~アクシアル リテイリングのTQM活動とその成果~」というテーマで講演。同社のTQM活動を説明しながら、働きやすい職場環境整備やSDGsへの対応、美味しさを追求した商品開発など近年力を入れている取組を紹介した。
なお総会終了後に行われた「2024年優良社員表彰」においては、特別功績者2名、功績者36名、永年勤続者79名に表彰状が授与された。
今回の調査結果(調査対象期間:2023年1月~12月)から算出した2023年の惣菜市場規模は、前年対比104・9%の10兆9827億円となり、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年比でも106・4%と、2020年に10兆円を割り込んだ市場は完全に回復した。
業態別の前年比は食料品スーパー105・7%が最も高く、次いでCVS105・6%、総合スーパー104・4%、惣菜専門店103・9%となっている。市場規模は依然CVSが最も大きく3兆4631億円、次いで食料品スーパー3兆2586億円、惣菜専門店2兆9426億円と続く。
業態別構成比では2021年比で惣菜専門店・総合スーパー・CVSが0・1%~0・4%のシェアダウン(27・2%↓26・8%)に対して、食料品スーパーのみが0・6%のシェアアップとなっている。
「惣菜白書」は、惣菜の市場動向・消費者動向・参考資料の構成からなる惣菜に関する業界唯一の統計資料として毎年発刊し、本年で20年目の節目を迎える。
2024年版では、惣菜専門店をはじめ百貨店やスーパー・CVSなど100社(6万8683店)の小売店における販売動向の調査を実施した。また、消費者調査は、2024年2月9日~2月14日の期間、首都圏、近畿圏、中京圏、北海道の4エリアで実施。首都圏2091サンプル、近畿圏2080サンプル、中京圏1042サンプル、北海道1057サンプル、合計6270サンプルでWeb調査を行った。
【掲載内容】第1章:惣菜市場動向、第2章:消費者動向、第3章:惣菜企業10社の経営戦略、第4章消費者動向
【価格(消費税別・送料無料)】
◆日本惣菜協会の会員・賛助会員・協力会員・惣菜管理士・学校関係者・協会教育事業受講者 本体価格6000円(税込6600円)
※日本惣菜協会の会員・賛助会員へは各社1冊無償配布
◆一般企業・個人 本体価格1万2000円(税込1万3200円)
「惣菜管理士養成研修」 6月1日から受講受付開始
惣菜管理士は三級から一級まで18教科で構成され、惣菜を含む食品の開発・製造・加工・流通・企画・販売に関する幅広い知識を習得できることから資格取得者は年々増加している。2023年に「惣菜管理士」は3万4266人となった。
<申込みはWEBサイトから>https://www.nsouzai-kyoukai.or.jp/training/rmm/youkou/
日本惣菜協会(平井浩一郎会長)では、2023年度の経済産業省の事業である「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」及び、農林水産省の事業である「生産工程高度化推進委託事業」に2023年9月に採択され、ユーザーである小売り・惣菜製造企業9社と、課題解決のためのトップ技術を持つベンダー・協力企業15社とともに、惣菜盛付工程のロボット化に取り組んできた。
この度、製造業で最も従事人員数が多く、機械化が遅れている惣菜製造の中で、最も人手のかかっている惣菜盛付工程において、世界初となる全工程のロボット化、現場実装に成功した。
事業報告会では、経済産業省や日本惣菜協会よりプロジェクトの理念や進捗状況の発表が行われたほか、ユーザー・ベンダー企業代表によるロボットシステム開発の成果発表が行われた。
主催者挨拶で、経済産業省製造産業局ロボット政策室室長の石曽根智昭氏は「ロボット導入が、世界的に見ても難しいのが食品分野。23年度は様々な機材の開発が進み、食品製造現場へのロボット導入がすぐそこまで来ていると実感している。食品分野にロボットがどのように広がっていくのかという観点から、研究開発を中心に皆様の活動を支援していきたい。人手不足は大変深刻になっており、今回の報告会の成果が日本全国、世界に広がることで、食品分野が競争力のある成長分野になることを期待している」と話した。
農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品製造課食品企業行動室室長の阿辺一郎氏は「食品製造業の労働生産性の向上に向けてロボット等の導入を進めていくため、経済産業省としっかりと連携して、今後の開発・製造、現場への導入・普及を進めていきたい」と述べた。
共催者挨拶で、日本惣菜協会専務理事の清水誠三氏は「惣菜製造業のロボット化は難易度が高く、なかなか進まなかったが、関係者の皆様のお力添えにより、ようやく光が見えてきて、本日のプレス発表に至った。努力を重ねて頂いている皆様に心より感謝申し上げたい。惣菜盛付に携わる多くの方がロボット化により楽になり、人手不足が解消されることを願っている」と語った。
続いて、経済産業省製造産業局産業機械課ロボット政策室室長補佐の板橋洋平氏がロボットフレンドリーな環境の実現に関する政策について説明。「ユーザーとメーカーが一体となって環境を作っていくことで、未導入領域でのロボットの社会実装を進めていくことが取組のポイント。今回の成果を多くの企業と共有しながら、来年度に向けて、さらなる研究開発、課題解決への挑戦を続けていきたい。ロボフレの環境を作っていくには、サービスが多少いびつでも、それを受け入れる人々の寛容さが重要。それができれば、技術進歩も爆発的に加速していく」と指摘した。
日本惣菜協会AI・ロボット推進イノベーション担当フェローの荻野武氏が、プロジェクト全体について説明。「全製造業の中で労働人口が一番多いのが食品製造であり、全食品製造業の労働者約120万人の中で、半分近くが惣菜製造に従事している。その半分は盛付作業で数十万人が従事していると言われているが、機械化がこれまで不可能だった。経済産業省のご協力の下、様々な技術をトップレベルで持っている企業が集まり、『One for all, All for one』や新しい合本主義といった理念の下、それを何とか実現しようと進めている」とこれまでの取組を振り返った。
23年度は9社のユーザー企業、15社のベンダー企業が11個のプロジェクトに取り組んだことを明かし、「世界初となる惣菜盛付工程の全ロボット化、さらに現場実装までをみんなで協力して半年間でやり抜いた」とその成果について説明、各ロボットシステムの詳細について紹介した。
ユーザー・ベンダー企業代表発表では、マックスバリュ東海株式会社執行役員商品本部デリカ商品統括部長兼ダイバーシティ推進室長の近藤真由美氏、コネクテッドロボティクス株式会社代表取締役/ファウンダーの沢登哲也氏が惣菜盛付全工程ロボット化統合システム開発について発表した。
マックスバリュ東海では、同システム導入により、「ほうれん草胡麻和え」「卯の花」といった6種類の和惣菜において、盛付・検査・包装の一連のシステムを自動化することで約10名の作業者を2名程度に削減することに成功。同時に、トップシール機でガス置換をすることにより消費期限の延長も可能になった。
ポイントとなるのが個体ごとに重量が異なる「不定貫商品」であること。製造工場では、重量精度から解放されることによる生産性アップ、売場では全ての食材重量が売価に転換できる、消費者にとっても目的や世帯状況などニーズにあった商品が購入できるといった利点がある。
最後に、株式会社ホームデリカ代表取締役社長の原島一誠氏、株式会社FingerVision代表取締役の濃野友紀氏が「触覚ハンド活用多品種対応弁当盛付ロボットシステム開発」について発表した。
ホームデリカでは、同システム導入により、巻き寿司の盛付けを自動化することで、製造ラインの人員を2名削減することに成功。システムを開発したFingerVisionの濃野社長は今後の目標として、全ての弁当食材の盛付に対応すること、経済性がプラスになる価格を実現すること、弁当を通して日本が誇る彩り豊かな食文化を世界へ発信することを挙げた。
デリカアドバイザー114名誕生 4月1日より次回受付開始
冒頭、能登半島地震の被災者追悼のため黙祷が捧げられた。
開会挨拶で平井会長は能登半島地震の発生により賀詞交歓会を開催するかどうか悩んだことを明かし、「被災地をこれから長い年月をかけて復旧、復興していかなければならない。政府が財政の心配をすることなく、被災地に向けられようにすることが我々の役目。そのためには、経済活動を止めてはならず、賀詞交歓会をやるべきだという決断に至った」と説明した。
またコロナ禍を経て消費者のライフスタイルが大きく変化したことに言及。「消費者が賢くなった分、我々も進化していかないと付いていけない。中食に携わっているものにしてみれば、ますます消費者と緊密に連携していく時代になってくる。責任重大であるが同時にビッグチャンスでもある。是非そのチャンスを掴んでほしい」と呼びかけた。
新入会員紹介では、昨年5月の定時総会から12月末日までに、正会員10社、賛助会員22社、協力会員4社が新規入会したことが報告され、出席した新会員が登壇。新会員代表として㈱健食取締役の野口知江子氏が挨拶した。本紙関連では三和漬物食品㈱営業部の鈴木陽平氏や㈱エコリオ代表取締役の浦野由紀夫氏らが登壇、新入会員として紹介された。
今年度初開催となる惣菜管理士資格試験成績優秀者表彰式では、「惣菜管理士資格試験」において全科目で満点を取った㈱ファーストフーズの三輪和美氏に平井会長から記念品が授与され、三輪氏が表彰への御礼を述べた。
国分グループ本社㈱代表取締役社長執行役員経営統括本部長兼COOの國分晃氏が乾杯発声。「惣菜業界はコロナ禍で大きな影響を受けたが現在はその勢いを完全に取り戻しているのではないか。一方で、様々なコスト上昇、原料不足、小売業様における惣菜工場の拡充などの大きな変化もある。国分グループとして、会員企業の皆様、協会様の課題解決に寄り添い力を尽くしていきたいと考えている」と話し、杯を挙げた。 賀詞交歓会は宴たけなわの中、黒田久一副会長の中締めで閉会した。
賀詞交歓会に先駆けて開催された新春セミナーでは、ドリアン・ロロブリジーダ氏が「ドリアン・ロロブリジーダと考えるLGBTQ」というテーマで講演。圧倒的な歌唱力による生歌を披露すると共に、セクシャルマイノリティの総称であるLGBTQについて説明。企業としてLGBTQの社員や顧客へ対応していくことの重要性やその施策について述べた。
【2024(令和6)年2月1日第5152号1面】
「惣菜管理士」取得に向けて 3320名が受講開始
惣菜管理士事業については、「惣菜業が産業として発展するためには人材育成が必要不可欠である」という業界からの要望を受け、1992年から資格試験制度を開始し、昨年には創設30周年を迎えた。
現在、「惣菜管理士養成研修」は、食産業に携わる全ての人に向けた業界の人材育成を目的に、食品の製造工程を通じて“食品に関しての総合的な知識”を体系的に学べる通信教育として、惣菜製造業のみならず食に関連する様々な業態の企業に拡がっている。
受講生の利便性向上を目指して、昨年からweb上のマイページシステムを強化し、すべての申込手続き、添削問題の回答などができるようになった。資格試験についても、CBT方式に変更となったことで、全国各地のテストセンター(47都道府県350カ所以上)で、受験者の任意の日時に試験を受けることができるようになり、受講生からは、便利になったという肯定的な意見が多くあった。
また2023年4月からは、「日本デリアカデミー」の活動がスタートし、一級惣菜管理士取得者レベルに合わせたより深く高度な学びの場の提供や資格者同士の交流を活性化させることで、惣菜管理士資格の地位向上とともに業界全体の人材育成に寄与し、さらなる業界の発展を目指していく。なお、惣菜管理士養成研修の申込受付は、毎年6月1日~9月20日までとなっている。
日本惣菜協会では今後も「惣菜管理士養成研修」を通して、食品業界の人材育成の支援に注力していく。
惣菜管理士資格試験を大学の講義として取り入れるのは全国初の試み。惣菜メーカー出身で自らも惣菜管理士資格を持つ女子栄養大学栄養学部専任講師の浅尾貴子氏が、惣菜管理士が幅広い食の知識が得られ、就職にも有利な資格であることから、同講座の実施を日本惣菜協会へ呼びかけ、この度実現した。
惣菜管理士試験対策講座は、来年1月22日まで全14回の日程で行われ、受講生は講座修了後、来年4月~8月までの期間に実施される惣菜管理士三級の資格試験に臨む。
講義では、惣菜メーカーの工場見学も実施される予定となっており、実際に現場を視察することで、より惣菜製造への理解を促すことを目指す。
9月25日には、埼玉県坂戸市の女子栄養大学坂戸キャンパスにて第1回目の講義が行われ、46名が受講した。当日は日本惣菜協会専務理事の清水誠三氏が「中食マーケットの変化と惣菜業界の課題」というテーマで解説、講義を行った後、惣菜管理士試験対策講座の講師を務める同事業運営本部教育技術チーム主任の薄宗仁氏が、惣菜管理士資格試験の概要や今後のスケジュールについて説明した。
清水専務理事は、惣菜市場規模の変化やトレンドについて説明。コロナ禍の影響により一時的にシュリンクした惣菜市場規模が2021年に10兆円を回復したことや、業態別では食料品スーパーの惣菜が高伸していることを指摘。スイーツ、ピザ、おにぎりなど近年人気を集めている惣菜カテゴリーを店舗での販売例を説明しながら紹介した。
今後の惣菜市場の動向について、2040年に、中食の市場規模は15兆円に拡大する見通しを示し、「高齢者や単身世帯の割合が増え、経済効率性を考えても中食がさらに拡大していく可能性は大きい。これからどのように市場が変化していくかを予想しながら、商品開発を進めていく必要がある。是非、良いアイデア提案して盛り上げて頂きたい」と話した。
また惣菜業界の課題にも触れ、生産性向上や人手不足解消のため、経済産業省と共にロボットAI事業に取り組んでいることを説明した。
続いて、薄氏が「惣菜管理士資格試験制度」の概要や受験方法、講座のスケジュールなどについて説明。惣菜管理士養成研修の取組企業や、科目体系などを幅広く紹介し、第一回目の講義が終了した。
日本惣菜協会 「革新的ロボット事業」採択 人手不足解消へAIロボット化推進
昨年度は、惣菜盛付に加えて、弁当盛付・蓋閉め・製品移載と新たな作業工程に対するロボットシステムの開発、AIと量子コンピューターによる仕事量に応じた自動シフト計算等に取組んだが、今年度は昨年度までの各成果を更に着実に社会実装へつなげるべく、惣菜盛付・弁当盛付・製品移載ロボットシステムの処理能力・精度の更なる向上、対応食材拡大のためのエンドエフェクタ研究開発、ロボットフレンドリーな容器や包装機械・周辺機器、トップシールの包装機械・周辺機器の研究開発、惣菜製造現場の生産性向上に資するシミュレーションやシフト計算システム等の導入促進策、これらの各種標準化検討等を実施する。
協会では、経済産業省補助事業の代表として、ユーザーである小売り・惣菜製造企業8社と、課題解決のためのトップ技術を持つロボット関連技術ベンダー企業・協力企業16社とともに、多くの人手を要する全国の惣菜工場が直面する共通の課題に真摯に向き合い、「新しい合本主義」と「ロボットフレンドリー」の理念のもと、志に共感頂くパートナー企業とともに、課題解決に向けて推進し、日本が直面する人手不足解消に貢献していく。
日本惣菜協会 「惣菜管理士養成研修」 10月20日まで申込み延長
研修の開講(添削回答の受付開始)は予定通り10月1日となる。同協会では「申込みを受付けてからテキスト発送まで1週間程度かかるため、受講を希望する人は早めにお申し込みください」としている。
日本惣菜協会 デリカアドバイザーに87名
9月8日の修了認定審査会において87名を修了認定者として認定(合格率88・8%)し、これにより、デリカアドバイザー修了認定者は337社/3249名となった。
日本惣菜協会では、小売業からの人材育成に対する要望を受け、2013年11月から「デリカアドバイザー養成研修」をスタートした。
デリカアドバイザー養成研修は、惣菜売場のスタッフが、惣菜を調理・販売する際の注意点、原料原産地やアレルゲン、栄養成分など食品表示に関わる法令関係、食品衛生や労働安全等を通信教育で学ぶ研修。
惣菜・中食産業は、社会環境の変化(少子高齢化、単身者増加、女性の社会進出増加等)を背景に、市場規模10兆円を超える大きな産業へと成長し、惣菜は国民の食生活には欠かせないものとなっている。それに伴い消費者の関心も高まり、売場では美味しさだけでなく、原材料や栄養素についての素朴な質問や、健康や安全・安心に関わる事項等まで、さまざまな問い合わせがある。
また、2021年6月からは、全ての食品等事業者において「HACCPに沿った衛生管理」が制度化され、惣菜専門店をはじめ、スーパーマーケット・百貨店のバックヤード等で製造される惣菜についても対象となった。
こうした中で、惣菜売り場で働く人々が基本的知識を習得することで、店舗の信頼につながるとともに、衛生管理および表示制度の一翼を担う重要な役割を果たすことになる。
研修を採用している企業では、売場のリーダーがデリカアドバイザーの資格取得後、テキストを他のパートタイマー等への教育教材として利用し、共に働くスタッフに伝えていくことで、店舗全体の知識レベルの向上に活用しているケースもある。
合格者からは「知識を身につけることで、自信を持って対応できるようになった」等の声が寄せられている。また、資格取得後はデリカアドバイザー認定証を店頭に掲示することが可能になり、惣菜を購入するお客様の買い物サポーターとして、「信頼される売場」づくりを後押ししている。 最近の傾向としては、食品メーカーの営業社員などが、惣菜売り場の状況をより深く理解し、取引先との関係強化を目的に受講するケースが増えている。既に惣菜管理士などの資格を持っていても、新たな視点での学びが得られるという、受講生からの意見もある。
今後も協会では、自信を持って惣菜業界で働く人々を育成するために、各社の人材育成のサポートに注力していく。
次回のデリカアドバイザー養成研修受講の申込みは10月1日から11月末まで受け付けている。
これにより「惣菜管理士」の登録者は累計2466社、3万4266名となった。
これまで惣菜管理士資格試験は、全国8カ所程度の試験会場でテストを行っ
ていたが、今年度からCBT方式に変更となったことで、全国各地のテストセンター(47都道府県350カ所以上)で、受験者の任意の日時に試験を受けることができるようになった。また、その場で合否が確定するとともに、不合格であった場合も年度内の再試験が可能となる。
受験生にCBT方式についてアンケート調査を実施したところ、「自分の都合に合わせて試験会場・日時が選べる」「マイページ上で受験申込・問題集閲覧ができるので書類提出の手間がない」「受験後すぐに採点結果(合否)がわかる」「不合格になっても同年内に再受験ができる」などの肯定的な意見が多くあった。
社会情勢が目まぐるしく変化するなか、惣菜管理士養成研修を人材育成に取り入れている企業は惣菜製造業のみならず様々な食品関連企業へと広がっている。「食に携わる人材としての必要な知識」を習得すべく、各社の教育制度に活用されている。
2023年10月開講の惣菜管理士養成研修の募集もスタートしており、9月20日(水)まで申込を受付けている。
「惣菜管理士」受講申込開始 申込期間は9月20日まで
惣菜管理士は三級から一級まで18教科で構成され、惣菜を含む食品の開発・製造・加工・流通・企画・販売に関する幅広い知識を習得できることから資格取得者は年々増加している。2022年に「惣菜管理士」は3万2642人となった。
▼受講申込期間:6月1日~9月20日、▼テキスト発送:8月以降順次、▼開講:10月1日、▼閉講:2024年3月末
※2023年度資格試験に合格済みの受験生は、上位級の受講申込が可能。※資格試験に合格していない人は、合格後に上位級の受講申込が可能となる。
日本惣菜協会インタビュー
一般社団法人日本惣菜協会 専務理事 清水 誠三氏
惣菜売場で漬物や佃煮に需要
一般社団法人日本惣菜協会(平井浩一郎会長、東京都千代田区)では近年、惣菜市場の拡大と共に会員数が増加。2023年6月現在、661社が加入する業界団体として存在感がより高まっている。食品業界に従事する「食」の専門家を育成する「惣菜管理士」は取得者が3万人を突破、食品に関する総合的な知識を体系的に学べる通信教育として、惣菜製造業のみならず食に関連する様々な業態の企業に拡がっている。同協会の清水誠三専務理事に現在の市場動向やAIロボット事業の進捗状況などについて聞いた。(藤井大碁)
ー最新の惣菜市場動向。
ースーパーの惣菜が躍進している理由。
「現在、スーパーマーケットの大きなマグネットは惣菜カテゴリーになっている。食料品スーパーではコロナ初期に一時的に売上が減少したものの、巣ごもり需要が追い風となり売上が増加し、現在も好調を持続している。スーパー各社の企業努力により、スイーツやピザなどのカテゴリーで魅力的な新商品が次々と登場し、消費者の支持を集めている。生鮮売場での惣菜取扱いも増加しており、売場は総即食化の傾向にある。フォローの風は吹いているものの、伸びるかどうかはやはり売場の努力次第という側面もあり、努力をしている企業はしっかりと結果が出ていると言えるのではないか」
ー2022年は袋物惣菜の売上が減少した。
「前年比82・2%、2019年比では89・5%と苦戦している。コンビニの売場において、袋物惣菜からトップシール型容器へ形態がシフトした影響もあると考えられる。袋物惣菜は味わいの進化により、近年、市場が拡大を続けてきたが、新規参入が増えたことで、商品の差が大きくなったことも影響している可能性がある。味わいがさらに向上していくことにより、再び市場は拡大に向かうのではないか」
ーAIロボット事業の進捗状況。
「慢性的な人手不足に直面する惣菜製造業の一助になるため、21年9月より、会員企業、経産省、農水省、多くのベンダー企業の方々と共に、惣菜製造工程の機械化に鋭意努力している。弁当や惣菜の盛り付け、また、それに連動するトレーの供給、蓋締めといった一連の流れで開発が進んでいる。昨年、惣菜盛付ロボットシステムはマックスバリュ東海さんに4台導入し、現場では7名の作業を3名でできるようになった。現在は設置面積が約四分の一に縮小した省スペース型が開発され、様々な企業が導入意向を示している。今後、仮に1000台以上の受注ができれば、ロボットの価格を500万円以下に抑えられる可能性も出てくる。6月に開催された『FOOMA JAPAN』では、ロボットブースに惣菜事業者を中心に1500企業が来場するなど大きな注目を集めた。また、惣菜盛付ロボットシステム「Delibot™」が“第2回FOOMAアワード”にて優秀賞を受賞した」
ー「日本デリアカデミー」の取組。
「惣菜管理士資格制度は、2022年に30周年を迎え、取得者は3万人を超えた。業界の大切な人材のさらなる成長を目指し、惣菜管理士取得者向けの新しい教育講座や交流の場を設けた『日本デリアカデミー』を創設した。『生産管理・品質管理部会』は、一級惣菜管理士かつ、工場長や工場長を目指す方のための勉強会の場。先日第一回が開催され14社14名の方が参加した。グループ討議などを通して様々な勉強ができるだけでなく、同業の方とのコミュニケーションの場としても貴重な機会になったとのご意見を頂いた。営業、開発、企画人材向けの『マーケティング部会』も第一回を開催し、市場動向やメニュー開発をテーマにしたセミナーに約100名が出席した。その他、SNSを使用した情報交流オンラインサロンもオープンし、様々な情報交換が行われている」
ー近年、正会員と共に賛助会員が増加している。
「これまでは食品メーカーの賛助会員が多かったが、最近は機械メーカー、人材派遣会社、工場建設のための設備メーカーなど中食業界を支えてもらっている幅広い企業にご入会頂いている。我々もそういった方々に対して、支部の懇親会でスピーチの機会を設けるなど会員との交流の場を増やすことを心掛けている。満足してもらうためには、どうしたら良いか常に考え、ビジネスチャンスの場を増やせるよう努力していきたい」。
ー漬物や佃煮を始め、伝統食の惣菜化が進んでいる。
「漬物や佃煮は米飯との相性が良いため惣菜売場での需要も高いと考えている。漬物売場や佃煮売場より訪問率の高い惣菜売場に並べることで、若年層を取り込むこともできる。漬物であればサラダの横で展開し、“お惣菜漬物”など分かりやすいネーミングで販売するのも良い。最近の人気カテゴリーの一つであるおにぎりの具材として活用することもでき、提案の仕方によっては様々な可能性があるのではないか」
ー日本の「SOUZAI」を海外へ。
「即食の物を安心して食べられる日本の惣菜製造技術は世界に誇れるもので、『SOUZAI』を海外へ発信していくことにも力を入れている。昨年、惣菜商品・メニュー名の英語表記ガイドブック『惣菜和英辞典』を発刊し、多彩な惣菜メニューを英語で表記する取組も進めている。インバウンドが拡大する中、スーパーやコンビニの惣菜を楽しむ外国人観光客も増えており、売場でさらに辞典を活用してもらえるよう推進していきたい」
ー9月から女子栄養大学にて日本惣菜協会が実施する惣菜管理士講座を科目に取り入れた授業が実施される。
「第一回は中食業界の現状についてお話をさせて頂く。学生の皆様に中食業界の魅力をお伝えできる良い機会になることを願っている」
日本デリアカデミーは、日本惣菜協会が運営する「惣菜管理士」資格取得者のなかでも、原則、一級資格取得者を対象にした組織で、2023年4月に発足した。業界有識者の援助を得て、惣菜の調査研究、相互啓発、人材育成につながる活動に取り組む。
一級惣菜管理士取得者レベルに合わせた、より深く高度な学びの場の提供や資格者同士の交流を活性化させることで、惣菜管理士資格の地位向上とともに、業界全体の人材育成に寄与し、さらなる業界の発展を目指していく。
「生産管理・品質管理部会」は一級惣菜管理士取得者の中でも、生産部門・品質管理部門の方で工場長や工場長を目指す人が、生産管理に必要な技術や知識の実践に効果的な思考法やプロセスを実例とグループ討議にて学び、各社の生産従事者の更なるスキルとアビリティの向上を目指し、工場長人材を育てる支援をとして、年間5回にわたる勉強会を実施する。
6月8日に開催した第1講には一級惣菜管理士14名が参加した。「工場管理と課題発掘アプローチ」と題して、工場経営・経営管理とは何かについて、セミナーとグループディスカッションを交えながら学習した。課題解決については、経営理念に基づく「理想の姿」と、「現状の姿」とのギャップが課題であり、「そのギャップをどう埋めていくのかという活動が課題解決のアプローチになる。足元の問題はたくさんあると思うが、もっと大きな視点でギャップ(課題)を見つけていくのが工場経営にとって重要である」などの説明があった。
6月15日に開催した「マーケティング部会」は、日本経済新聞社編集総合編集センター調査グループ調査担当部長の白鳥和生氏と、一般社団法人日本惣菜協会アドバイザー山田祥男氏が講師を務め、約100名が参加した。
日本デリアカデミーには、下部組織としてfacebook上のオンラインコミュニティ「IRODORI TERRACE~彩りテラス~」も運営しており、女性惣菜開発者の活躍を応援するコンテンツを中心に、課題の共有やインプット・アウトプットができる情報交流の場を設けた。
今後も、惣菜管理士資格の地位向上、有資格者の交流で業界の発展を目指して、様々な活動を検討していく。
「惣菜管理士」受講申込開始 申込期間は9月20日まで
惣菜管理士は三級から一級まで18教科で構成され、惣菜を含む食品の開発・製造・加工・流通・企画・販売に関する幅広い知識を習得できることから資格取得者は年々増加している。2022年に「惣菜管理士」は3万2642人となった。
▼受講申込期間:6月1日~9月20日、▼テキスト発送:8月以降順次、▼開講: 10月1日、▼閉講:2024年3月末
※2023年度資格試験に合格済みの受験生は、上位級の受講申込が可能。※資格試験に合格していない人は、合格後に上位級の受講申込が可能となる。
懇親会では平井会長が開会挨拶。「コロナ禍やウクライナ侵攻など世界が大混乱に陥る中でも、足元を見ると惣菜業界は着実に成長発展してきたのではないか。本日これだけの会が開けるのも惣菜業界がホットな目で見られているおかげだと思っている」と喜びを表現した。
一方で業界の現状に触れ、「全産業別で見ても最も生産性が悪く機械化に望みをかけている状況。ニーズと実態にギャップがあり、その生産を支える体制は脆弱であり不安定でもある。この課題を解決しなければせっかく国民が期待してくれている我々の業界が駄目になってしまう。是非ともこの課題を解決し、名実ともに食のインフラとして、安定して良い品質のものを生産できる体制を作り上げていきたい。働き甲斐があり、夢と希望を与えられる惣菜業界にしていくことが我々の務めではないか」と呼びかけた。
来賓祝辞では、農林水産大臣の野村哲郎氏の祝辞を角田秀穂農林水産大臣政務官が代読。「中食産業の発展は国内農林水産業、食品産業、さらには食文化の発展の全てを支えるもの。農林水産省としても中食産業、食文化の発展に向け、皆様とさらに連携しながら、活動を支えていきたい」。
林外務大臣は、「皆様が切磋琢磨する中で、惣菜のレベルが上がっており、輸出という形で日本の国の力にも繋がっている。世界中どこにいっても、胸を張って美味しい日本食を食べに来てください、と言えることは外務大臣としてとても幸せであり、皆様に感謝を申し上げたい」。
斎藤法務大臣は、「外国人技能実習制度と特定技能制度の大きな見直しを行っている。皆様方にとって意義のある制度改正にできるよう努力していきたい」とそれぞれ祝辞を述べた。
新入会員紹介では、長山フーズファクトリーなど2023年1月の賀詞交歓会以降に入会した企業の代表者が登壇、新入会員を代表してFAプロダクツ代表取締役会長の天野眞也氏が挨拶した。
業界代表挨拶・乾杯は、寺岡精工代表取締役社長の山本宏輔氏が務め開宴。日本惣菜協会副会長の酒井益幸氏が中締めの挨拶を務め、「日本の惣菜は日本の食文化の代表で、将来的に世界に広めることも重要ではないか。人口が減少していく中で注目を集め、伸びていく可能性がある業界だと思う。そのために、協会の活動にますますのご支援ご鞭撻をお願いします」と話し懇親会は閉会した。
懇親会に先駆け行われた記念講演では、株式会社セコマ代表取締役会長の丸谷智保氏が「地域と共に歩むサステナブルな経営」というテーマで講演。北海道の食材や規格外品を生かした商品開発、物流面の工夫など地域と共に存続発展していくための施策について説明した。
なお、総会開催に合わせて「2023年優良社員表彰」が行われ、特別功績者3名、功績者42名、永年勤続者88名が表彰を受けた。
今回の調査結果(調査対象期間:2022年1月~12月)から算出した2022年の惣菜市場規模は、前年対比103・5%の10兆4652億円となり、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年比では101・4%と、2020年に10兆円を割り込んだ市場は回復期にある。
業態別の前年比は百貨店107・7%が最も高く、次いで食料品スーパー104・6%、惣菜専門店103・1%、総合スーパー103・0%、CVS102・5%となっている。2019年比で100%を上回ったのは食料品スーパー(112・4%)のみ。その他の業態はコロナ前の市場を取り戻せていない。
市場規模は依然CVSが最も大きく3兆2801億円、次いで食料品スーパー3兆816億円、惣菜専門店2兆8334億円と続く。食料品スーパーは初の3兆円台乗せとなった。業態別構成比では2019年比でCVSが1・3%のシェアダウン(32・6%→31・3%)に対して、食料品スーパーは2・8%のシェアアップ(26・6%→29・4%)となっている。
「惣菜白書」は、惣菜の市場動向・消費者動向・参考資料の構成からなる惣菜に関する業界唯一の統計資料として毎年発刊し、本年で19年目を迎える。
2023年版では、惣菜専門店をはじめ百貨店やスーパー・CVSなど100社6万8543店)の小売店における販売動向の調査を実施した。また、消費者調査は、2023年2月6日~2月9日の期間、首都圏、近畿圏、中国・四国圏、北陸圏の4エリアで実施。首都圏2073サンプル、近畿圏2106サンプル、中国・四国圏1062サンプル、北陸圏1071サンプル、合計6312サンプルでWeb調査を行った。
【掲載内容】
第1章:惣菜市場動向、第2章:消費者動向
【価格(消費税別・送料無料】
◆日本惣菜協会の会員・賛助会員・協力会員・惣菜管理士・学校関係者・協会教育事業受講者 本体価格3000円(税込3300円)※日本惣菜協会の会員・賛助会員へは各社1冊無償配布
◆一般企業・個人 本体価格5000円(税込5500円)
2023年4月10日から、各事業の活動を順次スタートさせる。日本デリアカデミーは原則、惣菜管理士一級資格取得者を対象にした組織で、業界有識者の援助を得て、惣菜の調査研究、相互啓発、人材育成につながる活動に取り組む。一級惣菜管理士取得者レベルに合わせたより深く高度な学びの場の提供や資格者同士の交流を活性化させることで、惣菜管理士資格の地位向上とともに、業界全体の人材育成に寄与し、さらなる業界の発展を目指していく。
2023年度の主な活動としては、①生産管理・品質管理部会(勉強会)、②マーケティング部会(セミナー)、③情報交流オンラインサロン「IRODORI TERRACE~彩りテラス~」の3つの部会が予定されている。また今後は、懸賞論文公募、調査研究助成、グループ活動助成なども検討していく予定。
【2023年度の活動予定について】
①勉強会生産管理・品質管理部会
工場・生産部門・品質管理部門・企画人材の成長・活躍を支援。生産管理に必要な技術や知識の実践に効果的な思考法やプロセスを実例とグループ討議にて学ぶ。
<対象>
一級惣菜管理士(工場管理者など)
<方式>
集合教育(リアル開催)/グループ単位での討議、演習、発表。毎回宿題を課し、次回開催時に発表
<講師>
経営創研(株)所属中小企業診断士・生産管理実務経験
<スケジュール>
第1講:2023年6月8日(木)、第2講:2023年7月5日(水)以降、全5講開催を予定
②セミナー マーケティング部会
営業・開発・企画人材の成長・活躍を支援。商品開発マーケティングに関わる情報を、セミナー形式にて学ぶ。
<対象>
一級惣菜管理士(営業・企画開発)
<方式>
集合教育(リアル開催))/年間3回程度実施予定<第1回の開催概要>
日時:2023年6月14日(水)13 :00~16 :30、場所:ビジョンセンター東京 京橋
講演テーマ・講師:『2023年の流通と消費と行方』日本経済新聞社 編集 総合編集センター 調査グループ調査担当部長 白鳥和生氏、『失敗から学ぶメニュー開発と品質管理』(一社)日本惣菜協会 アドバイザー 山田祥男氏
その他、様々な講師陣でのセミナーを予定している。
③情報交流オンラインサロン「IRODORI TERRACE~彩りテラス~」
<対象>
一級惣菜管理士を目指す方(惣菜管理士受講生、一級・二級・三級取得者)
<方式>
非公開のFacebook承認制グループにて運営・活動
<コンテンツ>
インタビュー動画(月1回更新)、コラム記事(週1回更新)、情報交流・お悩み相談の掲示板など
女性惣菜開発者の活躍を応援するコンテンツを中心に、いつでもどこでも楽しく仲間たちとつながり、情報を得たり、課題の共有やインプット・アウトプットができるオンラインの情報交流サロン。
<スケジュール>2023年4月10日~公開予定
日本惣菜協会では、2022年8月に今年度の経済産業省の事業である「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」および、農林水産省の事業である「農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業のうちスマート食品産業実証事業のうち、モデル実証事業」に採択され、ユーザーである小売り・惣菜製造企業15社と、課題解決のためのトップ技術を持つベンダー・協力企業16社とともに、ロボットフレンドリー(ロボフレ)な環境構築に向けて、ロボット・AIの実現場への導入を推進してきた。
惣菜製造企業にとって深刻な経営課題である人手不足解消のため、昨年度は業界で初めて惣菜盛付ロボットシステムの現場導入に成功し、今年度は「惣菜盛付」ロボットシステムの更なるエンハンス、小型化に加えて、より工程を広げ「弁当盛付」「蓋閉め」「製品移載」ロボットシステムを開発した。
また、ロボフレな環境構築に向けて「惣菜製造ロボットの最適化」「デジタルツインによる生産性向上」「量子コンピューターによるロボット・人混在のシフト計算」「ロボットシステム・アズ・ア・サービスの立ち上げ検討」「各種ハンド開発」にも取り組んでいる。
記者発表会には、プロジェクトの理念である『One for all, All for one(一社がチームの為に、チーム皆が一つの志のために)』の下、主催者である経済産業省と日本機械工業連合会をはじめ、実際の研究開発に携わった日本惣菜協会、最先端技術企業、惣菜製造企業と食品産業を所管する立場から技術導入を推進している農林水産省の関係者らが集結。プロジェクトの進捗状況の発表や、新規開発されたロボットシステムの実演が行われた。
主催者挨拶で経済産業省製造産業局産業機械課ロボット政策室室長補佐の板橋洋平氏は「様々な産業分野で人手不足が深刻化する中、ロボット技術への期待が高まっている。自動車や電気機械などの分野では導入が進んでいる一方で、食品などの未導入領域にロボットをどのように導入していくかが課題。そのためにはユーザーの現場においてロボットを導入しやすい環境を整え、それを横展開していくロボットフレンドリーという考え方がとても重要になる」と強調した。
ユーザー企業やベンダー企業を束ねる日本惣菜協会との取組によりこれまで数多くの成果を出してきたことに触れ、「これまでの成果をさらにブラッシュアップさせたものや、新しい取組について本日は皆様にしっかりお披露目し、今後も農水省と連携し、食品業界への普及に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。
農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品製造課食品企業行動室長の高畠和子氏は「食品製造業は数ある製造業の中でも従業員数の割合が高く、地域の経済を牽引する非常に重要な産業である一方で、労働生産性の低さが課題になっている。経済産業省と連携してロボットの開発や現場への普及に取り組んでいきたい」と話した。
日本惣菜協会の平井浩一郎会長は「本日のこの会は、経産省と農水省の協力、AIロボット化を進める最先端技術企業のお力添え、荻野さんを中心とする関係者の熱い思いにより実現したもの。是非今後もご協力をお願いしたい」と挨拶した。
日本惣菜協会AI・ロボット推進イノベーション担当フェローの荻野武氏がプロジェクト全体について説明。「『One for all, All for one』や新しい合本主義といった理念の下、ロボフレの考え方を取り入れてプロジェクトを進めていけば、様々な最先端技術の中小企業への現場実装が短期間で可能になる。これにより人手不足で困窮する中小製造企業、そして国力が強化される。ベースは”利他”の考えにあり、戦うのではなく、助けあうことで、みんながチームになり、限界を超えトップランナーになっていく。この考え方が、惣菜業界だけでなく、他の業界、日本全体、世界全体に広がれば、争いのない、平和で希望溢れるワクワクする世の中になるものと信じている」と呼びかけた。
ユーザー企業代表として、マックスバリュ東海㈱代表取締役社長兼社長執行役員の作道政昭氏、㈱ベルク代表取締役社長の原島一誠氏がプロジェクトについて発表。作道氏は惣菜盛付ロボットシステム「Delibot™」の導入などこれまでの取組の成果や課題を報告。原島氏は『One for all, All for one』の理念に共感しプロジェクトに参画したことを明かし、「人手不足が深刻化する中、将来的には必ず誰かがやらなければならない事業であり、スタートを切ってくれた皆様に感謝申し上げると共に、今後は我々も積極的にチャレンジしていきたい」と話した。
プレゼンテーションでは第一部でロボットシステムの開発、第二部でロボット環境構築に向けた取組について、ユーザー企業とベンダー企業がプロジェクトの進捗状況について発表した。第一部では、ブンセン㈱代表取締役社長の田中智樹氏が「惣菜盛付ロボットシステム(トレー供給一体型)」の導入について発表。「少量多品種の惣菜の自動化は遅れていたが、現在は和惣菜であるひじき煮を中心に盛付けロボを先月より導入した。ロボットが得意なことをいかに商品規格や製造現場に落とし込んでいくかが現状の課題になっている。生産性を上げることにより、業界発展に寄与したい」と語った。
記者発表会の最後に、経済産業省製造産業局産業機械課長(兼)ロボット政策室長の安田篤氏が挨拶。「本日の成果発表の中にもあったが、ロボットフレンドリーが大きなテーマで、ロボットのユーザーとメーカーが一体となって取組を進めていくことがプロジェクトのキーコンセプトになる。本日は業界初の成果が非常に多く出てきており、今後の展開が期待される。現場で実際に使って頂けるレベルにまで成果が出ていることが大きな特徴で、中小企業が多い食品業界、惣菜業界において、この成果をすぐに活用してもらえるよう展開して頂くことを期待している。本日が惣菜産業革命の記念すべき一歩になると考えている」と総括した。
会場では惣菜盛付ロボットシステム(省スペース型)と高速弁当盛付ロボットシステムのデモンストレーションが行われ、最新技術について、関係者から多くの質問が飛んだ。
日本惣菜協会 デリカアドバイザー123名誕生
3月7日の修了認定審査会において、123名を修了認定者として認定(合格率88・5%)した。これにより、デリカアドバイザー修了認定者は、322社、3162名となった。
日本惣菜協会では、小売業からの人材育成に対する要望を受け、2013年11月から「デリカアドバイザー養成研修」をスタートした。
デリカアドバイザー養成研修は、惣菜売場のスタッフが、惣菜を調理・販売する際の注意点、原料原産地やアレルゲン、栄養成分など食品表示に関わる法令関係、食品衛生や労働安全等を通信教育で学ぶ研修。
研修を採用している企業では、売場のリーダーがデリカアドバイザーの資格取得後、テキストを他のパートタイマー等への教育教材として利用し、共に働くスタッフに伝えていくことで、店舗全体の知識レベルの向上に活用しているケースもある。
合格者からは「知識を身につけることで、自信を持って対応できるようになった」等の声が寄せられている。
また、資格取得後はデリカアドバイザー認定証を店頭に掲示でき、惣菜を購入するお客様の買い物サポーターとして、「信頼される売場」づくりを訴求できる。
最近の傾向としては、食品メーカーの営業社員などが、惣菜売り場の状況をより深く理解し、取引先との関係強化を目的に受講するケースが増えている。既に惣菜管理士などの資格を持っていても、新たな視点での学びが得られるという受講生からの意見もある。
今後も協会では、自信を持って惣菜業界で働ける人々を育成するために、各社の人材育成のサポートに注力していく。
次回のデリカアドバイザー養成研修受講の申込みは4月1日から5月末まで受け付けている。
平井会長は、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻により様々なコストが上昇し経営の舵取りが難しくなっていることに触れ、「当社では値上げに対して慎重だったが、今回は背に腹は代えられないということで、店頭で値上げに至った経緯やお詫びを掲示し、SNSでもできるだけ広く発信した上で値上げを実施した。消費者の反発があるかと思ったが、最終的にはたくさんの激励のメールを頂いた。改めて、正々堂々、正直、真面目、これが一番大切だと思った」と述べた。
協会の活動について、「惣菜管理士の試験も30年が過ぎ、3万人を越える有資格者が生まれた。これもこの業界への期待の表れだと思い、さらに頑張っていきたい。AI・ロボット化の推進についても、経産省の肝入りの補助事業で、国家をあげて我々業界を支えてくれている。現在、協会チームが一生懸命やっているので、素晴らしい結果を皆様にお見せできると思う」と話した。
また、林芳正外務大臣は「日本の食文化に根付いたお惣菜は我々の暮らしに無くてはならないものと、改めて感じている。それをしっかりと支え、社会のあり方、家庭のあり方が変わっていく中で、皆様の仕事が広がり、海外でも愛されていることを大変嬉しく思っている」。
齋藤健法務大臣は「外国人技能実習制度は、特定技能制度と併せて見直すべきという声があり、今作業を行っており、今年秋には2つの制度を今後どうしていくか結論を出していかなければならない。現場の皆様のご意見を伺いながら、外国の方に日本に来て良かったと思っていただけるような制度にしていきたい」とそれぞれ挨拶した。
5月の定時総会以降の新入会員紹介に続いて、日本アクセス代表取締役社長社長執行役員の佐々木淳一氏が乾杯発声。宴たけなわの中、田中憲治副会長の中締めで閉会した。
賀詞交歓会に先駆けて開催された新春セミナーでは、株式会社北海道日本ハムファイターズチーム統轄本部GМ補佐兼スカウト部長の大渕隆氏が「プロ野球スカウトから見た若者の可能性について」というテーマで講演。人材育成にとって重要なポイントをプロ野球スカウトの立場から解説した。
【食料新聞デジタル30 2023(令和5)年1月30日号】
業界紹介動画を公開
中食業界では人材不足が大きな共通課題となっており、将来、中食・惣菜業界を担う人材(学生、就活生、転職希望者など)に、イキイキと働く人の紹介を通して、中食業界の業務内容や働く魅力、やりがいを知ってもらい、興味を持ってもらうことを目的としている。
また、国民の食生活に密着した惣菜がどのようにして作られ、安全安心に配慮されているのかを紹介することで、業界のステータスアップにつながることを期待している。
動画内では、中食業界の歴史や市場動向の他、中食・惣菜業界の第一線で働く人々のインタビューや、これからの中食産業についての平井会長の展望が収録されている。この動画は、協会会員企業に限らず、業界関係各社のリクルート活動において、業界全体の魅力を伝えるツールとして無償で活用できる。
協会としても、今後、就活イベント等での活用や大学・高校などの就職課等への紹介を推進していくと共に、動画の普及を通じて、多くの人の中食業界への理解が深まることを期待している。動画では、オリジン東秀(株)、(株)原信ナルスオペレーションサービス、(株)日本アクセス、(株)ヤマザキ、わらべや日洋食品(株)の5社で活躍中の先輩インタビューを実施、業界で働く面白さや自身が担う役割について話を聞いている。
その他、(株)柿安本店、(株)髙島屋、(株)まつおか、マックスバリュ東海(株)、(株)ヒライ、(株)ローソン、(株)ロック・フィールドが資料や映像提供に協力、中食業界の今が伝わる内容になっている。
【動画URL】https://www.nsouzai-kyoukai.or.jp/nakasyokumovie/
セミナーでは、日本料理店「分とく山」の総料理長で、NHK「きょうの料理」の講師としても知られる野﨑洋光氏が講演。惣菜管理士資格取得者を始めとした参加者に日本料理の真髄を伝授した。
日本惣菜協会の大隅和昭常務理事の司会進行の下、教育専門委員会委員長を務める今里有利副会長が開会挨拶。「惣菜管理士資格試験制度は今年で30年目を迎え、30年間で3万2000名を超える方が資格を取得されている。その間に惣菜業界が大きくなり、皆様の活躍の場が広がりレベルも上がってきている。30年の節目の年に、資格をお持ちの皆様がさらにレベルアップし、業界や会社の中で活躍できるよう協会としてお手伝いをしていきたい。本日の講演を聞いてより高いレベルの惣菜製造にチャレンジして頂きたい」と話した。
講演会で野﨑氏は和食の歴史を紐解きながら料理をする上で大切なポイントをレクチャーした。冒頭、和食と洋食の違いについて説明。その一つとして口の中でご飯やおかずなどを混ぜ合わせて食べる「口内調味」を挙げた。「もしおかずの味が薄ければ沢庵などで調整すればいい。和食は難しいイメージがあるが、口の中で自由に味わいを調整することができる。実は自由度が高い」と述べた。
また江戸時代の食生活について解説。当時は電気や水道がないため作ることができる料理は汁物などの一部に限られており、他のものは全て購入していたことに触れ、「惣菜業は江戸時代の食生活の原点回帰とも言えるもの」と話した
講演会後半は味付けの神髄を教授した。味付けの基本はお吸い物にあり、生理食塩水の塩度である0・8%前後がベースとなる。「濃い味付けの佃煮を食べる際にも、白米で味わいを調整し、口の中でこの塩度に調整して食べている。ご飯を基調にして食べるのが和食である」とした。
物流の改善による食材の進化にも言及。かつては食材の鮮度が悪く素材の味が失われていたため、調味料により旨味を足す必要があったが、現代の食材は鮮度が良く素材の味がしっかりするので、「なるべく味付けを抑えすっきりとした味わいに仕上げることが大切」と説いた。また惣菜のさらなる進化のポイントについて、美しい盛付や包材を挙げ、パティシエの発想や魅せ方が参考になるのではないかと話した。
最後に「お客様のクレームはチャンス、それを生かして現在のニーズを読む。時代が変わっているので既存の料理法にとらわれず、実際にやってみて自らの料理法を生み出すことが大切だ」と述べ、料理人が自らの経験により料理を進化させていく重要性を示した。
【2022(令和4)年12月1日第5113号7面】
日本惣菜協会 「惣菜管理士」資格取得に向け3607名が受講スタート
コロナ禍で受験・受講を見合わせていた人の合格者が増えたことで上位級に上がる人が多く、一級受講者は過去最高の受講者数となった。また、200名ほどの社員が申込みをしている企業もあり、社内の人材育成の一環として活用されていることが伺える。
現在、「惣菜管理士養成研修」は、食産業に携わる全ての人に向けた業界の人材育成を目的に、食品の製造工程を通じて“食品に関しての総合的な知識”を体系的に学べる通信教育として、惣菜製造業のみならず食に関連する様々な業態の企業に拡がっている。
惣菜管理士事業については、「惣菜業が産業として発展するためには人材育成が必要不可欠である」という業界からの要望を受け、1992年から資格試験制度を開始し、今年制度創設30周年となった。
2022年度は惣菜管理士30周年記念事業として、①11月23日に記念セミナーの開催②惣菜管理士認知度アップのためのロゴマークの作成③業界のステータスアップ・人材確保につながることを目的に、イキイキと働く方を通して中食・惣菜業界を紹介する動画の作成(就職希望者や学生の視聴を想定)④成績優秀者の表彰制度の開始(2023年資格試験合格者より)⑤一級惣菜管理士の相互研鑽の場としての「日本デリアカデミーの会」の創設準備、などに取り組んでいる。
また、今年度受講生が対象となる資格試験から、CBT方式の試験に変更となる。全国各地のテストセンターで2023年4~8月の5カ月の間に各自の都合に合わせて受験できるようになり、受講生の利便性向上、企業の負担減につながることが期待されている。
惣菜盛付ロボットシステム「DelibotTM」は、コネクテッドロボティクス㈱およびTeam Cross FAを中心に開発を進め、2022年3月にマックスバリュ東海㈱の惣菜製造工場の製造現場に4台導入、惣菜盛付のロボットとしては惣菜業界初の現場実運用に成功している。
【「Delibot」とは】
食品産業の中でも生産性が低く、自動化が進んでいない、惣菜業界の盛り付け工程をサポートするロボットシステム。ポテトサラダのような不定形な食材を決められた重量を計測して掴み、製品トレーに盛り付ける工程を4台で1時間1000食という一般的な食品工場で求められるスピードに対応して自動化する。マグネット式のハンドを取り替えることで1台でも種類の異なる惣菜や、異なるサイズのトレーに盛り付けることが可能となっている。▼Delibotの紹介はこちら:https://connected-robotics.com/products/delibot/
【評価のポイント】
画像を使わず、力センサとロボット(スカラー型の4軸)の動きのみで、不定形の食材の盛り付けを実現している点を評価。また、ロボット専門家のいない現場での使いやすさを考慮し、ハンド手先の脱着をマグネットにしたり、手先を覆うフィルムにも試行錯誤を行っている。食品産業でニーズが高い工程を対象としており、優れた技術を有しているため、今後の普及に期待ができる。
【ロボット大賞とは】
経済産業省(幹事)、一般社団法人日本機械工業連合会(幹事)、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省が共催し、日本のロボット技術の発展や社会実装を促進することを目的として、ロボットの先進的な活用や研究開発、人材育成といった様々な分野において、優れた取組を実施した企業等を表彰する事業。
なお、協会では引き続き、経済産業省「令和4年度 革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」および、農林水産省「令和3年度補正 農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業のうちスマート食品産業実証事業のうち、モデル実証事業」に採択されている。
昨今の少子高齢化、さらには、新型コロナウイルス感染対策に伴う外国人技能実習生の入国制限により、多くの惣菜製造現場で人手不足が深刻な問題となっている。この最も大きな経営課題である人手不足解消の為、ユーザーである小売り・惣菜製造企業15社と、課題解決のための各種トップ技術を持つ研究・開発企業とともに、引き続き、さらに新たな作業工程に対するロボットシステム開発、AIと量子コンピューターによる自動シフト計算システムの開発に取り組み、ロボットフレンドリー(ロボフレ)な環境の構築とともに、ロボット・AIの実現場への導入を推進する。
日本惣菜協会 経済産業省「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」に採択
昨年度は経済産業省の「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」により、惣菜盛付ロボットシステムの開発を行ってきたが、今年度はさらに新たな作業工程に対するロボット開発、AIと量子コンピューターによる仕事量に応じた自動シフト計算に取り組む。
昨今の少子高齢化、さらには、新型コロナウイルス感染対策に伴う外国人技能実習生の入国制限により、多くの惣菜製造現場で人手不足が深刻な問題となっている。この最も大きな経営課題である人手不足解消のため、協会では、経済産業省と農林水産省の各補助事業の代表として、ユーザーである小売・惣菜製造企業15社と、課題解決のためのトップ技術を持つロボットベンダー企業とともに、ロボットフレンドリー(ロボフレ)な環境を構築し、ロボット・AIの実現場への導入を推進する。
【今回の開発内容】
惣菜製造企業向けに、機械化したい作業についてのアンケート・ヒヤリング調査を行い、業界共通の課題をまとめ、優先順位付けをし、自動化すべき作業を決めた。今年度は、①トレー供給ロボットシステム・②惣菜盛付ロボットシステム・③弁当盛付ロボットシステム・④容器蓋閉めロボットシステム・⑤惣菜製品移載ロボットシステムを開発対象とした。
これら惣菜製造作業の機械化推進に加え、更なるロボット導入障壁を下げる取組として、システムトータルのリース・レンタルシステムの構築、廉価なロボット本体の構想設計、容器・番重の標準化検討を進める。一方、惣菜製造の全体最適化を実現する為、デジタルツインとAIを用いた工程の最適化および、量子コンピューターを活用した人員配置の最適化も実現する。
協会は、この事業を通じて、多くの人手を要する全国の惣菜工場が直面する共通の課題に真摯に向き合い、「新しい合本主義の考え方」と「ロボットフレンドリーな考え」のもと、志に共感を頂くパートナー企業とともに、課題解決に向けて推進し、日本が直面する人手不足解消に貢献する。
日本惣菜協会 デリカアドバイザー142名誕生
日本惣菜協会では、小売業からの人材育成に対する要望を受け、2013年11月から「デリカアドバイザー養成研修」をスタート。デリカアドバイザー養成研修は、惣菜売場のスタッフが、惣菜を調理・販売する際の注意点、原料原産地やアレルゲン、栄養成分など食品表示に関わる法令関係、食品衛生や労働安全等を通信教育で学ぶ研修。
研修を採用している企業では、売場のリーダーがデリカアドバイザーの資格取得後、テキストを他のパートタイマー等への教育教材として利用し、共に働くスタッフに伝えていくことで、店舗全体の知識レベルの向上に活用しているケースもある。合格者からは「知識を身につけることで、自信を持って対応できるようになった」等の声が寄せられている。
また、資格取得後はデリカアドバイザー認定証を店頭に掲示でき、惣菜を購入するお客様の買い物サポーターとして、「信頼される売場」づくりを訴求できる。
最近の傾向としては、食品メーカーの営業社員などが、惣菜売場の状況をより深く理解し、取引先との関係強化を目的に受講するケースが増えている。今後も協会では、自信を持って惣菜業界で働ける人々を育成するために、各社の人材育成のサポートに注力していく。
なお、次回のデリカアドバイザー養成研修受講の申込み受付は10月1日から11月末まで。セキュリティ強化のため協会システムを刷新したことにより、デリカアドバイザーの受講申込み方法が変更となる。詳細は10月以降にホームページにて公開する。
半年間の養成研修修了者と受験資格保有者を含め、今年は過去最多4263名の受験申込があった。7月6日に開催された惣菜管理士資格試験審査委員会を経て、一級594名、二級1035名、三級1812名が合格し、計3441名を「惣菜管理士」として認定した。全体の合格率は82・5%だった。これにより「惣菜管理士」の登録者は2398社3万2642名となった。
コロナ禍で非常に厳しい市場の中にもかかわらず、今年は過去最多の受験者数・合格者数となり、多くの企業が人材育成に注力していることが伺える。
惣菜管理士資格試験が終わり、いよいよ10月開講の「惣菜管理士養成研修」の申込みが始まる。
惣菜管理士資格試験制度は今年で制度創設30周年となるが、この間、社会情勢が目まぐるしく変化するなか、惣菜管理士養成研修を人材育成に取り入れている企業は惣菜製造業のみならず、様々な食品関連企業へと広がっている。「食に携わる人材としての必要な知識」を習得すべく、各社の教育制度に活用されている。
また、食品衛生法や食品表示基準の改正、HACCP制度化、GAPなど食のグローバル化など、食品を取り巻く環境が変化しているなか、「世界基準の安全性」や「おいしさ」、「健康」、「情報提供」といった業界に求められる役割や要望は益々高度なものになってきている。
このような時代の要請と受講企業や受講者からの意見や要望を受け、「惣菜管理士養成研修」も変化に対応し、2021年から全ての級でテキストが新しくなった。
新カリキュラムでは、惣菜だけでなく、食品業界全体に通じる、開発・製造・加工・流通・企画・販売に関する知識を、より学びやすく体系的に修得できるものとし、拡大・変化していく食品業界の役割を担う人材育成に役立つ知識を身に付けることができる研修を目指している。
次回の惣菜管理士養成研修は、2022年10月開講。申込みは8月1日(月)~9月20日(火)。
今年より、受講申込みはWebからの申込みのみとなる。
2022年の試験(※2023年からはCBT方式の試験に変更)
定時総会は、東京都千代田区の東京會舘にて開催、議決権を有する会員の過半数(委任状を含む)の参加により成立した。来賓として、農林水産省大臣官房新事業食品産業部外食食文化課長の須永新平氏が祝辞を述べた。
今回は役員改選期となり、定時総会および、その後に開催した理事会において、会長には、熊本県の株式会社ヒライ代表取締役社長の平井浩一郎氏が再任された。新役員として2名(理事:わらべや日洋ホールディングス株式会社代表取締役会長 大友啓行氏、監事:税理士法人ウィズ 税理士 橋本秀明氏)が就任するなど、新役員人事が決まった。
総会終了後、3年ぶりの開催となる「2022年優良社員表彰式」では、特別功績者2名、功績者28名、永年勤続者89名、合計119名が受賞した。
懇親会では平井会長が開会挨拶。「2021年の惣菜市場規模が2年ぶりに回復し10兆円規模へと回復した一方で、ウクライナ情勢の影響による様々な原材料の高騰や代替調達先の探索などの喫緊の課題もある。労働力不足は深刻で、現在AI・ロボット化の推進に着手したところだが、これからが一番大切。是非この試みを成功させて、皆様のお悩みを少しでも解決できればと考えている」と述べた。
来賓祝辞では、農林水産大臣の金子原二郎氏の祝辞を水野政義大臣官房総括審議官が代読。新入会員紹介の後、新入会員を代表してデリカサラダボーイ株式会社代表締役社長の竹内信夫氏が挨拶した。
業界代表挨拶・乾杯は、ヤマサ醤油株式会社代表取締役会長の濱口道雄氏が務め開宴。日本惣菜協会副会長の今里有利氏の中締めにより懇親会は閉会した。
なお記念講演では、東京大学大学院工学系研究科人工物工学研究センター技術経営戦略学専攻教授の松尾豊氏による「社会・産業の飛躍的発展と、人工知能活用の未来~DXの本質はこれだ!~」と題したセミナーが行われ、350人が聴講した。
「2022年版惣菜白書」6月1日に発刊
業態別では、「CVS」が前年比101・6%の3兆2015億円、「食料品スーパー」が106・6%の2兆9470億円、「惣菜専門店」が100・5%の2兆7472億円で、この3業態合計で88・0%を占める。その他の業態は、「総合スーパー」が103・1%の9075億円、「百貨店」が106・7%の3117億円であり、全業態が前年を上回った。
業態別構成比の動向では、「食料品スーパー」が1・0ポイント増で29・1%、「百貨店」が0・1ポイント増で3・1%にそれぞれシェアが増加。一方で、「惣菜専門店」は0・6ポイント減の27・2%、「CVS」は0・4ポイント減の31・7%とシェアが減少している。「総合スーパー」は2020年同の9・0%のシェアとなった。
完成した『惣菜和英辞典』は、①惣菜辞典、②英訳メニュー名、③アレルギーや宗教上の戒律にかかわる主な食材のイラスト集の3つのパートに分かれている。①惣菜辞典は、代表的な惣菜から約80品目を取り上げ、由来や基本材料・調理法などを簡単に説明しており、日本に住む外国人や外国人技能実習生、日本人の惣菜従事者が読んでも参考になる内容である。
②英訳メニュー名では、主要な惣菜メニューから約600品目を取り上げ、温惣菜、冷惣菜、調理麺、お弁当・ご飯、寿司、その他用語集のカテゴリー別に掲載した。惣菜販売事業者には、『惣菜和英辞典』を活用し積極的に商品ラベルや商品POPに英語名を併記してもらえるよう、協会から普及推進していく。
【取組の背景】
協会では、以前から会員企業より、惣菜商品・メニュー名の英語表記の指針となるものを協会主導で作成して欲しいとの要望があった。現在は、コロナ禍でインバウンドは大幅に減少しているものの、2019年には年間3188万人に達したと言われている。
訪日外国人の楽しみといえば「日本食」は欠かせないものであるが、レストランやホテルでの食事にとどまらず、普段から食べている弁当や惣菜を、もっと気軽に購入してほしい。しかしながら現在では、まだ商品ラベルへの英語表記は大手スーパーマーケットやコンビニエンスストアにとどまり、外国人観光客にとっては購入の際に躊躇することも多いという。
アフターコロナのインバウンド回復に向けて、惣菜商品・メニュー名の英語表記を前もって整備しておくことは大変有意義であり、外国人との交流や日本文化の発信、また惣菜業界に資するという観点から、協会では、2021年より、検討ワーキンググループを組織し、惣菜商品・メニュー名の英語表記ガイドブックの作成を開始した。
また、『惣菜和英辞典』の意義としては、訪日外国人の購入に限らず、海外への日本食の普及にも主眼を置いている。海外進出した惣菜メーカーが現地の言語で商品説明を記す際など、輸出入のビジネスにも役立ててもらうことを想定している。
さらに日本の惣菜は和惣菜ばかりでなく、洋惣菜や中華惣菜などバラエティーが豊富であり、海外のメニューを日本流にアレンジするのも日本の食文化の特徴なので、これら多彩なメニューを英語表記することは、日本の惣菜を外国の人々へ広めることに資すると考えている。
家庭料理の代表的メニューであった「きんぴら」や「ぬた」などの和惣菜の担い手は、今や惣菜の製造・販売を行う事業者に移り変わっており、惣菜製造業・販売業は日本の食文化を支える重要な存在といえる。 『惣菜和英辞典』は、今後も継続してメニュー数を増やして改定版を発行していく予定。多くの事業者に活用してもらい、意見を反映していくことで、よい利便性の高いものになるよう改良を重ねていく予定だ。
日本惣菜協会「惣菜管理士」30周年記念インタビュー(全3回)
一般社団法人日本惣菜協会 専務理事 清水 誠三氏
一般社団法人日本惣菜協会(平井浩一郎会長、東京都千代田区)では「惣菜管理士資格試験制度」が今年7月に創設30周年を迎える。それを記念して、本紙では、「惣菜管理士30周年記念インタビュー」として3回シリーズで、同協会の清水誠三専務理事にお話を伺う。第1回目のテーマは「惣菜製造業のAI・ロボット化」。日本惣菜協会では、2021年9月に、経済産業省が推進する「令和3年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」に事業の代表として採択され、15社の協力企業とともに、ロボット・AI・量子コンピューターの現場導入に取り組んでいる。清水専務理事は、将来的にロボット1台あたりの価格を下げることにより、惣菜業界に広くロボットを普及し、人手不足などの課題を解決することで、日本の惣菜文化を未来に繋いでいくビジョンを語った。
◇ ◇
ーロボット事業を実施することになった背景。
「2020年に協会会員向けに実態調査を行ったところ約250社から回答が得られ、惣菜業界が対処すべき課題が浮かび上がった。労働人口の減少、見込み生産によるロスの発生、外国人や高齢者中心の労働環境など、その課題は様々で、マーケットは伸長しているものの、課題も多いのが現在の惣菜製造業ということが明らかになった。惣菜製造業は労働集約型であり、人材確保に苦慮しているため、デジタル化を推進することによりこうした課題を解決していこうという流れの中、AI・ロボット化推進に向けた事業を行うことになった」
ー経済産業省と連携したプロジェクトがスタートしている。
「2020年度に、ロボットが稼働しやすい環境、〝ロボットフレンドリー(ロボフレ)な環境〟の実現にあたり組成された予算事業『革新的ロボット研究開発等基盤構築事業』の食品分野の分科会(食品TC)に協会が参画させて頂き、活動を行ってきた。2年目に現状の課題について発表を行ったところ、公平性が担保でき、業界全体に影響力が出てくるということで、2021年度より、協会が補助事業の幹事を務めることになった。現在、惣菜盛付ロボットシステムの開発、量子コンピューターによる惣菜作業者シフト計算の実用化開発などを進めている。日立製作所やキユーピーで活躍した技術者の荻野武氏がAI・ロボット推進イノベーション担当フェローとして協会に加入し、プロジェクトの陣頭指揮を執っている。荻野氏が提唱する『One for all, All for one』や『利他の心』という理念の下、食品TCに加入する様々なメーカーが志を一つにして、業界貢献のために取り組んでくれている」
ー具体的にどのような作業をロボットが行うのか。
「国内で食品製造業に従事している方は130~150万人とされているが、その中で盛付に従事している方は約半分の60万人に及ぶ。これをなんとかしていきたいと考え、2種類の盛付ロボットが既に4社(マックスバリュ東海、ヒライ、イチビキ、藤本食品)の現場にテスト導入されている。ロボットは、一般的に、導入される現場に応じてカスタマイズする必要がある。だが、そうすると2000万円を超えるような高額なものになってしまい、とても中小の惣菜企業が導入できるような価格には収まらない。これを今回参画している15社が共同開発し、またロボフレな環境を整えることで標準化し、ロボットの販売量を増やすことで価格を下げ、中小企業が無理なく導入できるような価格でロボットを供給することを目指している。今回は経済産業省の補助事業なので、協会や惣菜業界だけが恩恵を受けるだけではダメだと思っており、惣菜業界以外の食品メーカー様、漬物メーカー様でも使えるようであれば、どんどん使って頂きたい。それにより受注台数が増えれば、ロボットの価格が下がっていく。最終的には、1台500万円でロボットを販売することが目標だ。補助事業の期間は5年間なので、あと3年以内に食品業界に広く導入できるよう取り組んでいく」
ー量子コンピューターによるシフト計算。
「もう一つの補助事業が、量子コンピューターによるシフト計算だ。複雑な従業員のシフト計算は多くの業界にとって悩みの種になっている。数百人規模のシフトの最適化を現存のコンピューターで行えば、数十年、数百年かかるものが、量子コンピューターであればわずか数分でできる。シフト計算は現在5社が導入している。またそれに付随して、何をどれだけ生産するべきかという需要予測のシステム開発にも取り組んでいる。需要予測は様々な業界のデータを取り入れ、どこでも使えるシステムを目指しており、実用化できれば食品ロス削減にも大きく貢献できるものと考えている。その他にも、中小企業庁のものづくり補助金事業を活用し、協会会員企業30社を対象に課題解決を支援する取組も並行して行っており、工場をデジタルで分析して効率化を図る〝デジタルツイン〟の運用などもスタートしている」
ーロボット導入の課題。
「日本人の美的感覚は研ぎ澄まされており、惣菜や弁当の盛付にも一定の美しさが求められている。だが、現在のロボットの盛付は残念ながらそこまでのレベルには達していない。それがエシカル消費の浸透などでどこまで許容してもらえるようになるか。ロボットの盛付のレベルも今後上昇していくと思うので、どこかで合致点が見つかることを期待している。またヒライでは、ロボットが盛付しやすい大振りな具材を詰めた〝ロボフレ弁当〟を開発した。今の弁当がそのままロボット化されるイメージではなく、まったく違った形でイノベーションが起き、ロボフレ弁当のようにロボットが簡単に盛付できる弁当が一気に普及するというイメージもある。もう一つの課題が、盛付のスピード。現在は安全基準が厳しく盛付スピードを上げることができない。生産性に合うスピードにどこまで追いついていけるかが課題となる」
ーロボット導入には、ロボフレの考え方が重要とされる。
「消費者の意識改革も大切だが、流通関係においても、番重や容器の規格を統一化することができれば一気にロボフレな環境が整う。惣菜の競争領域は、味や栄養分などの商品開発に絞り、それ以外の領域は、協調領域としていくことができれば、効率化が進み、環境にも優しく、SDGsの推進にも繋がる」
ー惣菜製造業の理想的な未来。
「AI・ロボット化によるメリットは、人手不足解消だけでなく、作業環境の改善や惣菜業界のイメージアップにも及ぶ。理想的な未来像は、ロボットと人が共存する製造現場で、揚げ物など危険が伴う調理場にはロボット、繊細な職人技が求められる調理場には人というような融合がベストではないか。ロボット化を推進し、惣菜業界の課題を解決することで、日本が誇る素晴らしいお惣菜の食文化を未来に繋いでいくことが最大の目標だ」
一般社団法人日本惣菜協会(平井浩一郎会長、東京都千代田区)では「惣菜管理士資格試験制度」が今年7月に創設30周年を迎える。それを記念して、本紙では、「惣菜管理士30周年記念インタビュー」として3回シリーズで、同協会の清水誠三専務理事にお話を伺う。第2回目のテーマは「惣菜市場について」。日本惣菜協会では6月1日に、惣菜の業態別市場規模や消費者動向などを調査する「2022年版惣菜白書」を発刊。今回の調査結果から算出した2021年の惣菜市場規模は、前年対比103%の10兆1149億円となり、コロナ禍の影響を受けて、11年ぶりに前年を下回った昨年からは回復したものの、2019年対比では98%に留まった。清水専務理事は、近年の惣菜市場の変化について『総惣菜化』など5つのトレンドを挙げ、即食をテーマにさらに市場が拡大していくという見解を示した。
(藤井大碁)
◇ ◇
―最新の惣菜市場規模が発表となった。
「2021年の惣菜市場規模は前年比103%となり、2年ぶりに大台となる10兆円を回復した。2020年は前年比95・2%とコロナの影響を受け2009年以来11年ぶりに前年を下回ったこともあり、まずはこの結果にほっとしている。10年前の2011年比で見ると食市場全体は103・3%で推移している。コロナ禍により外食市場が79・7%と10年前に比べ大幅に縮小する中、惣菜市場は121%と順調に拡大している」
―業態別の推移。
「全業態で前年をクリアしたものの、明暗が分かれている。顕著なのは食品スーパーの好調ぶりで、コロナ前と比べ大きく構成比を上げている。食品スーパーは、コロナ初期こそ感染対策のための客数減などにより惣菜売上が苦戦したものの、その後回復。他の業態が全て前年を下回る状況となった2020年に関しても100・8%と唯一前年を上回り、2021年も前年比106・6%と大きく伸長している。一方、コロナ禍により大きな打撃を受けた百貨店やコンビニは徐々に売上が回復しているもののコロナ前には届いていない。全体的には、外食を控えている方がまだ多く、外食マーケットの一部が惣菜へシフトしていることもあり、惣菜への注目度や消費者の利用度は高まっている。今後、インバウンドを含めて観光客が増加していけば、全ての業態で売上はさらに回復していくのではないか」
―近年の惣菜市場の変化。
「コロナ禍の影響もあり惣菜市場は目まぐるしく変化しているが、大きく分けて5つのトレンドがあると分析している。1つ目が『総惣菜化』だ。現在、惣菜売場の強いスーパーは売上が好調な傾向にある。その中で見られるのが、即食性の高い商品をどの売場においても販売する流れだ。鮮魚売場ではアジフライや鮭弁当、精肉売場ではサイコロステーキやローストビーフ、青果売場ではカップサラダやカップフルーツといった具合に、それぞれの売場で即食をテーマにした商品ラインナップが広がっている。2つ目が、『冷凍食品の伸長』。保存が効き、食べたいときにすぐ食べられる利便性に加え、近年の味わいの進化もあり、需要が伸びている。3つ目が『外食のフードデリバリー、テイクアウト、キッチンカー』。コロナ禍により、外食が中食に大きくシフトし、このカテゴリーが拡大している。4つ目が『Eコマース、宅配サービス』。オイシックス、ヨシケイ、生協といった食品宅配事業者の存在感が高まった。素材だけでなくミールキットや冷凍食品の販売も好調に推移している。5つ目が『異業種の参入』。無印良品がスーパーを展開し食品や惣菜を販売し始めた他、健康食品で有名な世田谷自然食品も冷凍惣菜の販売を始めるなど、新しい事業者の参入が目立っている」
―消費者動向について。
「惣菜白書の調査によると、消費者が惣菜を購入する際の選択基準は、一番目が美味しさ、二番目が価格となっており、いくら価格が安価でも美味しくないと支持を得られないということが分かる。特に、鮮度の良さや材料の良さなど食材の品質を重視する消費者が多い」
―惣菜市場の展望。
「年収別の中食、外食の利用率データを見てみると、年収の低い層は外食の利用率が低いが、中食は年収の多い少ないに関わらず利用率があまり変わらない。このデータからも、中食が国民全体の食生活に浸透していることが分かる。先ほどお話しした総惣菜化の流れもあり、即食というニーズに支えられ、中食市場はまだまだ伸長していくと考えている。現在、外食のフードデリバリーやテイクアウトといった業態については、惣菜白書の市場規模には含まれていない。そういう意味では、惣菜白書で捉えきれていない中食マーケットについても間違いなく拡大していると言える」
―今後求められていく惣菜。
「高齢者が増加する中、惣菜を利用する理由の一つとして経済合理性が挙げられる。家族が多いと素材から作ったほうが安いが、2人住まいであれば、買ってきた方が安いというのが実情だ。こうした理由から惣菜を購入される方の中には、毎食惣菜を購入したいという方もいる。だが個人的には、現在の惣菜は毎食食べるには味が濃すぎると考えている。家で作る惣菜には、完全には代替ができない。今後に向け、毎日、毎食でも食べられる優しい味わいの『ケの惣菜』が開発されることを期待したい。家庭内でご飯を炊く機会が減る中で、こうした惣菜や弁当が登場することにより、ますます惣菜市場の拡大が見込めるのではないだろうか」
一般社団法人日本惣菜協会(平井浩一郎会長、東京都千代田区)では「惣菜管理士資格試験制度」が今年7月に創設30周年を迎える。それを記念して、本紙では、「惣菜管理士30周年記念インタビュー」として3回シリーズで、同協会の清水誠三専務理事にお話を伺った。第3回目のテーマは『惣菜管理士30周年と協会の取組』。日本惣菜協会では30周年記念事業として、学生向けの惣菜業界PR動画の作成などを実施する。また新たに、「日本デリアカデミーの会」の開設やS級惣菜管理士の拡充といった新規事業を予定しており、惣菜管理士のさらなるレベルアップに取り組んでいく。清水専務理事は「惣菜業界へ優秀な人材に入ってもらうことが業界発展の鍵」と語り、優秀な人材に集まってもらえるような環境作りの必要性を語った。
(藤井大碁)
―惣菜管理士資格試験制度が30周年を迎えた。
「1992年に研修がスタートし、翌93年3月に第1回目の試験が行われた。30周年を迎えるにあたり、これまで惣菜管理士資格試験制度に関わってこられた関係者の方に改めて御礼を申し上げたい。スタート当初は惣菜製造業や食品メーカーの方が取得する資格だったが、その後、食の総合的なカリキュラムとして、卸、小売、外食、資材メーカー、学生まで幅広い層の方に取得者が広がった。2009年には資格取得者が1万人を突破、昨年、お陰様で資格取得者が3万人を超えた」
―惣菜管理士資格制度が支持される理由。
「惣菜管理士という名称ではあるが、大手食品メーカーなど食のトップ企業の方にもたくさん受験して頂いており、総合的に食の知識が習得できる資格として認知頂いている。資格取得が目標ではなく、勉強して食のリテラシーを上げてもらうことを目的としており、通信教育のテキストを読み、課題を毎月提出しなければならないなど、勉強するための仕組みが整えられていることも高い評価を頂いている。惣菜管理士資格制度が人材育成の一助になり、惣菜業界がさらに発展していくことを期待している」
―2019年~2021年にかけてカリキュラムの大幅な刷新を行った。
「法改正や惣菜市場の変化、食のグローバル化などが進む中、時代に合わせた内容へカリキュラムを変えるべきだという声があり、2019年から3年をかけて大幅な刷新を行った。15年振りの大幅な食品衛生法改定や食品表示法の改正、HACCPやGAP、食のグローバル化、ライフステージと栄養なども新たに盛り込まれ、さらに時代ニーズに沿った内容に生まれ変わった」
―30周年記念事業。
「優秀な人材に惣菜業界へ入ってもらうため、学生に向けたPR動画を作成する。動画内では、惣菜メーカーや惣菜販売会社の品質管理や開発、営業企画などで活躍している方を紹介し、業界の認知度アップを図る。また惣菜管理士のロゴを作成し、パンフレットやホームページ、資格取得者の名刺などへの掲載を検討している。さらに、試験で満点を取った受験生を対象に成績優秀者表彰も開始する。その他、記念セミナーの開催や日本デリアカデミーの会の開設、S級惣菜管理士の拡充などの新規事業も計画している」
―「日本デリアカデミーの会」の開設とS級惣菜管理士の拡充について。
「日本デリアカデミーの会は、一級惣菜管理士の交流と惣菜知識を更に深めて頂き、業界のレベルアップを目指すもので、検討中ではあるが、『マーケティング部門』として営業や開発、『生産管理部門』として品質管理、生産管理の専門性を高めるセミナーや共同研究、『女性開発者WEB上のサロン』等も考えている。業界発展と惣菜管理士同士の交流や相互啓発、惣菜管理士の価値向上にもつながるものと考えている。またS級惣菜管理士については、現在、一級惣菜管理士の中でHACCPの衛生管理ができる人材をS級惣菜管理士として認定しているが、新たに『食品表示』、『工場の生産管理』のプロフェッショナルをそれぞれS級惣菜管理士として認定していきたいと考えている」
―『惣菜和英辞典』も完成した。
「以前から会員企業より、惣菜メニュー名の英語表記の指針となるものを協会主導で作成して欲しいとの要望があり、プロジェクトがスタートし、この度完成した。訪日外国人の購入に限らず、海外への日本食の普及にも主眼を置いている。海外進出した惣菜メーカーが現地の言語で商品説明を記す際など、輸出入のビジネスにも役立てて頂きたい。また日本で働く外国人技能実習生の方々にもお役立て頂けると考えている。会員企業のみならず、広く多くの事業者に活用してもらうために、協会ホームページから全編を無料でダウンロードすることができるので是非ご活用頂きたい」
―今後のビジョン。
「業界を良くしていくためにはやはり人が重要で、優秀な人材が業界発展の鍵と言える。そういう意味で、教育、人材育成と優秀な人材に集まってもらえるような環境を作ることも、我々の大きな役割の一つだ。若い世代から働きたいと思ってもらえる職場づくりを行い、将来的には優秀な人材が惣菜業界にイノベーションを起こし、さらなる業界発展につながることを目指していく」
【2022(令和4)年7月21日第5100号11面】