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アニバーサリー 2022

茨城県水産製品品評会・霞ケ浦北浦部門 原田水産が農水大臣賞

高木会長
青木審査委員長
農水大臣賞を受賞した原田水産の原田静男氏
コモリ食品、安部が水産庁長官賞
  茨城県の水産加工製品の品質の向上、普及拡大、及び水産業の振興を目的として行われる令和4年度茨城県水産製品品評会(主催=茨城県水産物開発普及協会、後援=茨城県)の表彰式が9日、水戸プラザホテルで開催された。今年度の品評会には、昨年を上回る霞ヶ浦北浦部門250点、沿海部門117点の計367点の出品が寄せられた。霞ヶ浦北浦部門では、原田水産(小美玉市高崎)の「白魚黄金釜揚げ」が農林水産大臣賞、コモリ食品(鉾田市中居)の「鯉こく(2人前)」、安部(かすみがうら市牛渡)の「わかさぎ白焼甘露煮」が水産庁長官賞を受賞した。
  表彰式は茨城県水産物開発普及協会の戸田廣副会長の開会の言葉に続き、同協会の髙木安四郎会長が挨拶。「茨城県の水産加工製品生産は質・量ともに全国屈指の位置を占めているが、原料の漁獲減少が顕著となり、価格も高騰し、年々原料の確保が困難を極めている。国際的な資源争奪競争などにより輸入原料の確保も厳しさを増しており、原油高、電気料金高騰、円安傾向の為替相場と過去に経験したことがない厳しい状況が継続している。そのような中、多様化するニーズに的確に応えていくことが業界発展にとって大切なことと考えている。今後もさらに魅力ある製品づくりに取り組んで頂きたい」と述べた。
 来賓紹介に続いて来賓を代表して茨城県農林水産部次長兼漁政課長の青木雅志氏が挨拶。「今回も工夫を凝らした製品が数多く見られ、各賞を受賞された皆様に心よりお祝いを申し上げたい。茨城県はバラエティーに富んだ魚介類やその加工品を生産しており、令和3年においては約15万tの水産加工生産量を誇る全国でもトップクラスの水産県。県としても受賞した製品をホームページやSNS、〝茨城を食べようポータルサイト〟などで情報発信し、県産水産物の認知度向上やイメージアップに努めている。品評会を通じて、本県を代表する加工製品が誕生することを期待したい」と話した。
 引き続き審査委員長でもある青木氏が審査講評を発表。出品物の全般的な特徴として、「昔ながらの伝統的な製品に加えて、少量ずつパックされたもの、複数製品を組合わせたものなど、気軽に水産物を楽しめる製品や、これまでにない特徴を持った目新しさのある製品が見受けられた」と指摘。霞ヶ浦北浦部門の特徴としては、「わかさぎやしらうお、えび等の霞ヶ浦北浦産の水産物を原料とした伝統的な佃煮が多く見られる中、今年の漁模様を反映して水揚げの多いしらうおを原料とした製品が目立った他、新しい加工技術の開発に取り組んでいる商品も見られた。主要魚種の資源減少を反映し、複数の原料を組合わせた製品を考案するなど、原料の確保にも工夫を凝らした製品が見られた」と評した。
 また農林水産大臣賞を受賞した原田水産の「白魚黄金釜揚げ」について、「霞ヶ浦の白魚の中から特に鮮度の良い素材を厳選し、独自に開発した特殊な技術を用いて茹で上げることで、白魚としては珍しい釜揚げに仕立て、素材の旨味としっとりとした食感を最大限に引き出し、煮崩れなく形よく仕上げられている。また、最も良い状態で真空包装することで長期の冷凍保存を可能とし、消費者がいつでも一番美味しい状態で食べられるよう工夫されている」と講評した。
 受賞者代表挨拶で、原田水産の原田静男氏は、「お祝いと激励の言葉を賜り、盛大な式典を開催して頂きました事、受賞者一同感激の極みであります。未だに収束が見えない新型コロナウイルス感染症により、我々業界は厳しい経営環境が続いております。従来の製品を改良し、より良い製品を世に出す心掛けが必要だと思います。今日の感謝を肝に銘じ、名誉ある各賞の名に恥じないよう茨城県の水産業発展のため努力を続けて参ります」と述べた。
【2022(令和4)年12月21日第5115号2面】

茨城県水産製品品評会

中田食品 グッドカンパニー大賞特別賞

環境保全、地域振興などに貢献
 公益社団法人中小企業研究センター(林信秀理事長)は2日、第56回(2022年度)「グッドカンパニー大賞」の表彰企業16社を発表した。
 本紙関連では中田食品株式会社(中田吉昭社長、和歌山県田辺市)が特別賞を受賞した。
 グッドカンパニー大賞は全国の中小企業の中から、経済的、社会的に優れた成果を上げている企業を選び、「グッドカンパニー大賞」を贈って顕彰し、我が国の中小企業の発展に資することを目的とした取組。日本経済発展に寄与することを目的として昭和42年に創設され、これまでの表彰企業は743社に上る。
 その中の「特別賞」は省資源、環境保全、内需開拓、雇用福祉、地域振興など現代社会の緊要な要請に対して特に貢献度が高い企業であって、最近3年間の業績推移が相当なものであり、将来性があると認められる企業に贈られる。
 同社は「当社は明治30年に創業し、125周年を迎える節目の年にこのような大変栄誉ある賞をいただき、誠に光栄に存じます。ご評価いただいた選考委員の方々をはじめ、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます」とコメントしている。
【2022(令和4)年12月11日第5114号1面】

石井食品(千葉県) 食品産業技術功労賞を受賞

表彰式には元会長である石井健太郎氏が参加した
「地域と旬」シリーズよりハンバーグラインアップ
 石井食品株式会社(石井智康社長、千葉県船橋市)は、「地域と旬」シリーズで「地域創生」部門において、第52回食品産業技術功労賞(地域創生部門)を受賞した。
 同賞は、国内の食品産業の発展に著しく貢献した技術及び商品等を開発した企業、または個人、団体を表彰するもの。3年ぶりの開催となった今回の第52回となる表彰式では、受賞各社への表彰盾の授与と記念撮影が行われた。
 同社は、2016年より、生活者と生産者をつなげることをテーマにした「地域と旬」の取組を約30の地域で展開し、地域の旬の味を求めて全国各地に出向き、商品開発・地域食材の価値提案を行っている。
 石井社長は受賞にあたり、「このような名誉ある賞を頂き、大変光栄なことと深く感謝すると共に石井食品を代表し、この『地域と旬』事業に関わる皆様、そして食品産業技術功労賞の受賞に導いてくださった皆様へ、厚く御礼を申し上げる。食品会社は美味しい食材が手に入らないと良い商品を作ることができない。『地域と旬』事業は、地域食材に着目し、生育環境や栽培法等を工夫した良質な食材を、その地域ならではの方法で調理し、生産者の皆様とともに商品開発に取り組んでいる。商品を通じて地域や素材の『ファン』を増やし、生産者の方が持続的に良質な食材を作り、発展していける循環的なビジネスモデルを目指していく」とコメントしている。
【2022(令和4)年12月11日第5114号3面】

石井食品 HP
https://www.ishiifood.co.jp/

長野県漬物品評会 やまへい、キョウショクが大臣賞

やまへいの塩川社長(左)、キョウショクの森泉社長
浅漬、本漬205点から
 令和4年度長野県園芸特産振興展(主催=長野県・長野県園芸特産振興展推進協議会)の第66回漬物品評会で、浅漬物の部ではやまへい(小諸市)の「匠 野沢菜漬」が、本漬物の部では、キョウショク(北佐久郡御代田町)の「本漬野沢菜漬」が農林水産大臣賞に選出された。
 表彰式は11月24日、長野市のホテル信濃路にて開催され、長野県漬物協同組合の古越三幸理事長、農林水産大臣賞を受賞したやまへいの塩川正徳社長、キョウショクの森泉高社長らが出席、各賞入賞者に表彰状が授与された。
 今年の漬物品評会には浅漬物の部104点、本漬物の部101点の計205点が出品され、浅漬物の部は東京家政大学大学院客員教授の宮尾茂雄氏ら、本漬物の部は高崎健康福祉大学農学部教授の松岡寛樹氏らが、公正かつ厳正に審査した。
 農林水産大臣賞を受賞したやまへいの塩川社長は「この度は、栄えある長野県園芸特産振興展の浅漬物部門において『匠 野沢菜漬』が農林水産大臣賞を、本漬物部門において『長芋入り野沢菜昆布』が関東農政局長賞を受賞させて頂きました。日頃よりご指導頂いている諸先生方、関係諸機関の皆様、先輩の皆様からのご支援の賜物と心より感謝しております。契約栽培農家においても、農業福祉連携として地域の作業所の方々のお手伝いを頂き高品質で安定的な栽培供給を頂いております。また、夏季野沢菜栽培農家で収穫作業へ従事頂いておりましたミャンマーからの実習生を、実習完了後内紛による帰国困難者を、人道的支援として特定活動の受け入れをさせて頂きました。社員は、生産性改善を行うため、外部より講師をお招きし講習を重ねており、工場内生産設備の更新も含め、より品質の高い安定供給に向けて努めています。この度の受賞はモチベーションの向上においても大変うれしいことです。昨年の『長芋浅漬けゆず入り』の農林水産大臣官房長賞の受賞に重ね大変嬉しく思います。これからもご指導ご鞭撻を頂戴しつつ研鑽を重ねて参ります」。
 キョウショクの森泉社長は「初めての農林水産大臣賞受賞となり従業員一同大変喜んでいます。日頃から品質の向上を目指し、会社全体で取り組んできた努力が報われ、嬉しい気持ちで一杯です。生産者の皆様をはじめ弊社を支えて頂いている関係者の方々にも心より御礼を申し上げます。今回、農水大臣賞を受賞した本漬野沢菜は弊社の看板商品として長年にわたり支持を頂いている商品です。今後もさらなる品質向上を目指し取り組んでいきたいと思います」とそれぞれ語った。

【審査所見(浅漬物の部)】
例年通り、野沢菜(浅漬)においては、優れたものが多く出品され、甲乙つけがたかった。受賞品は、色沢、形状、風味に優れ、味のバランスもとれていた。長野県の特産品であるワサビの風味を生かした製品や伝統野菜を取り入れた製品も散見され、開発意欲が感じられた。カリウムを多く含む海藻類(昆布・わかめ)を使用している製品も多く栄養バランスを考慮したものも見られた。全般的にレベルの高いものが多いと感じられた。
【審査所見(本漬物の部)】
本年度の傾向として、伝統的な野沢菜漬け、わさび漬けに良質なものが多く出品されていた。さらに、県外にはほとんど知られていない「ぼたんこしょう」など長野県らしさがある出品物があるのも例年にない特徴があった。原料野菜と調味素材の品質がよく、例年と比べると高いレベルでの審査となったことが印象的である。中でも野沢菜と酒粕の良さが目立っていた。また調味においては、塩分の控え方、そしてアクセントとしての辛味の生かし方のバランスが良いと感じられた。

※第66回漬物品評会の入賞者名簿は →こちらから

【2022(令和4)年12月1日第5113号1面】
受賞者で記念写真
令和4年度長野県園芸特産振興展表彰式

令和4年勲章伝達式 マルハチ会長の阿部武敏氏 旭日単光章受章の栄

右から戸邉局長、阿部会長、美佐子令夫人
前列右から戸邉局長、阿部会長、美佐子令夫人、後列右から阿部社長、阿部副会長、阿部専務
戸邉局長より勲記が授与される
社業を通して地域発展に貢献
東北経済産業局は15日、宮城県仙台市の仙台合同庁舎にて令和4年秋の勲章伝達式を開催。旭日単光章を受章した株式会社マルハチ取締役会長の阿部武敏氏は、東北産業局の戸邉千広局長より勲記と勲章が授与された。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、個別対応となった伝達式には美佐子令夫人、阿部武秀社長、阿部敏明副会長、阿部光明専務も出席し、受章の栄誉を祝った。1977年(昭和52)9月に三代目社長に就任し、社業を通して地域発展に貢献してきた阿部会長に慶びの言葉を聞いた。        
(千葉友寛)
   ◇   ◇
 ‐受章の感想を。
 「まさか自分が勲章を受章するとは考えたこともなかった。私はただ一生懸命良い会社にしたいと思い、一心不乱に頑張ってきただけ。二代目社長の父が55歳の若さで突然、亡くなった時は途方にくれたが、三人の兄弟が力を合わせ、社員も必死になって頑張ってくれた。それだけに今回の受章は私だけでなくマルハチ全体にいただいたものと大変ありがたく思っている」
 ‐社業発展に尽力してきたことが地域貢献につながった。
 「地域未来牽引企業に選定された通り、結果的に社業を発展させることで雇用を生み、地域産業の活性化につながった。特に地元の農家さんには二人三脚で歩んでいただき、協力に感謝している。2015年に創業100周年を迎え、2016年には、契約栽培による農業振興、新商品開発に重点をおいた全国への販路拡大など、地元経済への貢献を認められて農林水産大臣賞(第38回食品産業優良企業等表彰食品産業部門の農商工連携推進タイプ)を受賞した。これまでの取組が評価されて大変嬉しく思っている」
 経営の基本的な考え方は。
ー経営の基本的な考え方は 「地元で採れる農産物を加工して全国に販売し、そして地元に還元する。これは二代目社長阿部武廣の口癖だった。志し半ばで急逝したが私はその遺志を継いできた。そのためには誰でも作れる商品ではなくマルハチしか作れない独自の商品開発が必須であると考え研究開発部門を置いた。また地元の農家さんの育成にも力を入れ、栽培技術指導員を置き農家さんの所得増大を目標にしてきた」
 ‐ 会社作りの目標は。
 「小さくてもキラリと光る会社を目指している。規模の大小ではなく、独自の企業文化を持ち、商品の開発力があり、社員がイキイキと活力を持って働いている、そして地域の人から尊敬される会社を目指してきた。それを周囲の方が評価してくれた、ということだと思っている」
 ‐次の世代に向けて。
 「次の世代をいかに育てるか、ということを考えてきた。企業は人で成り立っている。各部門の中心となる人材を10年から20年をかけて育ててきた。お金を遺しても使ってしまえば終わり。どんな環境になっても不測の事態が発生しても、切り抜けられるように人を育てることが重要で、後継者はもちろん、後継者を支える人を10年、20年かけて育ててきた。私が28歳の時に父が脳溢血で亡くなり、28歳で社長に就任することになった。当時の会社は赤字で、主力の沢庵は過当競争で売れば売るほど赤字という時代だった。父が遺してくれたのは私を含めた三兄弟と社員。その頃私たち三兄弟は同居していたので夕食が済むといつの間にか仕事の話になり、毎晩その日の反省に熱がこもり、夜が白み始めてから寝るような日々が続いた。何があっても環境に適応できる人材がいれば生き残ることができるはずだ。人材こそがこれからの更なる発展の礎となってくれると信じている」
【2022(令和4)年11月21日第5112号10面】

令和4年度長野県園芸特産振興展 第66回漬物品評会を開催

やまへいの「匠 野沢菜漬」
キョウショクの「本漬野沢菜」
やまへい・キョウショクが農水大臣賞
 令和4年度長野県園芸特産振興展(主催=長野県・長野県園芸特産振興展推進協議会)の第66回漬物品評会が10月20日、長野県工業技術総合センターにて開催された。
 その結果、浅漬物の部ではやまへい(小諸市)の「匠 野沢菜漬」が農林水産大臣賞に選出。本漬物の部では、キョウショク(北佐久郡御代田町)の「本漬野沢菜」が、同じく農林水産大臣賞に選出された。
 また大臣官房長賞には、就一郎漬本舗(安曇野市)の「本漬野沢菜」と、マル井(安曇野市)の「あらぎりわさび」が受賞。関東農政局長賞にはサトウ(松本市)の「こだわりキムチ」と、やまへい(小諸市)の「ながいも入り野沢菜昆布」が受賞した(受賞作品一覧参照)。
 表彰式は24日、長野市のホテル信濃路にて開催される予定となっている。
【2022(令和4)年11月21日第5112号10面】

長野県(農政部)HP

令和4年秋の叙勲・褒章 本紙関連で小西氏、阿部氏、井内氏受章

小西氏
阿部氏
井内氏
元日本酒造組合中央会副会長の小西新右衛門氏 旭日小綬章
株式会社マルハチ会長の阿部武敏氏 旭日単光章
全国塩元売協会副会長の井内正樹氏 黄綬褒章

政府は11月3日付けで令和4年秋の叙勲・褒章受章者を発表した。本紙関連では、元日本酒造組合中央会副会長の小西新右衛門氏が旭日小綬章、株式会社マルハチ会長の阿部武敏氏が旭日単光章、全国塩元売協会副会長の井内正樹氏が黄綬褒章を受章した。
 小西氏は1952年(昭和27)5月22日生まれ。昭和50年3月甲南大学経営学部卒業、同年4月小西酒造株式会社入社、昭和55年6月同社取締役就任、平成3年6月同社代表取締役社長就任、平成4年5月白雪食品株式会社代表取締役社長就任。
 伊丹酒造組合理事長、兵庫県酒造組合連合会会長、日本酒造組合中央会理事、同中央会近畿支部長を歴任。平成28年から日本酒造組合中央会副会長を務め、現在は小西酒造と白雪食品で代表取締役社長、伊丹商工会議所会頭、兵庫県公安委員会委員長の役職も兼任する。
 平成27年には藍綬褒章を受章し、平成30年にはベルギー王国王冠勲章 コマンド‐ル賞を受章した。日本酒業界への貢献と、地元での様々な貢献活動が評価され、この度受章の栄誉に浴した。小西氏は「今までご指導いただいた皆様に感謝し、微力ながら今後とも酒類業界の発展に努力いたします」とコメントした。
 阿部氏は1949年(昭和24)9月2日生まれ、昭和47年3月高崎経済大学経済学部卒業、同年4月株式会社マルハチに入社。昭和52年9月代表取締役就任(三代目社長)、平成20年5月取締役会長就任。
 昭和62年5月から平成21年5月まで山形県漬物協同組合の理事を務め、平成5年5月から平成9年5月まで副理事長を務めた。また、平成20年5月から平成26年5月まで庄内町商工会長、平成20年5月から現在まで庄内町観光協会会長を務め、地域の発展にも尽力している。
 阿部氏は社長就任直後に研究開発室を開設し、「雪ん娘」、「りんご茄子」、「まるっこ」、「若もぎ小茄子」、「山形のだし」など次々とヒット商品を世に送り出すとともに、品評会等において数々の賞を受賞した。
 庄内地域を中心に約300軒の契約農家に対する栽培指導体制を構築。高品質の野菜を安定的に製品化し、同社の販売額を拡大するとともに、農家の経営の安定化や担い手の確保にも貢献。平成16年には埼玉県に東京工場を開設し、同社の製品が東北地域以外の消費者にも広く受け入れられることとなった。
 このような取組の結果、社長退任直前の売上高が就任前との比較で20倍を超える規模まで拡大するとともに、地域における雇用の拡大や農産物を加工し、広域に販売する事業内容等が地域に裨益する波及効果が認められ、平成30年に地域未来牽引企業に選定された。
井内氏は黄綬褒章
 井内氏は1947年(昭和22)12月7日生まれ(満74歳)。現在、道北塩業株式会社(北海道旭川市)社長。30年以上にわたり塩元売業に従事してきた。
 平成21年から北海道塩元売協会の会長を務め、平成29年6月に全国塩元売協会の副会長に就任。現在に至る。長年にわたり元売業界の塩の安定供給や業界活性化等に尽力された功績が評価され、今回、黄綬褒章を受章した。
【2022(令和4)年11月11日第5111号1面】

サントリー文化財団 霞ヶ浦帆引き船保存活動が「サントリー地域文化賞」

戸田氏(左から二人目)、鷲田清一氏(サントリー文化財団副理事長、左から3人目)と第43回受賞者代表者
霞ヶ浦の帆引き船
 サントリー地域文化賞(主催:サントリー文化財団)の贈呈式が10月14日、大阪市のリーガロイヤルホテルで開催された。贈呈式はコロナ禍により3年ぶりの開催となり、2020年度以降に受賞した16団体が出席した。
 2021年度(第43回)に受賞した茨城県の「霞ヶ浦の帆引き船・帆引き網漁法の保存活動」の代表者として株式会社出羽屋社長の戸田廣氏が出席、代表者挨拶で保存活動の意義をアピールした。
 サントリー地域文化賞は、地域の文化向上と活性化に貢献した個人や団体に贈られる賞。「帆引船・帆引網漁法」を保存・伝承するため、戸田氏が会長を務める「霞ヶ浦帆引き船・帆引き網漁法保存会」を始めとした3つの保存会が中心となって、観光船の運航、後継者育成、フォトコンテスト等のPR活動、船や漁具の調査・記録など幅広い活動を行っている点が高く評価された。
 帆引網漁法は、明治時代、霞ヶ浦湖岸の坂村(現かすみがうら市)の住民によって発明された。帆桁と漁網を綱で直結し、帆が受ける風力と漁網にかかる水圧と船の自重でバランスをとりながら航行して漁をする世界にも類を見ない漁法。風力を利用して少人数で操業できることから地元漁師の間に広く浸透し、霞ヶ浦のワカサギ漁・シラウオ漁が発展する重要なきっかけとなった。
 最盛期には900艘を超える帆引船が操業していたと言われており、風をはらんだ大きな帆がいくつも湖面に並ぶ様子は、明治から昭和にかけて霞ヶ浦を代表する風景だった。
 1960年代後半、エンジンを積んだトロール船の台頭によって帆引船は姿を消したが、1970年代には慣れ親しんだ風景の消失を惜しむ声に応えて観光帆引船として復活。毎年夏から初冬にかけて行われる観光帆引船の定期操業は霞ヶ浦の風物詩として地域住民に広く愛されており、その美しい姿と風景は筑波山と並ぶ地域のシンボルとなっている。
 霞ヶ浦帆引き船・帆引き網漁法保存会の戸田会長は、「23年前に帆引き船が記憶から消えてしまうという危機感を憶え、個人的な活動として保存会を育ててきた。設立当初から今まで、全てボランティアで運営されている会。お金がなかったからこそ奉仕の気持ちが生まれ、質の高い活動につながっている。お金では買えないものを皆様から頂き本当に感謝している。100年後に今以上の帆引き船が残るよう活動を続けていきたい」と感慨深げにコメントした。
 受賞を記念して「土浦観光帆曳船特別操業」(主催:土浦帆曳船保存会)が11月19日と26日の2日間実施される予定となっている。
【2022(令和4)年11月11日第5111号14面】

出羽屋 HP

<茨城県水産製品品評会> 原田水産「白魚黄金釜揚げ」が農林水産大臣賞

農林水産大臣賞を受賞した原田水産「白魚黄金釜揚げ」
厳正な審査が行われた
安部、コモリ食品は水産庁長官賞
 全般に複数製品組み合わせも増加
 茨城県水産物開発普及協会は10月26日、「令和4年度茨城県水産製品品評会」を茨城県水戸市の「すいさん会館」で開催した。
 この品評会は県内の水産加工品業者の生産及び技術改善意欲を増進し、茨城県水産加工業者の発展と水産製品の向上を図ることを目的として開催されており、長年にわたり続く伝統ある催しとなっている。
 今年は霞ヶ浦北浦部門として250点、沿海部門として117点、昨年と同数の合計367点が出品され厳正に審査された。
 霞ヶ浦北浦部門の最高賞である農林水産大臣賞は、有限会社原田水産(霞ヶ浦支部)の「白魚黄金釜揚げ」が受賞。
 水産庁長官賞には、株式会社安部(かすみがうら市支部)の「わかさぎ白焼甘露煮」と、コモリ食品(北浦支部)の「鯉こく(2人前)」の2品が受賞した。
 出品規程は県内で生産され、通常市販されている水産製品で、審査には県の担当者、水産加工業者の団体代表者があたった。審査基準は日本農林規格並びに農林水産祭表彰要領の7審査基準を準用し、製品の形態、色沢、香気、乾燥度、その他の品質について採点し、100点満点として総合点数をつけた。農林水産大臣賞の選考にあたっては、前記総合点数の評価以外に、同種の製品も常に優れていることが基準となっている。
 翌27日に茨城県農林水産部次長兼漁政課長の青木雅志審査員長から今年度の審査結果及び講評、特徴について発表が行われた。
 全般的な特徴としては、「昔ながらの伝統ある製品に加えて、少量ずつパックされたもの、複数の製品を組み合わせたものといった気軽に水産物を楽しめる製品や、これまでにない特徴を持った目新しさのある製品が見受けられた」と説明。
 霞ヶ浦北浦部門の特徴については「ワカサギやシラウオ、エビ等の霞ヶ浦北浦産の水産物を原料とした伝統的な佃煮が多く見られる中、今年の漁模様を反映して、水揚げの多いシラウオを原料とした製品が目立った他、新しい加工技術の開発に取り組んでいる商品も見られた。また、主要魚種の資源減少などを起因とし、複数の原料を組み合わせた製品を考案するなど、原料の確保にも工夫を凝らした製品が見受けられた」と各社の取組を評価した。

原田水産の独自技術を評価
 農林水産大臣賞を受賞した原田水産の「白魚黄金釜揚げ」については「霞ヶ浦のシラウオの中から特に鮮度の良い素材を厳選し、独自に開発した特殊な技術を用いて茹で上げることで、シラウオとしては珍しい『釜揚げ』に仕立て、素材の旨味としっとりした食感を最大限に引き出し、煮くずれなく形良く仕上げられている。また、最も良い状態で真空包装することで、長期の冷凍保存を可能とし、消費者がいつでも一番おいしい状態で食べられるよう工夫されている点が高く評価された」と説明した。
 まとめとして「受賞製品に代表されるように、本年度も多数の優れた製品が出品された。来年度の品評会も消費者のニーズを的確にとらえた新たな製品が多数出品されることを期待する。県としてはあらゆる機会をとらえて受賞製品など本県水産加工品をPRし、本県水産加工品の消費拡大に努めていく」とした。
 沿海部門での農林水産大臣賞は、小松水産(日立市)の「本気のしらす60g」が受賞した。各賞受賞者の表彰式は、12月9日に水戸プラザホテルで開催される予定。
【2022(令和4)年11月1日第5110号1、2面】

安部「わかさぎ白焼甘露煮」
コモリ食品「鯉こく(2人前)」

厚生労働省・日本食品衛生協会 令和4年度食品衛生功労者・優良施設表彰

菊池食品工業の菊池会長
西友本店の阪田社長
大西食品の細谷社長
福利物産の福島社長
鹿児島くみあい食品の貝﨑専務
表彰式の会場
本紙関連1名、6社が表彰の栄
 令和4年度食品衛生功労者・食品衛生優良施設表彰式(主催‥厚生労働省、公益社団法人日本食品衛生協会)が17日、明治座(東京・日本橋)で執り行われた。厚生労働大臣表彰之部の食品衛生優良施設として、菊池食品工業株式会社埼玉工場(埼玉県)、株式会社小林つくだ煮(愛知県)、西友本店(西友商店株式会社、滋賀県)、大西食品株式会社(香川県)の4社が表彰を受けた。日本食品衛生協会会長表彰之部では、食品衛生功労者として福島光宏氏(福利物産株式会社社長・広島県)、食品衛生優良施設として、フジッコ株式会社浜坂工場(兵庫県)、鹿児島くみあい食品株式会社加世田工場の2社が表彰の栄に浴した。
 午前10時から行われた令和4年度食品衛生功労者・食品衛生優良施設表彰式では、各受賞者の氏名・施設名が映像で紹介され、選考経過報告、表彰状授与、受賞者代表謝辞と進行した。
 今年度は、厚生労働大臣表彰で功労者193名、優良施設78施設、日本食品衛生協会会長表彰で功労者337名、優良施設170施設が受賞。また、食品衛生行政担当者187名に、食品衛生協会会長感謝状が贈られた。
 厚生労働大臣表彰で優良施設表彰を受けた菊池食品工業の菊池光晃社長は、「日頃の努力が報われ、大変嬉しく思っている。今後も衛生管理に一層力を入れ、取り組んでいきたい」とコメントした。
 小林つくだ煮の小林利生社長は、「このような表彰を頂いたことに感謝申し上げる。安全安心へのニーズが高まる中、衛生管理をこれまで以上に徹底していきたい」と語った。
 西友本店の阪田嘉仁社長は「うなぎ・川魚専門店として飲食店や佃煮の販売を営んできた。お客様に満足していただく一番の基本は、清潔な環境で安全な品を提供すること。それを守って初めて美味しさを評価していただけると考えている。今回受賞したことは光栄だが、これに油断せず、改善に取り組み続けていきたい」とコメントした。
 大西食品の細谷誠社長は、「優良施設で表彰を受けたが、大事なのは従業員の対応。HACCPの手順はそれまで実践していたことと合致していて、やってきたことが間違いではなかったと実感した」と述べた。
 食品衛生功労者表彰を受けた福島光宏氏は、「長年やってきたことが、多くの方の支えもあってご評価いただき、嬉しく思う。ハード面だけでなく一番大切な心の部分に気を配り、これからも食品の安全安心に努めていきたい」と語った。
 優良施設の受賞を受けたフジッコ浜坂工場の高島俊信工場長は、「当工場は約50年の歴史を持ち、とろろ昆布をはじめ職人の手で作る品目が多い。その分、毎月行う“5Sパトロール”や、日々の改善提案を促すなどによって従業者全員が高い衛生意識を保つことが出来ている。これからも、安全安心な商品をお届けできるよう努めていきたい」と述べた。
 鹿児島くみあい食品の貝﨑勉専務は、「加世田工場はサツマイモの加工を行っており、現在まん延している病害の危険があるため、選別を強化している。今、サツマイモはブームとなっているので、農家や焼酎メーカーなどと一体となって、良いものを作れるよう取り組んでいきたい」と語っている。
【2022(令和4)年10月26日第5109号2面】

フジッコ 「クロノケア®」銅賞

授賞式の様子(㊧フジッコイノベーションセンター丸山健太郎センター長)
WFA食品素材部門で評価
 フジッコ株式会社が独自に開発した機能性食品素材の黒大豆ポリフェノール「クロノケア®」が、7月29日に開催された「ウェルネスフードアワード2022」の食品素材部門において銅賞を受賞した。
 今年で5回目の開催となる「ウェルネスフードアワード(WFA)」は、人々のQOLを向上する食品・食品素材にフォーカスした食品アワードで、応募数は100品を超える規模になる。
 販売されている食品を対象に、美味しさ、機能性、話題性、手軽さの4つの観点を中心に、社会貢献性、将来性、安全性、エビデンス、効果、ストーリー性、独自性、美味しさ、価格、地域性、ビジュアルなどの項目から総合評価で審査される。
 今回受賞した「クロノケア® 」はフジッコが独自開発した、黒大豆の種皮より抽出・精製した機能性食品素材(黒大豆ポリフェノールを約60%含有)である。
 ヒトでの臨床試験により「クロノケア® 」は、「血管をしなやかさに維持する作用」および「疲労感の軽減作用」を持つことを確認しており、2つのヘルスクレームによる機能性表示食品の届出が受理されている。
 血管に関する疾患は世界的に増えており、WHO によると2019年の死因の32%が心血管疾患だった。また、疲れている人の割合も年々増加しており、現在では80%の人は疲労を感じているとの調査報告がある。血管障害は疲労により誘発され、疲労と心血管疾患発生は関連するという報告もある。「クロノケア® 」は、血管、疲労の両方にアプローチして改善することで、こうした人々のQOLの向上に貢献できると考えられている。
 フジッコでは「昆布と豆で世界を救う」というミッションに取り組んでおり、この度の受賞をきっかけに、「クロノケア® 」のさらなる機能性研究や商品展開に努めていくとしている。
【2022(令和4)年8月21日第5103号3面】

近清剛氏の功績を称える 旭日小綬章受章記念式典・祝賀会

 令和4年春の叙勲で旭日小綬章を受章した全日本漬物協同組合連合会前会長で、株式会社三奥屋(山形県東置賜郡高畠町)社長の近清剛氏の受章記念式典並びに祝賀会が7月23日、山形県山形市のホテルメトロポリタン山形で開催された。
 山形県知事の吉村美栄子氏をはじめ参議院議員の舟山康江氏、芳賀道也氏、山形銀行取締役頭取の長谷川吉茂氏、高畠町長の髙梨忠博氏、全漬連会長の野﨑伸一氏ら県行政トップ、議員、漬物業界関係者ら約100名が近氏の功績と令夫人の内助の功を称え、受章を祝った。
 近氏は2013年に全漬連会長に就任し、卓越したリーダーシップを発揮して初年度に漬物製造管理士・技能評価試験を実施。漬物製造技術や技能、衛生管理レベルの向上に寄与する事業の礎を築き、現在までに約1500人の合格者を輩出した。
 漬物の普及、発展に尽力し、業界の社会的地位向上に大きく貢献した近氏の受章は漬物業界の慶事であり、数年後、数十年後にも語り継がれる功績として記憶と共に歴史に刻まれる。
【2022(令和4)年8月1日第5101号1,9面】
野﨑伸一氏
秋本大典氏
泰地武氏
皆川昭弘氏
前田節明氏
宮尾茂雄氏
真野康彦氏
小林登氏
鈴木尚彦副理事長
佐藤裕宣副理事長
渡辺勉専務理事
安房毅氏
奥山誠治氏
吉川秀貴氏
佐藤俊氏
遠藤利明衆議院議員秘書の月野薫氏
 漬物業界も人手不足が顕在化しており、原料の確保、生産量の維持は大きな課題となっている。そのような問題を解決すべく、全漬連では外国人技能実習制度を構築し、2018年11月には漬物振興議員連盟(森山裕会長)の後押しもあって農産物漬物製造業が新たに2号移行対象職種に追加。全漬連が農産物漬物製造業技能実習評価試験実施機関に認定された。これにより最長3年の外国人技能実習生受け入れが可能となった。
 これらの事業は全漬連が2013年から実施している漬物製造管理士技能評価制度が全ての土台となっており、その礎を築いたのが当時、全漬連会長として同制度の立ち上げに心血を注いだ近氏。全漬連常任顧問の宮尾茂雄氏が「漬物製造管理士技能評価試験の立ち上げは漬物産業史上のエポックメイキングだ」と話すように漬物業界の経済的・社会的地位の向上につながる大きな一歩だった。
 全漬連HP(https://www.tsukemono-japan.org/tmqp/20131220-2.pdf)の同制度説明文の文末には近氏の名前が記されている。近氏はこの度、晴れて旭日小綬章の栄に浴したが、その数々の功績はこれまでも高く評価されており、この技能評価制度の導入は漬物業界の正に金字塔、エポックメイキングな事業として永く後世に語り継がれることだろう。
 第1部の記念式典は、フリーアナウンサーの佐藤博子氏の司会進行で、山形県漬物協同組合の渡辺勉専務理事の開会挨拶で幕開け。発起人代表挨拶に立った野﨑会長は、「全漬連会長をはじめとして、数多くの団体等の要職を歴任されました株式会社三奥屋社長の近様が令和4年春の叙勲において旭日小綬章の栄誉に浴されましたことは、ご本人の感激はもとより、奥様をはじめとしたご家族一同様にとっても、この上ないお慶びであろうと推察するところであります。もちろん、私共漬物業界にとりましても、この上ない慶びであり、全国団体を代表して心からの敬意と祝辞を申し上げます」と業界を代表してお祝いの言葉を贈った。
 続いて山形県知事の吉村美栄子氏、参議院議員の舟山康江氏、芳賀道也氏、山形銀行取締役頭取の長谷川吉茂氏、高畠町長の髙梨忠博氏が来賓祝辞を述べ、平成22年より山形県漬物協同組合の名誉会長を務めている吉村氏は、「近様は山形県漬物協同組合理事長として長年、県産野菜の利用拡大を進められるとともに伝統野菜を使用した商品開発や契約栽培を推進してこられました。特に県内各地の伝統野菜を原料とした漬物の地域食品ブランド表示基準制度において、『本場の本物』の認証取得に尽力し、山形漬物のブランド向上と伝統野菜の知名度向上に貢献されました。この度のご受章の栄誉はこうした功績をはじめ、山形県食品産業協議会会長として山形県の食品産業発展にご尽力いただくなど、これまでの広範な功績によるものであり、長年にわたる取組に対しまして心から敬意と感謝の意を表する次第です」と山形県においても大きな功績があったことを紹介した。
 舟山氏は、「近様におかれましては、漬物の振興をはじめ、地域及び業界全体の発展に向けて大きく貢献されたことが評価され、この度の受章につながったものと心よりお慶び申し上げます。近様は漬物業のみならず、高畠町、観光物産、中小企業団体など、多くの要職を歴任され、様々な賞を受賞されています。まさに地域の要としてこれからもご活躍していただきたいと思っております」と地域及び業界発展への功績が評価されたことを強調した。
 芳賀氏は、「近様は業界の地位向上、地域の食文化を守ること、県のリーダーとして、全国のリーダーとして、また業界だけではなく、中小企業を元気にするリーダーとして活躍されてきました。山形の食文化、日本の食文化を大切にしながら地域を元気にしていくために今後も近様と協力し、次の世代につなげていきたいと考えております」と今後も近氏と協力して山形の食文化を次世代に継承していく意向を示した。
 長谷川氏は、「近様は三奥屋の社長に就任されてから自社製品のブランド向上のため、毎年コンクールや品評会に積極的に商品を出品し、農林水産大臣賞をはじめ数多くの賞を受賞されました。近様の漬物に対する飽くなき情熱と卓越した技術が評価されたものと思います。その情熱と技術は常務の聡子様に引き継がれ、新たな伝統を築いていかれるものと期待しております」と伝統を受け継ぐ次の世代にも期待を寄せた。
 髙梨氏は、「今年の4月24日に高畠町長に就任したばかりで新米の町長です。今回の選挙に際しては近様に後援会長を務めていただき、当選させていただくことができました。私は近様と同い年で、昭和50年からお付き合いさせていただいております。この度の叙勲の背景には三奥屋様の実績はもちろん、町の加工業界を引っ張ってくださった功績の賜物であると存じます」と近氏との思い出話を披露し、受章を祝福した。
 記念品贈呈に移り、山形県漬物協同組合の本間光廣顧問より記念品が贈呈。花束贈呈では長女の京子さんと三奥屋常務の次女の聡子さんより花束が贈呈された。
 受章者謝辞で近氏は、「本日は多くの方に出席していただき、心から厚く御礼を申し上げます。また、皆様から心温まるお言葉をいただき、さらに身が引き締まる思いです。私は山形の風土が好きで、山形の食には誇りを持っています。雪国には味わい深い食がたくさんあります。その中でも漬物は食を味わい深くしてくれるものです。そのような山形の食に力を込めながら、価値付けしていくための取組を行っていきたいと思います。決して大それたことを考えているわけではありませんが、女房、家族、社員とともにこれからも頑張っていきたいと思います。この度は皆様の支えとご協力があって大変栄誉ある勲章をいただくことができました。心より厚く御礼を申し上げます」と感謝の言葉を述べた。
 山形県漬物協同組合の佐藤裕宣副理事長の閉会挨拶にて終了となった。
 第2部は渡辺専務理事の開会挨拶に続いて発起人代表として全漬連専務理事の真野康彦氏が挨拶を行い、「本日はたくさんの方にお越しいただき、ありがとうございます。また、本日の祝う会を開催するにあたり、企画、準備等を行っていただいた山形県漬物協同組合の皆様に心より感謝を申し上げます。近様の叙勲を申請するにあたり、私が農林水産省への窓口を担当させていただきました。関係書類を作成する中で近様のご功績の偉大さに改めて敬服しています」とその功績を称えた。
 来賓祝辞では衆議院議員の遠藤利明氏(秘書の月野薫氏代読)、山形県議会議員の奥山誠治氏、山形県中小企業団体中央会会長の安房毅氏、東京家政大学大学院客員教授の宮尾茂雄氏がそれぞれの立場、近氏との関係からお祝いの言葉を述べ、月野氏は「山形の食文化の豊かさを熟知し、漬物と健康の関係を追及され、若者をはじめとする現代人に品質の高い魅力ある商品を提供していただいており、その努力に心より敬意を表します」と地域貢献にも多大な功績があったことを強調した。
 奥山氏は、「漬物の消費量が減少している中、近理事長は漬物とチョコレートを組み合わせた『たくあんチョコレート』というすごい商品を開発され、見事に農林水産大臣賞を受賞されました。漬物は西の京都、東の山形と評されておりますが、近様がご尽力された成果で、漬物組合の皆様も努力を重ねて漬物王国の座を築かれたものだと思います」と商品作りにおいて伝統と革新を融合させた取組を称賛した。
 安房氏は、「近様は温厚で、誠実で、人情味溢れる方です。地域愛や郷土愛もお持ちで、地域の方々との交流も大切にされています。また、漬物や食品の分野を超えて幅広いつながりをお持ちで、地域や企業の連携を推進されている姿には感銘を受けています。近様には本年6月まで長期間にわたり中小企業団体中央会の副会長を務めていただき、お力添えをいただきました。改めて感謝を申し上げます」と人を惹きつける人柄を讃えた。
 宮尾氏は、「近さんとは大きな接点が2つあり、一つは4年に一度開催される品評会の審査員として参加させていただいています。山形の漬物はとてもカラフルなので来年も楽しみです。また、近さんには漬物研究同志会という故小川敏男先生が昭和56年に作った会の会長を務めていただいています。同志会は年4回程度の研修を実施し、約40社が加盟しています。近さんにはリーダーシップを発揮していただき、数年前に女性の経営者や技術者を中心とする女子会を作って活動し、漬物業界の発展に少なからず貢献しています。余力があれば今後も漬物産業のためにもう一肌も二肌も脱いでいただければありがたいと思っています」と更なる活躍を期待した。
 祝電披露に続き、前田食品工業有限会社代表取締役会長の前田節明氏による乾杯発声で開宴。祝宴では日頃から近氏と親しい間柄にある東京中央漬物株式会社代表取締役会長の皆川昭弘氏、株式会社ウメタ代表取締役会長の泰地武氏、漬物研究同志会事務局長の小林登氏、有限会社マルヤ代表取締役会長の佐藤俊氏が近氏とのエピソードや思い出話を披露し、会場を盛り上げた。
 近氏の功績を祝う席も終盤を迎え、全漬連副会長でもある秋本食品株式会社代表取締役社長の秋本大典氏による万歳三唱、池田機械工業株式会社代表取締役社長の吉川秀貴氏による中締め、山形県漬物協同組合副理事長の鈴木尚彦氏による閉会挨拶にて終了となった。

【近清剛氏略歴】
 近清剛(こんせいごう)、昭和24年1月22日生まれ、山形県出身。昭和46年3月、立正大学経済学部経済学科卒業。同年7月、秋本食品工業株式会社(現秋本食品)入社。昭和48年4月、三奥屋入社。昭和55年6月、常務取締役就任。昭和62年6月、専務取締役就任。平成2年6月、代表取締役社長就任(現任)。業界団体では平成3年5月、山形県漬物協同組合理事。平成6年5月、同副理事長。平成13年5月、理事長(現任)。平成13年5月、全日本漬物協同組合連合会理事。平成15年5月、同副会長。平成25年5月、同会長。平成29年5月、常務理事(現任)。
 平成元年5月、高畠町商工会理事。平成5年5月、高畠町観光協会副会長。平成11年5月、高畠町観光協会会長。平成14年5月、山形県中小企業団体中央会理事。平成15年5月、山形県観光土産品公正取引協議会副会長。平成16年5月、山形県観光物産協会副会長。平成24年5月、山形県中小企業団体中央会副会長。平成29年5月、山形県食品産業協議会会長。
 【受賞歴】
 昭和62年11月、山形県知事表彰(山形県産業賞)。昭和62年11月、農林水産省食品流通局長表彰(食品産業振興発展功労)、平成元年11月、山形県中小企業団体中央会会長表彰(功労賞)。平成9年11月、全国商工会連合会会長表彰(地域の振興発展に寄与)。平成16年10月、山形県知事賞(観光物産振興功労)。平成18年10月、全国中小企業団体中央会会長表彰(中小企業団体の育成強化)。平成21年10月、中小企業庁長官表彰(中小企業振興功労)。平成23年3月、農林水産大臣表彰(農林水産業との連携に尽力)。平成24年11月、高畠町長表彰(観光及び商工振興功労)。平成26年11月、農林水産大臣表彰(農林水産関連中小企業の振興に寄与)。令和3年11月、大高根農場記念山形県農業賞
【2022(令和4)年8月1日第5101号1,9面】

関西漬物協会 70周年記念式典

妙心寺 微妙殿で記念撮影

平井会長

㊧から髙嶋氏、松下氏、河島氏、平井会長
妙心寺で過去と未来思う
 関西漬物協会(平井達雄会長)の第70期総会並びに創立70周年記念事業が5日に執り行われた。会場は京都市右京区にある日本最大の禅寺で、臨済宗大本山の妙心寺。また記念講演会では「沢庵寺」として知られる円覚山宗鏡寺住職の小原游堂師が「沢庵和尚のつたえた漬物」、京都府立大学の上田純一名誉教授が「歴史の中の漬物」の題目でそれぞれ講演した。さらに懇親会では妙心寺大法院を舞台に、宮川町「いし初」の芸妓による舞を鑑賞した。日本の文化を育んできた京都の地で、漬物が歩んできた道と目指す未来を語り合う1日となった。
 記念式典の開会を森義治副会長が宣言すると、はじめに物故者へ黙祷が捧げられた。
 挨拶に立った平井会長は「先輩方の有形無形の努力が今を作り、当協会は70年を迎えることができていることに心から感謝しなければいけない。私たちは漬物という日本の伝統食品を扱っている。物事を語る時には常に悲観論と楽観論の両方が出てくる。私たちは漬物に関する快い話題は慎重に、しかししっかりと伝えていきたい。悲観論に対してはただ受け入れるのでなく、その向こうにある解決策や可能性を見出していかなければならない。漬物を活性化し、生活に調和する新たな創造の道、漬物にとって最善の道を歩もうとする同業者たちがこうして一堂に会し、志を確かめ合えることが協会の一番の存在意義ではないか」と話し、協会の在り方を示した。
 続いて来賓の近畿農政局の大坪正人局長と全日本漬物協同組合連合会の野﨑伸一会長が祝辞を述べた。
 大坪局長は「2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録された理由の一つに、自然を尊重するという日本の精神性が和食によく表れている点がある。中でも漬物は地域の特産物として、文化、雇用、経済を形成してきた重要な存在だと考えている。漬物の魅力をどう発信していくか、我々にとっても重要な課題だ。農水省では近年、動画サイトでの発信を行っているが、今日を機にコラボ企画などができないかと考えている」と漬物業界への協力に強い意欲を示した。
 野﨑会長は「関西漬協は親睦と融和をモットーに、近畿から中四国まで2府16県が漬物のPRや情報共有の活性化に取り組んでこられた。一方でここ10年間、度重なる自然災害や農業人口の高齢化と減少、そして現在も収まらぬコロナや物価高騰などで厳しい商環境となっている。しかしこういう時だからこそ、私たち業界団体は状況を精査し事業を推進していかねばならない。関西漬協が培ったノウハウを、全漬連でも発揮し、業界をリードしてほしい」と功績を称えるとともに、業界のリーダーとしての活躍へ期待を寄せた。
 次に、歴代会長への感謝状授与が行われた。第10代会長の松下正雄氏、第11代会長の髙嶋良平氏、第12代会長の河島歳明氏が登壇し、平井会長から感謝状を受け取った。
 受賞者代表として髙嶋氏は「様々な社会変革が起こり、解決のため様々な事業活動が要請されてきた。私たちがそれを何とか実現し乗り越えてきたのは、皆様と意見を交わし、支えて頂けたから」と振り返り御礼の言葉を述べた。
 最後は林野雅史副会長が閉会挨拶に立ち「いま直面する課題解決のためには、全員が組合活動に参加し支え合っていくことが必要だ。関西漬協は本来任意団体で親睦を深めることが中心であり、実務は各県団体が担っていた。しかし近年は課題の規模が大きくなるにつれ、全漬連の協力の下、関西漬協が果たす役割も広がってきた。個人的には『漬物は関西が本場』という思いがあるが、その下地を作ったのは皆様の努力に他ならない。これを継承していかなければ行けない」とさらなる事業活発化を呼びかけて閉会した。

小原住職
小原游堂住職 「沢庵和尚のつたえた漬物」
 兵庫県豊岡市にある宗鏡寺の小原游堂住職が「沢庵和尚のつたえた漬物」をテーマに講演した。宗鏡寺は、沢庵和尚が再興した寺で、「沢庵寺」の愛称でも知られる。
 小原氏は住職としての仕事以外に、沢庵漬作りを行い、近隣の但馬農業高校の生徒や小学生が毎年、作業を手伝う。高校生には、大根の種まきから始まり、収穫した大根の干し作業を、小学生には年3回課外授業でお寺に足を運んでもらい、大根干し、漬け込み、沢庵漬の試食まで取り組んでもらう。
 小原氏は、関わる高校生と小学生に「この1本の大根と同じ大根は他にありますか。あれば探してきてください」と毎年質問を投げかけると、生徒たちは「同じ大根は見つかりません」と答えると話した。そこで小原氏は「命も同じです。普段何気なく生きているようで、みなさんの1人1人の命とまったく同じ命は他にありません。だから、授かった命を大切にしてください」と語りかける。
 そして、普段食卓に並ぶ大根1つを取っても、大根の生産者や運搬者、販売者を経由してたどり着いている。様々な人と関わり合って、日々生活を営んでいることに思いを馳せられる人になってほしいとも伝えるという。
 次に小原氏は、沢庵漬始まりの一説を話した。沢庵和尚が70代の頃、時の将軍の徳川家光と親しく、月に1回の頻度で家光の相談相手になっていた。ある時、家光から「近頃、何を食べても美味しいと感じない」と相談され、考えた沢庵は後日、朝10時に家光を寺に招待する。
 「今日はご馳走させていただく」と沢庵和尚は伝えて奥に入るが、数時間たっても一向に出てこない。15時になると、ようやく湯漬け(お茶漬)と大根の塩ぬか漬をふるまった。将軍にご馳走するにしては質素な食事だったが、空腹の家光は喜んで食べた。
 沢庵は家光に「庶民は、朝から晩まで汗水垂らして働き、このような質素な食事を楽しみながら、つつましく生活している。将軍様もぜひ民衆の生活を慮って生活なさってください」と諭した。家光は日頃の自身の食のありがたみに気づき、また出された大根の塩ぬか漬を特に気に入った。沢庵にその名前を聞いたところ、名前はないと答えたため「ならば『沢庵漬』と名付けよう」と命名したのがきっかけと言われている。
地域の子供と沢庵漬作り(写真・宗鏡寺提供)
 小原氏は、沢庵漬という名前はその後江戸で定着したものの、12代目将軍家慶の時代の天保8年の時点でも、まだ京阪までは名前が広まっていなかったと説明。その論拠として、天保8年から約30年、喜多川守貞が江戸と京阪の文化の違いについて書き続けた「守貞漫稿」を紹介し、「香の物」の欄には「塩、ぬかに乾き大根を漬けたものを江戸では沢庵漬と呼ぶ。一方、京阪では香の物または香香と呼ぶ」と記載されていると話した。
 最後に小原氏は、沢庵和尚の名言を紹介。沢庵和尚は生前、上山藩(現在の山形県)に居住していたことがある。藩主の土岐頼之の相談相手になり、多くの助言を与えた。そのうちの1つに「人にもともと上下はない。口(言論)によって上下を自由に通じられる」という言葉を残した。「言論の自由は大切なので、民衆の考えや意見に藩主は常に耳を傾ける必要がある」と語り、頼之は感銘を受けて糧にした。
 小原氏は最後に「漬物は日本人の心で、ずっと守っていってほしい宝。組合創立時の苦労に思いを馳せ、80年、100年と前を向いてぜひとも歩いてください」と締めくくった。
 最後に小原氏は、沢庵和尚の名言を紹介。沢庵和尚は生前、上山藩(現在の山形県)に居住していたことがある。藩主の土岐頼之の相談相手になり、多くの助言を与えた。そのうちの1つに「人にもともと上下はない。口(言論)によって上下を自由に通じられる」という言葉を残した。「言論の自由は大切なので、民衆の考えや意見に藩主は常に耳を傾ける必要がある」と語り、頼之は感銘を受けて糧にした。
 小原氏は最後に「漬物は日本人の心で、ずっと守っていってほしい宝。組合創立時の苦労に思いを馳せ、80年、100年と前を向いてぜひとも歩いてください」と締めくくった。
上田名誉教授
上田純一名誉教授 「歴史の中の漬物」
 小原住職の講演終了後、京都府立大学名誉教授の上田純一氏の講演に移った。テーマは「歴史の中の漬物」。
 上田氏が特に漬物の歴史で強調したのは、庶民が気軽に漬物を食べられるようになったのは、江戸時代に入ってからということ。江戸時代より前の漬物は貴重な食べ物だった。その理由は製塩技術が未熟で生産効率が低く、十分に塩の量を確保できなかったため。塩を一定量使用する漬物は贅沢品として捉えられていた。
 次に上田氏は製塩法の技術史を説明した。平安時代より前は「藻塩焼き製塩法」、平安時代以降は「揚げ浜式製塩法」で製塩してきた。「藻塩焼き製塩法」は、焼いた海藻の灰(灰塩)に海水をまぜてかん水を採った。しかし海藻を集めて焼く手間が掛かる割に製塩できる量が十分でなく、非効率な方法だった。
 平安時代から普及した「揚げ浜式製塩法」は、海面より高い場所にある塩田に海水を撒いて平坦にならし、太陽の熱と風で水分蒸発させてかん水を採った。揚げ浜式のデメリットとしては、海水を汲み上げてから人力で塩田まで運ぶのが重労働であったこと。
 江戸時代からは「入浜式製塩法」が主流となり、塩の干満の差を利用して海水を引き入れることで、塩田を湿らしてかん水を採った。揚げ浜式とは異なり、人力で海水を汲み上げる必要がなく製塩量は大幅に増加、漬物の普及を促した。
 上田氏は、漬物において江戸時代に画期的だったのは①入浜式製塩法が主流になったこと②ビタミンBの宝庫である「ぬか床」が生まれたことの2つを挙げた。江戸においてビタミン不足で脚気を患う人は一定数いたものの、ぬか漬けは野菜と米ぬかでビタミンを補給でき、脚気の予防に少なからず貢献したと語った。
 最後に上田氏は、日本史で塩にまつわる有名な逸話を紹介した。戦国時代に今川義元によって武田信玄勢は、塩の入手ルートを塞がれてしまった。その時に、信玄と本来天敵であるはずの上杉謙信が信玄勢に塩を送った話が「敵に塩を送る」という言葉の由来になった。
 上田氏は、4月にkindle限定で著書「酒・茶・漬け物の歴史」を刊行したことに触れ、ぜひ一読し、漬物の歴史をより知ったうえで仕事や生活に活用してほしいと述べて講演を終えた。
河島実行委員長が謝辞 宗鏡寺へ協力を提案
 小原師、上田教授の講演を終えて記念事業実行委員長の河島歳明相談役は「かつては贅沢品であった漬物が地域に根づき、庶民へ定着していった歴史が学べた。この永い歴史を忘れず誇りを持って作り、食べていきたい」と謝辞を送った。
 また、山形県漬物協同組合(近清剛理事長)では沢庵和尚にゆかりのある山形県上山市の春雨庵で「沢庵禅師供養祭」を40年にわたり続けていることを紹介した。
 そして「漬物のPRはまだまだ足りていない。宗鏡寺は地域の人々へ沢庵和尚の逸話や、沢庵漬について伝えてくださっている。山形漬協に習い、関西漬協でも行事への参加や協賛をしていくことが漬物の発信や食育へ繋がっていくのではないか」と提案し、講演会を終えた。

中田副会長

歴史ある京文化を体感 『関西漬協音頭』で激励も 
 記念講演を挟んで懇親会は、妙心寺の大法院に場所を移して開催。大法院は1662年、真田幸村の兄で初代松代藩主・真田信之の菩提寺として創建されたと伝わる。閑静な露地庭園で知られ、当日は楓や苔の新緑に覆われていた。
 京都漬協の富川恭裕氏による司会進行で開会すると、京都五花街の一つ、宮川町の「いし初」の芸妓による唄と舞を鑑賞した。
 中田吉昭副会長は謝辞で「有名な露地庭園を背景に舞を鑑賞し、日本や京都が育んできた永い歴史を肌で感じることが出来た。講演会では小原師、上田先生の講演をお聞きし、漬物の在りし日の姿を学ぶことが出来た。過去を学び、今日ここで皆様と漬物の未来へ向けて再出発していけることを嬉しく思う」と喜びを込めて語った。
 歓談を経て、髙嶋元会長が「関西漬協には昔から『東京には負けない』という意地と誇りがあった。だからこそ、これだけ多くの会員数を保ち元気でいられる」と話して『関西漬協音頭』を歌い上げて後輩参加者らを激励。最後は杉藤貞美副会長が閉会の辞を述べ、懇親会の幕を閉じた。
【2022(令和4)年6月26日第5097号3面】

中田食品(和歌山県)「JSH減塩推進10年アワード」受賞

おいしく減塩 はちみつ 塩分3%
おいしく減塩 しそ風味 塩分3%
おいしく減塩 うす塩味 塩分3%
特選はちみつ梅減塩 塩分3%
減塩はちみつ梅 塩分3%
減塩食品の普及に貢献
 中田食品株式会社(中田吉昭社長、和歌山県田辺市)は6月19日、日本高血圧学会、同減塩・栄養委員会が認定する「JSH減塩推進10年アワード」において、「おいしく減塩はちみつ塩分3%」などの5商品がアワードを受賞した。
 日本高血圧学会減塩・栄養委員会による、高血圧患者や減塩をしようとしている方々のための「食塩含有量の少ない食品」(JSH減塩食品リスト)の紹介が開始されてから今年の9月で10年目を迎える。
 同学会ではこの10年間を振り返り、様々な分野で減塩食品の普及に大きく貢献した企業の製品(15社34製品)が「JSH減塩推進10年アワード」として表彰。同社では、調味梅干の分野で「おいしく減塩はちみつ塩分3%」、「おいしく減塩しそ風味塩分3%」、「おいしく減塩うす塩味塩分3%」、「紀州の完熟南高梅減塩はちみつ梅塩分3%」、「紀州産完熟南高梅特選はちみつ梅減塩塩分3%」が表彰された。
 梅干し愛好者は適度の塩味を好む傾向にあり、減塩した梅干しは美味しくないとの意見が多く、市場に定着することができなかった。その中で同社は独自の減塩技術を用いて梅干しらしい味わいを残しながら塩分3%の製品を開発、自社従来品と比べ美味しさが変わらず減塩できる本製品の登場で、長年の課題であった梅干し愛好者や塩分を気にする人に支持される減塩梅干しが完成した。
 ※梅干し調味漬(日本食品標準成分表2020)に比べ塩分を50%カットしている。
 同社は、「当社は日本の伝統的な健康食である『梅干し』の減塩化に積極的に取り組んでおり、塩分が高い食材として認知されている『梅干し』が長年の取り組みによりこのような賞を頂けたことを大変嬉しく、大きな成果と感じている。当社は、これからもおいしく食べやすい減塩製品を開発、販売することで、お客様の健康と豊かな食生活に貢献できる企業を目指していく」とコメントしている。
【2022(令和4)年7月1日第5098号1面】

丸越(愛知県)「JSH減塩推進10年アワード」受賞

表彰状を受け取る野田社長㊧
塩分25%OFF羅臼昆布白菜
 株式会社丸越(野田明孝社長、愛知県名古屋市天白区)の「塩分25%OFF羅臼昆布白菜」が6月19日、日本高血圧学会及び同減塩・栄養委員会が主催する「JSH減塩推進10年アワード」を受賞した。
 同アワードは、日本高血圧学会減塩委員会(現在は減塩・栄養委員会)が2013年9月より「食塩含有量の少ない食品」をJSH減塩食品リストとして紹介し、今年9月で10年目を迎えるタイミングで、これまでの10年間を振り返り、減塩食品の普及に大きく貢献した企業・分野・製品を表彰するもの。「塩分が気になるけど、おいしい漬物が食べたい!」というニーズに対応して開発した「塩分25%OFF羅臼昆布白菜」を通じた減塩運動の貢献が評価された。
 「塩分25%OFF羅臼昆布白菜」は、白菜を少し甘口の淡口醤油で漬け込んだこだわりの白菜漬で、羅臼産の板昆布とかつお節の旨みが白菜に染みわたった逸品。塩分25%OFF(※同社「羅臼昆布白菜」対比)でもおいしい白菜漬となっている。内容量は100g単位量り売りで、店舗及びオンラインショップにて販売。
 同商品は第4回JSH減塩食品アワード(2018年)で金賞を受賞。同アワードは特定非営利活動法人日本高血圧学会の減塩委員会が「減塩化の推進に優れた成果を挙げた製品」を審査・認定するもので、日本高血圧学会減塩委員会の減塩食品リスト(食塩含有量の少ない食品の紹介)にも掲載。おいしさを維持しながら、健康志向に対応した付加価値商品として大きな関心を寄せられている。
【2022(令和4)年7月1日第5098号4面】

丸越 HP

九州漬物協会 80周年記念式典・通常総会

中園会長

80周年記念式典を開催
 九州漬物協会(中園雅治会長)は9日、「創立80周年式典・令和4年度通常総会」を佐賀県漬物工業協同組合(川原啓秀理事長、前田龍哉実行委員長)の主管により、ホテルニューオータニ佐賀(佐賀市)で開催した。本来であれば2020年6月に開催予定だった本式典及び総会は、新型コロナウイルスの蔓延によって2年連続で延期となったがようやく開催にこぎつけ、約60名が参加して盛大に行われた。記念式典では、業界功労者への表彰式が行われ、九州農政局長表彰として水溜食品(鹿児島県)の水溜政典社長を始め、全日本漬物協同組合連合会会長表彰6名、九州漬物協会会長表彰12名が表彰を受けた。通常総会では提出議案が全て滞りなく議決。衛生研修会では、佐賀県健康福祉部生活衛生課食品安全衛生担当係長の堀夏子氏が、「HACCPに沿った衛生管理について」の演題で講演。続いて行われた基調講演では、一般財団法人日本ペップトーク普及協会代表理事の岩﨑由純氏が「社員をやる気にさせられるペップトーク」について講演した。懇親会では、久々に集まった会員並びに協賛商社が相互に親睦を深めた。翌10日には記念ゴルフコンペも行われた。なお次回の通常総会は、開催順通りに福岡県が担当することが決まった。
伝統的な漬物を次の世代へ
 80周年記念式典は、大久保次郎副会長の開会の辞で開会し、物故者への黙とうを捧げた。
 開催地理事長挨拶として登壇した川原理事長は、本来なら令和2年に開催する予定だった本式典が新型コロナウイルスの影響により2年連続で延期となり、ようやく開催できたことについて関係者に感謝の言葉を述べた。
 続いて、大会プログラムの表紙に掲載した豊臣秀吉の“黄金の茶室”について触れ、「秀吉が肥前名護屋の地に大陸への出兵拠点となる城を築き、全国の諸大名たちを集めてまちを作った。当時、世界最大規模を誇り、7年間のみ存在した人口20万人を超える幻の都市だ。名護屋城に着任した秀吉はこの黄金の茶室を運ばせ、茶会や外国人の接待に使用した。様々な人々が集い、文化が花開いた場所だ。昔のように人と人が集い、加工されない生の地域情報が飛び交うことこそが、新たなる発見や新たなる価値、文化を創造すると私は信じている。本日の大会がこれまでの歴史を振り返り、今後の発展を目指す新たなる希望となることを祈念する」と挨拶した。
 次に中園会長が式辞を述べ、3年に亘り準備に当たった佐賀県漬物工業協同組合のメンバーに深く感謝の意を表した。また、本来なら式典の模様を収録する予定だった『80周年記念誌』を昨年発刊したことを報告した。
 続いて「当協会は1938(昭和13)年、全国に先駆けて“九州・山口漬物連絡会”として発足。今日に至るまでその時代に応じた事業を行い、業界の発展、近代化に大きく寄与してきた。先達たちのご苦労、ご努力に改めて深く敬意を表する」と述べた。
 また、塩の専売事業により業界として塩を確保する上で組合の意義があったと説明。現在の漬物業界については「食の洋風化による需要減退、契約農家の高齢化による減少、また、子供たちがあまり漬物を食べていないことに、一番危機感を覚えている。業界としてはこうした課題を抱えているが、この式典の意義として今後どう進んでいくのか、どう課題を解決していくのかを確認していくことが大事だと思う。ご飯の添え物としての位置付けだけでなく、料理の素材として広く使用することで、対象がパンにも広がる可能性が出てくる。客のニーズに応えるだけでなく、需要を作り出すことも大事だ。80周年の節目の年にあたって、今後業界としてさらに先に進むため、このような取組への決意を新たにして、スタートして行こうではありませんか」と会員に呼びかけた。
 来賓代表として3名が祝辞を述べ、九州農政局・宮﨑敏行局長代理、経営・事業支援部部長の大髙正良氏は宮﨑局長の挨拶を代読し、「漬物は地域の特色ある食文化を支えている。コロナにより食品産業を巡る情勢は大きく変化したが、今後とも九州各地の特色ある農産物を活かし、伝統的な発酵食品である漬物を次の世代に向けてさらに発展させていただきたい」と述べた。
 佐賀県知事の山口祥義氏は、「佐賀県の漬物は幅広く、朝昼晩でも美味しく食べられる。漬物は地域との結びつきが強く、日本のかけがえのない伝統文化だ。しかし、挑戦なくして伝統なし。これからも時代のニーズに応え、漬物文化を発展させていただきたい」と激励した。
 全日本漬物協同組合連合会会長の野﨑伸一氏は、過去10年間が東日本大震災や熊本地震、天候不順による災害など厳しい状況であったことを振り返った。更にコロナにより壊滅的な打撃、ロシアのウクライナ侵攻、エネルギー高騰、円安などの世界情勢に触れ、「全漬連としてはそれらをしっかりと見据え、会員のためになる事業を展開していく。大根、高菜、楽京、胡瓜など原料産地に立脚している九州の皆様が、長い間に培ってこられた技術やノウハウをこれからもぜひ提供していただき、全漬連の事業に今まで以上に貢献していただくことを祈念している」との期待を示した。
 来賓紹介では、九州農政局の大髙氏、同経営・事業支援部食品企業課課長の松尾佳典氏、山口佐賀県知事、佐賀県中小企業団体中央会専務理事の西岡剛志氏、全漬連会長の野﨑氏、同じく全漬連専務理事の真野康彦氏が紹介された。
 続いて、表彰式及び表彰状授与が行われた(被表彰者別掲)。九州農政局長表彰は大髙氏、全漬連会長表彰は野﨑会長、九州漬物協会会長表彰は中園会長が、それぞれ一人ずつ賞状を手渡した。
 被表彰者を代表して、熊本県の村上義幸氏が謝辞を述べ「漬物は日本の食文化においてかけがえのないものである。しかし最近は漬物の需要もなかなか上がらず、厳しい状況となっている。以前、全漬連の会長を務められていた京都・西利の平井義久氏が『価格競争は止めて、品質競争をしましょう』とよく言われていた。漬物は必需品ではなく、嗜好品の面を持っている。品質を磨き、なおかつ料理の提案をできるような漬物を作り、業界の皆様と一緒に、誇れる日本の食文化と伝統を守り、発展させていくことを祈念する」と挨拶した。
 式典は、中山達也副会長が閉会の辞を述べて、閉会した。

《九州漬物協会 80周年被表彰者一覧》(敬称略)
【九州農政局長表彰】
 ▼鹿児島 水溜食品㈱ 水溜政典
【全日本漬物協同組合連合会会長表彰】
 ▼福岡 旭食品工業㈱ 鶴泰博▼佐賀 前田食品工業㈲ 前田節明▼熊本 村上食品工業㈱ 村上義幸▼大分 ㈲伊藤食品 伊藤由則▼宮崎 ㈱大久保商店 大久保次郎▼鹿児島 ㈱中園久太郎商店 中園雅治
【九州漬物協会会長表彰】
 ▼福岡 ナガノコーポレーション㈱ 永野総平、関門食品㈱ 半田謙一▼佐賀 ㈲竹下商店 三木吾朗、川原食品㈱ 川原啓秀▼熊本 ㈲山一食品 中山達也、伊藤漬物工業㈲ 伊藤文彦▼大分 池田産業㈱ 池田輝昭、豊州食品工業㈲ 筒井幸一▼宮崎 佐藤漬物工業㈱ 佐藤茂廣、㈲大薗漬物店 大薗誠▼鹿児島 上園食品㈱ 堂園健二、㈲浜漬物店 浜広明

【基調講演】 日本ペップトーク普及協会代表理事 岩﨑由純氏

大事な時は前向きな言葉
 やる気引き出す「ペップトーク」

 九州漬物協会80周年を記念して、一般財団法人日本ペップトーク普及協会代表理事の岩﨑由純氏による基調講演「社員をやる気にさせられるペップトーク」が催された。
 ペップ(Pep)は英語で元気や活力などの意味を持つ言葉であり、ペップトークはスポーツの世界で試合前に監督やコーチが選手へ贈る激励のショートスピーチのことだった。
 ところが岩﨑氏は「スポーツには練習があって本番がある。しかし、食品製造やビジネスは毎日が本番と言える世界であり、リーダーが果たす役割は非常に大きい」と指摘する。
 ペップトーク最大の要点は「大事な時は前向きな言葉」。人は言葉のイメージによってその働きぶりが大きく変わることはよく知られる通りである。反対に、日本の体育会系組織などではパワハラ的声掛けが多かったが、それらは選手を萎縮させるばかりであったと切り捨てる。
 具体的な実践方法としては短く、分かりやすく、肯定的な言葉が大切となる。
 例えば「サボるな」という声掛けでは「サボる」の語が強くイメージされてしまう。
 「集中しよう」など肯定的な言葉に変換して声を掛けると、集中している自分がイメージされるようになるというものだ。
 岩﨑氏は日々新しい技術が誕生しそれを取り入れることが重要になっている現代においては、独裁的リーダーよりも、部下や若い世代が活躍できる環境を構築できる「支援型リーダー」の重要性が高まっていると指摘する。
 そして「部下のやる気をひと押しできるのは、彼らの人間性を理解し、彼らが何を求めているかを知っている、今日ご参加の皆様だ」と強調し、参加者らを激励した。

【衛生研修会】 佐賀県庁生活衛生課 堀夏子氏

「高菜炒め」漬物製造業に
 許可業種制度やHACCP解説

 衛生研修会は、佐賀県庁生活衛生課の堀夏子氏が、昨年6月より漬物製造業が製造許可業種に指定されており、猶予期間が令和6年6月1日に終了となること、また「漬物類製造業におけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理」について解説した。  
 堀氏は、食品衛生法とは飲食による健康被害を防止するための法律であると説明。公衆衛生上影響が大きいと考えられる業種を営業許可業種としており、この度、漬物製造業も営業許可業種に編入された。
 なお漬物製造業はこれまでは営業届出対象業種であり、一部自治体において条例許可を出しているケースはあったものの、中には製造実態が把握されていない地域もあるなど自治体間の差があることが問題となっていた。
 堀氏は、新法での留意点として、1施設1許可の原則が緩和され、1施設でできることが広がったことを指摘。また漬物製造業の定義が漬物を主原料とする食品を製造する業種にまで広がり、高菜炒めもその範囲に収まるようになったことを説明した。
 またHACCPについては、全漬連が制作した小規模事業者向け手引書を基として解説。「既にできている事業者がほとんどだと思うが、改めて意識を高めてほしい」と伝えた。
 最後に、「施設全体の衛生レベルは、最も意識の低い従業員のレベルまで下がってしまう」と樽の欠けた部分より上には水が溜まらない様子に喩え、「全体を底上げするよう教育指導を徹底ことが重要」と強調した。

80周年記念の被表彰者

和やかに行われた懇親会
懇親会で親睦深める
 次期開催の熊川理事長が挨拶
 衛生研修会、基調講演会に引き続き行われた懇親会では、開始前に80周年記念の表彰者による記念撮影が行われた。
 続いて、佐賀県の田中宏昌理事の司会進行で、協賛商社も出席して懇親会が開会した。
 大会実行委員長の前田龍哉氏が、開会の挨拶に登壇。前田実行委員長は「2年連続の延期で、今年も開催できるか分からない中で準備してきたが、こうして開催でき正直ホッとしている」と正直な心情を吐露した。
 続けて「感染対策を講じながらの懇親会となるが、佐賀の美味しいお酒と料理をふんだんに用意しているので、親睦を深め、楽しんでいただきたい」と開会を宣言した。
 乾杯発声を、佐賀県中小企業団体中央会専務理事の西岡剛志氏が務めて、開会。和やかな雰囲気の中、各テーブルで親睦の輪が広がり、歓を尽くした。
 宴もたけなわの中、次期開催地である福岡県理事長の熊川稔也氏が同県メンバーとともに登壇した。
 熊川理事長は「本日は佐賀県の皆様のお陰で、コロナ下の制約ある中で非常に楽しい時間を過ごせた」と御礼の言葉を述べ、「ウィズコロナの中、原材料の値上げ、回復していない売場などまだまだ頭の痛い状況は続いているが、来年の今頃は少しでも業況が回復し、皆がもっともっと楽しい時間を過ごせる大会に出来たらと思う。各県の理事長さんは、基調講演で伺った“ペップトーク”で、組合員の皆さんの背中を押すのではなく蹴って、来年は福岡へ足を運んでいただきたい」とユーモアを交えながら力強く語った。
 懇親会は佐賀県専務理事の広瀬忠伸氏が閉会の辞を述べ、多くの関係者の協力で式典・総会を実施できたことに感謝の意を表した。その後、出席者全員による記念撮影も行われ、充実した大会は無事に終了した。

九漬協の通常総会

通常総会で議案審議
次期開催地は福岡に決定

 九州漬物協会の令和4年度通常総会は、中園会長が議長に付き、次の議案について審議した。
 【第1号議案】令和3年度事業報告並びに決算報告書の承認について
 協会事務局の中園宗伴氏より、事業報告と決算書類について説明が行われた。決算については、堂園健二監事より「正確かつ適正に処理されている」との報告があり、1号議案は意義なく承認された。
 【第2号議案】令和4年度事業計画(案)並びに収支予算(案)の承認について
 これについても事務局より説明があり、今年度の九漬協負担金は、各県事業ができなかったことを考慮し、今年のみ減額することが決定し、こちらも意義なく承認された。
 【第3号議案】次期総会開催地の決定について
 これまでの開催順に基づき、来年度は福岡県での開催が提案され、意義なく承認された。
 【第4号議案】その他は特になし。
 議事終了後、全日本漬物協同組合連合会情勢報告として、真野康彦専務理事が登壇した。真野専務理事は円滑な全漬連運営への協力に謝辞を述べた後、コロナ禍における漬物製造管理士試験、また外国人実習生対象の農産物漬物製造業技能実習評価試験の運営について状況報告が行われた。
 漬物製造管理士試験については2級、3級については実技試験を実技要素試験に変更し、1級は引き続き実技試験を行うことを説明。今後の予定についても発表があり、引き続き円滑な運営についての協力を求めた。
 総会は、伊藤正則副会長が閉会の辞を述べて終了した。

懇親ゴルフコンペ開催
中山翔氏(熊本)が優勝

 大会後の翌10日には、「フジカントリークラブ」(佐賀市富士町)にて、「80周年記念懇親ゴルフコンペ」が開催された。
 11名が参加し、好天の下プレーを楽しんだ。
 上位入賞者の成績は次の通り。(敬称略)
 ▼優勝=中山翔(山一食品・熊本県、N71・8)
 ▼準優勝=村上義幸(村上食品工業・熊本県、N72・0)
 ▼3位=岡村龍明(オギハラ食品・福岡県、N75・8)

【2022(令和4)年6月26日第5097号4~6面】

京都府漬物協同組合 創立50周年記念行事

出席した組合員が集い記念撮影

50周年式典で決意新たに 地域や漬物発展へ貢献
 京都府漬物協同組合(森義治理事長)は5月22日、京都市のホテルグランヴィア京都で、第51期通常総会、並びに設立50周年の記念講演と記念式典、京都府立大学との包括連携協定締結式を執り行った。設立50周年記念事業は当初、昨年5月に実施する計画だったが、新型コロナウイルス感染症拡大のため1年延期しての開催となった。
 講演は、京都府立大学文学部特別専任教授で和食文化学会初代会長を務めた佐藤洋一郎氏による「漬物と和食Win‐Winな未来」。京都で漬物が発展した背景や、災害食としての漬物の可能性が語られた。
 式典は組合員に加え来賓、賛助会員ら総勢約100名の出席を得て盛大に開催された。冒頭、50年間の歴史で組合へ貢献を果たしてきた物故者への黙祷が捧げられた。
 開会挨拶に立った森理事長は「1年の延期を経たが、こうして開催することができ嬉しい。ここ2年以上は新型コロナウイルスの影響が大きく、当社を例に挙げると年間売上は半減、ひどい時は90%減の月もあった。そんな中、行政から助成を頂いたり、他の食関連団体と協力し『京の食』応援プロジェクトに取り組んだりとたくさんの支援があり今日を迎えることができた。私たちは皆様のご支援と、先輩方が育まれた土壌によって50年の歴史をつなぐことが出来たのだと改めて思い知らされる。これまでとは全く別物になるであろう次の50年へ向け、思いを新たにする式典となれば幸いだ」と話した。
 来賓祝辞には西脇隆俊京都府知事、門川大作京都市長、京都商工会議所の塚本能交会頭(代理=稲垣繁博常務理事)、全日本漬物協同組合連合会の野﨑伸一会長らが立ち、京都漬協が京ブランドの隆盛や地域経済の発展、漬物の地位向上など幅広い成果を上げてきたことへ賛辞が贈られた。
 式典はその後、平井誠一実行委員長による「これからのビジョン」の発表や、京都府立大学との包括連携協定調印式、京都子ども宅食プロジェクトの畑山博代表によるスピーチと続き、組合の歴史を振り返るとともに、次の50年へ向けて歩みだす決意を新たにする機会となった。
【2022(令和4)年6月1日第5095号1、6面(一部抜粋)】

令和4年度春の叙勲 近清剛氏が旭日小綬章受章

近清剛氏
漬物業界の社会的地位向上に貢献
 政府は4月29日付けで令和4年春の叙勲受章者を発表した。本紙関連では株式会社三奥屋(山形県東置賜郡高畠町)社長の近清剛氏が旭日小綬章を受章した。
 近氏は平成2年6月に三奥屋社長に就任。社長就任後は自社製品のブランド力をより一層高めることを目標に、毎年自社製品をコンクールや県内各品評会等に出品し、平成6年、平成14年、平成26年に農林水産大臣賞を、平成6年、平成10年、平成18年、平成22年には山形県知事を受賞した他、食品流通局賞や東北農政局長賞など多数受賞している。
 漬物関係団体育成及び業界団体に関する功績では、平成13年に山形県漬物協同組合の理事長に就任し、山形県の漬物の認知度向上、地域振興、業界発展、山形県産漬物の品質の向上と流通・消費拡大などを目的に近氏がリーダーシップを発揮して様々な事業や取組を実施。近氏の理事長在任期間は17年の長期に及んでおり、この間の近氏の豊かな経験と卓越した技術に培われた指導力により、今日の山形県漬物業界の発展の礎として貢献している。
 全日本漬物協同組合連合会では、近氏が会長に就任する平成25年5月までは先代の秋本幸男元会長の下で副会長として会長を補佐し、漬物技能評価試験の試行試験を実施するなど、短期的に集中的な取組を行い、現在の漬物製造管理士・技能評価試験の礎を固めて平成25年度(平成26年3月)に第1回目の漬物製造管理士・技能評価試験(本試験)を実施した。
 これまでに漬物製造管理士・技能評価試験は延べ37回実施し、合計1471名の合格者を輩出。漬物製造技術者の技能や衛生管理意識の向上、さらには、伝統文化の継承と新たな技術の発展及び漬物業界の経済的・社会的地位の向上に大きく貢献している。
 全漬連では、国内外における人材需要への対応を目的とした新たな外国人技能実習制度を構築し、平成29年に漬物製造業が技能実習2号への移行対象職種に認められる際に、漬物製造管理士の2級以上の資格を持つ者が在職している会社では、外国人が技能等を習熟するための活動が十分に行える資格であるとの判断により厚生労働省より認定。外国人技能実習生が3年間働くことが可能となった。その外国人技能評価制度の基礎となる国内技能者向け「漬物製造管理士・技能評価試験」制度を確立したことは、近氏の指導力の強さを示す代表的な事例となっている。
 近清剛(こんせいごう)、昭和24年1月22日生まれ、山形県出身。昭和46年3月、立正大学経済学部経済学科卒業。同年7月、秋本食品工業株式会社(現秋本食品)入社。昭和48年4月、三奥屋入社。昭和55年6月、常務取締役就任。昭和62年6月、専務取締役就任。平成2年6月、代表取締役社長就任(現任)。業界団体では平成3年5月、山形県漬物協同組合理事。平成6年5月、同副理事長。平成13年5月、理事長(現任)。平成13年5月、全日本漬物協同組合連合会理事。平成15年5月、同副会長。平成25年5月、同会長。平成29年5月、常務理事(現任)。
【2022(令和4)年4月21日号メールニュース速報、5月6日号併載】

愛知県調理食品工業協同組合 旭日双光章受章祝賀会

謝辞を述べる松岡氏
右から松岡氏、発起人代表の古川氏、発起人の酒井氏、水上氏、加藤氏

岩田理事長
松岡宗之介氏(玉三屋食品社長)の叙勲祝う
令和3年秋の叙勲で旭日双光章を受章した玉三屋食品株式会社(愛知県尾張旭市)代表取締役社長の松岡宗之介氏の受章祝賀会が1月29日、名古屋マリオットアソシアホテルにて開催された。
祝賀会は、発起人代表を古川定容氏(新川食品社長)、発起人を酒井益幸氏(ミノカン会長)、水上眞二氏(水上食品社長)、加藤英敏氏(カネハツ食品社長)が務め、愛知県調理食品工業協同組合の組合員を中心に約40名が出席、華やかな雰囲気の中、松岡氏の受章を祝った。
発起人代表の古川氏は開会挨拶で、「コロナ禍の大変な時期に駆けつけて頂いたことに、まず御礼を申し上げたい。こうして祝賀会を開催できることを大変嬉しく思う。これを機に、5年先、10年先に、愛調食の中から叙勲受章者が出ることを願っている」と挨拶した。
続いて、来賓として出席した全国調理食品工業協同組合の岩田功理事長が挨拶。「全調食では長い間理事を、愛調食では理事長を務めて頂き我々のリーダーとして、また良き兄貴分として引っ張って頂いている。そうした功労があり、今回の受章に繋がったのではないか。数年前に奥様を亡くされたが、きっと奥様が一番喜んでいらっしゃると思う。叙勲を機にますますご活躍頂きたい」と祝辞を述べた。
祝電披露に続き、松岡氏が謝辞を述べた。発起人を始めとした関係各位の尽力、コロナ禍での出席に心より謝意を示し、孟子の言葉『天地人』を引用して挨拶。「地の利は、まさに愛調食組合そのもの。先輩諸氏が育んできた組合に参加させて頂き精進して今の私がある。人の和は、切磋琢磨しながら物事を進めてきた組合の仲間。最後に天の時として、神様が気まぐれで微笑んでくれたのではないか。何より発起人である加藤理事長の組合で章を取るのだという熱い思いがあって成就した結果だと思っている。今日は本当にありがとうございます」と重ねて御礼を述べた。
旭日双光章受章祝賀会
祝賀会は、愛調食理事長で発起人の加藤氏による乾杯発声で開宴。発起人挨拶では、酒井氏が「50年間どんな日も柳橋の市場に朝早くから通い続け、まだこれを続けておられる。まさに継続する力。愛調食理事長としての功績もあるが、そのような努力に対する人生のご褒美だと思う。これを糧にさらに頑張ってほしい」。水上氏が「愛調食の理事長を私の後任として長く務めて頂き大変感謝している。そうした努力が今回の受章に繋がったのだと思う。本当におめでとうございます」とそれぞれ祝辞を述べた。
中締めでは、三河佃煮工業協同組合の小林利生代表理事が挨拶。「松岡元理事長の世代がされてきた思いが詰まった仕事や手作りの価値をデジタル時代の今だからこそ大切にしていかなければならない。そうした思いをしっかりと引き継いでいきたい」と話し、会を結んだ。
松岡氏は、母親が経営していた惣菜製造業の株式会社松岡商店へ昭和40年に入社。「家庭で調理されたおかず」の代替品としての惣菜作りを実践することを目指し、長年にわたり取り組んできた。
組合活動においては愛調食の理事を平成12年5月から平成23年5月までの11年間、理事長を平成23年5月から令和3年5月までの10年間にわたり務め、その指導力および行動力を発揮し、組合の基盤造りはもとより業界の発展に寄与してきた。
【2022(令和4)年2月21日第5085号2面】

玉三屋食品 HP


カメヤ食品(静岡県) 輸出優良事業者表彰

表彰を受ける亀谷社長
「農水省輸出・国際局長賞」を受賞
カメヤ食品株式会社(亀谷泰一社長、静岡県駿東郡清水町)は、令和3年度「輸出に取り組む優良事業者表彰」(主催:公益財団法人食品等流通合理化促進機構)において、「農林水産省輸出・国際局長賞」を受賞した。
2021年12月10日、東京都千代田区のザ・キャピトルホテル東急にて表彰式が行われ、岸田文雄内閣総理大臣及び金子原二郎農林水産大臣の臨席の下、亀谷社長が表彰を受けた。
同社では、「おろし本わさび」、「わさびふりかけ」、「わさびドレッシング」といった自社わさび製品をEU、韓国、米国、中国向けに輸出。2020年の輸出金額は、2018年の約2倍となるなど海外売上が伸長している。
同社では2011年頃から、中国やシンガポールなどの海外展示会に出展。インバウンド需要に対応し、海外観光客ツアーをグループ会社が運営するドライブインにて受け入れ、食事とわさびを一緒に提供した。その後、インバウンド需要は落ち着いたが、わさびの味を知り、価値を知った外国の企業や個人客による輸入が増加している。
出席者で記念撮影
輸出量が増える中、EUHACCPや米国FDAによる食材規制など輸出先国規制にも対応した。
EUにおいては鰹節や玉子など日本で用いている材料が使用できず、当初は思うような味を出せずに苦労したが、規制を満たすアミノ酸などで調整し、1年かけて納得できる味づくりを行った。米国向けはFSMAに沿った安全管理に取り組み、出荷を実現させた。
また、輸出に求められる賞味期限の延長にも着手。廃棄されるわさびを活用し、同社独自の辛み成分を開発。それを活用し、賞味期限1年のおろしわさびの開発に成功した。さらに、米国の消費者ニーズであるグルテンフリーにも対応。2021年夏に米国においてグルテンフリーのおろしわさびを発売。現地小売店に特設コーナーが設置されるなどのPRが行われた。
わさび生産の面では、仕入先であった契約農家が高齢のため経営引継ぎの打診を受け、これまで未経験であった農業へ参入し、農業法人を設立した。
静岡県4箇所でわさび園を持ち、わさび栽培技術を持つ農家を従業員として雇用、自社グループ生産を始めた。海外取引先商談時に農園を見学してもらい、製品の価値向上や早期の信頼構築に繋がっている。
同社では2022年10月にISO22000を取得予定。今後は、米国ECサイトを稼働するなど、米国向け輸出をさらに強化する計画も立てている。
亀谷社長は、「弊社の輸出への取組をご評価いただき心より感謝申し上げます。これを励みに日本の味を世界に伝えるべき、益々尽力して参ります」とコメントしている。
【2022(令和4)年1月11日第5081号18面】

カメヤ食品 HP



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