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日本漬物産業同友会 2024

<日漬同友会>遠藤栄一会長が再選 宮尾氏「ナトカリ比」で講演

遠藤会長
日漬同友会の役員
大曽根新理事
日漬同友会の総会
宮尾氏
 日本漬物産業同友会(遠藤栄一会長)は5月31日、東京都中央区のホテルモントレ銀座にて令和6年度定時総会を開催。全国から約30名が参集し、来賓として全日本漬物協同組合連合会の中園雅治会長も出席した。
 役員改選では遠藤会長をはじめ全理事並びに監事が再選。役割分担では、宮前有一郎会計理事と梅澤綱祐原料対策委員長がそれぞれの役を交代する形で就任。新たに丸イ食品株式会社社長の大曽根史典氏が理事に就任した。また、有限会社阿部商事(阿部豊社長、群馬県桐生市)が新加入し、組合員数は40社となった。
 遠山昌子副会長の司会進行で開会の挨拶に立った遠藤会長は、同友会の発足から7年目を迎え、これまでの活動を振り返った上で、「輸入原料を扱っている企業は円安の影響が大きく、厳しい状況が続いているが、だからこそ集まって情報を共有することが大事。事業を継続するためには適正価格にすることが重要。そのためには付加価値を付けてPRし続ける必要がある。本会はざっくばらんに話し合うことができる会なので、交換した情報を持ち帰って各社の事業に生かしていただきたい」と積極的な姿勢を求めた。
 総会は遠藤会長が議長を務めて議事を進行。第1号議案の令和5年度事業報告、第2号議案の令和5年度決算・監査報告、第3号議案の令和6年度事業・予算案、第4号議案の役員改選は全て原案通り承認、可決された。事業計画では9月25日に原料対策委員会を開催し、10月末に一泊二日で北海道への研修旅行を実施することが決定した。
 役員改選では宮前有一郎会計理事が原料対策委員長、梅澤綱祐原料対策委員長が会計理事に就任し、それぞれの役を交代する形となった。また、新理事に大曽根氏が就任した。
 総会後、東京家政大学大学院客員教授で一般社団法人全国漬物検査協会会長の宮尾茂雄氏が「漬物はナトリウムとカリウムのバランスが決め手」の演題で講演を行った。
 漬物の食塩濃度は技術の進歩で低塩化が進んでいる。主な加工食品の常食量に含まれる塩分量を見ると、漬物はほとんどの品目が1g未満となっており、決して高いとは言えない。一般的に使用されている栄養成分表は100g中の塩分なので、実態と合っていない。
 内閣府食品安全委員会が2016年に京都で塩と健康に関する講演を行い、そのまとめとして食塩摂取(現状)と健康障害の直接的因果関係は明確ではない、十分な(カリウム)の摂取‥カリウムは野菜や果物に多く含まれる、などの考察がある。
 カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して尿中への排出を促進するため、血圧を下げる効果がある。日本人は若い人ほどカリウムの摂取量が少ない。昆布のつくだ煮の他、きゅうり、かぶの葉、かぶのぬか漬などはカリウムを多く含み、生の野菜よりぬか漬にした方がカリウムが多い野菜もある。
 平均寿命が全国でも上位の長野県は塩分の摂取量も多いが、野菜の摂取量も多い。塩分(ナトリウム)を摂取してもカリウムを多く摂取していればナトリウムは体外に排出されることから、ナトリウムとカリウムのバランスが国際的にも重視されるようになっている。
 ナトリウムとカリウムのバランスを指標としたものが尿ナトカリ比。尿ナトカリ比が高いと血圧が高くなる傾向が報告され、尿ナトカリ比が低ければ低いほど高血圧のリスクが小さくなる。
 漬物は種類が多いことからナトカリ比にも大きな違いがあり、ジャンルの特性を踏まえてPRすることが必要。ナトカリ比が低いのは浅漬、キムチ、沢庵、ぬかみそ漬など。
 宮尾氏は「ナトカリ比の計算は難しく、一般消費者に浸透するか分からない。だが、分かりやすく野菜はカリウムを多く含んでいてナトリウムを体外に排出する、というくらいの概念が浸透すれば良いと思っている」とまとめた。
 総会後、懇親感が開催され、近況報告や情報交換を行い、有意義な時間を過ごした。
 【新役員】(敬称略)
 ▼会長:遠藤栄一▼副会長:遠山昌子▼会計理事:梅澤綱祐▼理事:宮前有一郎(原料対策委員長)、山本正憲(旅行委員長)、浅田康弘、籠島正雄、大曽根史典▼監事:菅野嘉弘
【2024(令和6)年6月1日第5164号2面】
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