本社・湘南工場
秋本食品株式会社(秋本善明社長、本社=神奈川県綾瀬市)は1933年、風光明媚な湘南の地で大根の品種改良から沢庵の製造をスタート。「本物の食の充実こそが、豊かな生活を営む基盤である」という創業以来変わらない想いで漬物を供給し、2018年に創業85周年を迎えた。
時代を越えても変わらない「食の伝統」と変化していくニーズに対応し新しい味を生み出す「技術の革新」。そして、それらを継承する「秋本の心」が信頼につながり、今日では漬物業界を代表するメーカーベンダーに成長した。
契約栽培農家は300カ所以上、物流センター取扱い機能は25万パック、得意先は120社を超えた。本社のある神奈川県を中心にスーパー、直売店、卸売市場、通信販売など、多方面に販売チャネルを持ち、「誰でも、どこでも、お求めいただける」というモットーを追求している。
看板商品
秋本食品の強み
仕入れから販売まで一貫した自社管理体制
国産の原料野菜にこだわっている。仕入れから製造・物流・販売まで一貫した自社管理体制を敷き、コールドシステムや製造履歴管理など、様々な取り組みを行っている。また、業界屈指の物流・販売網を活かし、全国各地の商品を仕入れて供給。地域で愛されている特産品から季節感を活かした春夏秋冬の浅漬まで、全てのカテゴリーに精通し、多様なニーズにきめ細かく対応している。
昨年8月には静岡県磐田市に東海工場を竣工。これまで外部委託していた製造や物流機能を内製化し、出荷までを一貫して行っている。原料保管などの温度管理の他、最新鋭の異物除去洗浄ラインを導入するなど、HACCPに基づく衛生管理と品質管理で安心安全な商品作りを行っている。生産能力はこれまでの約2倍となる5000万円~6000万円(月間売上)で、主要取引先のイオングループをはじめ、東海地方の食品スーパーへ商品を供給している。
全国つけ物・惣菜展示見本市
会社名 | 秋本食品株式会社 |
本社 | 〒252-1123 神奈川県綾瀬市早川2696-11 TEL 0467-71-6001(代表) FAX 0467-71-6008 |
支社 | 東海支社 〒438-0051 静岡県磐田市上大之郷110番地 TEL 0538-39-7333(代表) FAX 0538-39-7322 |
創業 | 1933年10月19日 |
資本金 | 8,000万円 |
代表者 | 代表取締役会長 秋本大典 代表取締役社長 秋本善明 |
従業員数 | 393名 |
工場 | 本社 湘南工場 藤沢工場 東海工場 |
事業所 | <営業所> 藤沢出張所 / 南部出張所 <直営店店舗> 鎌倉あきもと 本店 / 鎌倉あきもと スカイツリータウン・ソラマチ |
グループ会社 | 株式会社鎌倉あきもと 鎌倉あきもと 本店 〒248-0006 神奈川県鎌倉市小町2-11-22 TEL&FAX:0467-22-0101 株式会社アキモ 〒321-0912 栃木県宇都宮市石井町2341 TEL:028-667-0545(代表) FAX:028-667-5749 |
その他 | 女性活躍推進法 |
本社 地図
10月11日号 浅漬キムチ特集インタビュー
秋本食品株式会社 代表取締役社長 秋本 善明氏
◇ ◇
‐今期の業績は。
「仕入れも含めるとここまでの上期の業績は前年をクリアしているが、自社製品の数字は若干落ちている。自社製品は無理な販促をしていないので、数字が少し下がっている一つの要因にもなっている。下期については社内の取組について色々と変えていくので、下期はいま現在よりも良くなることはないと思っている。具体的には、一つは商品の整理や協力工場も含めた工場の再整備。古くなっている部分もあるので、来年度までかけて工場の最適化を目指し、生産体制を整えて集積収益性の改善につなげていく。それまでは自社製品の売上を維持、向上させていくことは製品のフル生産ができないので難しい状況だ」
‐価格改定の動きは。
「原材料、調味資材や運賃が上がっている他、人件費も上がる。チェーンにもよるが、秋冬から価格改定を実施する。内容量調整では効果が少ないので、基本的には価格を上げる形になる。商品によっても異なるが、上げ幅は2~6%。最近の動きとしてはバイヤーが値上げに慣れてきていることや他の業種でも値上げが常態化してきているので値上げが認められない、というケースはなくなってきている。それでも、プライスラインが198円、248円、298円から外れると消費者が買わなくなる可能性はあり、結果的に売上は下がるかもしれない。採算的に厳しくても作り続けざるを得ない商品もあるが、残業をしてまで利益が出ない商品を作っていても意味がないし、労働集約型の商売はできないので続かない。会社の基本方針は適量の商品を適正価格で販売すること。適正な利益を確保するために価格改定を行い、それが駄目なら止める勇気と覚悟が必要。利益を出せる商品を選択して集中していかなければならない」
‐浅漬の売れ行きは。
「売れ行きは低調で、近年はダウントレンドになってしまっている。過去30年は栄華を誇ったが、カテゴリーとしてのライフサイクルは成熟から衰退に向かっている。夏場は胡瓜が売れれば売上を作ることができるのだが、近年は夏の胡瓜の価格が高くなっていて利益が出せなくなっている。ハイリスクローリターンなので、どのメーカーも夏の胡瓜から手を引きたがっている状況だ」
‐キムチの動きは。
「前年比で見ると市場は横ばいだが、弊社は少し落ちている。夏は原料状況が落ち着いたのだが、春は高かったので販促を控えた。キムチの市場は以前よりも拡大しているが、競争はより激しくなっていて単価が下がっている。弊社は価格競争には付き合わないので、売れ行きには多少の影響が出ているようだ。キムチは市場が拡大し、現在は成熟期にある。これから山がなければシュリンクする可能性もある」
‐新しい事業について。
「既存の販路だけにこだわっていても厳しい。日配品の主な売り先はスーパー、コンビニ、ドラッグストアになるが、店と胃袋の数は増えないので既存のチャネルだけ見ていても売上が増えることはない。それならば違うチャネルを見つける必要があり、BtoBで外食や業務用はまだまだ需要があると考えている。弊社では今年度からBtoBに特化した開発営業課を立ち上げ、この秋から某飲食店で当社の製品が採用される。新たな動きが出始めてきており、今後も期待している」
‐今後の取組のポイント。
「ロングライフも重要な要素だ。浅漬は賞味期限が短いのがウイークポイントなので、弊社では賞味期限の延長に取組んでいる。しかし、それでもチルドには限界があり、他の手段として加熱や冷凍など、品質を落とさず保存の技術を高める必要がある。キムチの賞味期限は30日くらいまで伸びているが、浅漬も同じくらいかせめて10日、二週間と伸ばせればまだ可能性はある」
【2024(令和6)年10月11日第5176号2面】
秋本食品 電子版 バイヤー必見!イチ押しページ
https://www.syokuryou-shinbun.com/pages/896
100周年へワクワクする会社に
展示会テーマは『漬物からワクワクする食卓を』。全国の有力メーカー61社が参集し、秋冬の棚替えに向けて、新商品やリニューアル商品、売れ筋商品をPRした。
会場内では今回初開催となった「めし旨グランプリ」や「再発見!乳酸発酵の可能性」コーナーなど、来場者のワクワクを創出する新たな企画が随所に盛り込まれた。また、会場入口には、同社も「野菜サポーター」として参画する農林水産省のプロジェクト「漬物で野菜を食べよう!」コーナーが設置され、皮膚カロテノイド量を測定する野菜摂取量評価装置〝ベジメーター〟と共に浅漬の新商品を展開。同プロジェクトを具体的な漬物消費に結び付けようとする官民一体の試みがなされた。
一昨年、創業90周年を迎えた同社では、100周年に向けた新たな企業ビジョン『伝統と信用を受け継ぎ90年 持続可能な未来を目指し ワクワクする100周年を迎えよう』を策定。12日に開催された記者会見で秋本社長は、「売場にワクワクをもたらすためにも、社員がワクワクして働ける会社づくりに力を入れていきたい」と今後への抱負を述べた。
「めし旨グランプリ」初開催 「漬物で野菜を食べよう!」コーナーも
そのうちの一つが秋本社長が自ら発案した「めし旨グランプリ」の開催。「単純明快にご飯と一緒に食べて一番美味しいものを決めるコンテスト」(秋本社長)と位置付け、秋本会会員より募った61品の中から一次審査、二次審査を経て決勝に進んだ10品を来場者が炊き立てご飯と共に試食し、一番美味しかった商品に投票した。
その結果、最高賞となる金賞には、天宝食品の「鹿児島県産あおさのり佃煮」が輝き、銀賞はアキモ「浅漬めしギョーザ」、銅賞はオギハラ食品「明太子高菜」が受賞した。今後は「めし旨グランプリ」の受賞商品を売場提案にも生かしていく方針だ。
発酵の魅力を深掘りする「再発見!乳酸発酵の可能性」コーナーにも力が注がれた。同コーナーでは、日本各地の発酵漬物を展示するだけでなく、胡瓜漬と白菜漬において、製造からの経過日数が異なる2種類のサンプルを展開。来場者は実際に試食することで発酵の旨みを体験する機会となった。
同コーナーにおいては発酵食品に関する知見を深める目的で活動する「秋本発酵部」の取組も紹介。同社では将来的に、仕入れ商品も含めて、乳酸発酵商品のブランド化やシリーズ化を目指しており、今回はそのファーストステップとなる展示を行った。
新商品コーナーにおいても斬新な展示方法がとられた。「野菜を食べよう!新プチカップシリーズ」はラインナップを拡充。通年商品「おつまみきゃべつ」「白菜のお漬物」「かぶときゅうり」に加え、秋冬シーズンに向け、「おつまみ白菜」「紅白なますゆず入り」「4種の野菜のお漬物」を新発売する。食べきりサイズ、買いやすい価格といった要素に加え、選べる喜びや楽しさがさらにプラスされる。
会場では新プチカップシリーズを「漬物で野菜を食べよう!」コーナーにてベジメーターと共に展開。1日の野菜摂取量目標値350gに対して現在の日本人平均摂取量が280gとなっていることに着目。70グラムの不足分を、約70gの内容量であるプチカップシリーズを食べることにより摂取できるという分かりやすい提案を試みた。会場ではバイヤーが実際にベジメーターを体験することで、同プロジェクトの趣旨を理解し、売場づくりに生かそうとする姿勢も見られた。
また人気商品「王道(ワンド)キムチ」にも新展開が見られた。王道キムチは、昨年20周年を記念して実施した増量企画が好評で新たなファン層を獲得、売場において王道キムチのブランドがさらに浸透している。
新商品「無性に食べたい王道キムチ味の万能タレ」は、SNSなどを通じて消費者から商品化を望む声が多かったことから、それに応える形で新発売する商品。様々な料理にかけることでいつでも手軽に王道キムチの味わいが楽しめる。常温で販売できるため(賞味期限:6カ月)、漬物・納豆・豆腐など日配売場の他、乾麺売場などグロサリー売場でも展開が可能となる。
会場内には、〝WANDO,Sキッチン〟コーナーが設置され、「無性に食べたい王道キムチ味の万能タレ」を使用した「納豆キムチチヂミ」「汁なし坦々うどん」といったレシピの試食提案が行われた。
新商品コーナーでは、業務用キムチ製品として新商品「ネギキムチ」も展開。今後は業務用商品を拡充し、外食や給食向けなど業務用ルートへの販売にも力を注いでいくことが示された。
さらに、昨年に続き設置されたSDGsコーナーでは、農福連携の取組を紹介すると共に自社のSDGsへの取組を動画で紹介した。
その他にも、「めし旨グランプリ」の投票者に配布された王道キムチ入りのレトルトカレー「王道カレー」(非売品)やベジメーター測定者に配布されたオリジナルバッチを新たに制作。会場内の展示物のデザインも一新され、「若い社員の意見を積極的に採用し、スピード感を持って形にした」(上山裕副社長)というボトムアップ型の企業姿勢が反映された展示内容となった。
11日の昼礼で挨拶を行った秋本大典会長は、これまでの展示見本市の歴史に触れ、「当展示会は秋本会の皆様の自慢の売れ筋商品や新商品、全国各地の名産漬物が一堂に揃い、得意先の秋冬の棚替えに、タイムリーな提案ができる機会。皆様の協力で新社長のテーマである有意義でワクワクするような展示会になるよう協力をお願いしたい」と述べた(挨拶要旨別掲)。
続いて秋本会の菅野弘会長が挨拶。「出展者の皆様の商品の魅力や価値を来場される皆様へしっかりとお伝えして頂きたい。本年度のテーマは〝漬物からワクワクする食卓を〟。皆様自身がワクワクしながら、自分たちの商品価値をしっかりと伝えられる展示会になることを願っている」と話した。
昼礼では、司会進行を務めた執行役員営業管理部部長の藤林仁氏より秋本会の事務局体制の変更について報告があり、事務局長の上山副社長、事務局の商品管理部商品管理課課長代理の片野元章氏、同係長の小林史裕氏が紹介された。
会場内の出展者ブースにおいても、ワクワクを創出する個性豊かな商品が展開された。沢庵の端材を使用した「たくあんチップス」(野崎漬物)、お盆の時期に出荷できない地元指宿産のオクラを使用した「オクラっ娘」(中園久太郎商店)など、食品ロス削減に貢献するSDGs対応型商品も注目を集めた。今回の展示会では、一つ一つのブースに時間をかけて回る来場者が目立ち、例年より来場者の滞在時間が長かったことも特徴となった。
12日の朝礼で秋本会の片山吉朗副会長は、「これだけの規模で専業の展示会が開催できることはなかなかないこと。秋本食品さんの力もあるが、秋本会のメンバーである我々が〝チーム秋本〟で支えているということをプライドを持ってお客様にお伝えして頂きたい。我々が売場づくりに貢献していければ、間違いなくこの展示会で秋冬の売場が大きく変わる、そういう大きなチャンスを頂いたと考え、頑張ってほしい」と呼びかけた。
12日に開催された記者会見で、秋本社長は今回の展示会テーマに言及。「昨今、漬物売場において、商品が画一化されており、変化に乏しくなっていると実感している。お客様が売場に来て、ワクワクする売場でなければ、購買に結びつかないという思いがあった。どうにかして、漬物売場でワクワクして頂けるような商品や企画を展開できないか。そのテーマに沿って、今回皆様に協力を頂き、商品提案や企画提案を実施させて頂いた」と説明した。
新たに策定した企業ビジョン『伝統と信用を受け継ぎ90年 持続可能な未来を目指し ワクワクする100周年を迎えよう』についても触れ、「ワクワクには、楽しさや挑戦、変革といった意味合いも含まれている。売場にワクワクをもたらすためにも、社員がワクワクして働ける会社づくりに力を入れていきたい。弊社においてもSDGsに取り組む中、持続可能な経営体制をとり、100周年を迎えられるよう努力していきたい」と今後への抱負を語った。
展示会終了後には秋本社長による閉会挨拶(別掲)の後、「めし旨グランプリ」の表彰式が行われ、金賞を受賞した天宝食品を始め各受賞者が表彰された。
秋本会長(挨拶要旨)
秋本社長(挨拶要旨)
上山裕取締役副社長営業本部長
近藤敦士取締役マーケティング部長グループ工場管理部部長
相澤伸明執行役員首都圏営業部部長
松本高執行役員広域営業部部長
秋本食品株式会社(秋本善明社長、神奈川県綾瀬市)との取引先で組織され、会員相互の企業発展と親睦を目的とする秋本会(菅野弘会長、株式会社すが野社長)は4月24日、東京都中央区の「GINZA SIX13階 THE GRAND GINZA JAPAN」にて第54回定期総会を開催。総会には全国から84人が参集し、結束を強めた。役員改選で秋本大典代表理事が顧問、秋本社長が新代表理事に就任するなど、秋本食品と同様に世代交代を進め、新しい時代に対応していく姿勢を示した。今年度は6月11日、12日に東京流通センターにて第44回全国漬物・惣菜展示見本市を開催する他、若手が参加できる研修企画を検討する。2024年度の予算額は3043万3668円。原材料や人材の確保をはじめ、包装資材、物流費、エネルギー価格などの上昇、輸入企業には不利となる円安の進行など、業界を取り巻く環境は厳しさを増しているが、チーム秋本は「利は元にあり」という共存共栄の精神で進んでいく方針が示された
総会は秋本会事務局の藤林仁執行役員営業本部営業管理部部長が司会を務めて進行。会員総数68社のうち、出席者60社、委任状出席8社で、本総会は有効に成立することが報告された。
続けて菅野弘会長、秋本大典代表理事、秋本善明会計理事が挨拶を行い、菅野会長は、「秋本会は本日、54回目の総会を迎えることができた。皆様方には多くのご協力をいただき、感謝している。漬物業界は原料の問題もあるが、為替の影響も大きく、原料よりも為替の影響によって価格が上がる要因となっている。国産についても肥料や飼料が高いため、原料価格も上がっているのだが、値上げは簡単にはできない」と現状について語った。
「今年は流通コストが上がっているのだが、得意先に値上げを申請している間に仕入れ価格が上がっている状況だ。このようなことにもしっかりと対応できるように取り組んでいく必要がある。本日の総会は銀座での開催ということで、時代の流れについていくということを見据えた会場となっている。秋本会としてもしっかりとコミュニケーションを図り、秋本食品さんの協力もいただきながらともに進んでいきたい」と述べ、会員を鼓舞した。
私が秋本会にデビューしたのは、30数年前で入社4年目の時だった。第13回全国漬物惣菜展示見本市が熱海の後楽園ホテルで開催され、その時初めて見本市に参加した。当時は宿泊で夜に宴会を開いていた。この会は15回ほど続いた後、会場が新横浜プリンスホテルに移った。その頃から私が見本市をやり始めた。
その後、第31回の見本市は東京流通センターでの開催となり、遡ると15年サイクルで総会と見本市の会場が変わってきた。私は54歳の時に社長に就任したのだが、先代の幸男社長も社長に就任したのは54歳だった。幸男社長は15年くらい社長をやった後、私が社長に就任したのだが、私も15年社長をしたので昨年、社長を5代目に譲ったという形となった。企業の寿命は30年と言われているが、秋本食品はその3倍の90年を迎え、100周年目指して社員一同頑張っている。
ビジネススタイルが変化し、熱海の頃は展示会と温泉招待という内容で秋本会の会員と秋本親和会に参加していただいていた。それからスーパーマーケットやコンビニエンスストアを中心にした販促となり、最近ではGMSとディスカウントストアを中心にSNSやポイント還元といった販促が増えてきた。
秋本会の総会も熱海から箱根に移したように本日も昨年の新横浜から銀座に移した。この3年間はコロナなどの影響でイベント事が開催できない、移動が制限されるといったことで懇親会も満足に行うことができなかった。そのため、インパクトがあって皆さんの印象に残る会をしたいという気持ちがあり、一度銀座のど真ん中でやってみたいということで企画した。
当社ではこの2年間で2回値上げを行ったのだが、仕入れメーカーの方では得意先に対して順次価格改定を実施してきた。そのような中でも満足できる価格改定ができたのはごくわずかだった。業界内においても最近は芳しくない情報が入ってきているように、我々を取り巻く環境はまだまだ安定的な経営ができる状況ではないと感じている。
昨年の展示会の時に近年のスーパーの漬物売場は画一化されていて面白味がない、という話をした。また、売場でワクワクする要素も必要だということも指摘した。
6月の展示会のテーマは「漬物からワクワクする食卓を」とした。イベントもそれに合わせたものを企画している。秋本会の各社におかれては持ち前の商品力及び提案力を発揮していただいて、来場者の方をワクワクさせていただきたい。
後ほど、秋本会の役員についても一部体制変更の話をさせていただく。皆さんの承認をいただく必要があるのだが、近年は会の理事も新しい世代へのバトンタッチが進んでいる。
数年前に青年組織のAJCが解散して親会に吸収合併した形となったのだが、その時も若手が活躍できる企画をしたいという話をした。コロナの影響もあって実現することができなかったが、今年度からそういったことも取り入れていきたいので、皆さんからもご提案をいただきたいと思っている。
松本高執行役員営業本部広域営業部部長が営業報告として「カテゴリー別販売状況」等について次の通り説明を行った。
数値結果、消費者意識、量販店売り場状況、いわゆる3Cから2024年に向けてどのようなことに取り組めば良いのか、ということを説明させていただく。
秋本食品の2023年度の売上は速報値で128億452万円。実際は130億円を少し超えるくらいの数字となっていて、前年比102・1%、プラス2億6800万円くらいの着地となった。部署別の内訳は首都圏営業部が33・2%、広域営業部が52・8%。逆風の中、昨年を上回る実績を残すことができたのは皆さんのご協力のおかげ。改めて御礼を申し上げる。
広域営業部数値を見ると売上は67億6800万円で昨対104・4%、コロナ前の2019年比では110・9%。昨年差は2億8400万円。ただ、売上数量を見ると昨対99・7%と割っている。値上げすることによって売上を維持できているという状況。
カテゴリー別に見ると、キムチ、沢庵、梅干し、酢漬と大方良かったのだが、残念ながら自社製品の浅漬は92%だった。キムチは国産の一般的なものより、本格化が進み、輸入キムチなど付加価値の高いものが売れている。
沢庵はカップ商品が好調。即食、簡便といった消費者の志向が反映されている。梅干しは猛暑の影響もあり、昨対を大幅に上回った。酢漬は全体的にはよくなかったが、広域営業部としては114・1%と伸び、煮豆佃煮も良かった。
浅漬は値上げで一番影響が出てしまった。また、アイテムの削減も影響した。だが、浅漬の中でも売れていた商品もあり、内容量やお得感は支持された。
市場(日経POS)を見ると、単価が上がって点数が落ちて売上はやや昨対を上回っている。キムチ、沢庵、梅干しのみが前年超えとなっている。当社との比較ではほぼ上回ったが、浅漬はマイナスとなった。キムチは上回っているものの、売上構成比としては市場よりマイナスとなっている部分が改善ポイント。
2023年を振り返ると、ポジティブな事柄はコロナの5類移行が大きく、人流が戻り、レジャー支出が増加。ネガティブな要素は値上げラッシュやエネルギー価格高騰。結果としてはコロナの5類移行で旅行やレジャーなど「ハレ」の出費にはお金を使い、日々の食費など「ケ」の出費は節約志向という、メリハリをつける消費者が増えた。
日本政策金融公庫の資料によると、食の3大志向は前回までの調査と同じく「経済性志向」、「健康志向」、「簡便化志向」で、この3大志向が消費者の購買動機のポイント。簡便化の志向は今後さらに強くなると推測される。
「経済性志向」では、富裕層と呼ばれる消費者が増えている一方で、世論調査では生活の満足度が低下しており、消費の二極化が顕著になっていくことが予測される。コロナ禍で消費者の健康意識が変わり、発酵食品関心層が全体の6割強と高まっている。発酵食品と意識して摂取しているものの中で「キムチ」、「漬物・ぬか漬」が上位に入っている。また、期待する効果としては「整腸作用」、「免疫力向上」などが挙げられており、この部分を生かせれば漬物も伸び代がある。
エシカル消費も上手く打ち出せばポイントとなる。また、コロナ禍でSNSに触れるシニア層が増加し、効果が低いと言われていた女性のシニア層をターゲットにした販促は有効になる。
昨年は梅干しや昆布の佃煮などご飯周りの商品が売れた。日経POSを見ると、米の需要は伸びていて、おにぎり専門店も人気となっている。米飯のブームが来れば漬物の販売機会を作りやすくなる。量販店の売場尺数を比較すると、どこもキムチと梅干しの売場が拡大していて、浅漬や古漬は減っている。ある売場ではキムチ特化型も出てきた。
3Cから読み取って対応しなければならないことは以下の4つ。
①コロナ5類解除と景気回復による消費の二極化の加速。大容量商材でユニット安の商品の品揃え。お買い得感を感じさせる。ハレ型商品、高付加価値商品の品揃え。食べて美味しいのは当然で、それ以外の購入動機を伝わりやすくする。
②簡便商品、即食商品は必需品へ。喫食量に基づいた商品の品揃え。カップ商品、切れてる商品など包丁・まな板・食器いらずの商品開発。
③健康志向の増加。発酵食品の商品化、健康性が伝わる商品の見せ方。植物性乳酸菌、食物繊維の訴求。腸活に関連付ける。
④エシカル消費などSDGsと消費の連動。食品の購入で社会貢献。エシカル商品の開発。カーボンオフセット商品。温暖化に対して二酸化炭素排出対策商品の品揃え。廃棄原料の再利用による食品ロス対策。さらなる賞味期限の延長。
懇親会も藤林営業管理部部長が司会進行を務め、上山裕事務局長(常務取締役営業本部長)が挨拶に立ち、「日頃は大変お世話になり、感謝している。営業本部は広域営業部、首都圏営業部、東海営業部で構成されている。現在、営業本部の部門長が全て執行役員になっており、仕入れ先様の商品を得意先に提案するために部門長の役割をはっきりさせて取り組んでいく」と営業本部の方針を説明した。
続いて相澤伸明執行役員営業本部首都圏営業部部長、松本広域営業部部長、高橋正明東海支社執行役員統括部長が各営業部の説明を行い、出席した各営業担当が自己紹介を行った。
遠藤栄一副会長が開会の挨拶に立ち、「秋本会のメンバーは秋本食品さんの応援団。不景気の中でも盛り上げて一緒に前に進んでいきたい」と士気を高めた。
続いてオープニング歌謡とミニコンサートを行う堀優衣さんを紹介。栃木県足利市出身の堀さんはテレビ東京の「THEカラオケ★バトル」で12冠を獲得し、昨年10月に栃木県宇都宮市で開催された全日本漬物協同組合連合会青年部会全国大会栃木大会のステージでも歌声を披露。この日も「好きな食べ物は漬物」と会場を盛り上げ、オリジナル曲「おばあちゃんの歌」を披露するなど、圧倒的な歌唱力で会場を一つにした。
乾杯発声は全漬連の中園雅治会長が行い、「厳しい環境の中、値上げは避けては通れない。お客様が値上げしてもう買わない、とならないようにするためには松本部長に説明していただいたデータを生かし、お客様に刺さる商品を開発しなければならない。また、秋本社長が話したようにワクワク感も必要。値上げして高くなっても必要なものである、ということを訴えていきたい」と述べ、ともに杯を上げた。
懇親を深めながら情報交換を行った後、最後に上山事務局長が閉会挨拶を行い、「当社はデータを駆使しながら漬物ベンターとしての営業提案をしっかりやっていきたいと思っている。皆様方におかれましてはタイムリーな提案をいただきたい」と述べ、会を締めくくった。
【2024(令和6)年5月1日第5161号16面】
10月11日号 浅漬キムチ インタビュー
秋本食品株式会社 代表取締役社長 秋本 善明氏
https://www.syokuryou-shinbun.com/pages/896/
展示会は『コロナ感染からSDGsへ 環境の変化に対応しよう!』をテーマに、全国の有力メーカー61社が参集し、秋冬の棚替えに向けて環境対策や健康機能性などをポイントとした新商品並びにリニューアル商品、売れ筋商品をPRした。
3年ぶりに開催した昨年の展示会は「新たなる販売促進の出発」をテーマに規模をやや縮小し、コロナ対策を講じて実施したが、今年は試食も交え従前のスタイル。来場者も昨年より10%増加した。
この3年の間にバイヤーが入れ替わった得意先も多い中、新しいバイヤーに試食も含めて丁寧な商品説明及び提案を行い、競合他社より一足早く対応することでアドバンテージを得る内容となった。
▽優勝 満田盛護 NET70・6▽準優勝 沈容台(大象ジャパン社長)NET72・0▽第3位 小暮始(宝化成社長)NET73・0▽第4位 加藤雄二(秋本食品)NET73・0▽第5位 菊池光晃(菊池食品工業社長)NET73・8
なお、今回のコンペ設営は大塚藤男取締役首都圏営業部長が担った。
【2023(令和5)年6月16日第5131号3面】
課題を共有しともに成長
秋本社長挨拶要旨
今年の10月からインボイス制度がスタートする。当社では管理本部経理課の担当者がセミナーを受けたりしている他、神奈川県漬物工業協同組合でも講習を行った。細かく色々なことがあるのだが、秋本会の関係業務についてもこのままではいけない部分もあるので、管理本部長の磯崎より説明させていただく。また、本日の総会、懇親会の後にインボイス制度に関するセミナーを実施する。内容は経営者向けとなっているので少しでも理解を深めていただきたい。
以前の総会は熱海や箱根で宿泊付きで開催していたが、まだ少し早いということで本日は日帰りできる時間に設定した。本日は皆さんと懇親が深まるようなことができなくて申し訳ないと思っているが、久しぶりにお会いできた方もいるので声をかけていただきたい。一つの交流の場として短い時間ではあるが、楽しんでいただきたい。
秋本専務挨拶要旨
「インボイス制度」セミナー開催
大岡氏は「9月までにやることは、どの書類をインボイスにするのか、1枚にするのか、納品書と請求書を合わせてするのか決めること。また、課税にしても免税にしても、準備することが重要。面倒くさいけど、準備しないといけない、と感じていただきたい」と述べ、制度の理解を促した。
2月11日号 SMTS特別インタビュー
秋本食品株式会社 代表取締役専務 秋本善明氏
‐年末年始の売れ行き。
「全体的に見ると前年並みで推移している。中でも浅漬が苦戦した。白菜漬は売れたのだが、千枚漬やなますなど年末商材の動きが悪かった。キムチについても市場としては前年をクリアしているのだが、自社の動きは販促ができていないこともあり、あまり良くなかった。悪かった要因としては野菜安、生活費の上昇、物価高などが上げられる。その他の品目については、酢漬が値上げの影響で厳しい数字となっていて、沢庵は原料不足で一時期は販促を行うことができなかったが、年末には間に合った。在庫がある梅干しは、年末の動きも悪くなく、春夏に向けても期待している。あと、本漬の売れ行きはまずまずだった」
‐製造コストが上昇している。
「調味料、副資材、電気代とあらゆるコストが上がっていて、毎日のように値上げ要請が届いている。我々が使用する原料はほぼ国産のため、海外原料より上がり幅は小さいが、肥料代も上がっていることから国内の農家からも来年度は価格を上げる、という話もある。国内においても人件費、運賃が上がっている他、ハウス栽培で必要となる燃料やガスの価格も上昇しており、国産原料の価格は確実に上がる。これまで国産原料は価格が上がらないという前提で取り組んできたのだが、来年度は現在の製品価格を維持することは困難になることが予想される。製造コストは前年を大きく上回るペースで増えており、企業努力で吸収できるレベルをはるかに超えている。持続可能な事業を推進していくためにも、しっかりと価格転嫁していくことが重要だ」
‐値上げの動きは。
「弊社では昨年の春から案内を行い、夏以降に値上げを実施した。主力商品の一部は量目調整だが、大半の商品は価格改定。弊社は先行する形だったこともあって商品を差し替えられるケースもあったが、それは商品力がなかったということでもあり、ある意味で仕方がないことだと思っている。特に浅漬は差別化が難しい品目で、こだわって作った商品の価格が例えば1・5倍になった場合、価値を認めて購入していただけるのか。近年、浅漬についてはお客様が何を求め、どこに価値を感じるのか見極めるのが難しくなっている。弊社の値上げは一巡したが、製造コストが上昇し続けているため、第2弾の対策をどのような形で行っていくか検討している段階だ」
‐御社の取組について。
「弊社では、『あとひきだいこん』や『王道キムチ』といったオンリーワンの商品を安売りすることなく、味と品質にこだわって大事に販売していきたいと考えている。また、ここ数年の継続課題として賞味期限延長にトライしている。賞味期限が延長できれば売場のロス率低下につながり、お客様にもメリットがある。昨年9月には主力商品の一つである『オモニの極旨キムチ』の賞味期限を21日間から31日間に延長した。これらはSDGsの観点からも重要なポイントとなっており、今後も重要課題として取り組んでいく」
‐漬物市場の将来性。
「私見だが、漬物はデリカの売場でもすでに販売され実績を出している事例もあるが、お客様に部門の境目はない。お客様が商品を購入するのに便利か便利じゃないか、ということが重要で、関連販売でメニューをイメージできる商品を提供できれば支持されるはずだ。ただそういった商品を既存の漬物売場に置いても埋もれてしまうし、そもそも漬物売場を通らない人も多い。画一化された売場ではなく、クロスMDを活用するなど、売場そのものをコーディネートしていきながら漬物に興味を持ってもらう仕掛けが必要だと思っている。その為には店側の協力も必要となる」
‐自社のPRを。
「弊社は今年10月に創業90周年を迎える。『味の逸品』を掲げ、先々代から受け継いできた『味』と『品質』をこれからも守り続けていきたいと考えている。創業当時は沢庵が主力商品だったが、時代のニーズに合わせて浅漬やキムチに主軸を移してきた。全国の有力な漬物メーカーとパイプがあり、幅広い得意先を持つ漬物製造ベンダーとしての強みを活かしながら、100周年に向けて時代の変化にしっかりと対応し、『秋本の商品は美味しい』と言っていただけるような商品を作り続けていきたい」
値上げ公表で業界を先導
秋本食品株式会社(秋本大典社長、神奈川県綾瀬市)は14日と15日、東京都大田区の東京流通センターにて『第42回全国漬物・惣菜展示見本市』(協賛‥秋本会)を開催。3年ぶりの開催となった展示会は『新たなる販売促進の出発』をテーマに、全国の有力メーカー58社が参集し、秋冬の棚替えに向けた新商品やリニューアル商品、売れ筋商品をPRした。
規模をやや縮小しての開催となったが、展示会を開催できなかった3年の間にバイヤーが入れ替わった得意先も多く、丁寧な商品説明や専用容器を利用した試食など、リモートでは限界があった『対面』の利点を生かし、企業や商品の魅力を発信した。
また、浅漬、キムチを主力とする同社では7月から9月にかけてNB商品、PB商品ともに値上げ(価格改定、量目調整)を実施することを公表。浅漬とキムチのカテゴリーでは競合大手に先行する形で、他業界と比べて値上げが遅れている漬物業界を先導する取組として、その動向が注目されている。
〝失われた3年〟を取り戻す 「新たなる販売促進の出発」
新型コロナウイルス感染症の拡大で生活様式や消費動向は大きく変化した。
政府が目指すウィズコロナに向けて日本も動き出しているが、〝失われた3年〟を取り戻すことは容易なことではない。その間の商談はリモートが中心で、展示会を開催できなかった3年の間にバイヤーも入れ替わった。
展示会の魅力は対面による丁寧な商品説明や試食、スケールメリットの訴求。あるバイヤーが会場に4時間滞在するなど、今後の消費動向が不透明となっている中、売れる商品を入念にチェックしていた。それらの流れは展示会が出展社及び来場者にとって、有効的かつ効率的に活用されていたことを示すものだった。
14日の昼礼で挨拶を行った秋本社長は、「コロナが長引いて3年ぶりの展示会となる。秋本会会員、秋本食品にとって待ち遠しいことだった。この3年で得意先のバイヤーは8割入れ替わって、初めて来場される方もいる。来場人数は前回の8割くらいだが、主力のお客様は来られる。電気代、燃料、包装資材などの価格が上がっている他、円安の進行で海外原料を扱っているメーカーは負担が大きくなっている。各社においては売上が欲しい状況となっており、この展示会は最大の販売促進の場だと思う。是非、成功させて厳しい状況の中でも業績を上げていただきたい」と積極的なPRを呼び掛けた。
菅野弘会長も「皆さんと顔を合わせて展示会を開催できることを楽しみにしていた。コロナの影響で環境が大きく変わり、資材や物流費などの高騰という問題もある。このような変化にしっかり対応していくことが重要で、展示会を各社の事業に生かしていただき、皆さんが秋本会に入っていて良かったと思っていただければ幸いだ」と成功を祈念した。
展示会のテーマは「新たなる販売促進の出発」。秋本食品では、展示会を機にテーマに沿った形で業界の舵を大きく切ろうとしている。漬物業界で最大の課題となっているのが値上げ。原材料に加え、電気代、燃料、物流費、包装資材などの価格が上昇し、輸入原料や輸入製品については円安の進行で大幅なコストアップとなっている。
2022年1月から食品関連の多くの品目で値上げが実施されているが、漬物業界は原料価格が大幅に上がった楽京など一部の輸入原料、輸入製品に留まっており、コスト増や円安の影響による価格転嫁が急務とされている。しかし、消費者の買い控えを懸念する小売店側は慎重な姿勢で、価格転嫁がスムーズに行われているとは言い難い状況だ。漬物の主力である国産原料の浅漬やキムチにおいては、価格転嫁の動きはまだ見られない。
これらの状況を踏まえ、秋本食品では単純な値上げではなく、新しい提案や賞味期限延長などの「価値」を高めることで、価格改定を進めている。
新商品の「王道キムチ大辛」は、大根の浅漬市場売上№1(同社調べ)の「あとひきだいこん」とともに主力商品の一つである「王道キムチ」が来年2月に発売20周年を迎えることを記念し、シリーズ商品として開発。現在の売場にはない辛口の重ね漬けキムチで、ブートジョロキアを使用することで強烈な辛味を実現。ただ辛いだけではなく、しっかりと旨味を感じられる味わいとなっている。また、「王道キムチ」はユーザーの声をもとに、パチッと閉まる再嵌合性の高い容器を採用し、リニューアルして展開する。
同じく新商品の「ぬかごと食べられるぬか白菜」は、アップサイクル食品として注目を集める米ぬかに着目し、ぬかの栄養を余すことなく楽しめる新感覚の漬物として開発した。
その他、フードロス対策として「オモニの極旨キムチ」の賞味期限を21日間から31日間、「秋のやわらか茄子」を9日間から14日間、「プチカップ浅漬白菜」を6日間から7日間、「長いも」製品2品を10日間から13日間に延長するなど、既存商品をブラッシュアップすることで価値を高めている。
15日に開催された記者会見で、秋本社長は7月からNB商品、PB商品ともに値上げ(価格改定、量目調整)を実施することを公表。時期や内容については得意先によっても異なるが、7月から9月にかけて実施していく予定で、価格の上昇率は5~8%、量目調整は10%程度。ある漬物メーカーの社長が「秋本さんのような大手メーカーが値上げをすると、中小のメーカーが上げやすくなる」と話すように、漬物業界における価格改定の突破口として期待されている。
片山吉朗副会長は15日の朝礼で、「チーム秋本のポテンシャルをバイヤーに伝えていただければ笑って展示会を終えることができると思う。皆さんの商品に価値があるのか、ということが大切で、インフレが進む中で商品の価値を伝えていくことが重要だ」と価値の訴求を強調した。
15日の夕礼で挨拶を行った秋本善明専務は、「SDGsなどの要求が増えているが、それらに対応していかないと取り残される。商品の質を上げると同時にそれらのことも勉強していく必要がある。市場がシュリンクしている流れの中で、我々も変化に対応していかないと持続可能な業界にならない」と変化への対応を求め、閉会の言葉とした。
また、展示会の会期中、ニューフェース紹介として、広域営業部一課課長代理の松岡充高氏、広域営業部二課マネージャーの板垣美奈氏、広域営業部二課の小島啓斗氏、東海支社営業部の橋本宗直氏、首都圏営業部二課主任の柳生健吾氏、首都圏営業部二課リーダーの大島悠氏、首都圏営業部二課リーダーの篠遥太氏が紹介された。
展示会はコロナ対策として、入場時の体温チェック及び手指の消毒の他、来場者に消毒・マスクセットの使用を推奨した。会場の順路を一方通行にして人の交差を減らし、試食については専用容器に1種類ずつ入れて提供。各ブースでは密にならないよう1名での対応とするなど、徹底した対策が取られた。
「3年ぶりに展示会を開催することができ、大きな期待を持っている。コロナの影響で来られない得意先も一部あるが、主力のお客様はほぼ来場していただいている。来場者は前回の8割程度。これだけのお客様に来場していただければ展示会が開催できない時を考えると大きな意義がある。全体的にはバイヤーも8割くらいが新任の方に代わった。我々としては1年先に自社商品や会員の商品を紹介できるのでアドバンテージになる。コロナ禍で多くのことができなかったが、できる販促もある。17年ぶりにテレビCMを放映してCM期間中は好調だった。その後は落ち着いてしまったが、コロナ禍で失った3年を取り返していかなければならない。商談はオンラインでやっていたが、試食していただけないことはマイナスだった。そのため、今回の展示会では専用カップを使用して試食を提供している。前期の売上は約130億円で、前期比97・6%だが、3年前との比較では105%くらいとなっている。コロナが発生して以来、弊社はスーパーとの取引が多いので売上が増えた。キムチは130%となり、浅漬も伸びた。だが、次の年に10%落ちてまた落ちた、という状況だ。外食や観光が減り、スーパーでの買い物が増えて我々の売上も上がったが、それが元に戻ってきている。鎌倉あきもとやソラマチ店は売上が3割に落ちたが、いまは7割まで戻っている。末端で売れるところが変わっているだけで、少しずつコロナ前に戻ってきている。価格改定については地元スーパーや大手量販店、ディスカウント店、ドラッグストアと、それぞれ状況が異なるので同じようにはいかない。量販店は3カ月前に案内しないといけないので、3月から値上げの準備を進めていた。自社製品は7月からお願いしているが、販促の区切りや得意先の締め日など多少のズレが生じる。量目調整も包材の関係があるため、9月からの準備を進めている」
秋本専務(15日夕礼挨拶要旨)
「会場を回っていて多く寄せられたのが値上げの話だった。様々なコストが上がる中、得意先に理解していただくしかないとは思っているが、単純な値上げで売上が落ちてしまっては元も子もない。麺では値上げしたら売上が落ちたので販促をかけて値下げしているが、パンは値上げしても売り上げが落ちていない。つまり、パンは食べているということだ。本来であれば全ての商品の価格が上がることによって賃金が上がり、経済が成長するというシナリオが描かれているのだと思うが、現在の日本はそうなっていない。政策の影響もあるかもしれないが、我々にも責任の一端がある。漬物業界は付加価値生産性が上がっていない。豆腐や納豆など日配の中でも自動化が進んでいる業界もあるが、漬物業界は一歩も二歩も遅れている。少し前のことを思い起こせば、キムチ、こうじ、甘酒などがブームとなった。波を起こせば既存の商品でも売れる、ということ。つい先日には梅干にコロナウイルスの予防効果がある、という報道もあった。商品が変わらなくてもプロモーション次第で売れるようになる、ということだ。いぶりがっこはオシャレなカフェで出てくるようになるなど、全国展開されている。また、東京ソラマチには立ち喰い梅干し屋があって、流行っている。扱っている商品は同じだが、プロモーション次第で盛り上げることができている。この店を運営しているのはイベント会社で、業界は市場について勉強して盛り上げていく必要がある」
上山裕常務取締役営業本部長
「一昨年、昨年と比べると浅漬とキムチの動きは良くない。そのため、市場では安売り競争になっている。弊社では付加価値を高めた商品を得意先に案内している。様々なコストが上がっている中で売価を上げたいところだが、小売店は手頃な価格帯でなければ売りたくないという意向が強い。だが、商品の付加価値やブランド力があれば消費者がそれを認めて希望する価格帯で売れるようになる。メーカーとしてはお客様が食べて美味しいと感じ、リピートするような商品を作らないといけない。浅漬は付加価値を付けにくい商材だが、今回の展示会で案内しているように賞味期限を延ばすことも価値になる。我々としてはそういった努力を今後も続けていく」
大塚藤男取締役首都圏営業部部長
「新規の獲得が難しい状況で、得意先の売上を伸ばしていくことが重要だ。漬物についてもどれだけ需要を拡大、維持できるか、ということもあるので、今後も成長が見込まれる惣菜部門を強化していく必要がある。ディスカウントではないスーパーの売上は落ちてきており、既存商品だけではそこを伸ばしていくことは難しい。漬物や日配以外のバイヤーにも切り込んで販売網を広げていきたいと考えている」
近藤敦士取締役生産本部長
「これまでと違う流れとしては、展示会が開催できなかった3年の間にバイヤーが入れ替わり、初めてバイヤーをやる、という方や日配はやったことがない、という方もいた。年齢的にも20代、30代と若い方が多かった。1人当たりの滞在時間も長く、3年ぶりの展示会ということもあってじっくり商品を見られていた。また、原材料については輸入物の価格が円安の影響で上がっており、国産と価格差がなくなってきているので海外産から国産に切り替えることも検討していく必要がある。価格転嫁は避けられない状況だが、それでも欲しい、売りたいという商品と市場を創出していかなければならない。購買の一番シンプルの動機となる『美味しさ』を追求していくことが重要だ」
【2022(令和4)年6月26日第5097号1、12面掲載】
秋本善明専務は、「我々の業界はプロモーションがあまり上手くない。発酵食品である漬物をもっとPRして良いと思う」と健康面を訴求したPRの必要性を強調した。
本日は、ご多忙な中を秋本会・秋本食品合同開催による東京家政大学大学院客員教授の宮尾茂雄先生のセミナーに参加いただき、ありがとうございます。秋本会の行事は、コロナ感染蔓延により恒例の展示会が2年連続で中止になり、その他の行事も中止の連続だった。その中で、昨年4月14日に東京プリンスホテルにおいて、第50回の秋本会総会を開催する予定だった。前回の東京オリンピックは昭和39年に開催され、同じ年に開業した東京プリンスホテルで「秋本会50周年の記念講演」を宮尾先生にお願いしていた。それが、1年半後の本日、オンラインを含めたセミナーという形で実現した。本日は、秋本会から菅野会長と遠藤副会長に会場にお越しいただき、日本各地の会員企業44社がオンラインで受講する。秋本食品もこの会場と藤沢工場の会議室と東海支社の会議室がWEBでつながり参加する。また営業マンも各デスクのパソコンで受講し34名が受講するので、業界新聞社5社8名を含めると合計86名が聴講する。これだけ多くの方が参加するのは、宮尾先生の本日の演題「発酵漬物の魅力と健康力」が漬物業界の皆様の興味のある演題であり、そして宮尾先生の人気があるからだと思っている。コロナ感染の緊急事態宣言が全国的に解除されたため、このチャンスに秋本会の行事も大至急復活させている。来年1月26日、27日には東京流通センターで「春夏商品提案会」を「新たなる販売促進の出発」のテーマでコロナ感染防止対応をした展示会として開催する。今年の秋は、台風が本州への上陸が無い年だったので、原料野菜は年末年始から春まで概ね豊作となり売上さえ作れば利益が出る年になっている。秋本会の皆様と社員の皆様が協力して年末年始と1月の展示会を乗り切り、お互いに収益が出るようにしていきたい。
コロナの発生から2年近くが経つ。その間、秋本食品と秋本会では行事を開催することができなかった。本日のセミナーは多くの方に参加いただき、喜ばしく思っている。コロナの第6波の到来が懸念されているが、この間に行事を行いたいということで来年1月26日と27日に春夏向けの提案会を開催する。また皆さんと直接お会いできることを心待ちにしている。本日の宮尾先生の講演にもあった『発酵』はプチブームとなっている。先日、発酵をテーマにしたカフェに行ってきた。米麹、酒粕、しば漬などが並び、発酵と健康を結び付けてPRしていた。我々の業界はプロモーションがあまり上手くない。発酵食品である漬物をもっとPRして良いと思う。ご講演をいただいた宮尾先生は全漬連と同じ事務所で漬物の研究を続けられるとのことでより身近な存在になったと感じている。今後も宮尾先生のご指導を仰いで発展していきたい。
【2021(令和3)年11月21日第5076号1、2面掲載】
【紙面アーカイブ】第51回秋本会総会(2021年4月16日開催)
役員改選で菅野弘副会長(すが野社長)が新会長、近清剛会長は相談役に就任。菅野新会長は第5代目会長。その他、梅澤敏晴会計理事(やまう会長)が退任し、伊藤征剛理事(信濃食品社長)が会計理事、新たに梅澤綱祐氏(やまう社長)が理事に就任した。
今年度の総会は、コロナ禍に対応してオンラインをベースに主催者や会長、副会長、監事ら役員を秋本食品本社会議室に招き、多くの会員にはパソコン上で参加できるようWeb会議ツール「ズーム」を活用する形で実施した。
2021年4月21日号3面 秋本会 (372KB) ↑ここをクリックすると詳細画面を見ることができます。
|