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「ザ・特集」リード2025

<塩特集>25年度内に値上がり 輸入原料塩5~8円/㎏上昇

食品に欠かせない塩
 塩は調味料としてはもちろん、防腐作用や脱水作用など様々な効果を持ち、あらゆる食品の根幹をなしている。そんなライフラインともいえる存在の塩に、再び価格改定の波が訪れようとしている。
 一般社団法人日本塩協会(野田毅代表理事会長)に加盟するイオン交換膜製塩の国産塩メーカーは2022年、23年に石炭価格が約4倍に暴騰したことを背景に、二度にわたる価格改定という異例の決断を下した。市販で大きなシェアを占める輸入天日塩を原料とする特殊製法塩メーカーも原料塩や天然ガス、重油の価格上昇により23年に価格改定を実施した。
 今回既に、輸入塩を用いる日本食塩製造株式会社(福家顕一社長)と、膜製塩のダイヤソルト株式会社(熊野直敏社長)が価格改定の実施を発表している。その他メーカーも大半が25年度内の実施を検討している。
 背景には複数の理由が存在する。今年1月には商社が原料塩(オーストラリア、メキシコ)の5~8円/㎏の値上げを実施、特殊製法塩メーカーに重くのしかかる。燃料価格は2023年以降は落ち着いたものの、円安により高値安定となっており、物流費、人件費、包装資材など各種コストは今後も継続的な上昇が見込まれる。
 塩は必需品である一方で、消費量増加を望むことは難しい。利益を確保するには価格改定が必須だろう。特集では塩業界各社の方針に迫る。
【2025(令和7)年3月21日第5190号1面】

<梅特集> 遅咲きで豊作に期待 「万博漬け」を国内外へ発信

満開の梅林(和歌山県日高郡みなべ町、3月7日撮影)
 遅咲きに不作なし‐。紀州梅産地で通説となっている言葉。今年はまさに近年稀に見る遅咲きとなっており、豊作の年になることが期待されている。昨年は3割作という史上最低の作柄を経験しただけに、産地では良い作柄になることが祈念されている。
 3月5日にJA紀南が発表した開花状況によると、主力の南高の開花始めは2月27日、満開期は3月2日となり、過去10年で最も遅い開花始め、満開期となった。開花始めは昨年より38日遅く、平年より21日遅い。満開期は昨年より31日遅く、平年より16日遅い。昨年は暖冬の影響で開花始め及び満開が平年より15日~17日早くなったことで、歴史的な凶作の年となった。それだけに今年の作柄に期待する思いは日増しに高まっている。
 一抹の不安もある。主要な梅林では3月1日、2日が満開期となったが、その後は寒気の影響で気温が上がらず、降雨や風が強い日が続いた。そのため、ミツバチが満開期から約1週間飛ばず、授粉が順調に行われたのか不安視する声も上がっている。そもそも開花が例年より遅いことを不安要素とする声もあり、着果状況が判明する4月中旬までは作柄の見通しを判断することはできない。
 確かなことは原料不足と原料高が大きな問題となっており、各社は厳しい環境に置かれている、ということだ。昨年、塩漬された量に一昨年前からの持ち越し在庫を足しても1年分販売する量には到底届かない。在庫量は各社によって異なり、大半の企業は今年の新物が使用できる秋口まで原料をつなげられるか、という不安を抱えている。
 昨年の秋冬の棚替えでは大幅な値上げが広範囲で実施された。上げ幅は原料の等級や企業によって差があるものの、10%~30%と過去に例がない上げ幅となった。当然、数量は減少したが、金額は値上げ分がカバーする形で大幅な落ち込みにはなっていない。春夏の棚割りでは秋冬の上げ幅が大きかったことから大半の企業で値上げが見送られたが、一部上げ幅が小さかったところは再び値上げを実施する。
 中国産は円安の影響で利益の確保が難しい状況となっているが、国産とのダブル値上げによって売れ行きが落ちる可能性があるため、春夏のタイミングでも値上げが見送られた。
 供給不安を抱える国産の梅を中国産に切り替える売場が増えている。価格訴求型の商品を展開するディスカウント店では、国産と中国産の比率が同じか中国産の割合が多くなっている。一般のスーパーでは、金額が維持できることからこれまでと同様に国産の割合の方が多く、異なる戦略の下、売場が展開されている。
食のタイムカプセル
 梅に世界中の視線が注がれる。4月13日から開催される2025年大阪・関西万博では、食の未来をより良くするために、世界に共有したい日本発の食の知恵の一つとして「梅干し」が選ばれた。自然の恵みと人の知恵だけで長期保存できる日本古来から伝わるフードテックとして「万博漬け」が6月に行われる。
 これは実際に紀州梅を塩漬し、食のタイムカプセルとして25年後の2050年まで保管して食べる、というもの。放送作家・脚本家の小山薫堂氏がプロデュースするパビリオン『EARTH MART』の展示に紀州梅の会(梅干部会)が協力し、紀州田辺梅干協同組合と紀州みなべ梅干協同組合を合わせた青年部組織「若梅会」が協力する。食の未来を創造する日本の伝統食品として、「梅干し」の魅力が国内外に広く発信される。
 今夏もラニーニャ現象の影響で暑くなることが予想され、梅干しは需要の増加が予想される。今年は良い作柄になり、新たな需要が生まれることが期待されている。
【2025(令和7)年3月21日第5190号1面】

<群馬特集> 移住希望地全国1位に SNSでカリカリ梅が注目

外務省飯倉公館で群馬の梅をPRする「うめのわ」メンバー
  群馬県は2024年の移住希望地の都道府県ランキングで、初の首位となった。ランキングは、全国の自治体と連携して地方移住を支援する認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが発表。同センターの窓口を訪れた相談者などへアンケート調査を行い、1万9021人から回答を得た。
 首都圏へのアクセスの良さや恵まれた自然環境、災害の少なさなどが人気の理由。地方移住を考え始めたライト層や子育て世代、アクティブな50代など幅広い層からの支持を得た。
 群馬県は、経済産業省「経済構造実態調査」において県別漬物出荷金額(2022年)が2021年に続き全国2位、県内では豊富な農作物を生かした漬物製造が盛んに行われている。
 梅の生産量においても群馬県は全国2位。箕郷、榛名といった梅産地では、梅の花が3月中旬から下旬に満開を迎える見通しとなっており、関係者は今年の豊作に期待を込める。
 県内の梅メーカー5社(村岡食品工業、大利根漬、コマックス、赤城フーズ、梅吉)で組織する「うめのわ」の取組も活性化している。2月19日には東京都港区の外務省飯倉公館にて開催された外務大臣及び群馬県知事共催「グローバルな展開を目指す群馬県の魅力(食、自然、文化、産業等)を発信するレセプション」にブースを出展。駐日外交団、駐日外国商工会議所、企業関係者、群馬県関係国会議員ら約180名が参加する中、群馬の特産品として梅の魅力を紹介した。
 「うめのわ」では昨年、11月10日(いい音の日)を「カリカリ梅の日」に制定するなど積極的なPR活動を展開している。足元では、SNSでインフルエンサーがカリカリ梅の食べ比べ動画を投稿したことを機に、若い世代からのカリカリ梅への注目度が上昇、需要が大幅に増加している。
(藤井大碁)
【2025(令和7)年3月11日第5189号1面】

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<東京特集> 伝統食の顔ぶれ華やか 世界一魅力的な大都市に

連日大勢の外国人観光客が訪れる築地場外市場
 東京への外国人観光客が増加している。1月20日に発表された2024年4~6月に東京を訪れた外国人旅行者数は、前年同期比31%増の683万人となり、同時期として過去最多を記録した。
 昨年10月には、米旅行雑誌で東京が3年振りに「世界で最も魅力的な大都市」に選出され、東京は世界的な観光地としての地位を確立している。
 東京の魅力の一つとして挙げられるのが多様性。最新のトレンドを発信する渋谷、歴史と伝統を醸し出す浅草、電器店が立ち並ぶ秋葉原など、個性ある街が集まり東京という都市を形成している。築地場外市場には東京の食を求めて連日大勢の外国人観光客が訪れている。
 ミシュラン星付き店の数が世界トップを誇る〝美食の街〟として知られる東京だが、伝統食品の顔ぶれも華やかだ。江戸時代の宝田恵比寿神社例祭にまで起源を遡るべったら漬、江戸の佃島が発祥とされる江戸前佃煮、江戸時代から親しまれてきた江戸甘味噌、江戸東京野菜である練馬大根を用いた練馬沢庵など、伝統技術を生かした製法で現代にまで変わらない価値を伝える産品が揃っている。
 毎年10月19日、20日には、東京の秋の風物詩である「べったら市」が開催され、昨年も開催を心待ちにしていた大勢の来場者で賑わいを見せた。
 特集内では、注目を集める〝東京ブランド〟の品々を紹介する。
(藤井大碁)
【2025(令和7)年3月1日第5188号1面】

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<静岡特集> 日本一の健康長寿県 豊富な食材や和食が寄与

富士山などの多様な風土が豊富な食材を生む(写真提供=沼津市)
 昨年12月に令和4年データに基づく都道府県別健康寿命が厚生労働省から公表され、静岡県は令和4年の健康寿命が、男性73・75歳、女性76・68歳で、男女ともに全国1位となった。
 令和元年に行われた前回調査の男女ともに全国5位から、ジャンプアップする形で、日本一の健康長寿県の称号を手にした。
 健康長寿の理由としては、地場の食材が豊富で食生活が豊かなこと、全国一のお茶の産地であり、日ごろからお茶をたくさん飲んでいること、元気に働いている高齢者が多いこと、温暖な気候からくる穏やかな県民性などが挙げられる。
 特に地場食材の豊富さは静岡県の大きな特長となっており、日本一の標高を誇る霊峰富士や日本一深い駿河湾など多様な風土を持つ静岡県は“食材の王国”として知られる。
 現在も、伊豆、三島、静岡のわさび、焼津のまぐろやかつお、浜松のうなぎや海苔など、様々な食材が揃っており、豊かな食生活が健康長寿に寄与している。 また総務省家計調査(令和3年~令和5年平均)では、静岡市が米の購入金額で全国1位となっており、日常的に和食を食べることが健康な身体づくりに大きく関わっていることが推測できる。
 県内の和食メーカーでは、静岡県特産のわさびやお茶製品を始め、うなぎ佃煮、まぐろ角煮、ラー油きくらげといった佃煮製品の展開も活発化している。
(藤井大碁)
【2025(令和7)年2月11日第5186号1面】

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<漬物の素特集>農作物高騰で苦戦続く 野菜を美味しく健康的に食べる

ミニトマトのぬか漬
 野菜を自分で漬けて美味しく健康的に食べることができる「漬物の素」が苦戦している。
 一番の要因は野菜価格の高騰。昨年の夏以降、猛暑と残暑の他、干ばつや局地的な集中豪雨など、全国的に多くの農作物が天候の影響を受けて生育不良や収量低下となっており、その状況は当面続く見通しとなっている。
 家庭漬で使用される機会が多い胡瓜も高値が続いており、首都圏では一本70円前後で販売されている。農林水産省が1月20日に発表した食品価格動向調査(調査対象8品目)によると、キャベツは1㎏506円で平年比309%、白菜は1㎏369円で同256%と、ピーク時よりはやや下がってきているものの、平年と比べると2倍以上の価格を付けるものもある。
 漬物の素の売れ行きは、「野菜の価格」が大きく影響するため、野菜の価格上昇が続く昨今は「漬物の素」の出番も減少傾向にあり、新たに「ぬか床」を利用してぬか漬をスタートする人も増えていない。
 ここ1、2年は価格改定が進んでいる。ぬか床の主原料となる米ぬかの価格がここ10年でじわじわと上がっていることに加え、あらゆる製造コストが上昇しており、漬物の素メーカーでは昨年から今年にかけて値上げを実施。だが、大幅な価格改定は消費者離れにつながる可能性もあり、金額としては5~10%程度に留まっている。
 漬物の素の代表格である「ぬか床」は、手軽に野菜を漬けて食べられることが魅力で、コロナ禍では植物性乳酸菌が豊富に摂取できて免疫力のアップにつながる健康機能性が話題となり、需要が大幅に増加した。
 コロナが5類に移行したことで「ぬか床」の動きも落ち着いたが、自宅でできる趣味として現在も一定数以上のユーザーが存在し、タレントが自慢のぬか床や利用方法をSNSなどで紹介するケースも増えている。
 「漬物の素」を利用すれば余った野菜を捨てずに食べることができ、食品ロス削減にもつながる。現在、販売されている商品は熟成済みでチャック開封式が主流のため、すぐに使用することができ、少人数世帯向けの商品も展開されている。暖かくなって野菜の生育が回復する春以降の動きが期待される。
【2025(令和7)年2月11日第5186号1面】

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<小豆島特集>瀬戸内に浮かぶ食の宝庫

稀少な木桶で仕込む醤油
 瀬戸内海に浮かぶ、小豆島。面積約153㎢、人口約2万9000人のこの小さな島は、醤油やそれを利用した佃煮、そうめんやオリーブと、魅力ある食の宝庫のような場所だ。 
 醤油造りが始まったのは約400年前、大阪城築城の採石奉行が紀州湯浅の醤油を持ち込んだことに遡る。温暖な気候と海運がしやすい小豆島に根付き、「醤の郷」と呼ばれるほどに成長した。今では稀少な木桶仕込みも、小豆島では盛んに行われている。
 この醤油を背景に第二次世界大戦後の頃から、佃煮製造が開始された。瀬戸内の小魚や海苔を使った佃煮が続々と開発され、島の一大産業へと発展した。
 島の南東部は歩けばいつでも醤油や出汁の香りが漂っているほど、醤油・佃煮メーカーが密集しており、歴史ある建物の数々は観光資源にもなっている。
 今回のSMTSでは佃煮メーカーが数多く出展する。各社とも、それぞれの強みを活かした個性的な商品を披露する。
 一方、共通して見られたテーマもある。一つが食品ロス削減だ。昆布の切れ端や、しじみの煮汁など、かつては廃棄していた素材を有効活用しようという意識は高まっている。
 もう一点が、付加価値の追求。小豆島の強みである豊かな素材を活かしたものや、目新しさを感じさせるコンセプトの商品が増えている。佃煮の主要ユーザーが高齢化している中で、若年層に手に取ってもらおうと工夫が凝らされた商品が勢揃いしている。
(大阪支社 小林悟空)
【2025(令和7)年2月11日第5186号2面】

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<春を呼ぶ商材特集>需要が増加する「桜花漬」

桜の花を塩漬した「桜花漬」
 春を想起させる桜の花を塩漬にした「桜花漬」。春向け商品の素材として幅広く利用され、季節の売場に欠かせない存在となっている「桜花漬」は、年明けから春にかけて出荷がピークとなり、現在は最需要期を迎えている。
 和菓子やパンなどの食品だけではなく、飲料や香料、化粧品に使用する素材としても活用され、需要が広がっている。また、「桜」は外国人にとって日本を象徴する存在で、桜関連商品は外国人観光客から高い人気を誇る。観光客数がコロナ前の水準に戻りつつある箱根ではお土産に「桜花漬」を購入する外国人観光客が増えている。
 あればあるだけ売れるほど需要が増加している「桜花漬」だが、原料の供給面に大きな問題を抱え、チャンスロスが発生している。いずれの産地でも生産者の減少と高齢化が深刻な状況となっており、各メーカーでは原料確保に注力しているが、新規で収穫を始める生産者は皆無に等しく、収穫量の減少に歯止めがかからない状況だ。
 原料の買い取り価格を上げても量が集まらず、作柄に関わらず収穫量を維持することも困難な状況だ。今年は4月13日から大阪・関西万博が開催されることもあり、これまで以上のインバウンド需要が期待されるが、「桜花漬」は以前よりも希少な存在となっており、来年以降に使用する原料を確保する施策が最重要課題となる。
 また、白身魚の身をほぐして煎りあげ薄紅色に色付けした「桜でんぶ」も春を想起させる商材。ちらし寿司や巻き寿司の具材として欠かせない一品であり、恵方巻の定番具材としてもお馴染だ。
 節分の恵方巻はコロナ禍を経て、家族揃って楽しめるイベントとしてさらにその人気が高まっており、今年も「桜でんぶ」の需要の高まりが期待される。
【2025(令和7)年1月21日第5185号1面】

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<節分いわし特集>広がる「節分いわし」 「鬼滅の刃」で今年も注目

柊鰯(ひいらぎいわし)
 節分に食べる物といえば「豆」や「恵方巻」が一般的だが、節分に「いわし」を食べる“節分いわし”の風習も根強く残っている。主に関西方面では、この季節、節分に向けていわし製品の需要が伸びるが、関東方面でも少しずつ広がりをみせている。
 古来より、鬼の嫌いなものは「鰯(いわし)の頭」の匂いと「痛い柊(ひいらぎ)のトゲ」とされ、いわしの頭を焼いて柊の枝に刺し、厄除けのため家の戸口に置いて鬼の侵入を防ぐという「柊鰯(ひいらぎいわし」の風習があり、それに因んでいわしを食べるようになったといわれる。
 近年、節分イベントを後押ししているのが、アニメ『鬼滅の刃』のブーム。物語のテーマである“鬼退治”は、節分のキーワードと一致し、関連アイテムが続々発売されるなど節分商戦の盛り上がりに一役買っている。
 今年は、「劇場版『鬼滅の刃』無限城編」の三部作が全国の映画館で公開されることがすでに告知され、昨年2月公開の映画「鬼滅の刃 絆の奇跡、そして柱稽古へ」、昨年5月から放送されたテレビ「鬼滅の刃 柱稽古編」に続き、話題となっている。愛知県の佃煮メーカーでは、いわし製品を製造するメーカーが数多く存在し、「いわし甘露煮」「いわし生姜煮」「明太いわし」「梅いわし」「金ごまいわし」「いわし味噌煮」など、各社によるこだわりのラインナップを展開している。
【2025(令和7)年1月11日第5184号13面】

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<霞ヶ浦特集>シラウオ新ブランド誕生 鯉製品が初の農水大臣賞に

「霞ヶ浦 暁のしらうお」のブランドロゴ
 シラウオの漁獲量全国トップクラスを誇る茨城県から、新たなブランド「霞ヶ浦 暁のしらうお」が誕生した。生産・販売を行う霞ヶ浦漁業協同組合が昨年11月6日に大井川和彦茨城県知事を表敬訪問し、ブランド品とロゴマークのお披露目を行った。
 ブランド基準を満たしたシラウオは、美しい透明感やぷりぷりとした食感を持っており、市場流通している他のシラウオとは一線を画す。ブランド名は、昔も今も変わらない漁の情景に、「夜明けの太陽=新しいブランドの幕開け」をイメージして名づけられた。
 霞ヶ浦北浦では、昨年もワカサギの漁獲量が減少するなど不漁が続いており、霞ヶ浦産のシラウオを佃煮や煮干しに加工する事業者にとっても、シラウオのブランド化は追い風だ。
 昨年11月に開催された令和6年度茨城県水産製品品評会の霞ヶ浦北浦部門では、コモリ食品の「霞ヶ浦産『超特大』鯉のうま煮」が農林水産大臣賞を受賞。出羽屋「金ごまおかわり君」、はしもと「霞ヶ浦産白魚佃煮」の2品が水産庁長官賞を受賞した。
 近年、ワカサギが不漁となる中、各事業者が工夫を凝らして高品質な製品を出品。その中から、鯉製品が同品評会で初めて農水大臣賞を受賞した。(藤井大碁)
【2025(令和7)年1月11日第5184号14、15面】

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<長野特集>野沢菜の希少価値高まる 付加価値つけた商品開発テーマ

リニューアルオープンした「銀座NAGANO」
 昨年10月に開催された令和6年度長野県園芸特産振興展の第68回漬物品評会には、本漬物の部101点、浅漬物の部104点の計205点が出品され、新進漬物(木島平村)の「大根みそ漬」と山田醸造(岡谷市)の「野沢菜漬コンブ味」が農林水産大臣賞に輝いた。
 長野県の特産品である野沢菜漬では、浅漬や本漬など伝統的な製品の他、野沢菜をエスニック風味に仕上げた製品が入賞を果たすなど、出品作品にも時代と共に変化の兆しが見られる。
 野沢菜は生産者の減少や異常気象により原料確保が年々難しくなっている。昨秋も、猛暑や長雨の影響により野沢菜の収穫量が大幅に減少し、メーカー各社は出荷調整を余儀なくされた。異常気象が常態化する中、原料調達のハードルは高まっており、各社は自社栽培をスタートするなど、その対応に追われている。
 一方で野沢菜漬の需要は堅調だ。近年は、刻みタイプの浅漬製品が伸長している他、本漬製品の認知度が高まり、県外にも売場が広がっている。希少な原料となりつつある野沢菜を、どのような付加価値をつけて販売していくかも今後の大きなテーマで、燻製やチップス、野沢菜の種を使用したマスタードなど様々な商品が登場している。
 東京銀座の長野県アンテナショップ「銀座NAGANO」は昨年10月にリニューアルオープン。より利便性の高い店舗へ生まれ変わった。野沢菜漬を始めとした長野県の特産品の発信地としてますます期待が高まっている。(藤井大碁)
【2025(令和7)年1月11日第5184号16~18面】

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